2012年05月22日

【 INSIDE POCKET 】


 こんにちは。
昨日の金環日食は御覧に成りましたか?

朝のニュース番組も飽きるほどやっておりましたね。

 私は自分で話題にしておきながら、、、見ませんでした。
私以外の家族は喜んで見ていたようですが、私は辛うじて日食が終わりかけの欠けた太陽を見ました(汗)。

昨夜も遅く、起きられませんでした。お恥ずかしい限りです。

ISP1.jpg


なので、全く関係のない綺麗なお花で誤魔化させて下さいね!
これ、とても綺麗で素敵なお花ですが 何という名なのでしょう。購入する時聞けば良かったです。















 さて、本日は技術的なお話しを久しぶりに!

【 内ポケット 】 についてお話ししたいと思います。





大抵の上着には付けられていますね。

皆様も普段何気なく御使い頂いている内ポケットですが、実は内ポケットにも色々な考慮が成されているという話です。
技術的な話は眠たくなるかも知れませんが、御興味ある方は我々作り手側がどんな気を使って御作りしているのかが垣間見られると思います!








 最近では、とても安価な既製服にも 【 お台場仕立て 】 と言われる手法を使った身返し(内側の前方には裏地では無く、表と共地が使われているラペルを含めたパーツの事を指します。)&内ポケットが良く見受けられます。


 このディテールは、そもそもTAILORがゆくゆくの仕事に対し楽をする為!?に考案されたディテールです。

生地に拘り、仕立てに拘った誂えスーツは10年、20年とクライアント様と人生を共にするものです。

長きに渡り着用していれば、当然裏地が擦り切れる事もありましょう。


そんな時、お台場仕立てで内ポケットが作られていれば 裏地交換がとても楽に出来るのです。







・・・・・ですが、そんな伝統的でもあるTAILOREDのディテールではありますが 一時期こぞって目先のディテール主義に走った既製服などが氾濫しました。

袖口の本開きやお台場仕立て、上衿のヒゲ等が一気に注目を集めましたね。



 メーカーさんの既製服などでは、拘る矛先が本質的な設計や仕立て、着心地等はさておき、表層的なディテールでこそ差別化を図り良い服の証明!?と言わんばかり、、、な頃です。
随分雑誌等でも謳われていた事と思います。



 では、いまいち身体にも合わない安価な服、当然仕立てもそれなりの服であり数年着用すれば、洋服にもお疲れ感が出てしまう服。
そんな服を裏地が擦り切れるまで着用し、高価な御直し代を払いTAILORへ裏地交換の依頼をされるでしょうか!?


 殆どの方がそこまではされない事と思います。
であれば、あまり意味のない事(ディテール)ですよね。






大切な事(技術)はもっと見えない部分に宿ります。
ですが、そのあまり見えない部分は あまり売り文句にも成りませんから、どうしても見映え的、表層的に成るのは仕方が無い事なのかも知れません。


 知名度の高いお台場仕立て、私はその頃から嫌いに成りました(笑)!!





故に弊店のBESPOKEでは、レギュラーであればお台場を採用せず、内ポケット自体を丸ごと裏地に乗せています。


これであれば裏地交換に成っても、内ポケットごとバックリ裏地を剥がしてしまえばよく、身返しにも傷やダメージを掛かる事もありません。

内ポケット自体を作り直す事など たわいもない事です!

ISP3.jpg










・・・・・基本的に身体に合ったジャケット、身体の起伏に合わせ曲線多き服こそ良い仕立てでもあります。身体がそう成っているからですね!

様々な技術を駆使し仕立てられます。


であれば、内ポケットにあまり物を入れない方が良いに決まっています。
決まってはいるものの、、、皆様も御理解されているものの、、、これは! これだけは! という物が無きにしも非ずですよね。



その典型たるや 『 お財布 』 なのではないでしょうか。






良くお客様にも私がどうしているのかと尋ねられます。

私自身は、御札入れと小銭入れを分けて持っています。

そうです! 厚みを最小限に抑える事を考えるとこう成ります。

マネークリップ等も格好良いですよね。薄く、小さく、、、、とにかく最小限に! 

ISP2.jpg



小銭入れは、トラウザースの脇ポケットです。
しかし、NOプリーツのタイトなパンツを穿かれている方は小銭入れも響きそうですが、私の穿いている様なプリーツ入りであれば気に成りません。




 ただ、これらは私自身の個人的な手法であり、お勧めする訳ではありません。
(後は潔良く鞄を持たれるとか、、、)





・・・・・・クライアント様の中には 『 長財布 』 を使用されている方が少なくありません。



 この写真を御覧下さい。

シェイプの利いた上着ですが、赤点線が設計上のシェイプ位置(ウエスト位置)です。
そして青色の線の辺りに内ポケットがいます。

ISP4.jpg


通常 内ポケットの深さは 17〜18cm 位が一般的ではないでしょうか。
それだけあれば基本的には充分であり、深すぎても扱い辛い筈です。



 ここからがポイントです!!




一般的な深さの内ポケットなら、長財布を入れると深さが足りず、口からはみ出してしまいます。 危ないですね!


という事は、袋の深さをもっと深くすれば解決なんじゃ・・・・!?



駄目です!


内ポケットの深さを長財布がすっぽり入る位まで深くしますと、赤線のシェイプ位置へ達してしまいますね。(背の高い方なら問題ないですが。)


シェイプの利いた美しいシルエットが、長財布が入って来た事で崩れてしまいます。

 故に、内ポケット袋の底辺はウエスト・シェイプ位置へ掛からないようにする事が暗黙の了解なのです! 言われてみれば当り前の事ではあります。





・・・・では、内ポケットの口位置自体をもっと上げれば解決なのでは!?



それも駄目です!!


内ポケット位置が高過ぎると、入れ辛く、出し辛く、、、、大変使い辛くなってしまいます。

内ポケットの深さには限界があり、高さにも制限があり、、、、では長財布自体がダメ!?



そんな事はありません。


誂え服はクライアント様だけの為に仕立てられます。出来る限り御要望を具現化し、お応えしてこそ満足度高き洋服と成ります。



 そこで考案された手法が!!!






こちらの写真を御覧下さい。

お台場仕立ては個人的に好きではないと言いましたが(笑)、必要だからこそ用いるディテールでもあります。

ISP5.jpg


内ポケットの位置設定を、レギュラーより少しだけ上げます。
そうすると胸幅的に裏地乗せ内ポケットは使えなくなります。(欲しい口幅が裏地幅内に納まらない為です。)

故に、必然的に位置を上げてくる場合はお台場仕立てに成ります。




しかし、内ポケ位置を少し上げたところで たかが知れた上げ幅です。

だからこそ!!


ポケット口の上側にも収納スペースを設け、上側にも袋地を持たせます。

そうする事により、長財布もスッポリ安泰に納まる訳です。

ISP6.jpg





昔からある手法です。

このポケットをレギュラー使いするお店や、既製服でも見受けられますね。

普段何気なく使用する内ポケットでさえ、この様に色々と考慮のあげくに生み出された技術という物があります。




ISP5.jpg


・・・・因みに、弊店のお台場布は殆ど見えませんね! 見える必要も無く、誇示する必要も無く、、、ポケット周りがスッキリする様に、なるべく裏地で隠しています。
好み的にお台場を目立たない様に・・・・・(笑)。


お客様にとり、お台場である必要も無く、リクエストした訳でも無く、御要望を叶える為の一つの手段というだけです。皆様の拘りはそんな所では無いですよね!


技術というのは理にかなっていなければ成りません。

何が本質であり、それを素直に捉え、スマートに表現・具現化出来る事も大切な技術力ではないでしょうか。










・・・・・・・・・長かったですか? 今回の話は、これでも半分位しか解説していません。
その他、内ポケット内部の重さを支える為には!? 中綴じは!? 厚みによるFITTINGは!? 蓋は!?、、、



何が優先事項として上なのか、
何でもそうかも知れませんが、物事・物作りとはバランスでもあります。






技術とは、目に見える事の方が少ないかも知れません。
(以前御紹介した弊店のHS:トラウザースの内側尻グリのクセ取りにしてもそうですね!)

だからこそハンドホールやハンドステッチ、表層的なハンドソーンに注目がいきがちではあるかも知れません。


今回の様な内ポケットの話も、聞かなければ気にも留めないかも知れませんし、
お座敷スーツの様にシェイプさえ無い様な上着であれば、今回の様な考慮をしなくても良い! とも言えますね。


 技術は奥が深いです。
深すぎるのでキリが無いのです。一生勉強と言われる所以ですね。







 皆様、最後まで有り難う御座いました。









・・・・・・・・・・・毎週御覧頂きまして、本当に有難う御座います。
にも関わらず、来週の更新は休ませて下さい!! (5月29日分)

申し訳御座いません。

6月5日(火)は必ず更新しますので、これからも宜しくお願い致します。






posted by 水落 at 10:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 仕立てについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
水落さんお久しぶりです。
私はtakaでございます。

先日はハウススタイルオーダーの件で
ご対応頂きましてありがとうございました。

毎回ブログの方で仕立てや生地について
非常に解り易く、ご丁寧に解説して頂き、
大変感謝しております。

以前からお聞きしたいと思っていたのですが、
水落さんの方で可能だったらで結構なのですが、
若者からお年寄りまで幅広い年代の方にビスポークの
素晴らしさを認知して頂く為にもビスポークと
ハウススタイルの中間に位置するハーフビスポーク
(デザインの自由度が高く、要所手縫い)的なラインを
立ち上げて頂ければと思いました。

水落さんからもあまり手縫いに拘らない方が
いいとのご指摘を頂くのですが、ブログで貴店の
スーツを拝見しているとつい手縫いのスーツが
欲しくなって仕方がありません。

ビスポークの場合、完成までに時間と手間が
掛かる分、高額な費用が掛かる事から手が
出せないのが実情です。

そこで、上記のようなラインが実現すれば
いいのにと思いました。

水落さんご自身、イギリスとイタリアの
クラシックな仕立てに精通されている事もあり、
両方のスタイルをオーダーできればと思います。

是非前向きにご検討頂ければ幸いです。
宜しくお願い致します。


Posted by taka at 2012年05月31日 00:00

taka様

 こんにちは。大変御無沙汰しております。
この度もコメント頂きまして、誠に有難う御座います。

また、平素より弊店BLOGをご覧頂き 光栄なる御言葉や御提案を頂戴致しまして、大変嬉しく思っております。

 私自身の労力含め投資出来る時間に対してと考えますと、まだまだ行いたい企画であっても出来ないでいる現状も有りますね。

 私がゆくゆくこのお店を、DITTOSをどうしていきたいのか、、、という事も念頭に入れる必要がありますから、無責任で軽はずみな事は言えません。

ですが、今年の秋冬より準備している企画があり、taka様の言って下さった事柄に遠からずな企画とは言えると思います。

ただ今準備を進行中であり、具体的な見通しも立っておりませんので、その内BLOGでも御話しさせて頂ければと思っております。


 これからも色々と頑張って皆様にお喜び頂けるよう努めて参ります。

何卒宜しくお願い致します。



Posted by Dittos.水落 at 2012年05月31日 14:10

お世話になっております。
毎回ご丁寧にご返信ありがとうございます。

僕自身、ウィンザー公のスタイルから
禁酒法時代のイタリア系マフィアのスタイルまで
クラシックなスタイルには大変興味があります。

今すぐには難しい企画だと思いますが、
幅広い年代の方に注文服の素晴らしさを
認知して頂く意味でも出来るだけ低価格で
デザイン面でも自由度の高い手縫いとミシンを
うまく活用したオーダーシステムを実現して
頂ければ幸いでございます。

水落さんご自身もお店の経営から接客、
仕立てに至るまで全て1人でこなさなければ
いけないので日々大変だと思いますが、
ご無理をなさらない程度に日本のテーラー業界の
発展にご尽力頂ければと思っております。
Posted by taka at 2012年06月01日 00:41
水落さん
新しい企画等、ご多忙のご様子、応援しています。
昨日、スパイタルフィールドタイを着用しました。
(今日はモガドルのレジメンタルです。)
あのタイは、本当に普遍的で、素晴らしいですね。
先日はお台場でホワイトのJKを着用しましたが、こちらも友人からたいへん好評を得ました。
次のJKも楽しみです。別途ご連絡して、また次回の予約をお願いしますので、よろしくです。
Posted by gehrig at 2012年06月01日 08:10

taka様

 こんにちは。コメントの御返信有難う御座いました。

また、光栄なる御言葉も頂き恐縮しております。

 自分次第で可能性は広がります。沢山の顧客様、応援して下さる方々の為にも出来る限り頑張って参りますので、これからも宜しくお願い致します。

どうも有難う御座いました。



Posted by Dittos.水落 at 2012年06月01日 12:55

gehring様

 こんにちは。コメントを頂きまして誠に有難う御座いました。

タイやジャケットも御満足頂けまして、何より嬉しく思っております。

例のジャケットは、どんどん味わいが増していきますから育てる事も楽しみですね。

 次のジャケットも是非御期待下さいませ。

では、いつでも大歓迎致しますので 御予約の御連絡をお待ちしております。

どうも有難う御座いました。


Posted by Dittos.水落 at 2012年06月01日 13:00
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック