2017年05月23日

【 POSTBOY WAISTCOATA 】




 この春 GQ中国様 より光栄なるお声掛けを頂き、取材・撮影をして頂きました。
いよいよ見本誌が届きましたが、やはりお国違えば見慣れたGQさんも随分とカラーが違うものです。


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 当たり前ですが、ほぼ全て漢字です! 全然分かりません(笑)。


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様々な違いが見てとれますし、色々な事が感じられます。
日本の書店では売っていないと思いますので、ご興味のある御方は是非店頭にてご覧になられてみて下さい。

 この度は光栄なるお声掛けを頂き 心より感謝しております。
















 さて、今週は POSTBOY WAISTCOAT の続きをお話させて頂きます。

http://dittos.seesaa.net/article/449698302.html
( ↑ 一話目を見逃した御方は、宜しければ上記ページよりご覧頂ければと思います。)














・・・・・随分と気温も上がってきております。

既に麻混紡のスーツ類は快適です!

また プラスフォー を合わせての やはり麻混で仕立てたスポーツスーツですが、これに 毛・麻・綿 からなる3者混の POSTBOY WC を合わせてみました。


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 グレーのスーツ(千鳥格子)に爽やかなブルー地がとても良く映えます。
軽くて薄く、素材感も雰囲気抜群です。 是非お勧めで御座います!


WCの生地は BATEMAN OGDEN です。 下記ページで御紹介させて頂いております。
http://dittos.seesaa.net/article/449300370.html





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シャツはスイスの名門 ALUMO より、麻:100%のシャツで これはラミーになります。
ツイル織りであり、やや光沢感があります。


タイは今季春夏用にデビューした やはり麻を混紡したシルクです。
清涼感溢れるブルー系統でまとめてみました。


(お陰様により 麻混新作タイは全て完売となっております。皆様 誠に有難う御座いました。)













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・・・・・このウエストコートは、当然シアサッカーにも抜群の相性です。
http://dittos.seesaa.net/article/437439735.html
http://dittos.seesaa.net/article/437684692.html

同系色であると共に、素材感でも植物繊維同士の調和があります。












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・・・・・では POSTBOY STYLEを簡単に振り返ってみますと
シングル5釦、衿付きのスタイルであり、特徴は上下を分断するウエストシームにあります。
 そのシームを利用し、第5ホールと腰ポケットが作られております。
ウエストシームより下部のスカートがある事にもより、全体的に着丈が長めの設定でデザインされている事も大きな特徴の一つと言えます。







 この度、大変御贔屓にして頂いております S様より、
LOVAT TWEED(ダイヤ柄)による三つ揃いのご注文をBESPOKEにて頂戴致しました。
 いつも素敵な御注文を心より光栄に思っております。



 今回は気軽に2Pでも着用出来るようにと、敢えてトラウザースは吊り用では無く、ベルトレスで仕立てつつ ウエストコートを POSTBOY のスタイルでと御注文を頂きました。






 では 少し仕立てについても覗いてみましょう!












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・・・・・胸部の上パーツと、スカートの下パーツで分断されています。
上パーツは先ず胸のダーツ処理を、そして下パーツには予め作ったフラップをセットし ウエストシームで上下を合体させます。

このウエストシームを縫う際には、シームホールと腰ポケットが同時進行でなければ成りません。












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・・・・・胸ポケットも出来た所で前肩グセ含め 立体的にクセ取りした後、芯据えを行います。
ウエストシーム部から上下に立体的なボリュームが出ているのが写真からも分かる事と思います。















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・・・・・ラペルや衿は 上着とかなり似寄りな作り方となります。

ラペルの折り返るロールを生地にメモリーさせるべく、
一針一針とハ刺しを行い、端打ちテープ(キャラコ)で伸び止めと共に出来上がり線を確りと確定させます。


返り線の奥には、やはり伸び止めとなるテープが見えます。
このテープには色々な狙いを担わせている大切で重要なテープでもあり 欠かせぬ存在です。












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・・・・・これは左側前身頃、前端のウエストシーム付近です。
第5ホールとなるシームホールの開く位置には、予め芯をくり抜いておきます!












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・・・・・ラペル(身返し)も据え、上衿も据えました。
あとは上着同じくゴージラインをハシゴ祭りで閉じて参ります。












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・・・・・はい、立体的に仕立てられたフラシ芯による POSTBOY WAISTCOAT が組み上がりました。
 これでS様のご来店をお待ち致します。











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・・・・・ウエストシームがクッキリと確認出来ますね!
腰ポケットも腰の丸みをホールドし 出来上がっております。



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ウエストシームを基準に、胸部への立体的なボリューム
そして腰へ繋がる様に広がるスカート、これが POSTBOY WC です。














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・・・・・格子柄の場合は、勿論上下パーツの連動やフラップなども柄合わせします。
柄物だと、柄の主張が先行しますので ウエストシームはあまり目立たなくなりますね。













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・・・・・左が前身頃、右が裏地の後身頃となり、脇線の写真となります。
脇の裾には深めのスリットが切られ、これはサイドアジャスターが付けられています。

先の麻混ブルーも、こちらの格子も愛弟子が仕立てました。
新しい仕様を学ぶ為です。 なので私の私物で練習です。
技術がまだ伴わなくても、失敗しても私のですし、出来上がりは急ぐ必要もありません。

出来上がれば 私が着用する事により 仕立てた本人は間近で自分の仕立てを客観的に確認する事が出来ます。

また、私自身は技術的なテクニックだけでは無く、着用する事により気付く点においてもフィードバックする事が出来ます。


 大切な顧客様のご注文に触れるという事は、私と同等レベルまで精進してもらう必要がありますので こういった過程は不可欠でもあるのです。

 ディテールを覚える為にも一応アジャスター類を練習の為に付けています。
私個人的には無くても良いのですが、、、。












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・・・・・サイドアジャスターのベルト部にハンドステッチが見えます。
これは背中(後身頃)の表裏を結合させる為に縫われています。

後身頃は 基本的に表側が裏地であり、内側となる裏地(裏側に使用する綿地)により構成されています。(ややこしくて分かり辛いですね。)

ウエストをアジャスターで 『絞る』 となれば、表裏二重となる後身頃を 表側だけでは無く、裏側も同じ様に絞られなければ成りません。(表裏で連動していなければ成りません。)

 故に、こういったステッチ等で表裏生地を合体させているという事になります。














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・・・・・こちらは背中の裏側(内側)となります。
グレーのカマボコの様な裏地が右側に見えます。
これはスリット部です。


ウエストコートを仕立てる際、内側となる生地は古よりコットン地が多く使われています。
強度もあり 優しく自然な肌触りと共に、安定感が高く 支え的な役割も担います。
 上記以外にもいくつか挙げられる理由も御座います。

 これは春夏用なので かなり薄地のコットン(ローンスレキ)を使用しています。
( WCにもJKの様に 背抜き仕立てというのもあるんですよ!)


この様に 表裏で違う生地種を主として使う事を前提とした場合、その多くは表と裏で色が変わる事が通常となります。
何故なら、内側に使うコットン地を外側の裏地へ几帳面に色合わせしないからです。


左側になんだか縦にジグザグの不自然極まりない縫い糸が見えますでしょうか。


 先の写真では、サイドアジャスターの所で表裏を止めるハンドステッチがありました。
裏地(表側)の色に合せた色糸で そのハンドステッチを入れた場合、この内側には配色となってしまう その色糸が不自然に出てきてしまいます。

それを内側生地と同色の糸でわざわざ縫い隠しているのですね。
古きサビルローの仕立てでも行われていましたが、今でも行われているのでしょうか。

 芸が細かいですね。




まぁ こんなディテールも『学び』として伝承です!




そしてスリット部も同様の考え方です。(右側のカマボコですね。)
スリット部はチラッと裏側(内側)が見えたりします。

背中の表側がダーク色の裏地、内側がクリーム色のコットン地、
ダークスーツのWCでは通常です。
 そんな時 そのチラッと見える内側のクリーム色が目立ちますので、予め内側にも部分的にその裏地を付けておけば不自然に配色となる内側のクリーム色が見えないという事です。

更に スリット止りは どうしても力が掛かりますので、たった裏地一枚でも
力芯としての機能も果たしていると言えます。





 全て古の 偉大な先人達からの素晴らしきテクニックによるものです。
手間(工程)がどんどんと増えるばかりですが、理に適った意図あるからこその手間なのです。

だから本質的手作りのBESPOKEはどうしても時間が掛かりますし、高額にもなってしまいます。



最後にもう一つ、裾上げがあります。

表側の裏地が内側へ折り返ってきていますね。
裾線が縫い返し線ではなく 『 控え 』が付いて上げられているのです。

これにも理由があり、意図的な手法となりますが 皆様もうお腹一杯ですよね(汗)。
この辺にしておきましょう。


 BESPOKEのレベルはキリがありませんよ!














・・・・・では最後に、S様のPOSTBOY WAISTCOATと共に、素敵な3P-SUITS をご覧頂きましょう。

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軽く段返りで と リクエスト頂きましたベーシックな3釦の上着によるツィードスーツです。 TWEED FESTIVAL の生地ですね。

Vゾーンの合わせもカントリー調でまとめて頂き 滅茶苦茶に格好良いです!
鉄板のカントリースーツ スタイルですね、惚れ惚れします。



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ベルトレスのトラウザースに合わせ、このPOSTBOYです。
股上浅きベルトレスでも十分にバランスが取れた上で御着用頂けております。

 これが大いなるメリットの一つです。












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・・・・・・バックスタイルからも丈のバランス、トラウザースとの調和がお分り頂けますね。
S様はアジャスター排除でリクエスト頂きました。

身体に合っていれば不要なディテールでもありますので、有無は自由に御選択くださいませ。



 そんな事よりも、、、WCの裾からベルトやシャツが絶対に見えては成りません!!




S様、この度も羨ましい素敵な御注文を誠に有難う御座いました。














・・・・・如何でしたでしょうか。

これで POSTBOY WAISTCOAT というスタイルも覚えて頂けましたでしょうか。

しかし、今のところBESPOKEのみでしかご注文頂けません。

HOUSE STYLE ORDERでも工場さんにリクエストはしておりますが、もう少し時間が掛かるようです。
今は工場さんの状況が整うのを待ち、少しでも早くHS ORDERでもご注文頂けるよう 新型として検討・進行中で御座います。

 もう暫くお時間を頂戴致します。










 では、今週もお付き合い頂きまして誠に有難う御座いました。



来週のBLOG更新は 誠に恐縮ながらお休みとさせて頂きます。

次回は 6月6日(火)の更新を予定しておりますので、引き続き宜しくお願い申し上げます。





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2017年05月16日

【 COTTON TROUSERS B 】



 芍薬の花が綺麗に咲きました!
出遅れている子もいますが、それもまた可愛いです。


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何層にも重なった花びらが とても立体的でボリューミー、本当に綺麗です。

内側からどんどんほぐれる様に開き、
満開になると外側からハラハラと少しずつ花びらが落ちて参ります。

 芍薬ととても似ている牡丹は一気に散りますので、こんな所も違いの一つです。













 さて、今週は 特にこれからの季節には欠かせない コットン トラウザース について御紹介させて頂きたいと思います。



コットン、自然で素朴な風合いと肌触りは安心感さえありますよね。
丈夫であり 水洗いもできる為に汚れや雨などの日にも気兼ね無く穿く事が出来るコットントラウザースは大変重宝するアイテムです。




 シャツ等もそうですが、コットンのシャツやトラウザースは水洗い出来る事が大きなメリットです。

しかし、既製品含め多くの商品は水洗いしてしまうとサイズが縮んでしまい 残念な結果を招いてしまった方々も少なくはないでしょう。

 特にコットントラウザースに関しては、上記の様なサイズが縮んでしまう問題や色落ちの問題などから リスク回避の為にも ドライクリーニング表記 になっている事が多い事と思います。






 縮み、、、誰もが分かっており、予測できる事柄でもあります。

弊店では、皆様よりご注文頂きましたシャツ地やコットンのスーツやトラウザース地などは湯通しをして 一度確りと縮めてしまいます。
 その時に色が落ちる物はある程度抜けます。

湯通しした生地は お店で確りと地のしプレスを施し、裁断へ回ります。

 この ひと手間 がどれだけ大きな事なのでしょうか。

正確な採寸や型紙作りが出来たとしても、縮んでしまえば全く意味がありません。
仮に縮率を型紙に加味したとします。しかし、縮率は縦と横でも違いますし、織り方によっても様々なので追い掛けるには限界があります。


だからこそ、皆様より頂戴した大切な御注文の植物繊維は湯通しが必要となるのです。


 ただし、生地はある程度安定させる事が出来ても、縫製される縫い糸自体の縮みも多少は御座います。それは当然加味する訳ですが、仮に湯通しをしなければ 生地の縮み+糸の縮みで双方から攻め込まれたら どんなに怖い事なのかもお分り頂ける事と思います。















・・・・・2012年製 私物
BRISBANE MOSS  TENNYSON:GOLD  290g



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 もう仕立ててから5年が経ちました。 時が経つのは本当に早いです。

特に春夏のシーズンでは頻度高くお世話に成っているコットントラウザース、生地も柔らかくなり 随分と馴染んで とても良い頃合いです。












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・・・・・ベルトもせず、吊もしません。 ベルトレス スタイルでの腰履きです。
サイドアジャスターは釦タブにしています。

 このディテールに対するメリットは多く、スタイルや生地に応じてセレクトされるべきものです。

例えば 今回のコットントラウザースのように、水で丸洗いするのであれば 出来る限り金属(金具類)は使いたくないですね。

また、コーデュロイやモールスキン、ツィードなど 生地が厚い物は金具を使ったサイドアジャスターですと、その生地で作ったアジャスターのベルトが金具で折り返りますのでモコモコに立体的なボリュームが生まれてしますし、そもそも金具に生地が厚過ぎて通らない事も有ります。


 そんな時は この釦タブがベストです!!


金具アジャスターは多少動いてしまう事も否めませんが、釦であればアジャストしたサイズは釦を外すまでガッチリとサイズホールドしてくれる事も魅力です。


 実はこのディテールについては BESPOKEでしかお選び出来なかったのですが、
いよいよ HOUSE STYLE ORDER でもお選び出来るようになりました!!


 ご要望頂く事も多かった為、本当に良かったです。

これで また小さく一つ進化致しました。
(進化はまだまだ御座いますので順次御紹介して参ります。)



 以後につきましては、このディテールも御検討範囲にお入れくださいませ。
お早い方は既にご注文頂き、既にご納品させて頂いております。

誠に有難う御座いました。











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・・・・・着用すると こんな感じになります。
サッパリとしたサイドに良きアクセントにも成りますが、
機能重視のディテールで御座います。





コットントラーザースは本当に多くの方々にお仕立て頂きました。

サイズやデザイン、仕様まで全て御自身の思うがままに仕立てられたコットントラウザース、気軽で身近なそのアイテムは 絶対に1本・1色では物足りなくなります!















・・・・・英国でのコットンと言えば、何といっても BRISBANE MOSS です。
多くのマーチャントにも供給しており、BARBOUR等の既製服メーカーなどでも使われております。

 コットン地だけでも多くの種類が織られていますが、その中から幾つか御紹介させて頂きます。 (全て コットン:100% となります。)




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MILTON : 310g


平織地でマットな表情をしております。
比較的に通気性も良く、とても柔らかくなりますので着心地も大変良く、ラフで楽チンな種類です。

トートバック等で使われる素材というとイメージしやすいでしょうか。













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TENNYSON : 290g



綾織のコットンドリル、
まぁチノパンのチノクロスと思って下さい。

中肉で確りとしており、一年中穿いて頂けます。
綾織による若干の艶やかな感じがあり、ややコシも有り確りとしていますが 馴染んでくると同じく軟かく成って参ります。


 冒頭の私物トラウザースもコレと同じ生地です。

この綾織ドリルシリーズには、もう一段薄く軽めのタイプ、そして逆に厚くてヘビーなタイプも御座います。












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RYE : 316g



これも綾織ですが、コットンでの キャバルリーツイル です。

同じレベルでのウエイトならば、これが一番強く丈夫なタイプと言えるでしょう。

 これも履いていますが、凄く安心感があります。
織りの表情も独特ながら、ツルっとクリア仕上げで 新しい頃は ほんのり光沢感を感じなくも有りません。

タフで頼りになる生地です!











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・・・・・色のバリエーションも多彩です。

W.Billよりのコットンですが、これらもB.MOSSでしょう。
マーチャントの場合は独特の別注色があったりするのが魅力でもありますね。













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・・・・・イタリアより、DRAPERS のコットン地です。

こんな素敵な格子柄もあります。

これでODD TROUSERS、白いスニーカーにポロシャツで出掛けたくなりますね。













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・・・・・同じく DRAPERS です。
シアサッカーの様に、シボも加えた爽やかなストライプもあります。











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・・・・・シボと言えばシアサッカー、
私のお勧めはイタリアより SOLBIATI です。

シアサッカーに絞れば、私が一番良いと思うものです。
トラウザースだけでは無く、勿論スーツとしてもお勧めなのは言うまでも有りません!




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 このトラウザースは吊り用なのでアジャスターを使う必要がありませんが、デザイン的なアクセントとして付けてみました。












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・・・・・こちらは 英国より、BATEMAN OGDEN です。
英国のマーチャントですが、この生地はイタリアで織らせています。

上が平織、下が綾織、
経糸と緯糸の色を変えた交織シリーズです。

 交織ならではの色出し感が魅力です。 とても綺麗ですね。












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・・・・・その他、とにかく個性的で色に拘りたい方

如何でしょう、ここまで綺麗な色も揃っております。

まるでカラーパレット、、、藤色の綿パンとか格好良さそうです!


 他にもストレッチ性のあるコットンも御座います。














・・・・・如何でしょうか。

ファッショナブルにいくか、質実剛健で攻めるか、
皆様の価値観次第で様々なコットン地を御紹介出来ます。


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 丸洗い出来るコットントラーザース、特にこれからの時期はお勧めで御座います。

見合う生地は迷う程に沢山のバリエーションが御座いますので、是非お気軽にご覧になりに来て下さいませ。





 では、今週も誠に有難う御座いました。

皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。






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2017年05月09日

【 POSTBOY WAISTCOAT 】



 こんにちは。
なかなか好天に恵まれたゴールデンウィークも終わりました。

 晴れれば日中は暑く、各地で既に30度を超えた所もありました。

もっとゆっくりと心地良き春を堪能したいですよね。





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 そろそろ芍薬もシーズンです。
ピンポン玉より一回り小さなつぼみ達、綺麗で大きな花が開くのを楽しみにしています。














 さて、今週は久し振りにお勉強の時間と参りましょう。

何度もお伝えして参りましたが、紳士服は歴史です。

今回は 私の大好きなウエストコートに付いて、あるモデルにクローズアップして掘り下げてみましょう。




ベスト

( = 胴着・・・下着と上着の間に着る中衣 )




『 17世紀後半以来の紳士服は、上着、長袖のベスト、キュロット、そしてクラヴァットから構成されていた。
18世紀に入ると上着が細身に成り、ルイ15世の時代にはベストの袖が無くなった。

 この袖の無いベストがウエストコート(仏ではジレ)と呼ばれる様になりました。 』

(Wikipediaより)




 専門学生の頃に受けていた服装史の授業を思い出します、、、。

かなり昔のベストなる中衣は袖があったのです。
 この袖が無くなり、皆様もイメージされる様な所謂ベスト(ウエストコート)なる形態へと変化して参りました。









WAISTCOAT


・・・・・『 20世紀の最初の10年間に見られたウエストコートは、ハッキリとそれが郵便配達夫(POST BOY)から由来する事を示している。 』

(エスカイヤ版20世紀 メンズファッション百科事典より)




・・・・・『 元来は、イギリスの郵便配達人(POST BOY)が防寒用に着用した 厚手羅紗の長チョッキを指しており、その登場は 1790年代のロンドンであった。
 このスタイルを模したチョッキが後にファッションとして登場し、ポストボーイ・ウエストコートの名で広く知られる様になる。

特に1890年代以降は イギリス本国でよりもアメリカ東部で好んで着られる様になり、主として1930年代の終わり頃まで着用されたと伝えられている。 』

(男の服飾事典:堀 洋一先生の著書より)





 上記から分かる様に、20世紀以降 ウエストコートの生い立ちは このポストボーイ型ウエストコートを抜きには語れないのです。

歴史の中で、ある程度の様変わりをしながらも
それなりの形態を保って生きながらえたスタイルあるデザインであったと言えるでしょう。






では、実際にどんな感じなのか見てみましょう。













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・・・・・1930年代のエスカイヤに掲載された F.フェローズ氏のイラストです。
黄色い ODD WAISTCOAT がとても良く映えます。












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・・・・・同じ頃、L.サルバーグ氏のイラストでも登場しています。
左の紳士、ツィードのスポーツスーツに やはり黄色の ODD WAISTCOAT を着用しています。

双方 全く同じモデルを目指して書いているのが分かります。
 これが【 POSTBOY WAISTCOAT 】となります。



 私は個人的に このポストボーイ型がたまらなく好きで、若い頃は早く仕立てられる様になって『着たい!』と思っていたものです。












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・・・・・今では着用出来るようになりましたので 喜んで着ております!
ツィードのスポーツスーツに、タッターソール柄のポストボーイ・ウエストコートになります。















・・・・・では、具体的に掘り下げてみましょう。

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2008年製(私物)
英国:Fisherより、630gのキャバルリーツイルです。
 写真では色が上手く出ていませんが、冒頭のイラストと同じ様に黄色です。

もう9年選手ですが、生地が生地なだけに 全くヘタレませんね。
もっと前に仕立てたものは納得度が低く、体系的な変化もありお蔵入りです(汗)。




『 デザイン的な特徴として、先ずはノッチドラペルが中心であるが、時には衿無しのものもある。
 前は必ずシングル5釦・5掛けであり、最下位の釦に並行して切り替え用の縫い目が施され、その縫い目に沿って角型の大きなフラップ付ポケットがあしらわれる。 』


『 ウエストの縫い目から下には通常角のある(または角の無い小丸形) 約16p程度の短いスカート(裳裾)が付けられている。 』

( 同じく 男の服飾事典より )



 数値をもって具体的に記載はされていますが
クライアントのサイズ的な観点や好み含め、TAILORが違えば ある程度はバリエーションやディテール的な違い等もあった事でしょう。



 昔の重衣料をイメージ出来る方はされてみて下さい。
フロックコートやモーニングコートなど、昔の服は この様なウエストシームが入っていた事は大きな特徴と言えます。

生まれた頃の時代的なカットを考えると、今では珍しく見えるウエストシームというデザインも、当時では全く珍しくはありません。


 その部分が大きな特徴として残っているのかも知れませんね。
















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・・・・・『 着丈は通常のものよりは長くカットされ、脇には深いスリットが切ってあり、オリジナルのそれには 背中にも表地同様に紡毛地が使われていた。 』

(男の服飾事典より)





 私のコレもそうですし、冒頭のイラストで描かれた時代辺りになると、インナー用に特化したものなので 背中は裏地を使用します。

これは 今ではあまり見られなくなったアルパカ裏地です。



丈も長いので、アジャスターはサイドに付けてみました。
(アジャスターはお好みですね。)

通常タイプと比べると、ベルトの付く位置も必然と高くなると言いますか、、、ベルト位置はあまり変わらず、その下にまだ着丈が伸びていると言った方が正しいでしょう。

 脇には、レギュラータイプのそれよりも当然長いスリットが切ってあります。













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・・・・・ウエストコート、名の如く本来はウエストの位置あたりで丈が設定されています。

ウエストシームが大体それ位にあたり、そのシームから下へスカートが付く分が長めの丈設定バランスであるという感じに捉えてみて下さい。




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 シームを利用し、ホールやポケットを作るだけでは無く、
ウエストの括れから腰へのフレアーと丸みを出す様に裁断(型紙)されています。
 単に縫い目(切り替え線)だけではありません。












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・・・・・ある程度 古くからのサビルロー等の仕立てにおいても、ウエストコートの衿は 大抵 衿(ラペル)のみを作り、後で身頃に合体するといった手法をとります。

それには幾つか理由もありますが、その作り方でなければ仕立てられないデザインも中にはあります。


コレは敢えてハ刺しを施した本返り衿の仕立てにしています。

そして、このウエストコートのポジションも踏まえ ウエルトステッチはミシンを使用しています。
よりスポーティーであり、剛健さが出ているのが分かりますね。














・・・・・多くの方々がイメージされるベストは、大前提として袖無しが基本であると思われていたと思います。




 しかし、冒頭でも御説明した様に 昔は袖付きのベストも御座いました。
そうなると ベストたる定義は袖無しでは無いとも言えますね。

 細かくなりますが、それはウエストコートとしての定義という事になります。

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そもそも防寒具として着用された原型であるポストボーイ ウエストコートは、後身頃にも裏地では無く 前身頃と同じ共生地を使用していました。

 インナーに特化するのであれば、背中は裏地が理想的ですし、衿も肩までで止めます。
しかし、背中まで共地を用いるのであれば 衿も後ろまでグルリとジャケットの様に付けるのが素直とも言えるでしょう。













・・・・・巷では随分と三つ揃いでスーツを着用される方も見受けられる様になり、一時期よりは認知された事と思います。


先にも触れましたが、ウエストコートの丈は基本的にウエスト辺りで設定されますが
これは深き股上で仕立てられた吊り用のトラウザースに合わせてこそのバランスであり、中下の調和が大変重要となります。

(本来ウエストコートというものは、その様にデザインされ 設計されているものです。)


 既製服であれば その調和を保つ事はかなり困難です。
それら多くのウエストコート付きのスーツは、そもそも吊り用では無いトラウザース(パンツ)が殆どであり、股上が浅い為にウエストコートの裾からベルトやらトラウザースの帯、そしてシャツまで顔を出して着用される方々も多く見受けられます。

設計不備もあるでしょうし、体形やサイズ的に適合していないという側面もあるでしょう。



しかし、これは本来であれば絶対にナンセンスです。






 では、諸々見えては成らぬものを隠す為にはどうしましょう、、、。、
(ベルト用を尊重するのであれば)パンツの浅い股上に合わせてウエストコートの丈を長くするしかありません。

ですが、それでは間延びした胴長で細長いベストになってしまい 格好悪さ極まりないですね。




 そうです、本来あるべきバランスで構成(デザイン)出来ないのです。
トラウザースの仕様もそうですし、ウエストコートというアイテムは既製服として展開するには それだけ難しいのです。















・・・・・では、次に その重要な丈バランスについて着目してみましょう。


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2007年製(私物)
SPENCE BRYSON 

IRISH LINEN のウエストコート、これは2代目になります。
2代目も既に10年選手になりました。


アイボリーのリネンWCはかなり重宝出来るアイテムであり、私にとっては不可欠なものです。
是非ワードローブに加えておくべきアイテムであるとお勧め致します。



 このウエストコートは、三つ揃いのスーツで仕立てられるウエストコートとバランスは全く同じであり、これをレギュラーと致しましょう。


シングル 6釦・5掛け 衿無しの極ベーシックなスタイルです。











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・・・・・リネンのウエストコートに ポストボーイを重ね着してみました。
比べるのですから設計バランスが同一人物の服同士である必要があります。


着丈が随分と違うのがお分り頂けるでしょう。

誂えであれば、勿論 好みや個人的なバランスも有りますので如何様にも出来る事になりますね。












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・・・・・逆重ね着してみました。
丈の違いは一目瞭然です!




さて、ここで 私が今回 何をお伝えしたいのでしょうか。





 この POSTBOY WAISTCOAT が単純に格好良く 好きである為に 皆様へ御紹介させて頂きたく、そしてお勧めさせて頂きたいSTYLEの一つであるという事で御座います。


そして もう一つ、
この丈バランスだからこそ、ベルト用やベルトレスなどの股上浅きトラウザースにも合わせて着用が出来るのです。



 ポストボーイは、そういう意味ではトラウザースを選ばず 兼用出来る事も大いなる特徴であり、メリットなのです。



着丈を単純に伸ばして間延びしたバランスでななく、ウエストシームが入り
しっかりと上下で調和と意味のあるデザインやバランスを形成しています。


 そもそも生まれは古き歴史あるスタイルです。
存在感と説得力も持ち合わせたウエストコートであります。






 このポストボーイであれば、お手持ちのベルトレス トラウザースとも合わせる事が出来、かつ全体感も調和が取れてバランス良く着用出来るのです。

勿論吊り用のトラウザースに合せる事は当たり前であり、極普通の行為ですね。












・・・・・如何でしょうか。


吊り用と吊らないトラウザースの股上さとは
本来ここまでに大きな違いがあるという事です。




丈バランスを気にせず(トラウザースの仕様を気にせず)着用出来る 夢の様なウエストコートですね! そんな大げさなものではないのですが(笑)。




 では、最後に折角ですから堀先生の著書を最後まで御紹介しましょう。


『 生地はタッターソールチェックやフランネル、黄色や深緑などの色無地(BOXCLOTH)などで仕立てられ、フロントの釦には狩猟に因んだモチーフ(例えば狐の頭や鷹のシルエット)等を彫り込んだメタル釦なども しばしば使われた。

 要約すれば、前身頃が極端に長い、腰縫い目入りの、衿付シングル5釦型のスポーツウエストコートというのが このポストボーイ型のアウトラインである。 』

(男の服飾事典より)





 これら形態のODD WAISTCOATは、大枠で捉えれば HUNT(HUNTING) WAISTCOAT とも呼ばれています。


呼称、、、これこそ時代や国により違いが多く、大変難しいです。
日本では和製英語含め、更に入り混じっているので更に大変ですね。







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 今回の POSTBOY WAISTCOAT に少しはご興味を持って頂けたでしょうか。
改めて冒頭の素晴らしい御二方のイラストをご覧頂ければと思います!

次回はもう少し仕立てと共に このスタイルをもっと楽しく気軽に楽しめる様な続きを書きたいと思っております。

 その時は また宜しくお願い致します。








今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。









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