2011年11月29日

【 WELT POCKET 】


 こんにちは。

本日は更新時間が遅れまして、すみませんでした。
定休日を利用し、先程 何年振りに成りでしょうか、、、健康診断へ行って参りました。

 普段は御蔭様で健康であり、病院が嫌いな私は滅多にいかない為、検査とはいえとても弱気に成ってしまいます。

検査着に着替えただけで既に弱った病人の様な気持に成ってしまいます。そして何故か怖い・・・・(汗)。

どこか悪い所が見つかったからとはいえ仕事は沢山ありますし、、、、心配してくれる家族の為にと言い聞かせやり過ごしてきました!

 健康であったなら、また3年位は行かなくて良いかな・・・と(笑)。


















 さて、今週は久しぶりに仕立てに関するお話しをさせて頂きたいと思います。




【 WELT POCKET 】 


・・・・切りポケットの一種であり、日本では 『 箱ポケット 』 と呼ばれております。
上着の胸ポケットや、ウエストコート、ステンカラーコートの腰ポケット等に用いられ、皆様におかれましても馴染み深いポケットである事と思います。



箱ポケットの作り片一つとっても『本箱』『偽箱』と技術的レベルの差があります。
通常は箱の出来上がり型に合わせ接着芯を張り、その芯に合わせ口布を折り畳んでいくのが一般的かも知れません。

 巷で売られているものの多くは『バルカポケット』なるカーブをした船底型をしておりますが、それも作り方は同じです。
これ見よがしなカーブは正に接着芯仕立てですね。
クセ取りで作るバルカは、クセが取れる限界もありますから自然的なカーブでもあります。




ただ、手間を惜しまぬHAND MADEなら、接着芯は一切使いません。
全て『フラシ芯』と呼ばれ、生地(表地)と芯が独立・分離していて、生地の風合いなどを変える事無く作られますが、それだけ手間や技術も掛かる事に成ります。








 では、ウエストコートのポケットで御覧頂きましょう。

最近では手抜き!?というか、簡略化され 腰の2つしか箱ポケットを付けないウエストコートも多いですが、やはり本式には胸・腰と4つ付けるべきです。

BESPOKEのウエストコートには、英国の古着等も含め、内ポケットさえ付けられていました。
紳士服は本当にポケットが多いのです。

ただ、身体にピッタリ合わせるウエストコート、その内ポケットに何を入れるのでしょう?
いれれば直ちに表に影響します。
(影響しない位ブカブカなFITTINGで作る所もありますが!)


故に弊店では あえてお付けしておりません。
(リクエストがあれば、勿論お付け致します!)











では、御覧下さい。

ウエストコートをこれから仕立てる為に、様々なパーツを裁ち合せ、表地には切り躾を打った所です。

写真には、身体の大きなT様のウエストコートに御協力して頂きます!

wp1.jpg


・・・身頃の奥に見えるのが、芯であったり、前身頃の裏地、そして袋地や口布と成ります。
















wp2.jpg


・・・切り躾を分離し、先ずは胸グセ(ダーツ)を処理し、クセ取りを行った後に 切り躾の印に伴い、チャコでポケットを作る位置に線を引きます。
傾斜や口径など正確に!
















wp3.jpg


・・・口布には予め『力芯』と呼ばれるフラシの芯をセットしておき、ポケット出来上がり位置に合わせ、その口布や袋地を躾でセットし、地縫いを掛けます。

















wp4.jpg


・・・地縫いを掛けましたら、この時点で箱型をコテ(アイロン)で織り畳み、箱型を作ります。
畳み方にも色々とあるのですが、上記が一番素直であり、昔ながらの手法に成ります。

先に上下方向を畳み、次に横方向を畳みます。
角は縫い代隠しと共に、見映え良く目打ちを巧みに使い『チョン丸』にします。

この時点で、手縫いにより折代をカラゲ止めしつつ、ポケット口には星縫いによるハンドステッチを掛けます。
















wp5.jpg


・・・箱が出来ましたら、いよいよ鋏を入れます。
先の写真では、表側に袋地がありますね。

そこから箱の内側の部分に切り込みを入れ、袋地を裏側に引き出します。


上記写真は、既に引き出してあります。(裏側写真と成ります。)

表側、箱のサイドを身頃に手まつり縫いにより見えない様に身頃に縫い付け、サイドの折代を隠しつつ、補強も兼ねて閂ハンドステッチで止め付けます。

上記写真には、黒い袋地が見えますが 淵は段差をわざわざ付ける様に(階段に成る様に)切り揃えます。


完成してしまえば、全く見えない小さな手間でもありますが、、、袋地の輪郭がプレスにより表側に『アタリ』として出てしまい易いのです。
 ゆえに、この様に段差を付ける事により、そのアタリを防ぐ事が出来るのです。


袋地の両サイドにはグシ折がされていますが、これも理由あってこそ!
見えない小さな手間や、技術の積み上げにより一着の洋服が仕立てられております。















wp6.jpg


・・・ポケットの出来上がった写真を見てみましょう!
M様のウエストコートに協力して頂きます。

写真手前が胸箱、奥が腰箱に成ります。
(肩方向から写しています。)

箱の角は品良くチョン丸で畳まれ、折代を隠す様にサイドには閂ハンドステッチが掛かります。
このステッチは、幅が広ければ広い程作るのは楽ですが、口径を狭くしてしまいます。

逆に、幅を狭くすれば口径をあまり縮める事はありませんが、折代が少なく成る分難しさが伴います。


箱を止め付けるサイドのまつり縫いは、見えないのでとても綺麗ですね!
これが機械(ミシン)を利用すると、どうしても見えてしまいます。

 着ている着用者には、全く気付かれないかも知れません。
着心地にも全く関係もありません。

何でしょうね、、、、こういう技術は、和食などの包丁細工みたいな物かも知れません。
ある意味では職人の自己満ですね(笑)。


ヘリンボーン柄なので『柄合わせ』を確りと!!

















wp7.jpg


・・・では、次の写真を見て下さい。ここ、重要です!
胸箱の脇側写真です。

下部の地縫い側は確りと柄が合わされておりますが、、、サイドは内側にズレており、ヘリンボーンの柄に合っていませんね!!


 勿論これも技術であり、あえての行為です。

身体に合ったウエストコートは、胸部、腰部と綺麗な円柱を描けなくては成りません。
ポケット自体が平面に作られていたら、円柱に成った時 上手く馴染む訳ないですね!



ポケット口の部分は、あえて『 外回り量 』を与えます。

目につくフロント側は確り柄を合わせ、目立たぬ脇側で 柄がズレようとも外回り量を与えた上で据え、箱を止め付けます。

 逆に、もしこの外回り量が無いポケットを着用すると、箱の内側の生地が波打ってしまいます。


この理論は、厚紙を畳んだ時に感じて頂けますが、どんなに綺麗に、完璧に角と角を合わせ折り畳んでいっても、2回3回と折り畳めば必ずズレが生じます。これが内回り・外回りの差です。

車のタイヤ、カーブを曲がる時の『内輪と外輪差』とも同じです。
















wp8.jpg


・・・この写真では、既に仕上げプレスも済み、釦も付け完成しています。
ポケット自体は自然と立体に成る様に仕立てられていなければ成りません。
(勿論ポケットだけでは無く、芯据えやプレスも、、、全て重要であり繋がっています。)

















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・・・トルソーに着せてみました。
当り前の様にポケットはカーブを描き、身体の丸味に沿います。

私達にとり、これが当り前の技術に成りますが、ステージが違えば作り方も違うので完成度合いにも差が出て当然です。
 箱ポケット、、、4個もあればかなり作るのに時間掛かりますからね(笑)。












・・・・・・・因みに、伊製の多くは船底にカーブしたバルカポケットが多いですね。
良く胸部の丸味に馴染むとも言われておりますが、、、直線だろうとカーブだろうと、技術があれば胸部に馴染む丸味あるポケットなど どちらでも、いくらでも出来ます。

と成れば、私達にとってはデザインでしかありませんね。
(ハンドではバルカポケットでも口布をクセ取りし、フラシ芯でカーブに作ります。)


バルカを作るサルトリアでの注文は、大半が2Pスーツでしょう。
では、少なからずとも3Pで注文が入った場合、そのサルトリアで作るウエストコートに付けられる箱ポケはバルカで作るのでしょうか!? 

 どこでもウエストコートの仕立ては軽視されがちです・・・・・。


下着であるシャツの上に着るウエストコート、より身体に馴染み立体的でなくては成りません。
裁断的だけでは無く、縫製的にも様々な技術があります。

芯据えを先に行い、ポケットを後から作る場合もあります。




 洋服に対する技術的な答えは一つではありません。
各手法はメリットもあればデメリットもあります。手縫いしかり、ミシンしかりです。

一着を仕立てる際に、どの様な思想に伴い、何を大切に、優先的に物作りするのか、、、
それに際し最適な技術は!? と筋を通し構築された仕立てこそ完成度の高い説得力ある洋服に成ると私は思います。










・・・・・・・今回はかなり分かり辛かった事と思います。
すみません。専門用語も多いでしょうし、、、
ただ、見えない・気付かない所にも沢山の技術があるとお感じ頂けましたら幸いで御座います!
















【 御連絡 】



来週の 12月6日(火)には
小学館より『 MEN’S Precious 』 が発売されます。
http://mensprecious.jp/index.html

靴に関する特集と共に、今回は洋服のオーダーに関しても掲載されております。
誠に光栄ながら、弊店も取材を頂戴致しました。
 心より光栄であり、本当に有難う御座いました。そしてお世話になりました。


どんな感じで掲載されるのか私も分かりませんが、、、皆様 是非御覧になってみて下さい!!






posted by 水落 at 13:31| Comment(2) | TrackBack(0) | 仕立てについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
HPの方には更新がありませんが、もうコートの注文は受け付けているのでしょうか?
またどちらの生地をどの位の価格で注文できるのかいくつか具体例を挙げてもらえますでしょうか?
最後に私はウエスト100cm位あるのですが、それでも問題なく着れるコートができますでしょうか?
以上三点について教えていただければと思います
Posted by jun at 2011年11月30日 07:54

jun様

 こんにちは。この度はコメント頂きまして、誠に有難う御座います。

さて、お問い合わせに付きまして、コメント欄故 簡易に成りますが御確認下さいませ。

● HP更新に付きまして・・・
すみません。シャツの受注含め、コートがスターと出来ましたら更新をと常々考えておりますが、、、私自身が未だ着手出来ておらず、だからこその せめてBLOGだけでも という感じになってしまっております。

多分、HP更新は来年に成ります。
ご迷惑をお掛けしておりますが、宜しくお願い致します。


● 御値段に付きまして・・・
BLOGでご紹介した生地で仕立てた場合をご連絡致します。

◇SB:カバートコート・・・・・155,000円(W:100%)
◇SB:チェスターコート・・・・165,000円(W:90% & Ca:10%)
◇DB:ポロコート・・・・・・・195,000円(CAMEL:100%)
◇DB:ポロコート(SAMPLE)・・255,000円  (Ca:100%)

上記、全て税別価格です。
これらお勧め生地は弊店の仕入れ生地であり、相場よりもかなりお安く仕入れる事が出来た為、仕立てや補正の商品品質含め、かなり御手頃価格であると自負しております。


● ウエスト100cm、勿論問題御座いません。
オーダーですからご安心ください。
ただ、身長含め身体の大きい方は生地の必要要尺がかなり大きく変わります。
 その場合は、多少ですが別途オプション料金を御頂戴する場合も御座いますので、店頭で御相談出来ればと思っております。



以上です。
生地は他にも色々と御座います。
是非お店に御来店頂き、生地の吟味からサンプルのご着用などして頂ければと思います。

 御来店頂ける場合は、大変恐縮ながら HPアクセスか、お電話にて日時の御連絡を頂けましたら幸いで御座います。

 本当にお勧めなコートが構築できましたので、是非ともご検討下さいませ。

 どうも有難う御座いました。




Posted by Dittos.水落 at 2011年11月30日 11:45
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