2014年03月04日

【 衿 A 】


 こんにちは。
先月 2月24日に 集英社様より 【 UOMO 4月号 】 が発売に成りました。

まだまだ寒いですが、もう春号です。

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ファッションという括りで見れば、もう何でも有です!
本当に様々な洋服、小物、様々なブランド、、、、洪水の様でお腹一杯に成りました!

デザインから着こなしまで本当に幅広く、ファッションを、そしてお洒落を楽しまれております。

私もお声掛け頂き、光栄にも載せて頂きました。
撮影の日、とても寒い中 トロピカルスーツで出向いた事を思い出します。
しかし、あんなに何枚も何枚も写真を撮り、掲載された写真の私は、、、、お恥ずかしばかりです。


30年後、今のファッションを振り返った時
どんな形容をされるのでしょうか。それはそれで楽しみではあります。

 皆様も宜しければ是非ご覧になってみて下さい!!














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 さて、今週は衿作りの続編を御紹介させて頂きます。
前回は地衿を作って身頃に付け、上衿掛けの手前まで進行致しました。
http://dittos.seesaa.net/article/386269701.html
( 衿 @ )

これから上衿(共生地)を、立体的になった地衿に据え付け、手縫いで縫い上げて参ります。










 先ずは上衿のパーツを残布より裁ち合わせします
柄があれば身頃の背中心(衿が折返って身頃と重なる位置)に合わせ、縦横の柄が合う位置でとります。
柄物でも無地物でも 生地方向は身頃の向きに合わせます。

生地の織りによっては天地違えば随分と光の反射と共に見え方が変わってしまいます。
上衿は折り返りますので、勿論返った状態で向きを合わせる訳です。

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大目に縫代・折代を付けて荒裁ちされた上衿です。

上端 これが衿のエッジライン(外枠の出来上り線)です。
横地を正確に合わせているのが分かりますね。
しかし、フラノ等の起毛系の場合は地の目が良く見えません。
その場合は、横糸を端から端まで通るまで抜いていき、裁ち揃えて横地合わせをします。


大まかに切躾(白糸の印)が打ってありますが、肩や折返り線を表しており、これがクセ取りを行う際に具合の目安になります。
また、上衿を地衿に設置する際には やはり目安と成りつつ、左右のバランス確認にも役立ちます。

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 以前にも書いた事がありますが、クセ取りとは 水・熱・圧力により生地の目を動かし成形する事です。

例えば、直角平行なウインドーペーン柄で考えると、直角で構成される四角形を平行四辺形に動かすというと分かり易いかも知れません。










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 ハイ、出来ました!
UFOの様な形に成ります。身体に、首に添う衿(地衿)の形状に合わせると こういう形であるという事です。

重要なのは、自身から見て縦地方向は常に並行で自身に対し直上である様にしなければ成りません。(赤色矢印が縦地方向であり、矢印と平行に地の目が走る様にクセ取りします。矢印・縦地の目が扇型に成らない様に!)

故に、縦地は元のままに、横地のみ移動させUFOの形状に動かします。
柄で考えると、直角の四角形が 平行四辺形に成ると言いましたが、部分によりその菱形具合の角度が違う事に成ります。

では、何故縦糸は基のままなのでしょう、、、!?  これにも確りと具体的な理由がありますが、図解無しで説明すると絶対に伝わり辛いので省きますね。
(ご興味ある方は是非店頭にてお尋ね下さいませ!)


上衿パーツの中腹 横方向に折山線(返り線)の切躾があり
この下側が衿腰部となります。
この衿腰部を伸ばすと より上衿掛けがスムーズになります。が、しなくても上手く掛けられるのであえてしません。





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 次に、エッジの部分は1縫代(0.7p)で折込みます。
勿論柄があれば地の目を揃えます。バーズアイであれば、鳥目の一列を拾って折ります。
これで準備OKです。

いよいよ地衿にかけます!












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・・・・ハイ、掛かりました。中間の写真が無いです、、、真剣に集中していると写真を撮る事を忘れてしまいます(汗)。 上衿掛けは結構神経使う工程です!

内回り・外回り・反ったりしているインカーブに合わせ、地衿に無理なきよう躾を順番に打ち、据えて参ります。

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・・・内回り・外回り、これはとても重要です。立体的な服とは何層もの積み重ねで出来ています。分かり易くは表地・芯・裏地といった具合ですね。
様々な部位を、身体を包み込む服を円柱と考える訳です。

 これは、車でいう内輪・外輪差も近いですね。
例えば、お札を綺麗に角を合わせながら 半分、更に半分と5回以上畳んでみて下さい。
1回目の畳みなら良いですが、それ以上は100%角がズレてしまいます。
 当たり前!? これが内回り・外回りであり様々な個所に考慮され、生かされています。

身頃の芯据えもそうですし、肩パット等を作る時もその考えが生かされますが、場合によっては その理論を逆に利用したりも致します。


 技術とは、親方に手法を習い それを真似ているだけでは ただの『組み立て』であり、一向に『洋服を仕立てている』という技術には成り得ないと思います。

何故!? どうしてそうするの!? 単純で、純粋で、、、これが一番大切な技術の習得という事かも知れません。勉強でもそうですが、基礎が確り出来ていれば幾らでも応用・発展が出来るのです。






話が少し逸れましたが、これが上衿掛けという工程です。
複雑な立体へと成形された地衿、これは前回ご説明した様に 織り芯のバイアス地の目を使うので馴染ませやすくはあります。

むしろ、その複雑な加減で立体に成形された地衿に対し、横地でとられた生地を馴染ませ、皺やツレ等が出ない様に上手く据える方が何倍も難しいと言えます。

 融通性が低いキッドモヘアやシルク、強撚糸系等の生地はより難しいですよ!!



あとは、据えた上衿を縫い止めて参ります。













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ラペルと上衿を繋ぐゴージライン、ここは【 ハシゴまつり 】という縫い方を使います。
拡大してみましょう!

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ハシゴ状に糸が渡っているのが見えるでしょうか。
少しずつ縫い進め、絞ります。

縫いが緩すぎると縫い目が笑ってしまいます。(パカッと離れる)
強く縫い過ぎると生地の地の目は歪み、ツレてしまいます。

据え具合もそうですが、『 丁度良い塩梅 』 これが手縫いの『 加減 』により行われています。











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エッジラインは、【 星縫い 】を施します。
飾りステッチ兼 エッジの固定であり、生地と芯とを止めています。


裏側にはカラークロスというバイアス地で フエルトの様な物が使われています。
カラークロスは、上衿のエッジの様に折代を取り 織り込んだりせずに裁ち切り(切りっ放し)で使います。

周りは全て【カラゲ縫い】で縫い止めて参ります。

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カラゲ縫いは、空(カラ)でも行いますが、解れ止めの効果を持たせた縫い方です。

折代を持たせず、切りっ放しである截ち切り線では解れてきてしまいますので この縫い方が使われます。

裁ち目を糸で巻き込む様に、そして止め付ける生地をすくいながら縫います。


刻みの角はチョン丸に成形。
刻み部から、裏側に折り返った共生地部分をヒゲと言いますが、
これは大手術!?(大きな補正:極端に体形が変わった方が着用する場合など、仕立て直し等のレベルで行う直し)で衿のサイズが変わる場合、対応出来る様に大目に残してある訳です。

トラウザースの尻縫い目、ウエストを調整できる様に既製服でも縫代が大目に付けてありますね! 用途は同じで御座います。











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出来上がりです!!

地衿と上衿のマッチング、そして衿として首(シャツのカラー)に程好く沿うのが望ましい衿作りです。
地の目も自然で微塵の歪みも無く安定しています。

ラペルの返りに繋がる極上の衿作りが出来上がりました!!



弊店では、ハンドメイドである以上 接着芯などは一切使いません。
それこそ生地の素で持っている風合い、そして融通性やその個性までをも尊重するからこそです。

 大量生産を前提に考えれば、それこそこんなに技術的な工程含め、手縫いなど手間暇をかけられません。 という事は、何かを犠牲にしなければ成りません。
ただ、犠牲伴うが故 お値段もお安くなり、早く出来る事もメリットとなる訳です。


大量生産=効率化 であると言えなくもありません。

本来あるべき手作りの技を、どう工程分解し、簡略化・分業化、そしてムラ無く画一的に作れるか。
ある意味では研究が積み重ねられて 今ある大量生産に伴う既製服やそれに近いオーダー服があります。


 では、品質という仕立てのステージを上げる為にはどうすれば良いのか、
単純に今まで辿ってきた道を逆行します。


そんな単純な事柄から設定させて頂いたのが
HOUSE STYLE ORDER の部分的なハンドメイドOP でもあります。

BESPOKE ORDER によるフルハンドメイド、、、、
何故その技術を使い仕立てられているのか、理由が確りあるからです。





 そして私が一番感動するのは、感謝と共に先人達の技術による軌跡です。
技術である以上は発展もあります。
生地の移り変わり、服としての価値観の持たれ方などによっても、伴う様に技術は発展し 移り変わっていかなければ成りません。

しかし、根底と成る仕立て術は 大きく変わる事がありません。
多分変える事が出来ても また元に戻ってきて、「やっぱり、、、」と気付くのではないでしょうか。その位の根本的な完成度を誇っていると思います。



そういった見方をすれば、イギリス流、イタリア流、日本流、、そんな括りはとても小さいとも言えます。
技術の答えは一つでは無く、価値観により何通りもの答えがあると言えます。

だからこそ難しくもあり、楽しくもあるのが技術です。











・・・・・・・・・・・如何でしたでしょうか。
どうも技術的な話題は独りよがりに成り易いですが、

何でもそうだと思いますが、物事にはステージというものが存在し付きまといます。
そのステージをほんの少しでもお伝え出来る事が出来ましたら幸いで御座います。










 流石にそろそろ春が恋しく成って参りました。
コートを着ずとも、スーツ姿で丁度良い春。

是非 軽やかな装いをイメージされ 素敵な春夏用の誂えを楽しまれては如何でしょうか。

皆様のお越しを心より お待ち申し上げております。

 今週も誠に有難う御座いました。






posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕立てについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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