2011年02月08日

【 S様の御注文B 】


 こんにちは。
立春も過ぎ、暦ではもう春に成りました。
我が家には受験生がおりまして、息子にも春が来る事を蔭ながら応援しております!



 さて、この度は『S様の御注文』より、OVER COATを御紹介させて頂きます。



 英国では、スーツの上着(ジャケット)をCOATと言います。
そのスーツ(上着)の上に着るので、OVER COATと言う訳です。

様々なシーンやスタイルによるデザインは沢山ありますが、この上記カテゴリーで括ったコートの中で有名なのは『チェスターフィールド・コート』でしょう。
これを語り出すとキリがなく成りますのでスル―致しますが、最近では何でもかんでも『チェスターコート』と呼ばれ、はなはだ日本の洋装文化や知識に対する意識、認識の低さを感じずにはいられません。(勿論私自身もまだまだ勉強が足りておりませんが・・・。)

S様には、大変クラッシックでエレガントなチェスタータイプのオーバーコートを御注文頂きました。チェスターと呼ぶにはある程度の制約がある訳ですが、せめてこのレベルまで兼ね備えてチェスターと呼びたいですね。 





・・・・・TAILORの仕立てる(設計する)OVER COATは、その方のCOAT(JACKET)型紙より展開し、型紙をおこします。

既製品は、往々にして『最大公約数』と『大は小を兼ねる』で作られる部分があります。だからこそ多くの皆様が着られる訳ですね。基本的には生地も厚く、重厚ですから身体に(スーツ)合っていなくとも、スーツほどの皺や歪などはそんなに出ません。
故に、あまり合っていなくても、それとなく着られるのが既製のオーバーコートです。

 生地もCOAT(ジャケット)より厚くなりますし、確りしてきます.
また、BESPOKEは既製品より縫い代分量が圧倒的に多く成りますので、その分も重量として加算されます。

だからこそ、身体に合っていなければ重たく疲れるOVER COATと成ってしまいます。


COAT(JACKET)とOVER COATをインナーとアウターというセットでみた関係で考えてみて下さい。


 誂えの世界では、個々のONLY PATTERN(型紙)がある訳です。
その中には沢山の情報が含まれております。肩傾斜や肩幅、カマ深、左右差、反身や屈伸を始め、シェイプ位置(W位置)、お腹が出ておられたり、お尻が大きかったり、鳩胸だったり、、、、キリがありませんね。

仮縫いを経て、精度高きその情報詰まったCOAT(JACKET)の型紙より展開すれば、それこそ こんなにも適合性高い重ね着は無いという事に成ります。
(逆に言えば、既製のコートではそれだけ合っていないコートを着ている事に成ります。)

これが誂えであり、BESPOKEでもHOUSE STYLEでも同じ事です。










 今回お選びに成られた生地は、
TAYLOR & LODGE より、GOLDEN BALE:85% CASHMERE:15% の何とも言えない素晴らしい生地です。

ウエイトは630&、このしっとりとした肌触り、艶、打ち込み具合、どれをとっても最上級レベルです。
 流石はゴールデンベール、伊達に差別化されている訳ではありません。なんて説得力のある生地なのでしょう!


裏には、シルク100%のツイル裏地を使用しております。
シルクは、高級感や艶感であったり、発色性の良さがメリットなら、デメリットとして水(汗)や摩擦に弱く、かつ高価でもあります。
高価はさて置き、裏地に使うのはあまりお勧め致しません。
 
ですが、コートなら良いでしょう。シルクは保温性も高いですから防寒着であるコートには向いているとも言えますし、スーツ程着用時間が長い訳でもないですからね。
(しかし、英国製の確りしたこのSILK LINING、、、高過ぎっ(汗)!!)







 では御覧下さい。
S様、今回も気合満点で御来店下さりました!!


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重厚感、エレガントにシェイプされたシルエット。
立体的に仕立てられたこのコートは、それこそカットやクセ取り含め技術の賜物です。

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フロントの釦を外せば、釦は随分奥に付いております。
打合い(左右フロントの重なり分量)が深いという事です。これは当然Vゾーンの大きさにも関係してきますし、そもそもOVER COATは防寒着です。
打合い深く、風などが入り込ませない為でもある訳です。
(5年後、10年後、多少お腹が出て来ても釦移動のみで前幅確保も出来ますよ。)



最近出回っているイタリア系コートは、こういったスタイルから見れば貧弱であり、ただのロングジャケットにしか見えないかも知れませんね。そもそもの求めるコンセプトが違うので、比較は出来ませんが・・・。

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袖口は、ターンナップカフにしました。重厚な幅で折り返されたカフには、ホールを開け釦止めにしています。OVER COATには、GLOVEは必須アイテムですし、お好みはあれどコートにはコートの袖丈があります。

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センターベントも確りと打合いを深く取り、かつ、下側に成る方を裾広がりにしています。
時々身受けますが、、、間違ってもコートのベントから尻が見える様な事があっては成りません。
エレガントなバックシルエット。背ベルトが無くてもシェイプされたウエストは、チェスターの重要な特徴です。

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ある程度の丈を伴うコートの裾は、ジャケット裾の様に『奥まつり縫い』で縫い止められる訳では無く、写真の様に 表裾・裏裾 をそれぞれに裾上げし『フラシ』にするのが理想的です。
フラシにするにもそれこそ理由があるのですが、長くなるので飛ばします!




 気合の入ったS様、沢山、沢山御説明・御紹介して頂いたのですが、少々簡略させて頂きますね(汗)!!



中にお召のスーツは、勿論弊店でお誂え頂いたBESPOKE SUITSです。

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タイとチーフは、ドミニクフランスとの事です。
シャツは以前に私が手掛けていた物で御座います。



そして、S様と言えば大のベルルッテイ愛好家です。
靴はBESPOKE。ヴェネチアンブルーという色の靴には、ハートとイニシャルをもじったオリジナルの穴飾りを入れたそうです。

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あれっ!?  S様、そのホーズは・・・・!?
「刺繍を入れてもらったんです!!」
そうだったのですか! そこまで弊店の事を御贔屓に思って頂き光栄で御座います。
見える所ではありませんが、入れるならもう少し控え目な感じの方が・・・。
ですが、嬉しいですよ!!

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バッグにグローブ、カフリンクスまでベルルッティで御座いました!
ベルルッティは昔から比べれば、随分アイテムが増えましたね。

帽子は個性的なセレクトのボルサリーノ、時計はブランパン。本日のタイプはスケルトンで御座いました。



 S様におかれましては、御満足頂き無事に御納品と成り、着用して帰られました。

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御覧下さい。紳士は後ろ姿も大事です。こんなエレガントなコートを着ている方は、なかなかおりませんよ! (写真は下手ですみません・・・。)


S様、この度も大変お似合いで御座いました。
心より感謝すると共に、羨ましくも思っております!
私もそんなOVER COAT(チェスターFコート)がいつかは欲しいです。





posted by 水落 at 10:43| Comment(2) | TrackBack(0) | クライアント様の洋服 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
水落さん、こんにちは。
念願のオーバーコートを着られて、とても満足しています。
暖かいし、フィットしているので重さを感じません。ポケット位置等も計算しつくされているからでしょう、使い勝手も最高です。
早くもカジュアル寄りの二着目が欲しくてしょうがない気持ちになっています。
構想を練りますので、またよろしくお願いします。
Posted by S at 2011年02月12日 14:06

S様

 こんばんは。コメント頂き、誠に有難う御座います。
お喜び頂けて、何よりの光栄であると共に、本当に嬉しいです。

 御満足頂き、色々と考えた甲斐があったというものです!
是非折を見て2着目の御相談も致しましょう。

しかし、、、羨ましい。

S様、有難う御座いました。

Posted by Dittos.水落 at 2011年02月12日 21:41
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