2024年12月03日

【 DOBCROSS:T様のご注文 】





1td.jpg



・・・・・12月に入りました、これから慌ただしくなりますね。
今週は好天の日も多く、BLOGをご覧下さる皆様方におかれましてはスーツやオーバーコートなど テーラードの服をご満喫されている事と思います。

A.イーデン氏の様なチェスターFコートを誂えたくなるような素晴らしい BLACK CASHMERE を出物で入手し、無地に届いておりますので是非お勧めで御座います!













2td.jpg



・・・・・ONではやはりダークスーツが一番シックリときますね。
ネイビーの三つ揃いはベーシック且つ欠かせぬスーツですが、シンプルだからこそ 生地や仕立ての差が分かりやすくもあります。
 手にするグローブはペッカリーでしょうか、細巻の傘と共にエレガントで渋い英国紳士を感じさせてくれます。

反面OFFではフラノやツィードなどでアースカラーをベースにした格子柄のスーツも欠かせません。
紅葉狩りやご旅行含めカントリーサイドでは欠かせませんし、普段のタウンユースでもそんなカントリーに想いを馳せ クリスマスに染まりつつある街の散策や、夜になればイルミネーションでも見に行きましょうか!









 さて、今週は極上の生地で三つ揃いを誂えて下さった T様のご注文を紹介させて頂きます。


T様におかれましては当店での初注文となります。
この度お仕立てになられるスーツへ込める想いや用途をお伺いし、生地はお見立てより直ぐに決まりました。
しかし、スタイルは3Pに興味があるものの 2Pにしようかと迷われます。
今までに何度か試した事もあるが なんかシックリとこないので自分には合わないのではないかとの事。

『 絶対にそんなことはありません! 』

そんな理由であれば是非とも当店で三つ揃いをお試しください。
温かくなってきたシーズンや、そこまで畏まらないシーンなどではウエストコートを省き、2Pで着用すれば良いだけです。
 そもそも論としてスーツは三つ揃いが前提であり、その様に設計・構築されています。
故に厳密にはウエストコートを省いた2Pのスーツは略式というポジションでもあり、それが普及して一般化したのです。

T様のような方こそ 当たり前の様にサラリと三つ揃いを着こなして頂きたいですし、三つ揃いでお持ちであればウエストコートの着用は選択出来るのです。
今までの三つ揃いやウエストコートへのご経験は一時棚上げさせて頂き、新鮮なお気持ちで私に託して下さいませ。

 紳士がスーツを着用して似合わない、、、確かに着慣れも必要ですが 似合わぬ訳がない。
もしそう思わせたのであれば私達TAILORの責任です。


T様におかれまして、今後の様々なシーンにおいてエースとなるべきスーツでもあり
スペアのトラウザースも含め結論的には 計4P-SUITS にてご注文を頂戴致しました。


















3td.jpg



John Cooper & Son

DOBCROSS


98% Super140 WOOL

1% CASHMERE

1% SILVER MINK


340g




【 DOBCROSS 】



・・・・・とんでもなく高品質なスーチングでありますが、既に廃版が決まっています。
なんでも高騰している昨今 新たに織れば幾らになってしまうのでしょうか。

ドブクロスとは旧型の織機名であり、開発された地の名でもあります。
詳しくは上記リンクよりご覧下さい。
往年のVINTAGE SUITING では普通であった品質(旧型織機)を、無理やり現代で復刻したようなものですね!

色柄によっては既に入手できません。
ある内に、、、それもあってスペアトラウザースをお付けになられたのはご懸命な判断で御座います。


4td.jpg


















5td.jpg



・・・・・吊り用のトラウザースはほぼ初めてだと思いますので、この度は本質的なあるべき三つ揃いの真骨頂をご体験頂きます。

吊り用のトラウザースはメリットがかなり多く、慣れればベルト用より綺麗に穿けつつ 楽でもあるのです。
 ウエストサイズはベルト用と違って締めつける事なく、敢えて遊びのあるサイジングで誂えます。

深き股上は腰位置高く 脚長でスタイルを良く見せ、三つ揃いとしての調和を図る意図的な設計となります。
リアルなウエスト位置より高い股上ゆえ吊っていなければ そのポジションを維持できません。
この腰(ウエスト)位置設定は ウエストコート、そして上着にも連動しており、だからこそ三つ揃いでの調和がとれるのです。


現在 一般的な2Pのスーツがアンバランスで調和がとれていないのは、、、

トラウザースを吊らなくなり、リアルな腰位置までウエストライン(股上)を下げたにも関わらず、対となる上着のウエスト設定位置はそのまま、、、、なのですね。
下物を下げたのですから 当然上下での各ウエスト設定位置がズレる(間が抜ける)というギャップが生まれる事になります。

 クラシックなテーラードであるという範疇におき、例えば 上着が3釦ならセンターの第2釦位置、2釦なら上の第1釦位置、誤差はあれど この留める釦位置がその上着での 設計上のウエスト設定位置と言えます。
その設計上なウエスト位置は身体のリアルなウエスト位置ではなく、もう少し高めなのですね。

 ベルト用トラウザースのベルトで締める腰帯位置は上着で留める釦位置よりもっと下にありますね、股上だけを下げたからです。
吊り用トラウザースの腰帯位置は その留める釦位置の付近にいるという事です。

更に抗えぬ事実として、欧米人と比べて日本人の多くは手脚の長さが短めですね。
同じ身長だとしても腰の位置が結構違うので余計顕著になってしまうという側面も御座います




 では、2Pの上下スーツで調和を取ろうとするなれば
吊らないので落ちてしまう分 股上を低くしたトラウザースに合わせるべく、上着のウエスト設定ラインをベルト用トラウザースの腰位置(帯位置・リアル腰位置)まで下げる必要がありますが、そんな上着は、、、、、。

推測ですが、T様がご経験なされた三つ揃いやウエストコートの類は
設計上の不調和、サイズ感含めたバランス構築に問題があった可能性が考えられます。

















6td.jpg



・・・・・もう一つ 吊り用のメリットです。
お年を召されれば どうしても身体は緩み 余計な肉も付きがちです。
腹部が大きく立体的になった場合、その隆起したウエストポジションでベルト用トラウザースの腰位置(腰帯・股上)をキープし続ける事は不可能です。
 歩けば、座れば、動けば必ずや ずり落ちます。

ですが、吊り用では どんなに動こうがトラウザースの腰位置は絶対に変わりません。
これは 大変重要な事でもあるのです。


















7td.jpg



・・・・・シングルブレストのウエストコートは襟付きにされました。
襟は古来より後乗せ仕様にてのお仕立てですが、これは上着を着てもVゾーン周りがスッキリとして嵩張りません。
 しかし、上着の様に身返しより返す仕様も勿論お仕立て可能で御座います。

三つ揃いとは3アイテムで一つの服であり、何よりも調和が大切です。
ウエストコートには適正なユトリを内蔵させているものの、釦を締めれば身体のラインが出る程のフィッティングです。
だからこそ「大は小を兼ねる理論」で作られる既製服の様に背中のベルトで絞り込む必要がありませんので、実際には背ベルトなんて飾りの様なものなのですね。

















8td.jpg



・・・・・お座りになってみて下さい!
穿きなれたトラウザースと比べ、帯位置が随分高く、ウエストコートもそれなにフィットしています。
 それぞれに適正なユトリを入れていますが、ここからはお好みです。
きつく感じなければ十分であり、むしろ このあるべきサイジングに慣れ、基準とされて下さい。
 ご心配であればユトリを増やす事も可能です!

今回は2回目の仮縫いですから、初回ほどにインパクトは無い事と思います。












9td.jpg



・・・・・上着も至ってベーシックでクラシックに。
紳士服は歴史であり、源流は大英帝国です。
多くのスタイルは英国より生まれ、その派生に過ぎません。

クラシックな服を作るには歴史を学ぶ必要があり、それなくして服の説得力なんて生まれないでしょう。
 あとはBESPOKEでもありますので、T様のご要望を反映の上で 私の解釈や美意識を介し表現させて頂く事になります。



スーツのルーツは軍服にあれど、このスーツは軍服ではありません。
では何が変わり、何を尊重するのか、、、勿論着心地も重要で御座います。






















10td.jpg



・・・・・かなり語っていまいましたが、、、仕立て上がりで御座います。
T様にご着用頂くのが楽しみです!

写真では伝わりませんが、
深みのあるダークネイビーの肌触りはとてもシットリとしつつ、打ち込みが良いのでクセ取りも大変良く効きます。

素材の良さからくる自然な艶、溢れてしまう気品のオーラはご注文主様のもの。
 当たり前のものだからこそ最高の食材を使い、最高の調理にて。


11td.jpg
















12td.jpg



・・・・・ご多用の中、早速ご来店頂きました。
お住まいは近くではありませんが、お仕事で日本各地を巡られております。
壇上で人様の前に立つ事も多いとの事で 是非これからは誂えられたこの三つ揃いと共に!

穿かれるとトイレでの「小」が随分楽だとお気付きになるでしょう。
フロント開閉の開き止まりが下まで深いのですね!
 既製品含め多くのトラウザースは昔と比べ 開き止まり位置が凄く高くて「小」も、、、。
こんな所も製造的効率化優先ゆえに退化してしまった部分と言えます。


13td.jpg















14td.jpg



・・・・・やはり黒靴が似合います。
シングルで上げた裾のレングスもベストバランスですね、傾斜の恩恵が凄く出るのです。

裾口(内側)にはグルリと一周するキックバックテープ(靴擦れ)が付けられていますが、これも意味があり必要だからこそ、、、とは言え巷では見慣れぬ仕様かも知れません。















15td.jpg



・・・・・バランスの取れた三つ揃いは、上着を脱いだお姿もエレガントで素敵です。
T様、今までお持ちであった三つ揃いとは大きく印象が変わったのではないでしょうか。

先に語り挙げた各アイテムのウエスト設定位置、これらが調和しているからこそ生まれる美しさがそこにあります。
 と 言いましたが、本来クラシックなスーツとはそういうものです。
あるべき姿を素直に表現しているだけであり、先人たちの功績たる賜物で御座います。


ネック部はシャツのカラーに寄り添い、肩も同じく曲線に上手く馴染む様でなければなりません。
 もしインナーたるウエストコートが身体に合っておらずに皴が寄っていれば、それは上着を着用しても響いてしまいますね。
 昔の様なヘビーウエイトの生地ならいざ知らず、現代の生地は明らかに軽く、薄くなる傾向にありますので よりシビアでもあるのです。


16td.jpg


















17td.jpg



・・・・・T様 素敵です、、、、素晴らしくて本当にお似合いで御座います。
お待ち頂いた甲斐が御座いましたでしょうか。














18td.jpg



・・・・・胸部の豊かで立体的なボリューム、これも設計や芯含め仕立て術の成せる技です。
同時にエレガントなウエストのシェイプや前肩ショルダーが一層 その胸部のボリュームを引き立てます。
















19td.jpg



・・・・・ご自身では見えぬ後姿、背骨はS字に湾曲していますが その腰の括れに寄り添い、尻のふくらみに繋がります。

ベントを切らぬスタイルこそ一番エレガントであり、それこそ誂えでなければこうは参りません。
ノーベントは探しても売っていないですから誂えるしかありませんね!
 今回 T様におかれましてはノーベントも初挑戦で御座いました。

凛々しき後姿は如何でしょうか。















20td.jpg



・・・・・T様より素敵な笑顔を頂けました。
これからのお仕事が、ご出張が楽しみになる様なスーツになりましたでしょうか。

スーツもパリッとプレスされ、仕立てあがったばかりで緊張状態のまま嫁いでおります。
T様がご着用下されば下さるほどに緊張はほぐれ、寄り添い、馴染んで参ります。
 手作りの品は完成時が品質的最高到達点ではなく、ご自身が育て 更に高みへと登りつめ、見た目は変わらなくとも 掛け替えなき相棒へと変貌を遂げてくれるのです。

T様、この度は素敵なご注文を誠に有難う御座いました。

この度のスーツは3シーズン用でしたが、季節を味わう春夏物や秋冬物、そしてこのスーツに見合うオーバーコートなど 御必要となればいつでもお声かけ下さいませ。

またお会いできる日を心より楽しみにしております。












 装いには様々な『力』があります。
服を介し自身を表現する事でもあり、そんな服が自信に繋がったり、行動力さえも躍進してくれる事でしょう。

お洒落 ≒ 着飾る事は女性だけのものではありません。
男性には男性の着飾り方があり、仕事や人生をも楽しく充実したものへと活躍してくれる事でしょう。
 男性は特に 衣・食・住 の『衣』をもっと楽しむべきです!



皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。








posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | クライアント様の洋服 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月26日

【 Fox Bros:COCKTAIL COLLECTION 】






00cl.jpg




師走を目前に控え、既に街ではクリスマスや年末・年始への動きが出始めていますね。
寒きこの季節にはなにかと集い、パーティーなども増えてくる時期ではないでしょうか。












0cl.jpg



・・・・・英国王のブラックタイ、とてもエレガントであり 拝絹のカフも素敵ですね。
イヴニングフォーマルでの準礼装として ディナースーツ(タキシード)はドレスコードでいうと『 BLACK TIE 』になります。












1cl.jpg



・・・・・ディナースーツ自体は主にブラック、そしてミッドナイトブルーなどで誂えられますが、そのポジションにはスモーキングジャケットも含まれます。
( タキシード、これまた呼称がややこしいのですが、米:タキシード、英:ディナー、仏・伊:スモーキングと呼ばれています。)

そもそも 歴史的にはテールコートを着用した紳士が、くつろいで煙草を吸う際に別室で着替えられた丈の短いラウンジジャケット型の上着であり、ベルベットやカシミア、ウール含め色は華やかな色が多く使われていました。

故に現在 皆様がイメージしうるタキシードに固まってきたのは もう少し後の時代となります。

敢えてスモーキングジャケットと呼称したのは、多くの方々がイメージするであろうブラックの典型的なスタイルと区別したかったのです。
このスモーキング(ジャケット)は色のある例えばベルベットなどを使い、フロントには釦以外にも コード(組紐)とオリベット(装飾釦=仏語:オリーブ型の小さなトマト)で留める装飾的な仕様など結構なバリエーションがあります。

上着は色物、ですが下物は黒、、、大雑把に言えば そもそもテールコートのスタイルに上着だけ着替えていただけなので それ以外は引き継がれている事になります。
 今では厳密に言うとテールコートとディナージャケットのトラウザースに付けられる側章も差別しますし、インナーのシャツやタイなども別です。

ただ この流れを見れば、イブニングでの正礼装と準礼装の違いや流れが理解しやすいですね。
故に スモーキングジャケット = タキシード = ディナージャケット と同義語として捉えるのが望ましいと言えます。













2cl.jpg



・・・・・また、暑い地方などではホワイトがその役割を担い、それに準ずるカラーなどで仕立てられます。
 これら基本的に共通するのは側章の付いたドレストラ―ザウスなわけですが、これまたもう少し砕けたパーティーであれば側章付きに拘らずに色柄ものを合わされたりもする訳ですね。

そのパーティーの格や内容(所謂TPO)により、準礼装(ブラックタイ)たる服装にも多彩にバリエーションを嗜むといった側面があります。
 イラストを見ても、ほぼ共通しているのがブラックタイな訳です。

正礼装は 『 WHITE TIE 』ですから、この『 BLACK TIE 』というのは準礼装のポジションである装いとして認識すると腑に落ちるかも知れません。


3cl.jpg














 さて、ダンディーで有名なダグラス・コルドー氏が率いるFOX BROSでは
今期AWにおいて新しいコレクションが出ましたのでご紹介させて頂きたいと思います。

冒頭でグダグダと語ってしまいましたが、パーティー文化に疎い日本では今回のコレクションは『 ⁇ 』と成りかねない展開も含まれるので、タキシードへの解釈と理解を広げて頂いた次第で御座います。
 ダグラス氏の込められたメッセージが少しでも伝わるよう願いを込めて!














4cl.jpg



FOX BROTHERS

= COCKTAIL COLLECTION =




・・・・・その名もカクテルコレクション、パーティーで着用される様なドレス用の生地が多くラインナップされた内容になっております。

FOX社の謳う説明では、『 伝統を再定義する 』 とあります。
英国らしく伝統を重んじながらも、現代的な進化や解釈、時代の流れに伴い企画されているとも言えましょう。

カクテルを片手に、親しき仲間たちと充実した時間を過ごす為には装いだって その楽しむべき一つの要素でもあるのです。
ドレスアップはなにも女性だけでは御座いません!


5cl.jpg



では、ダグラス社長の拘りをご覧下さいませ。

















6cl.jpg



『Mr, Douglas Cordeux』




・・・・・自社の服地をBESPOKEで誂え、自ら着こなすその様に勝る説得力はありません。
エレガントでとても魅力的、ダブルのロングターンな上着には英国王の様に拝絹のカフを付けられていますね。
トラ―ザウスはブラックウオッチ、靴はブラックのサイドエラス!

 因みにブラックウオッチはタータンチェック、タータンはスコットランドのトラディショナルであり正装でもあり、軍服にも採用されていますので どれだけポジション(フォーマル度)が高いのかが分かりますね。
この写真では分かり辛いですが、この氏の誂えられたブラックウオッチ・トラウザースには側章も付けられており、予めディナージャケットに合わせる前提である事を垣間見る事が出来ます。

そして場面を見てください、カントリーサイドですね。









7cl.jpg




8cl.jpg


≪ OFFICER OF THE HIGHLAND LIGHT INFANTRY ≫





















9cl.jpg



・・・・・先ずはフォーマル地に欠かせぬBARATHEA(バラシア)での多彩な展開。
バラシアは菱形の織模様が浮き出ます。
フォーマルから軍服、制服などにも使われているクラシックな生地と成ります。
 フォーマル需要が多い事からもブラックを主体にミッドナイトブルーやネイビーなどは良く見受けられるでしょう。

 しかし、そんな枠など氏は軽々と超えて参ります。
ダークトーンでまとめられ、大変シックなカラー展開です。

100% WOOL
320/350g













10cl.jpg



・・・・・と、思わせておき
マニアックな色まで多彩に表現されています。
また、上記3シーズンウエイトから秋冬ウエイトに!


100% WOOL
370/400g









11cl.jpg



・・・・・バラシア織でのブラックウオッチ、、、初めて見ました!
氏が穿かれているのは きっとコレですかね⁉


100% WOOL
370/400g












12cl.jpg



・・・・・なんてヘビーなウエイト、、、、。
オーバーコートにも良いですが、ホワイト(クリーム)があるので やはりディナージャケットを想定もされているのでしょう。

最早このレベルでは、室外パーティーでないと空調管理された室内では暑いでしょうね、、、。
 そう、ガーデンパーティーだってあり得るのですから こういったポジションもアリなのです。

この位 織り糸が太いと菱形の表情が良く見えますね。

100% WOOL
600/630g


13cl.jpg


14cl.jpg

















15cl.jpg



・・・・・!!! 
コレはトキメキました、、、かなり粋ですね!
一見は黒か紺系に見える、そう思ってしまいますが、実は緯糸にダークグリーンを使っています。
 見え隠れするグリーンが本当にエグくて素晴らしい!

これは是非ブラックウオッチのトラ―ザウスを穿きたくなりますね。
きっと このグリーンの糸はブラックウオッチ用で使用された糸を流用しているのでしょう。

100% WOOL
600/630g















16cl.jpg



・・・・・子供の頃、家庭科で使ったフエルトを思い出してしまいました!
何て凄いカラーバリエーションなのでしょう。

FOXと言えばフランネルは欠かせませんから、色の分野でも他の追従を許さぬほど圧倒的です。
 同社が、社長が推奨するように 普段着にも是非との事。
楽しくなるようなブレザーを、そしてウエストコートを、トラウザースにだって勿論お勧めです。


100% WOOL
370/400g











17cl.jpg



・・・・・このキツいピンク、正に英国っぽさを感じずにはいられませんし、パープルでブレザーやタウンスーツなども、、、日本では目立ち過ぎるでしょうね。

綺麗なパウダーブルー、その下 深いダックブルーみたいな色に惹かれるのですが、、、ワクワクさせてくれますね。


18cl.jpg















19cl.jpg



・・・・・写真では加工しても 上手くリアルな色を出せていません、、、、。
このイエロー、くすんだ感じでオレンジ味も感じる独特な色。
上手く伝えられませんが 英国では「GOLD」となるこの色味、大好きです!
 英国では『 PRINCESS OF WALES GOLD 』という固有名称をもつゴールド色もあり、歴史を感じさせてくれます。























・・・・・如何でしたでしょうか。
楽しきパーティーが想像できたでしょうか。




私が修行していた若い頃、お世話になっていた老舗TAILORでは グアナコのオーバーコートが飛ぶように売れて(注文が入って)いました。
 グアナコとはラクダ科の動物であり、ビキューナと生息地はほぼ同じです。
カシミアの上をいく高級素材として知られています。

顧客層の多くの方々は上質なカシミアのコートなんて既にお持ちの事でしょう。
更に一部の方々はビキューナでさえ所有されているでしょう。
 ですが グアナコは着た事ないですよね! 的な感じだったのでしょうか⁉

当時 私も初めてグアナコの存在を知りました。
もう30年も前の話になりますが、、、。




 という事で、相応な方々は既にブラックなディナースーツはお持ちですよね。
だからこそ 新しく『カクテルコレクション』より如何でしょうか!

と、、、私とダグラス社長の意見(きっと⁉)という事で仕舞いとさせて頂きます(笑)。






今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。






posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年11月19日

【 Baby Cashmere:K様のバックベルトコート 】




0kc.jpg


Jan. 1938 




ロンドンの冬、帽子にオーバーコートが欠かせぬ中、行列を作るクラシックな出で立ちの紳士たち。
アーセナルFC(フットボール)のもと本拠地であるハイバリー、アーセナルスタジアムでの観戦に並ぶサポーターの方々なのだそうです。
 現代の観戦スタイルとは大違いですね、現代までの月日は随分ガラリとカジュアル化が進行した事が見受けられます。

スポーツ観戦と言えば有名な『ポロコート』が頭に浮かびますが、こちらは19世紀後半 ポロ競技における英国チームの選手たちが着用していたウエイトコート(待ち時間に着用)が原型とされています。
 これをアイビーの選手たちが自分達もと取り上げ、広がりました。

また、観戦という部分では「スペクテーターシューズ」は正にその名の通りですね。
1900年代初頭より紳士たちが競馬観戦などに好んで穿かれていた所謂コンビの靴です。
つま先や踵、羽の部分などには確りとした革で仕上げ、歩行時に屈折する部分には柔らかな鹿革を使用していました。
 機能性重視ゆえのコンビな靴はスポーティーでもありつつも 決してエレガントさを損なわせぬ魅力があります。
















1kc.jpg



・・・・・師走まであと僅かに迫り、そろそろオーバーコートも必要になる寒さを前に 着用出来る事を楽しみにされている方々もおりましょう。

オーバーコートには独特な魅力がありますよね。
防寒着である前提であり、ストールやグローブ、そしてハットを被ってスタイルとしては理想的完結です。


2kc.jpg








 さて、今週は至高のカシミアでオーバーコートをご注文下さった K様のコートを紹介させて頂きます。

















3kc.jpg



・・・・・ダブルブレストの6釦‐3掛け、ダブルはもともと打合いが深く、Vゾーンもコンパクトでより温かいとも言えますね。
生地はこれ以上なき至高のベビーカシミア、そこにセーブルをブレンドしてリップルフィニッシュ。
カラーはドレッシーでエレガントな ミッドナイトブルー であり、誰しもがそのオーラ―と存在感に頷かざるを得ないでしょう。


http://dittos.seesaa.net/article/451681604.html
【 至高のベビーカシミア 】



 こんなにもドレッシーでエレガントな生地だからこそ、王道的なチェスターフィールドコートを誂えたくなります。
 しかしK様は敢えてドレス度合いを下げ、普段使いにも着用しやすくしたいとの事。

着丈はドレス度合いにも大きく関係しますので、膝上丈にするだけで随分と軽快感が出ますが、丈は膝丈までは欲しいとの事、、、そして打合いはダブルブレストをご所望です。
希少で貴重、この生地が持つ品位を損なわせぬよう柔らかく砕いて料理しましょう。



チェスターフィールドコートの様に誰しもが分かるエレガントなシェイプを構築せぬよう胸ダーツは省き、ややナチュラルなシルエットにしつつもバックベルトを付けてデザイン的なアクセントと共にウエストラインも緩やかな絞りを感じさせてくれるようにしましょう。

カフはターンバック、背中はアクションプリーツを畳む事で機能性と共にスポーティーな要素が加味されますので こんなポジションでは如何でしょうか!
















4kc.jpg



・・・・・オーバーコートに付けられるバックベルトは、左右脇よりのベルトを釦によってセンターで結合するスタイルが多いですね。
これがスポーツジャケット(ピンチバック)になると そのベルトは大抵身頃に縫い付けられ固定されています。

今回は敢えて釦結合無しのワンピース・バックベルト、そしてユトリを与えたナチュラルなシルエットをそのベルトで絞り込みます。
 ベルト自体もフラシにして(固定せず)後身頃の優雅なドレープを、この美しき生地が持つ妖艶なドレープを活かす事にしましょう。


仮縫いでは閉じてありますが、背中心にはインバーテッドプリーツが裾まで畳まれております。

このオーバーコートを見た時、前からの印象と、後ろから見た印象はガラッと変わるそのギャプこそが今回のポイントです!


ではじっくりとご覧下さいませ、とても魅力的なオーバーコートに仕立てあがりました。














5kc.jpg



・・・・・寒く感じられる日も出始め、いよいよお仕立て上がりです。
ライニングはネイビーとグリーンによる交織のヴィスコースをお選びになりました。
丈は膝までありますので裾は表裏結合させず『フラシ』 にさせるのが理に適った丁寧な始末ながら、その分手間は増えます。

インバーテッドプリーツは多くの布を使うので、その分重くなります。
プリーツ内の奥で釦開閉する仕様もありますが、デメリットとして更なる重み、厚みも生じますので開閉は切らず、それなりに贅沢なプリーツ量を確保して素直でシンプルな仕上げにしています。
 これだけ開閉量があれば足さばきにも十分ですね。


6kc.jpg















7kc.jpg



・・・・・オーバーコートは脱いで手持ちも想定されるため、内ポケットの中身がこぼれぬようフラップをお付けします。











8kc.jpg



・・・・・リップルたる正にさざ波感、妖艶な光沢感は美しき光の陰影を投影します。
この生地のウエイトは、コーティングとしては中肉級ながら 最高のカシミアですから軽くて暖かい訳であり、セーブル君の性能も10%分は含まれているので+αですよ!













9kc.jpg



・・・・・お仕立てを大変楽しみにお待ち下さっておりました。
この日、当店での 1st-BESPOKE SUIT を着てこられての御来店です。
オーバーコートですから インナーたる上着の型紙より導き出された設計(型紙)であるからこそ、マトリョーシカの様に完璧な相性が生まれるのです。
 であれば、仮縫い含めフィッティング確認は原型となるインナースーツにて。

御納品後はお手持ちの様々なスーツにも合わせてお楽しみ下さい。

1stスーツも随分と馴染んできており、K様色に染まりつつありますね。
とてもお似合いであり、キマっております!

http://dittos.seesaa.net/article/502852133.html
【 VINTAGE MOXON:K様のご注文 】











10kc.jpg



・・・・・深く赤味の強いブラウン、バーガンディーをご所望にてお決め成さったそうです。
英国王はオックスブラッドで誂えられていましたね。
BESPOKEで誂えられたこの靴は、かの名店におられたM氏に御注文されたとの事です。
英国靴らしき顔立ち、クラシックですね。
















11kc.jpg



・・・・・ではご試着頂きましょう。
内部芯も軟らかに、インナーのスーツが芯となり支えとなります。

動いてフィット感や機能性の確認です!


12kc.jpg













13kc.jpg



・・・・・とても綺麗にフィットしていますね、当たり前ではありますが!
お仕立て上がりでプリーツの一時中綴じは解除済みですが、動かなければ開きません。
ここが大事です、例えば着用しただけでプリーツが開いてしまうという事は、その部位に対する必要距離が足りぬ証拠です。

動いてこそ襞が開き、機能として性能が発動されます。

(今回の場合は敢えて与えた過剰ユトリもあるので、それ自体も機能面への効果に繋がります。)


そのエレガントな後ろ姿は残念ながらご自身では見えませんが、、、。












14kc.jpg



・・・・・この御納品日に際し このコートを意識して誂えられたハットとグローブ、これらもダークなネイビーで揃えられたとの事であり、とても光栄であり嬉しき気合で御座います。

折角持参したとの事でフルコーディネイトでご堪能も!

やはり帽子があると締りが違いますね。


15kc.jpg
















16kc.jpg



・・・・・K様、素敵です、、、、完璧な装い、これをイメージに周辺アイテムも揃えられ 此度コンプリートを迎えました。
グローブやハットは当然 このオーバーコート以外にも合わせ、活躍してくれる事も前提ながら、一つの重衣料に対し ここまでトータルで揃えられる拘りっぷりは流石であり、お気持ちも凄く分かります!


今月にはデビューを目論んだご着用予定があるそうです。
月末に向かい寒さも増すと思いますので是非ともデビューを飾ってくださいませ。
 素敵なご注文を誠に有難う御座いました。


















・・・・・如何でしたでしょうか。
やはりオーバーコートは男心をくすぐりますよね。

最近ではかなり久し振りにカシミアの出物仕入れが御座いました。
BESPOKEでは来冬への仕込みとなりますが、H.S ORDERでは年明けの一番寒い時期へ間に合いますので是非如何でしょうか。

 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。







posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする