2010年06月15日

【 H/S W様の御注文 & H/S特徴!? 】


 こんにちは。昨夜はワールドカップ日本初戦、勝ちましたね!
色々言われていましたが、選手の皆さんの顔がとても素敵でした。勝負の世界、厳しいとは思いますが、私自身も常に皆様の一着一着が勝負であり、御期待以上の御満足を御提供出来ます様精進して参ります。勇気をもらえた良い試合でした!


さて、この度はHOUSE STYLE ORDERよりW様の御注文、及びHOUSE STYLEの特徴の一部を御紹介致したいと思います。

 W様は英国贔屓で、とても洋服が大好きな方です。
いつも話が盛り上がり、ついつい長くなってしまいますね!この度はW様 弊店初オーダーで御座いまして、御自身の誕生日にかけ自分への御褒美との事。
お選び頂いたのは、DORMEUIL社のVINTAGE TONIK((OLD STOCK)のミッドナイトブルーをお選び頂きました。

W様@.jpg


そうなんです。またTONIKなのですが、私自身が好きな事もあり、良くお勧め致しますので受注頻度も結構高くなっております。良く載せるのも自分なのですが、、、、
まぁ、とても素敵なので是非御覧下さいませ!

現在DORMEUIL社では、TONIK 2000や、今年は復刻TONIK等を出してきておりますが、このリアルなOLD STOCKの前では、、、、しかも現行品よりお安いので、価値や値段の面からしましても それはそれはお徳であり、出来ればこのチャンスに手に入れておくべき価値あるものだと心底思っております。

流石の迫力、説得力ですが、3PLYで確りと織り込まれている分 それなりのウエイトは御座います。W様、望む所ですよね!

W様B.jpg


STYLEは、シングルブレスト:3釦に NO-VENT、チェンジポケット付きの上着に、シングルブレスト:6釦:坊主衿のWAIST COAT、ブレイシーズ仕様のIN 2-PLEATS、サイドアジャスター付きの王道的な3P-SUITS でお作り頂きました。弊店HOUSE STYLEらしい一着となっております。

W様C.jpg


 W様は胸もあり、とても骨格が確りされています。
腰も確りされておられるので、TROUSERSのBACK STYLEがとても素敵で御座います。

姿勢も良く、背丸なこの人台には服がいまいち合っておりませんが、そこを加味して御覧頂ければと思います。




モヘアは反発力が強く、良く縫い目を片倒し始末にしてステッチで押えたり致しますが、今回のW様のスーツは、あえて縫い割始末にさせて頂きました。
W様曰く、「ビジネスからPARTYでの着用も」との事でエレガントにシンプルに・・・・。

御蔭でTONIKの迫力・重厚感と共に品のある仕上りになり、私が!?大満足です!
W様、素敵なスーツに仕立て上がって御座います。

W様A.jpg


BACK STYLEを見て下さい。
背中心縫い目の両側にヒップのボリュームがドレープとなって控えております。
クセ取りのたまものであると共に、確りとお尻をホールドしつつ、かつ背骨のラインに沿って背中に馴染むのが既にこの時点で表現されております。

確りとされた腰をホールドする生地の分量、これを適切に型紙で分配し、適切に仕立てで処理をこなします。分量が後に集中しているのは型紙と人台との不一致であり、反身体系気味な設計に対し、前首・背丸的な人台では、服が前のめりになっている状態にあります。御自身様が着用されれば、それは綺麗にホールドされる筈です。

近年のCLASSIC SUITSでは、サイドベンツがメジャーであり、この辺はお好みで構わない所ですが、ノーベントのメリットは、やはりフォルムが一番綺麗に出る事です。
 当然設計(補正)的に服が体に合っている事が前提ではありますが、コテ使い(TAILORED)が表現され、先ず既製品や、安価な商品では味わえない部分とも言えます。


 『誂える』、御注文主様の為だけに存在する服です。
体系も千差万別で御座います。確かに難しい体系の方や独特な方々もいらっしゃいます。
時には流石に弊店のライン生産では補正的に還元で来ても、縫製的に追いつけない時もあるのは当然です。

 そんな時は!? お任せ下さい。何の為に私がいるのでしょう!
私自身が二次的に手を加えさせて頂きカバーさせて頂きます。
むしろ、仕立て上がって来てもプレスなどと触らない時がないですね。
どうしても手を加えてしまっております。それは駄目だからというより、『こうした方がもっと良い!』と、ただそれだけの気持ちです。

 あるナポリのSARTORIAのパンツなどは『S字』のクセ取りフォルムがとても評価されておりました。そんな、、、ハンドメイドでは至極当然の事なのですが、それは置いておきまして、リクエスト頂ければHOUSE STYLEでも『後付け』になりますが、S字クセ取りもさせて頂きますよ!
ただ、BESPOKEなどの様に裁断後からの仕立て工程で入れるクセ取りと違い、後付けクセ取りは取れやすい(復元しやすい)のです。まぁ、取れてしまったら またやれば良いですけどね。(何故なのか、、、BLOG クセ取り@を御参照下さい)



・・・・・話の逸れついでに小話を!
S字のクセ取り等、身体がそうなっているから服を追従させているに過ぎません。
しかし、2-PLEATSのゆったりとしたシルエットのTROUSERSならあまり意味がありません。
何故ならその筒の中で足が遊べるからです。

ゆえに、シルエットが細ければ細い程、足(人体)に近づく訳ですから、追従させなければどこかに当り、それが皺となって出たり、気持ち悪いまとわりつき方をする事になります。

 細かく言えばその方の身体具合いに合わせS字度合いも違う事になります。
追及していけばキリがないという事です!






・・・・・・ここで、お客様よりのリクエストもあり、今後 少しずつではありますが、HOUSE STYLEの特徴といいますか、拘りと言いますか、御紹介致します。

ふと考えますと、実はあまりこれと言って思い浮かばないのが正直な所です。

何故でしょうか。それは自分の『こうあるべき、こうであって欲しい』という基準に伴って構築しておりますので当然の事(普通の事)だからです。
ただ他メーカー様や他店様と比べさせて頂きますと浮き彫りにされてきますね。
 今回は裏について御紹介です。

W様D.jpg


WAIST COATの背中は、裏地が付きますね。上着との滑りを良くする為でも御座いますが、アウター的なベストでは、背中も前身頃と同じ生地を使うデザインも御座います。

既製服含め、他店様の多くはWAIST COATの内側(身体に付く側)には、表背中で使用された裏地を使い、前身頃の内側と後身頃の内側に裏地が付きます。(背中に関しては表裏共裏地という事です。)
しかし、写真の通り、弊店では『綿:100% スレーキ』を使用しております。

 背中が表裏裏地ですと、フニャフニャで頼り無く感じませんか?
古くより誂え服(特に3P多き英国など)ではこの様に綿の裏地、もしくはそれに近い物が使われておりました。

下記は、私の推測になりますが
綿裏地はある意味 芯の役割も担い、表裏共裏地仕立てよりもシャキっと致します。また強度、そして肌に近い物なので天然繊維を、と。
また、表に出る裏地は色含め種類も御座います。その裏地要尺を減らす為にどんな物にでも共通して使える内側裏地=綿裏地が重宝された!?
保温、防寒的側面もあったかもしれません。
同時に裏地より、それら綿の方がコスト安!?という要素もあったかもしれません。

 昔のBESPOKEの多くは、ウエストコートにも内ポケットが付いております。それも関係あるかも知れません。加工しやすいですしね。

 修業時代、古着をばらしたりして勉強も致しました。
様々な手法・技法がある中で、『何で、、、どうして、、、』と本気で悩み、考えていたものです。
ですが、それら私の推測の殆どは考え過ぎであり、先人達はもっと単純で純粋であったというのが結論です!

色々考えも膨らみますが、多分、、、
加工しやすく、保ちも良い、加工(仕立て)し易くは、安定的な製品品質の維持に直結します。
誂え服は裏地の交換含め、お直しを考慮され作られるものです。より長く、大切に着て頂く為にもメリットがあったのではないでしょうか。

それらも踏まえ、私にとって内側は綿が良い、ただそれだけです。が、皆様は如何でしょうか。

W様E.jpg


TROUSERSでは、『マーベルト』と呼ばれる効率の為に生み出された既成の帯裏が使われるのがメジャーです。滑り止めが付いていたり、柄や種類は色々御座いますが、本来の誂え服では、『腰裏』と『腰幕=赤矢印』に分かれ、付けられておりました。

腰幕、字の如く『幕』です。プリーツが畳まれるのは、ウエストとヒップの差寸が発生しますので、それを襞で調節(補う)しているという形になります。

いちいちウエストサイズやヒップサイズに合わせ、宛がい、プリーツをたたんで手縫いで縫い止めていきます。これ、、、かなり効率悪いですね。
だから予め、一定距離で機械的にたたまれた襞をつくり、既成でそのようなBANDと作ってしまうのです。
もしくは『バイヤス』という生地の伸びを利用した手法を取り、襞を畳まずにWとHの差寸を補い、簡易に処理できる大変効率良い裏帯が出来、それらがメジャーに使われているという事になります。


 腰幕は別名『ボロ隠し』とも言われ、様々な縫い代や裁ち目を隠しつつ、腰をホールドする役目を担い、かつ、マーベルト等と比べれば腰幕の幅はとても広く、それだけ裏が確り付いているという事になります。
汗を掻いたりもしますね。裏地としての役割を確りと担います。特にOLDの服では股上も深い分、この腰幕幅も相当幅を取っており、正に幕=カーテンの様についております。

誂え服では、尻ポケットを付けなかったり、片側のみの事も多く、裏地機能としては欠かせません。

確かにそれほど双方にとって大きな着心地の違いかも知れません。
ですが、ホールド感、腰への馴染み、生地含め各部の保護など考えれば より良きは!?となります。
HOUSE STYLEでも誂え服です。出来れば既製服の流れをくむより、あるべきBESPOKEのSTYLEや思想に準じたい!との想いで そんな手間のかかる腰幕をわざわざ付けて頂いております。



色・柄は何でも良いのですが、弊店使用の縞スレキ、、、、昭和っぽいですよね〜〜。
洗礼されていない素朴さと、いまいちセンスなさげなこの配色とストライプバランス。
これ、あえて選びました!
 外してる!?的な位置付けが味だと勝手に思い込んでおります(笑)。雰囲気です!

この縞スレキ、在庫が無くなり次第に別のスレキに変わると思います。
なので、この縞スレキは当店の第一ステージでの受注品である証となります!

良く古着などはブランドネームなどで時代を判別したり致しますが、そのノリ!?で如何でしょうか!



・・・・・・・・・今回はかなり長かったですね。最後までお読み頂きまして、有難う御座いました。
また、W様、御協力頂きまして有難う御座いました。御来店を楽しみにお待ち申しあげております。

皆様、また少しずつHOUSE STYLEの特徴的な所も御紹介させて頂きますので、どうか今後とも宜しくお願い申し上げます。



posted by 水落 at 15:35| Comment(2) | TrackBack(0) | クライアント様の洋服 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いつも楽しく拝読しています。この度は私のオーダーしたスーツを掲載して頂き有り難う御座います。今回は私自身、英国の伝統的なstyleを愛しており、高い完成度のスーツを欲しいと思ったこと、そして"匂い"の有る仕立服をrealな価格帯(芸術作品でなく日常服として)で購いたい、と思い貴店でH/Sの注文をさせて頂きました。
H/Sに就いて、水落様がサヴィルロウ等の往年のテーラーの仕立服のパターン/縫製/歴史/思想を、ヴィンテージスーツを分解したり書物を深く研究し試行錯誤の結果に生まれた本当に完成された普遍的なスーツだと感じて居ります。パターンオーダーでは有り得ない程の品質と説得力(19世紀以降の仕立服の歴史的背景も踏まえた)を感じます。
今後も引き続き、H/Sに就いて釦位置、ラペル幅やポケット位置等、細かい部分に就いて、どうしてこのデザインなのか、設計なのか、どういった歴史的背景や機能に基づいているのか、水落さんご自身のコダワリに就いて本blogで情報発信して頂けましたら心から嬉しく思います。
また、ライン生産で縫製が上がってから、水落さんご自身が更なるQuality向上の為にプレス等の手を加えるというのは素晴らしい付加価値だと思います。御自身が設計をし、実際に着用する客と好みやデザインを相談し、そして、自ら採寸をし、最後の最後の仕上げで再度その職人の手が加えられることによって完成度は屹度かなり高まるのでしょうね。
また水落さんとお話を出来る日を楽しみにしています。それでは。
Posted by W at 2010年06月16日 13:27
W様
 コメントを頂きまして、また勿体無いお言葉まで頂戴致しまして、誠に有難う御座います。
 そんなにお褒め頂き光栄ながらも大変恐縮です。少々買いかぶり過ぎな所も御座いますが、、、、御期待に添えられる様精進して参ります。

 BLOGへのリクエストも少しづつお答えさせて頂ければと思います。

御注文主様であるW様の御満足自体が一番大切であり、これからもお喜び頂けるよう頑張って参りますので、どうかこれからも末永きお付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。

 どうも有難う御座いました。

Posted by Dittos. 水落 at 2010年06月16日 14:18
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック