2014年01月28日
【 衿 @ 】
こんにちは。
年始の御挨拶がつい先日の様に思いますが、1月もそろそろ終わりです。
まだ寒い日はもう少し続く事と思いますが、少し寒さが和らぐ日も御座いますね。
先日、光栄にもある雑誌社から撮影の依頼を頂戴致しました。大抵はお店(自店)の中での撮影が多いですが、今回の企画は複数人で一緒にスタジオで撮影との企画だそうです。
その雑誌が発売される時期や内容を考えれば、当然 もう春号です!
この寒い中ではありますが、ペラペラのウールトロピカル・スーツで出向きました。
上にコートを着用の上で向いましたが、移動の時、そして自店にいる時も 流石にかなり寒かったです(汗)!!
スタジオでは、同業の有田氏、根本氏と3人で仲良く(笑)の撮影でした! それぞれ個性が違いますので三者三様ですよ。
詳細につきましては、また改めてご連絡させて頂ければと思います。
さて、今週は分かり辛いと不人気ではありますが
久しぶりに技術のお話をさせて頂ければと思います。
弊店の HOUSE STYLE ORDER では、より高品質なスーツをお求めの方々に応えるべく
BESPOKEで行われるフルハンドメイドとほぼ同様の技術によるお仕立てを、オプションとは成りますが部分的に御用意させて頂いております。
上着では仕立ての『キモ』となるのは、やはり衿、肩、袖付けと言えます。
(まぁ、芯据え、ポケット、クセ取り等もそうですし キリがありませんが、、、。)
袖付に際し、H.S.ORDER においては肩作りに直結していますので、ある意味では双方連動したお仕立てと成りますので、一括りの OP と成ります。
その中で、今回は2回に分けて【 衿作り 】を御説明させて頂ければと思います。
御紹介する内容は、私が普段 BESPOKE で行っている事です。
これとほぼ同等の事を『 衿ハンドOP 』では行っているという事に成ります。
もともとを考えれば、全て手作りしか御座いませんでした。
大量生産を念頭に置けば機械化含め合理化が進むわけですが、やはり『手』でしか到達出来ないステージというものが存在致します。
先ず上着のゴージラインを境に、
上を『 上衿 』、下を『 下衿 』と呼ばれたりします。 下衿とはラペルの事ですね。
その上衿とは、更に地衿・上衿と本来区別されます。
『 地衿 』とは、衿の中に入る芯、そして裏側と成るカラークロス(フエルトの様なもの)が主体と成る衿の土台の事を指します。
その土台があり、その土台に BODY と同じ生地を縫い付けて行く訳ですが、その共地(BODYと同じ生地)の事を『 上衿 』と指します。
故に、地衿作り → 上衿掛け となって 初めて衿が出来上がります。
本当にお安い既製服などでは、本来地衿である裏側の生地に接着芯を貼り、表側に来る上衿と先に合体させてから BODY に付けられます。
衿の作り方だけでみても本当に様々なやり方があります。
それらは当然ながら 労力(時間・コスト)、技術、品質、身体への馴染み(着心地)が大いに変わります。
下を見ればキリがありませんが、これからご紹介する作り方は本当に古くから行われてきたハンドメイド・テーラーリングです。
多少のやり方に違いはあれど、逆を言えばこれ以上がありません。
では、早速参りましょう。
中に入る『 芯 』、これは 高級なアイリッシュリネン です。
麻織物をバイアス(生地の縦・横方向に対し、斜めの方向を指します。)で使用する事により、グニャグニャとゴムの様に融通性が高く いくらでも成形が効くのが特徴です。
故に 昔はエラスティックからくる『 エラス 』とも呼ばれていました。
その融通性高き芯に追従出来る様、カラークロスも同じくバイアス方向で その生地を使用します。
衿にも部分的には、その特性である『 伸び=動き 』を止める必要がある部分もあり、
伸び止めや力芯として更に芯も増されて使います。
はい、有名な『 ハ刺し 』です。見るが如く、ハの字に掬い縫いするからですね。
基本的にハ刺しとは、A と B(とC等)というもの同士を合体させる為(一体化させる)に 双方を縫い止める行為であり、掬い縫いの事を言います。
更には、その縫い止める行為に対し、部位やパーツによって様々な工夫やテクニックを用い、様々な効果を意図して持たせる訳ですが これがとても重要な要素です。
この辺はいつか詳しくお話する事に致しましょう。
しかし、とても地味な作業でもあります。
部位により 縫い密度、縫い方向を変えていますが、別に変えなくてもイケます!
イケますが、変えるのは狙う理由があるからという事ですね。
やっとハ刺しが終わりそうですよ!
出来ました! 増芯もサンドイッチされており、衿芯の特徴をコントロール下においている状態と成ります。
因みに、下側が BODY に縫われる側です。
あえて裏のカラークロスが芯のエッジからはみ出していますね。
芯の裁ち端から解れた麻芯のケバが飛び出たりするのを防ぐ為となります。
衿芯の赤矢印 これが『 返り線 』であり、折山線という事に成ります。
(返り線から下側は衿腰と呼びます。)
この返り線上に(折山線)、先ずは芯とカラークロスを止める為に、躾により縫い止めてあり、それからハ刺しを施していくわけです。
ここ、後で関係してくるので 良く見ておいて下さい!!
増芯には、後付けでも先付けでも効果は基本的に同じです。あとは何を狙ってそれを増すのかという事で変わります。
先付の場合は現時点でセットします。
出来上がった地衿を簡単にクセ取りし、BODY に乗せ、先ずは地衿のみ BODY に付けてしまいます。
BODY に付け、ラペルやネック周りをプレスし安定させたところです!
インカーブ・アウトカーブ、そして伸びる所、縮める所 首周りの立体加減は本当に複雑です。
この複雑怪奇な部分に対し、上手く馴染ませようとすれば やはりバイアスの効果が無ければ厳しいでしょう。
また、かなり大きな衿と成っていますが
周りには裁ち落す予備分が付いているのです。大きめに作り、平面では無く 立体と成った物に対し 一番の理想線を導き出し、そこでカットする事が狙いです。
ある程度の動きは経験により計算がたちますので導けますが、ここまで立体に成りますと計算による誤差が発生します。
それを補う為にも この様なやり方をする訳ですね。
衿が首に添う為には 大体写真の様に湾曲した形に成形されます。
この写真も良く覚えておいて下さい! 次回の話ではとてもリンクする、しなければ成らない形状と成ります。
指の所を見て下さい!
最初の写真を思い出して下さい。地衿をハ刺しする前は当然平面でした。
返り線に芯とカラークロスを縫い止めていた 赤矢印部分の躾糸。
ピンと平らに張っていた糸が、ここまで来ると こんなに糸に緩みが生じています。
単純な事です。 返り線の距離がこれだけ縮まっている事を意味します。
地衿を 着用されている形状にセットした上で 『 出来上がり線=裁ち落とし線 』 を引いて参ります。
上衿幅、刻み、各カーブ線の具合を良く確認!!
引き終わりましたら、必ずトルソーに着せて また確認!
左右対称バランスなのは当たり前、デザイン的な線のバランス(ヘコミやハラミは?)は?
前から肩、後ろにかけての線のつながりは??
ほんの ちょっち修正!!
こんなの、、、完成してしまえば殆ど分からないでしょう。
ですが、この数ミリが重要な拘りでもあり、私にとってはとても大切なのです。
私の頭の中には理想形態が確りあるからです。
当然 衿周りは上着の顔でもありますからね!
線が上手く引けましたら、その線通り慎重にカット!
刻みの角は落とし、、、、ハイ 完成です。
これで衿の土台と成る地衿が無事に付きました。
しかし、地衿のエッジの部分までハ刺しが施されていませんね。
不思議に思われた方、素晴らしい洞察力です!!
これはですね、、、
この隙間に、上衿の縫代を差し込む為 あえて隙間を開けています。
故に縫代幅分だけあえて指していないという事に成ります。
・・・・ハ刺しの細かさ、糸の強さ、指し方、型の取り方、増芯の種類、加え方など 技術には様々な手法があります。
技術は一つでは無く、正解!? というのも考えや価値観により変わります。
私が理想とする衿の FITTING、そしてデザイン、強弱などバランスを踏まえた上での理想像があり、そこへ到達する為に どの様な技術を用いるか、、、これに尽きる訳です。
だからこそ技術は難しくもあり、楽しくもある。 (少し自己満もある(笑))
次は出来上がった地衿に対し、共地である『 上衿 』を据える工程と成ります。
その内に続きを書きますので、お付き合い頂けましたら幸いで御座います。
・・・・・・・・如何でしたでしょうか。
自分なりには噛み砕いて書いているつもりですが、やはり分かり辛いかも知れませんね。
いろいろ考えて作っているんだな〜 くらいで結構です!
プロとして、お代を自信持って頂けるという事が どれだけ大変で難しい事なのか
自分自身深く理解しているつもりです。日々精進に他なりません。
また、技術は進化するものであり、そうでなければ成りません。
Dittos を開店し、5年目に入りました。
この約4年の中で、裁断含めいくつかの改善や『 気付き 』、そして『 ひらめき 』がありました。そこに発展があります。
という事は、自身で喜んで着ている自分の服も、5年前、10年前の技術は古いとも言えます。(ここまで来れば、そんなに大きな違いはありませんが、、、。)
技術者は一生勉強 というのは、こういう事だと思います。
100点を狙っても、100点が取れない。 必ず何かある! それを次に生かす。
言い換えれば、自己満足してしまえば そこがある意味ゴールと成ってしまうと言えるでしょう。
BESPOKE で得た経験値が、HOUSE STYLE ORDER へ還元されます。
こちらも進化しています。
Dittos ならではの、Dittos でしか味わえない誂え服を 少しでも多くの方々へお届け出来る様に頑張りますので、どうかこれからも宜しくお願い致します。
・・・・・・・・・もう直ぐ 2月
まだまだ寒いですが、お店の方は2月より生地なども春夏に切り替えます。
今年買い付けた素晴らしいネタも御座いますので、徐々にご紹介させて頂ければと思います。
今月末には新作タイも届きますし、シャツ地含めシーズンファブリックも2月位から届き始めるでしょう。
春・秋がベストシーズンと成る 弊店5周年記念生地
そろそろ そのベストシーズンを迎えます。
これ以上の生地はそうそう無いです。
拘りをもってわざわざ別注し、それを仕立てている私が言うのですから間違いありません!! (勿論、我が子可愛さも多分に含まれますが(汗))
これから色々と具体的に御紹介させて頂く予定です。
http://dittos.seesaa.net/article/369343341.html
http://dittos.seesaa.net/article/369975398.html
現在 一番人気は、ダークネイビーのプレーンなウーステッドです。
それからシャークスキン、ミッドナイトブルーの順番ですね!
大変光栄にも この計5種より 既に3種・3着目をお考えの方もおります。
着て頂ければ この子達の説得力が、、、、お分り頂ける事と思います!!
では、今週も誠に有難う御座いました。
また来週も宜しくお願い致します。
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