2023年11月28日

【 BLACKLOUNGE SUITS A 】






≪ Clothes make the man. ≫




服は人を作る。

これは何世紀にも前の言葉(表現)であり、今日でも当てはまります。
多くの人が今でもブランド名やトレンドに影響を受け、追いかけています。
その方々は他の人と同じ服を着ているので簡単に見つける事が出来ますが、そのせいで自ずとスタイルステートメントの価値を下げている。

 本当のスタイルとは自分らしくある事。
自分が誰で、自分を信じ、量より質と共に反映するものを着る事から生まれます。
ビスポーククチュールが復活している理由の一つであり、自分の選んだ生地で自分の服を仕立てている理由です。



(・・・英国のとある老舗服地商より。)

とても的確に語られていたので引用させて頂きました。












 スーツを、テーラードクロージングを愛される皆様
朝晩は寒さも感じられ、今では存分に楽しまれているのではないでしょうか。

カジュアル化が進行し、スーツの着用頻度が下がった方々も多い事と思いますが
個人的にはとても勿体無いように感じます。
こんなにも紳士を美しくエレガントに表現してくれる洋服はありません。

紳士服の歴史と共に その奥行きを覗き込めば果てしなく
その魅力たるや 未だその片鱗すら垣間見られた事なき方々へ、その片鱗だけでもお伝えする事が出来ましたら幸いです。

 装いには敬意や配慮含めTPOがあり、とても大切で重要な事ながら
誂え服は自己満足でもありますのでご自身が気持ち良く、格好良く、気分が上がるテーラードクロージングをお楽しみ頂ければと思います。




 今週は私個人の自己満と、ちょっぴりご提案も踏まえてご紹介させて下さい。
ブラックラウンジスーツ、続編となります。


http://dittos.seesaa.net/article/500881048.html
【 BLACKLOUNGE SUITS 】









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・・・・・優に100年以上も昔の装いであり、エレガントなフロックコートのスタイルです。
長きに渡り正礼装に君臨して参りました。

大いなる特徴として、ウエストラインに上下を分断するウエストシームがあります。
そしてダブルブレストには腹部の前中心線にもセンターシームがあります。
 シーム(縫い目)を利用し、様々な作用を生み出す事が可能となります。












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・・・・・フロックコートが退役し、当時の準礼装であったモーニングドレスコートがイブニングドレスコートと共に昼夜に分かれ その役を担います。
現代での正礼装:ディ・フォーマルスタイルです。




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そしてウエストコートについては もう一つ。
お気付きの方もおられると思いますが、ご覧頂きました御三方のVゾーンを改めてご覧下さい。

白いインナーの様なものが確認出来ますね。
 これは 【 SLIP 】 といいます。














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・・・・・もともと古くはモーニングに合わされるウエストコートは上着に同じ共地です。
これはブラックラウンジスーツにも引き継がれていますが、双方の違いは上着の尻尾を切り落としただけであり これでラウンジとなります。

このブラックラウンジスーツがデイ・フォーマルの準礼装としてポジションが確立されました。
前編でもご覧頂きましたように、政治家や弁護士などを筆頭に 比較的目にする日常範囲でのドレッシーなスタイルであったことが伺えます。

細かなヘリンボーン地の上中、下はコードストライプ
基本はホワイトシャツのフレンチカフスですが、クレリックスタイルも素敵です。

凛として本当に大好きなスタイルです!
















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・・・・・SLIP(スリップ)の起源は19世紀初頭にまで遡ります。
当時は対照的な色同士のウエストコートを同時に重ね着していた事に起因します。
 日本においては朝廷の伝統的な装束でも複数の衣を重ねる事が基本であり、十二単などをイメージされると似ている要素があるとも言えます。

この伝統的で洒落た着こなしの名残が 『スリップ』 を生み出し、洋服がブラックですからホワイトの(大抵の場合はコットン・マルセラを使用します。)生地でパーツを作り Vゾーンに添えられるようになります。
( スリップ自体は通常取り外しが出来るように誂えられています。)


MARCELLA / マルセラ … ピケとも呼ばれ、イブニングドレスのウエストコート・ホワイトタイを誂える凸凹な生地です。 ≫


今では全く一般的ではなく、歴史にも通じたTAILORに行かなければならないでしょう。
確かに重ね着しているように見える・見せるアイテムとなり、古を重んじた本格的な誂えであるとも言えます。
 必要が無ければ外せますので、場面に合わせて利用できるのです。















・・・・・個人的に大好きなブラックラウンジスタイルを突き詰めたい、そんな想いを具現化致しました。

 ブラックラウンジスーツとはポジションへの呼称であり、生地は勿論ブラックを筆頭に、チャコールグレーなども含まれます。
個人的な拘りでは 限りなく濃いエレガントなチャコールグレーで細かなヘリンボーン地である事。
W.チャーチル氏の生地もそうでしたが、バラシアやドスキンなどと同じようにモーニングドレスを仕立てる王道なクラシックスーチングです。

先ずはベースとなる三つ揃いが必要となります。
仮に黒でなければ凄く濃いグレーのダークスーツ範疇ですから これこそ冠婚葬祭からビジネスまでフル活用できる万能と言えますね!

生地は厳選の上 選び抜いたコチラで。



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http://dittos.seesaa.net/article/499684657.html
【 FOR THE DISCERNING MAN 】



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・・・・・この生地はとにかく濃いトーンであり、正にチャコールグレー。
英国(H.Lesser)ではライトウエイトのスーチングとなりますが、このウエイトこそ日本では3シーズン用となりますので、真夏以外はいつでも対応可能です。

ピークではなく、ノッチでの三つ釦は勿論本返り。
当然ノーベント、そぎ落とされたシンプルさである事。
至って普通ながら 秘められた拘りは相当なものなのです(笑)。
















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・・・・・ブルーの効いたEND ON ENDのシャツはクレリックスタイル。
白いチーフにシャツの襟、そしてスリップがとても映えます。

あっ、もはや当店の隠れ定番であるタイスライダーですが
職人さんへ発注していた在庫分が届いております!
 チェーンと共に是非お声掛け頂ければと思います。


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http://dittos.seesaa.net/article/460665292.html
【 お知らせで御座います。】
















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・・・・・フロント釦を外せばアルバートチェーン。
深めに付けられているフロント釦、これは打合い量を示し 拘りポイントの一つでもあります。

ダブルブレストのウエストコートによる狭きVゾーン
昨今ではローライズのトラウザースに合わせた着丈の長いウエストコートをよく目にしますが、そのバランスでは上手く成り立ちません。














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・・・・・アルバートチェーンには、ダブルチェーンとシングルチェーンがあります。
これはダブルチェーンであり、シングルよりも古めとなるそうですが 英国製ではそれぞれにホールマークの刻印で製造年代が分かります。
一般的にはTバーを釦ホールに引っ掛け、当然ながらポケットウオッチの落下防止を担います。

ウエストコートがダブルブレストの場合、Tバーはホールに掛けますので冒頭写真 チャールズ国王の様にチェーンの中心は右寄りになります。


このウエストコートではもう一つ 古のディテールがあり、それはセンターシームなのです。
後で触れて参ります。














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・・・・・スリップが見えますね、程好く顔を見せ
左上前でウエストコートの打合いとリンクさせます。
(先にも述べたように取り外しが出来ます。)

重ね着の様に見えますね! 正にその要素が目的なのですが。

因みに、Tシャツで 襟ぐりや袖口に重ね着風に見せた配色部分パーツが加えてあるのを見た事がありますが、これも目的はスリップに同じですね!


しかし生地色はブラックに見えますよね、、、それが狙いのチャコールグレーでもあり
H.Lesserも意図している事でしょう。


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・・・・・センターシームに着目してみましょう。
この意図的に組み込まれたシームにホールを敢えて設けられ、チェーンのTバーはシングルブレストの様にセンターへ納まります。

英国古着に造士が深いお方は見た事があるかも知れません。
















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・・・・・エドワーディアンのフロックコートです。
冒頭でも述べましたが、ウエストラインに上下を分断する縫い目
そして腹部の前中心に左右分断の縫い目がある事が見て取れます。


冒頭写真のフロックコート、そしてこのイラストを見てもわかる様に、ダブルブレストのウエストコートは釦数が多く、8釦‐4掛けなど より縦に長く腹部面積を覆います。

シームがある事により、そのシームを利用してクセ(ダーツ)的な概念を盛り込む事が出来ます。
故に腹部の覆う面積が広ければ広い程に このシームの効果は大きく、立体的な身体に寄り添わせることが可能となります。


 もう少し時代は流れ、、、
ダブルのWCも6釦‐3掛けあたりに落ち着き、釦配列は腹部にある程度 集中されます。
 そうなると前中線長は短くなり、シームの効果は昔より薄まると言えます。

だからこそ、上記状況と、ポケットウオッチが使われなくなってきた事などを背景に
センターシームは排除されるようになったのだと推測できます。
 勿論 作り手が楽だからという要素も必ずあるでしょう。

















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・・・・・では名探偵にもご協力頂きまして、、、全くもって同じですね。

このディテールは、ブラックだから、フォーマルだからではありません。
ダブルブレストのウエストコートだからです。

センターシーム長が短くなったとはいえ、シームを切るならクセ取り的要素も入れます。
より身体へ吸い付くように、、、名探偵の様に腹部が立派であればある程 その効果を盛り込めると言えます。
 では何故 ダブルブレストの上着は切らないのか、、、確かに切れば効果を盛り込めますね。
それは多分ウエストコートには『チェーンホールを開ける』という要素がプラスされているからではないでしょうか。














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・・・・・ではトルソーの為の服ではないですから
着用写真もご覧頂きましょう。

チェーンを使わなければただのシームがあるだけであり、名残であるラペルのフラワーホールに同じです。
しかしそのシーム効果だけはフィッテイングに作用として残ります。

スリップは外してあり、サッパリと見慣れたクラシックな印象です。















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・・・・・上着は超ベーシック。
トラウザースの裾は折り上げ、スリップも外し、極クラシックなダークスーツです。

これでドレスTR(コードストライプ)を履けば BLACKLOUNGE SUITS となります。
まぁこれもラウンジスーツであり、ブラック範疇ですが、、、、。

真面目そうに見えますね(笑)。














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・・・・・スリップを付けました!
Vゾーンにアクセントが加わり、より華やかな印象とも言えます。

これでドレスTRを履いて、足元にはスパッツを装着すれば私の中でのブラックラウンジスーツの完成です。

袖口から白、そしてVゾーンはシャツ衿の白、そしてスリップの白。
これでスパッツを付ければ足元の裾口からは そのスパッツが程好く顔を出し、素晴らしくコントラストの効いた重ね着スタイルの完成となり、本当に美しく成り立っています。

昔の方々は本当にお洒落であり、紳士の着るスーツ(スタイル)がどれだけ完成・熟成され続けてきたか分かるというものです。


 ここまでお読み下されば、上着の袖口からシャツのカフスが出ていな事がなんてナンセンスなのかも繋がりますね。
理由はそれだけではありませんが、正しきサイジングを知る事が美しくスーツを着こなす近道となるでしょう。













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・・・・・スリップ、小さく些細なパーツながら、効果は絶大なものです。
普段のビジネスシーンには重いようでしたら結婚式や日中での重要な会合、パーティーなどで如何でしょうか。


日本の、日本人特有な冠婚葬祭やリクルート用などで重宝されている 『ブラックスーツ』 という作られたポジションが実在しています。
便利だとしても歪な概念を少しでも打破し、本質に近付けたいと微力ながら思っております。
















・・・・・如何でしたでしょうか。

次は本当の意味での着こなし(ドレストラウザース)を履いて いつか続編をご紹介したいと思っております。

 では いよいよ師走を迎えます。
どうか今年も最後まで 宜しくお願い申し上げます。














・・・・・British Style を愛する顧客様方へ。
クラシックなスーツやコート(ジャケット)を仕立てても、合わせたくなるような英国製のシャツ地はお選び頂ける見本が今は無く、英国テイストのシャツ地もめっぽう少ない!
 RINGHART社も注文できなくなり、私自身もそういったご要望にお勧めが無く大変困っていました。

なので、、、 ACRON SHIRTING を仕入れました!

初回なのでそう多くはありませんが、、、
正確には発注済み、入荷待ちです。
私個人も欲しいですし、『らしさ』のある英国シャツ地を厳選して ご提供させて頂きます。

届き次第 改めてご紹介させて頂きますので、是非ご期待くださいませ。
来月は 【 ACRONプチ祭り 】 を開催予定です(笑)。











・・・・・大変恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。

次回は、12月12日(火)を予定しております。

寒くなり、誰しもが忙しくなる師走
どうかご体調には十分にお気を付け下さいませ。


 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。







posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Style | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月21日

【 COUNTRY STYLE 】




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 自然の織りなす美しき情景には言葉さえ失い、ただただ感動と癒しをもらい受けます。
無限に広がる自然界のカラーパレットはなんて奥ゆかしいのでしょう。
動植物の彩には訳があり、そして紅葉含め変化も致します。
 昨今では春秋を感じ辛くなりつつも、日本の四季を堪能し 食や衣を楽しんで参りたいものです。

都会にいると無駄に高層ビルばかり建て続け、これから本当に必要でしょうか。
風向きも変わり、空も益々見えなくなるばかり。

 たまにはそんな日常から離れ、自然に触れあいに出向きたくなるのです。
ただただ好きなのですが、本能として英気を養いにと求めているのかも知れませんね。



カントリーウエアと言えばツィードは欠かせません。
草木のグリーン、大地のブラウン、そして空のブルー、そして草木や花、実の織り成す様々な色たち。
昔はそれらから色をもらい 糸を染めていました。

カントリーウエアは自然と融合しますが、そんなシーンを妄想しながら生地を選び、ご着用頂けたなら その服は何倍にも魅力を増して愛着を感じる事が出来るのではないでしょうか。




 今週は美しき紅葉の風景と共に、カントリーサイドが似合うスポーツスーツやコートをご覧頂きたいと思います。
 私の無粋な言葉は少なめに、ご覧下さる方々が色々と感じて頂けましたら幸いです。






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BESPOKE

SPORTS COAT(JACKET)


VINTAGE HOLLAND & SHERRY

Pure Cashmere








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BESPOKE

TWEED:SPORTS SUITS


LOVAT MILL:KIRKTON



【 LOVAT TWEED@ 】














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BESPOKE

TWEED:SPORTS SUITS


Poter & Harding

HARTWIST



【 TWEED:HARTWIST 】


















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HOUSE STYLE ORDER

TWEED:SPORTS COAT(JACKET)


DASHING TWEED by Harris Tweed



【 DASHING TWEED 】





・・・・・箱根の寄せ木細工の様に複雑で美しい小格子柄。
ベースはブラウンながら、目を凝らして見れば 赤や黄、緑や橙、、、、、
とても複雑に絡み合った色たちが混ざり合って この形容しがたい表情を奏でるのです。
 とても手の込んだツィードであり、100% ブリティッシュ―ルで織られた別注品です。

こんなポテンシャルを持っているのですから 合わせるアイテムは何色でも許容し、調和をもたらせてくれるのです。


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HOUSE STYLE ORDER

TWEED:SPORTS OVER COAT


DASHING TWEED by Harris Tweed




・・・・・シングルのポロコートをイメージにご注文頂きました。
O様の素晴らしいセンスが光ります。



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・・・・・如何でしたでしょうか。
今週は皆様それぞれが頭の中でイメージを膨らませて頂けましたら幸いです。


ツィードをはじめカントリーテイストな服は本当に何でも合いますので、デニムからコーデュロイ、モールスキン、勿論フランネルからキャバルリーツイルなどのトラウザースも欲しくなります。

インナーもブラッシュドコットンでのソリッドからカントリーチェックのシャツは欠かせませんし、色目の綺麗な薄手のニットなどで差し色使いも素敵です。

靴だって幅広いですよね、コーデを考えるだけでワクワクします。

悩みに悩んで選び抜いた生地でご注文を仕込まれたら 後は待つばかり。
仕立て上がれば次は着る楽しみ、育てる楽しみ、そして付随アイテムの誂え足しを考えるのも一興です。

装いを楽しむべく、カントリークロージングを着て是非お出かけしましょう!
今回の写真は10月末撮影なので、今では紅葉も一層進んでいる筈です。
お近くの公園でもカントリーでも、街中でさえも些細なところに気付きや小さな幸せがある筈です。



皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。


















・・・・・大切なご連絡が御座います。

当店 HOUSE STYLE ORDER につきまして、
大変多くの顧客様方にご贔屓を頂戴しておりまして 日々心よりの感謝しております。

さて、皆様もご存じの様に 昨今の様々な値上げは本当に痛いばかりです。
しかし、実は 2024年1月1日より
また改めて少しだけお値上げをさせて頂かなくてはなりません。




ご協力工場さんも本当にご努力を続けられてはいるものの、度重なる付属類の高騰やエネルギー代、人件費など要因はキリがなく追いつきません。
だからと言って度重なる値上げばかりももどかしく、生産効率の見直しを図られるとのご判断になりました。
存続を前提に至極当然の考えでもあり、工場さんだけには限られません。

値上げを取るか 品質を下げるか、、、
皆様でしたら どちらを選ばれるでしょうか。

HOUSE STYLE ORDERにおいて、私にとって後者はあり得ません。

当店でも出来る限り吸収して参りましたが、心痛くもこの様にお願いさせて頂かなければなりません。




一つの工場さんという括りの中では、沢山のメーカーさんや当店の様な小さい個人経営店も含め 様々な品質やデザイン、そして縫製仕様の服作りをしている訳です。
ですから間違えないように区別するだけでも大変なのです。

 その服(作り)は『〇〇の工場製だから』なんて判断は全くのナンセンスです。
お店(メーカー)が違えば型紙や縫製工程数、そして付属など、、、
要は設計や縫製仕様に伴い 中身や仕立てでの手間の掛け方が全然違うからです。
故に型紙然り、仕立てあがる品質的レベルも 対価となる工賃も様々なのです。


 私は迷う事なく品質を守り続けたいです。
当店HOUSE STYLE ORDERはご協力工場さんと共にもっと発展出来ると信じていますので品質的後退は考えられません。


また改めてご連絡させて頂きますが、ご迷惑、ご負担をお掛け致す事となり
誠に恐縮で御座います。



手に入らなくなってしまった物、品質は 今も、そして今後も増えるばかりであり 無くなれば復活はかなり厳しいのが現実です。
 イージーオーダー範疇の枠に収まらぬHOUSE STYLE ORDERだからこそ今後とも皆様のご期待・ご要望にお応えさせて頂きたいと思っております。

何卒ご了承いただけましたら幸いで御座います。
 どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。







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2023年11月14日

【 CARLO BARBERA 】






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=箱 根=




 先月の末 当店は14歳となる誕生日を迎える事が出来ました。
偏に皆様のお支えによるものであり、心よりの感謝を申し上げます。

そんな折、まだ暑さも残る10月末でしたが 妻と箱根へ行って参りました。

















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・・・・・カントリーに行くのですからツィードやコーデュロイを!
この日は曇り 時々小雨、早く馴染ませたくもあってコーデュロイを着ていきましたが、まだ暑さの残る10月ですから弱気に2Pで出向いたのです。
 ですが朝晩は寒くて宿では暖房を入れる程であり、都会とは全然違いました。
もし今であれば3Pにカバートコートが欲しいかも知れませんね。

ドラブ、良い色でしょう‼ 自然に溶け込みます。

流石は箱根、既に紅葉も始まっていました!
美しい情景にどれだけ心を癒されたでしょうか、、、素敵な写真が沢山あるので改めてご紹介したいと思います。












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・・・・・ヴィンテージカーフのチェスナット、外羽根・外ハトメのフルブローグ。
カントリースタイルには欠かせぬポジションですが、普段はタウンユースばかりなので今回のカントリーでは張りきってもらいましたよ。














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・・・・・紫の実がとても綺麗だった こんな植物も!
シソ科の落葉低木であり、名は【 紫式部 】といいます。
高貴な紫、粋なネーミングですね。
とても大好きな色の一つでもあり、今週ご紹介のネタにも。

















・・・・・さて、前置きが長くなりましたが
今週は期中仕入れがありましたので 早速ご紹介させて頂きたいと思います。
当店では取り扱いが本当に少ないイタリア製の生地です。















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CARLO BARBERA




1949年 イタリアはビエラの地で創業されたミルです。
このメーカーは厳選された最高の原毛を使う事は勿論の事、生地を織る為の糸作り自体に独特の製法を駆使してきた事に拘りがあるそうです。















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Carlo Barbera



1911年生まれの創業者カルロ・バルベラ氏
圧倒的な自信と存在感、そして貫禄を兼ね備えた魅力的な紳士で御座います。
素敵に歳を重ねられ、長生きされた事でしょう。

 馴染んだ上着の着用歴はどの位でしょうか。
クラシックなシングルの三つ釦ですが
今では右を見ても 左を見ても三つ釦は段返りばかりになってしまいましたが、時代も含め 御仁は王道 本返りの三つ釦ですね。















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Luciano Barbera




 父より引き継いだ二代目、とてもエレガントで品のある御方であり
日本においても かなり高き知名度を誇る事でしょう
これはスウェーデンで創刊されたカルチャーマガジンの表紙を飾った時の一枚です。
氏は英国へも留学されていたそうであり、その影響は多分にあるようです。

二代目はクラシコイタリアの大いなる波を支え続け、KITONでは特に同社の生地を大いに扱われていたとの事。

そしてもう一つ 私がお伝えしたいのは、英国の名門マーチャントである H.Lesser&Sons。
H.Lesserは当BLOGでも沢山出て参りますが、同社のスーチングは王道で最上級な英国地そのものを生地で語ります。

そのH.Lはマーチャントです。
スーチングではなくジャケッティングは、、、よりカジュアルでリラックス、英国にはない魅力をカルロ・バルベラ社へ見出し ダブルネーム にて別注を掛けていました。

国内外含め 多くのテーラーや顧客の方々にとってH.Lesserへの信頼度は抜群であり、そのH.Lが見込んでの別注ですから逆の見方でも質とセンスの高さが伺えるというものです。


 そんなカルロ・バルベラ社が織った今回の英国ライクなスーチング生地、
廃版となるOLD STOCK品を出物として買い付けました。



















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・・・・・先ずは渋み溢れるダークグレーから。
クラシックなヘリンボーン柄にストライプが重ねてあります。

イタリア生地にありがちな軽くてソフトな、、、打ち込みも甘目であったり、単糸使いの生地さえ少なくありません。
 そんな生地は肌触りも着心地も良いでしょうが耐久性は低く、皴になりやすく型崩れを起こしやすいのですね。
正にファッション的な生地であり、長持ちしたら次が売れません⁉

片や英国地の多くは経緯共に双糸使いでハリコシがあって弾力性に富み、皴になり辛くて耐久性も高くなります。

ファッションを楽しむのか、それともスタイルを形成していきたいのか
生地を織る側の企画や価値観も変わるでしょうし、それに伴ってお客様方の目線も違う事でしょう。
 イタリア国内のサルトリアは英国地を好むと言われるのはそういう事であり、アパレルメーカーとは価値観が違うという事ですね。
ただ、お客様方だって時には逆の味をつまみ食いもあるでしょう!


この生地は正に英国地の様なハリコシ、当然 経緯共に双糸使いで確りと打ち込まれており、触っただけではイタリア製とは思わないかも知れません。
 こういう生地だからこそ喜んで仕入れたのです。













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・・・・・グランドの深いダークグレーは程好くメランジ調でヴィンテージにあるかの様な顔立ちです。
ヘリンボーンに重ねられた縞柄ですが色は同じでの2種、それぞれ入れ方が異なりオルタネートの様でもあります。
 これまた色が紫式部の様な綺麗なパープルで粋ですよね。














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・・・・・そのパープルは 縞自体が細く弱めなので目立つ事なく控えめなのも品があります。















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100% WOOL

350g



・・・・・これは仕立て映えしそうです! いや、します。
350gといえばイタリア生地好きにとっては正に秋冬地ですが、イギリス生地好きにとっては秋冬地の範疇でありつつも、3シーズン用として捉えられる方も沢山おりましょう。

イタリアのセンスと顔立ちながら、質はめっぽうイギリスで、、、、これが魅力なのです!





















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・・・・・グレーに変わって、次は欠かせぬネイビー地です。
柄のデザインはグレーに全く同じでの色違いとなります。

勿論 品質、ウエイトも変わりません。
良い意味で印象が随分と変わりますね!














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・・・・・深く魅力的なネイビー地、グレー程にメランジ調が見受けられません。
単色糸使いではないメランジ調を生み出す際、糸色の配色コントラストがグレーは強め、ネイビーは弱めにされています。

ヘリンボーン柄特有な縞柄での陰影がエレガントに浮き出ます。















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・・・・・縞柄のパープルもグレーに同じです。
パープルは青と赤で構成される色ですからネイビーとの相性は抜群です。

本当に素晴らしい生地であり、うっとりレベルで御座います!



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・・・・・グレーとネイビー、重ねて色の感じをご覧下さい。
もう このくらい離れるとパープル味さえ優しく溶け込むかのようです。

生地はバンチを見るかのように目近での印象だけで判断してはなりません。
纏って、離れて、、、、数メートル離れたら? と
『 仕立て上がったスーツを着たら 』 を想定してご覧下さいませ。
 だからこそ、バンチでの判断は難しく、こういった現物は欠かせぬ強みと説得力を兼ね備えているのです。














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・・・・・パープルの縞柄に使用されている色糸は同じでしょう。
デザインも同じ、だからこそグランドが違うだけで随分と印象も変わるのが分かります。

グレー派? それともネイビー派?
どちらもそれぞれの魅力がありますが、皆様はどちらがお好みでしょうか。



















・・・・・以上となります。
写真はあくまでもイメージ程度に収め、是非 現物を見にお越しくださいませ。

この品のある顔立ち、弾力あるハリコシ、現物が放つ存在感と説得力。

英国の良さをも理解された当主だからこそ、こういった生地の表現が上手いのでしょう。
H.Lesserも信頼した CARLO BARBERA の生地を是非お勧めさせて頂きます!




 では 急に冬へシフトしたように寒いですが、むしろ嬉しくなりますよね。
急な気温の変化にご体調を崩さぬよう 是非冬の装いを存分に楽しみましょう。

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
 今週も誠に有難う御座いました。






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