こんにちは。
まだまだ寒い日が続きますね。この三連休、皆様如何お過ごしに成られたでしょうか。
そんな折りでは御座いますが、今週は2013年春夏用仕入れ生地 : お勧め第一弾を御紹介致します。
その前に、少し御勉強です!
春夏素材では、良く耳にする『モヘア』。 春夏では代表的なファブリックの筆頭です。
MOHAIR
・・・ウシ科ヤギ属である『アンゴラ山羊』から採れる毛を指します。
モヘアは、洋毛の様にクリンプ(縮れ)がなく、光沢感があり、ハリ・コシが強い毛です。
夏は涼しく、冬は暖かいと評価の高い毛なのです。
アンゴラ山羊はチベットやヒマラヤの高地に生息していましたが、遊牧民によりトルコへ運ばれました。そのトルコでは、独占的な飼育を行うと共に様々な品種改良も行って参りました。モヘアの主要産地としては当時圧倒的にトルコだった訳です。
≪モヘアとは、トルコ語で最高の毛という意味だそうです!≫
しかし、現在では南アフリカが飼育に乗り出し、総需要量の約45%を占め 世界一の産地と成っております。
現行のモヘアでは、南アフリカのカンデブー産が一番高級とされています。
≪VINTAGEにあたる当時のモヘア生地の多くは、トルコ産のモヘアだとも言われています。≫
そのモヘアの毛は、アンゴラ山羊の成長段階により『キッド、ヤングゴート、アダルト』と3ランクに分けられます。
その内の KID MOHAIR が高級服地としてお目見えする訳です。
キッドは生後三カ月までの仔山羊から採れる毛であり、独特の光沢感と共にサラサラな感触を持ち合せます。
赤ちゃんは可愛いですよね! 言っておきますが、毛を刈らせてもらうだけですから!
キッドはアダルトに比べ、3倍以上もの高値でありながらも常に不足がちと成っているそうです。
そんなKM(キッドモヘア)は程良くW(ウール)とブレンドされ、薄地の平織り物として紳士の春夏の装いを支えてくれています。
良く一般的に織られる品質は、KM:60% W:40% の比率が多く、ウエイトは220〜260g位の間で織られております。
高級服地商として有名な HARRIOSNS では、CAPE KID というシリーズがそれに当ります。
6対4の比率でブレンドされ、ウールは SUPER 100 の品質であり とても素晴らしい基準と成る品質のコレクションで御座います。
上記の御説明通り、KM は高級素材です。
ただでさえ高級なKM、とんでもない極上生地を織りあげました Taylor & Lodge 社より
3色 破格値で買い付ける事が出来ました。
よく思いつきます、、、こんなグレードの高い生地、、、
そもそも どこかの別注品質である事と思います。
ミルである T&L 社は、こんな物をレギュラー在庫として抱える訳がありません!
H.LESSER & SONS の生地も多く扱ってきた同社は、本当に信頼のおけるハダーズフィールドきってのミルでもあります。
Taylor& Lodge
60%・・・SUMMER K.Mohair
30%・・・Cashemere
10%・・・Silk
225g
お気づきに成りましたか、、、、ウールを全く使っていないのです。
ハリ・コシが特徴であるモヘアの毛に、カシミアが優しい柔軟性を与え、もともとある光沢感に対し、シルクがそれを品良く増幅させております。
とにかく美しい生地です。ウットリします!
見れば驚きます、、、。お値段も良い意味で驚きます、、、。
美しいソリッド 3色、
ブルーグレー
ネイビー
ダークネイビー
ソリッドですし、この生地の色含め 魅力は全然写真では伝わらないのが本当にもどかしいです。
とにかく、こんな美しい服地でスーツを誂えたら 常に涼しい顔でいられそうです(笑)。
渋目な色ばかり、こういうスーツではシャツやタイを制約なくお選びに成れ 楽しめる事と思います。
これは是非現物を見に来て下さい!!
流石は Taylor & Lodge と言わざるを得ません。
因みに、KM の極上と言えば ↓ これも外す訳には参りませんね。
http://dittos.seesaa.net/article/250802672.html
(Reid & Taylor 社の逸品、エスコリアルブレンドの KM です。)
とにかく美しく、素晴らしいとしか言えません!
これらは新しい生地です。
お題目的に言うと、『新』ですね。
お次は『旧』の御紹介です。
・・・・1842年に設立された 現存する最古の服地商、1863年より DORMEUIL との社名が使われるようになりました。
有名なのは、やはり TONIK。
開発されるまでは 3-PLY PORRAL(ポーラ:ウール地)が春夏服地の代表でした。
当時はモヘアを撚る事が出来なかったそうです。
これに成功したのがドーメルの TONIK であり、春夏服地のスタンダードが世界的にガラッと変わったわけです。
そんなドーメル社の春夏モヘアのトップラインに 『 SUPER BRIO 』というシリーズがあります。御存じの方は相当 通 ではないでしょうか。
TONIK / SUPER BRIO / SPORTEX と言えば、ドーメル社を大きくし、確固たる地位を得た代表シリーズでもあります。
同社は今でも このシリーズを織り続けています。
しかし、今回御紹介するのは OLD です。
70年代から80年代製であろうとの事。
・・・・・世界が経済発展する上では、効率化という事柄から逃れる訳には参りません。
効率化という名のもとに、失われていった物は本当に多く、、、
往々にして昔の物の多くは 手間暇を惜しまぬ物作りがありました。
今回御紹介する SUPER BRIO は、『国家元首の服地』としても知られているそうです。
とにかく高級・高額な生地である事に間違いはありません。
(高級度合いで言えば、上記御紹介の T&L や R&T の方が勿論上です。)
もう一度言います! この SUPER BRIO は OLD です。
現行品の SUPER BRIO と比べれば、その差は歴然です、、、、。「何でこんなに違うの!?」
DORMEUIL Super Brio
60%・・・SUMMER K.Mohair
40%・・・Wool
250〜280g
風合いや、素朴さ、シットリ感、、、、、
かなりマニアックかも知れません。
ですが、それだけ違うのです。 これらも、写真では全く伝える事が出来ません。
この差の原因は、使用されているモヘア糸にあります。
糸にする紡績の仕方が違うのです。
現在では、高速紡績機を使用したリング紡績モヘアが使われる事が主流だそうですが(全てとは言いません!)、当時の物はフライヤー紡績モヘア糸が使用されているそうです。
この非効率極まりない紡績の特徴は、超低速で撚るため、撚りが均一に入り、立体感ある、滑らかで張りのある糸に撚り上げられる事です
これはやはり凄いです。 凄いというか、味わいがあります。
当時のスタンダードたる品質は、今では無くなってしまう訳です。
仮に本当に正直な復刻をしたとしましょう。
どれだけのコストが掛かり、どれだけお値段に反映してくると思いますか、、、。
・・・・こんな事、知らなくても良い事でもあります。
ですが、男のオタク心をくすぐる実話でもあります。
通常 OLD STOCK は、言いかえれば古在庫です。お値段も現行品に比べれば優しく成るものです。
ですが、この OLD SUPER BRIO は高い!
と、、、思いましたが、これでも相当お安いそうです。
特にバブル期等はかなりぼっ・・・的なお値段!? で流通していたとも聞きます。
古い仕入れの生地は、為替変動も関係してきますね。
では、現行品は!?
計4色、全てソリッドです。
これだけ状態の良いOLD生地、しかもグレーとネイビーのソリッドとなると 更に貴重と言えます。
・・・・・・・・・如何でしたでしょうか。
同じカテゴリーの生地でありながら、それぞれの価値観が随分違う生地でした。
ですが、キッドモヘアを主体とした素晴らしい生地である事に間違いはありません。
皆様なら、新旧どちらに魅力を感じられますか??
御興味をお持ち頂けた方は、是非お見合いをお勧め致します(笑)。
本当に悩ましいです・・・・・。
・・・楽しいですね!!
仕立てると、どんな違いが出てくるでしょうか。
着心地はどう違うのでしょうか。
それぞれの個性ゆえ、優劣は付けられません。
どちらがお好きか!? というだけです。
生地との様々な出会い、個々の個性、、、、
この子達が、皆様との良い御縁があります様に、、、、。
では、皆様とお会い出来る日を楽しみにしております。
どうも有り難う御座いました。