2015年02月10日

【 H.S. I様のご注文 】



 こんにちは。
寒い日が続きますが、皆様お変わり御座いませんでしょうか。

 好天が崩れ、雨が降ると雪になる懸念もあるこの時期は
着るものにも履くものにも悩みますよね。












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 ロンドンのジャーミンストリートを颯爽と歩く紳士。
1930年代の写真ですが、ワイドなラペルにゆったりとしたトラウザース、そして中にはダブルのウエストコートを合わせたエレガントな三つ揃いスーツです。

 極一般的な方でさえこのレベルです。時代性は感じるものの、スーツはやはりエレガントに着こなしたいものです。














 さて、今週は HOUSE STYLE ORDER より 大変御贔屓にして頂いております I様 の御注文を紹介させて頂きます。





I様も以前ご紹介させて頂いたH様同様に大変身体の大きい方です。
背もありますが、確りと厚みもあるお身体をされております。

 ここ最近では随分とお痩せに成り、サイズ直しで随分とコストも掛かってしまいましたが それはそれで嬉しい悲鳴ではないでしょうか。
ご健康の為にも是非維持されて下さいませ!!






 そんなI様ですが、弊店と御縁を頂く前は 有名な TAILOR にて誂えておられたそうです。


 そのお店で仮縫いを付けて仕立てたにも関わらず、「何故こんなにブカブカなの?」と なかなか御満足いく洋服を手に入れる事は出来なかったそうです。

原因には様々な憶測が経ちますが、それよりもガッカリされてしまったお気持ちをお察しすると共に、『 TAILORで誂えてもこんなものか、、、』と思われてしまうのは本当に残念な事です。

色々な TAILOR(お店)があります。
食に置き換えると理解しやすいかも知れません。






やはり誰しもがシュッとシャープな感じで、かつ服が身体に寄り添い、
気持ち良く、気分良くスーツを着こなしたいと思うものです。



自分自身に見合ったサイジングとは、、、。

I様は光栄にも弊店へ来て下さりました。




 ご縁を頂き、一着スーツを誂えて頂いてからは ずっと御贔屓にして頂いております。
スーツに限らず、シャツもお作り頂きました。
本当に嬉しく、心より感謝しております。







 そんなI様と 数年お付き合いさせて頂く中、素晴らしい生地に悩まされ 随分と御予約生地も多くなってしまったこの頃、満を持して弊店HSでも仮縫いをお付け頂き 今回の三つ揃いをご注文承りました。




今回のスーツは今までの FITTING よりも当然精度という部分は上がる訳ですが、
分かり易く言うと ご希望踏まえ、今まで以上に FIT させて頂いております。

もし1着目から今回のサイジングでお作りしたら きっと 『キツイ』『小さい!?』『あたる!!』 と言われていた事と思います。

正直に言いますが、FITTING にも やはりある程度の『慣れ』も必要です。
御自身の基準を再構築する必要があるからです。
 好みは勿論大いに尊重致します。しかし、本来あるべき理想的なバランスやユトリ感、そしてその入れ方など。
私の価値観による そのバランスをご提案させて頂く事に成ります。










 当たり前ですが仮縫いとは未完成品です。
だからこそ、完成する前に確り 私とお客様にて お互いに様々な確認がとれる事に成ります。 すり合わせの上で再補正を施し 安心と期待をもって FINISH へ向かう訳です。

(当たり前ですが、押し付けがましくする事など絶対にありませんのでご安心下さいませ!! ご提案があったとしても、大前提として誂え服はそのお客様の洋服であり、お客様の為だけに仕立てられる洋服です!!)














 さて、今回お選び頂きました生地は グレーのウーステッドフランネル です。
グレーフランネルと言えば、グレゴリー・ペック主演の映画を連想される方も居りましょう。


 このフラノは かなりレアな代物です。
入荷当時は是非BLOGで御紹介したかったのですが、モタモタしていましたら直ぐに無くなってしまいました。

 随分あったのですが、皆様とても目が肥えておられますので!!

既にご注文頂く事の出来ぬ生地ゆえ、詳しく説明しても仕方が無いのですが、、、
H.Lesserの古い生地であり、イタリア製のフランネルとなります。


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 イギリス製でフラノと言えば 真っ先に浮かぶのは『 FOX BROTHERS 』です。
しかしイタリア製でフラノと言えば 1815年 ビエラに設立された『 GUABELLO 』とその道の方に聞いた事があります。

そう、この生地はグアベロに織らせたフランネルという事なのです。


何故 H.Lesser が FOX では無く、GUABELLO を選んだのか、
この生地を見れば 何となくお分り頂けるのではないでしょうか。 本当に素晴らしい魅力を発しています。

 今 皆様がイメージされる様なイタリア製の生地とは全然違います。
ウエイトなんて、、、500gは軽くありそうです。

そして打ち込みも相当確りとしており、作る前から仕立て映えしたその様が目に浮かびます。
 また、程好い艶!?(フラノで!?)そして しっとりとして 大変しなやかな肌触り、イタリア製らしいFINISHING の上手さが本当に出ています。










この生地は80年代製ですが、「イタリアでもこんな生地が、、、、」というのが率直な感想でした。
H.Lesser は目指す品質や規格によっては英国製に拘らず、しばしばイタリアのミルへも別注を掛けていました。

これはヨダレが出る様な素晴らしい生地でした。
H.Lesser の物作りに対する価値観というのが垣間見られる生地でもあると言えます。

 今でもグアベロ社へ別注を掛ければ この品質レベルを作り出す事が出来るのでしょうか、、、、興味があります。















 では、前置きが長くなりましたが I様のクラシックなスーツをご覧頂きましょう。






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洋服は着る物であり、人間は動くもの、
やはり皺を含め 身体に追従してイキイキした洋服は美しいものであり、静止体では魅力の断片しか伝わりませんよね。

I様の照れと共に、微かな笑みより、、、御満足を頂けたようです!!












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 2面2ダーツ裁断の3釦 ノッチドラペルを お好みでワイドなラペルにしてあります。
お身体も大きいので この位の方がバランスも良いですね。
仮縫いを付け、お仕立てはハンド工程もオプションで付けて頂いております。

長く御付き合い頂ける素晴らしい1着と成りました。











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 前後のバランス、上着からトラウザースへのアクセス、
程好く寄り添うクセ取りの立体的なフォルム。 バッチリで御座います!












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 しかし男らしい とても広い背中をしておられます!



・・・・・今回の写真全てですが、ご納品時の新品状態ではありません。
後日別件でご来店された折、嬉しくも早速御着用されてお越し下さりました。
少し御着用されている故 少々の着皺が入っております事をご了承下さいませ。











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ダブルのウエストコートです。
シングルのウエストコートは胸部すぐ下から釦で左右打ち合いが止まります。

しかし、ダブルはお腹周りのウエスト部分でしか止まらない事に成ります。
この辺りの FITTING バランスの加減が難しい所でもあります。











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ウエストコートの背中、トラウザースのバックスタイルと共にバッチリ合っておりますね。

身体のボリューム感が増してきますと、往々にして肩先が丸くなり 肩先設定が出し辛くなります。
厚い肩パットで矯正しようものなら着心地を代償として支払わなければ成りません。
快適な着心地であると共に、ナチュラルテイストなショルダーラインを目指します。












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トラウザースもとても綺麗です。











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I様 良くこのポーズを取られます! きっとクセですよね。

アームホール(AH)も随分と身体に合わせ小さくしています。
 このBODYサイズで このAH径は仮縫いを入れた 正に誂えならではですね。
その分シャープな袖や脇のシルエットと共に、機能性も格段に増している筈です。

全然違うのが分かりますよね!

これからは この FITTING に慣れてしまうと 他の洋服がどれだけユトリ多く合っていないか、かつ機能性が低いのか身体が知ってしまいます。(勿論 AH だけの話ではありません。)
 誂えでしか実現出来ないレベルですから贅沢なお身体になってしまう事に成りますね(笑)。














 このスーツをもう少し着込んでみて下さい。
今以上に馴染んできます。お身体も慣れてきます。

そこからです!!

着る事でしか分からない事が沢山御座います。お仕事含め、普段の生活(動き)の中で感じられる事、、、、個人的なご意見があれば是非聞かせて下さい。

必ず以後に繋げます。

『 型紙を育てる事 』 それが より一層自分の好みや らしさ の入ったI様のスーツへと成って参ります。















・・・・・・・如何でしたでしょうか。
体型は個性でもあります。 モデルが格好良いのは当たり前、私自身含め色々と体系的なコンプレックスを感じている方は多いかも知れません。

 本人がその気になれば、ある程度は身体も矯正出来るわけです。
体重の増減や筋力アップ然りですね。

ただ骨格までは変えられませんし、身長が伸びる訳でもありません。
良い意味で自分を知り、自分を認めてあげる事。

それは誂えの服を着る上では大切な第一歩と成ります。




 I様、とてもお似合いですし素敵です!!
この度も光栄なるご注文を、並びにご協力頂きまして 誠に有難う御座いました。









 ではまだまだ寒さは続く事と思いますので、どうか皆様 ご自愛下さいませ。
今週も誠に有難う御座いました。








posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | クライアント様の洋服 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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