2015年06月30日

【 REAL HOME SPUN A 】


 こんにちは。
明日から いよいよ7月に入ります。 もう2015年も後半に入りますね。

 そろそろ 今年の秋冬について構想を練られている方々は多い事と思います。


その中でも やはりTWEED は欠かせぬものではないでしょうか。



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・・・昨年の9月に御紹介させて頂きました 【 REAL HOME SPUN:蟻川工房 】
http://dittos.seesaa.net/article/404715515.html


日本の岩手県にて、全て手作りで織られている本当の意味での HOME SPUN TWEED
が御座います。

羊毛を染め上げ、手紡ぎした糸の事を『ホームスパン』と呼びます。
もともとは、羊毛農家が余った物を自家用に紡いでいたのが始まりだそうですが、
スコットランドやアイルランドの羊毛農家では普通に行われていた光景です。

















何故ゆえ 手作りに拘るのか・・・



 機械で紡績された糸を使い、機械で織り上げられた生地では到底敵わない領域というものがあるからです。 その掛替えの無き魅力を知ってしまったからとも言えるのではないでしょうか。
洋服作りもそうですが、人間の手が生み出すものは まだまだ機械に負けないという事でもあります。





スコットランドでさえ、今ではなかなか見受けられなくなった昨今
この日本で、岩手で生産されているというのも不思議な感じが致しますね。




 昨年に御紹介させて頂きました折、顧客様よりご注文頂きました生地がいよいよ織り上がって参りました。


本織りの前には小さなスワッチ(生地サンプル)を織って頂けます。
4種も作ってくれるのですが、それぞれ微妙な色加減や織りの表情などの顔立ち、そして糸の太さや打ち込み密度など あえて変化を持たせた差があります。



 ご注文下さったお客様と確認させて頂き、一番イメージに近いスワッチをベースとし、加えてリクエストがあれば本織りで生かして頂きます。


その最終確認も終わり、後はいよいよ織り上がりを待つばかりとなっておりました。








蟻川工房さんとは随分と打ち合わせを重ねて参りましたし、銀座で展示会を行われた時には弊店にもご足労頂きました。

 今までのご経験では、今回の様に洋服の作り手と直接的なディスカッションをする事がほぼ無かったそうです。

そういった意味では先方様に随分と感謝して頂きましたが、お互いにお客様へ最高の品物を届けたいが故の当り前な行為でもあります。






 生地を織る(生み出す)のであれば、やはり洋服作りにおいての価値観も理解して頂く必要があります。
マフラーでしたら全く問題無いのですが、切って、縫って、コテを当てつつ仕立て上げ、更には着用するのです。
サイズ的なフィット感や動きに対する追従性、そして何十年も着て頂く前提ですから 生地の経年経過も考えなければ成りません。


 蟻川工房さんのTWEEDは 根本的に全て手作りなので、色出しから糸を撚る所、そして織り具合まで 本当に何でも『 手加減次第 』という事に成ります。



これがどれだけ凄い事でしょうか、、、、、。





紳士服地としてのTWEED、、、
随分私自身の価値観も具現化して頂き、本当に素晴らしいTWEEDが織り上がったと思っております。

















 では、X様よりご注文頂きましたTWEEDを皆様にも是非御紹介させて頂きます!!










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届きたてホヤホヤです!

是非X様にも開封時のワクワク感を!!



綺麗に和紙で包んであります。
丁度 サイズ感含め枕みたいな感じですね。


和紙を広げてみると、、、











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顔を出しました!!

おおーーーーーーーーっ・・・・・・・

・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・。



圧倒的な存在感です、、、、。



ボキャブラリー乏しき私では、ただただ「凄い・・・・・・。」


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時間を掛けて、心を込めて織り上げられている姿勢そのものが伝わってくるようです。


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昔ながらの手織り織機は幅が狭く、約90p幅位ですが
縮絨もされておりますので もう少し幅が狭くなっています。

お店でも更に地のし致しますが、生地自体を縮絨し安定させなくてはビヨンビヨンに伸びてしまいますね。
 いざ洋服を仕立ててもサイズ自体が意味を成しません!!


 では、その縮絨とは、、、簡単に言えば 強制的に縮めて織り密度を確りと密に安定させる事です。

織り上げられたそのTWEEDは、大きな桶の中に入れ、お湯で浸し
昔の葡萄酒を作っていた様な感じで足で踏みつけ、潰しながら揉んで参ります。
 なんと、約1時間も行うそうです。


そして頃合いを見て、最後に水で締めるそうです。


潰され、揉まれた生地の原毛は複雑に絡み合い、独特の風合いへと変化して参ります。
フエルトを作る様な感じだそうですが、やはり経験による『丁度良い塩梅』が重要だとの事です。



7月にも弊店へ来て下さるそうなので、今回使った原毛や写真なども御持参くださるとの事。
また改めて御紹介させて頂ければと思います!!












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お選びに成られた生地は 平織で主に水色とベージュ色で構成されています。
 遠目には青と黄の交織なので、少し緑っぽくも見えたりしますね。


組織を良く見ると、階段の様に見える感じも独特な顔立ちです。




 その生地の表層的な顔立ちには とても立体感があります。
これもリアルなホームスパンだからこそでしょう!!


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確りと強めに糸を紡ぎ、確りと織り密度高く意識して織り上げてもらっています。
サンプル帳の頃とは比べ物に成りません!

 しかし、柔軟性や弾力性も失っておらず、大変粘りのある風合いとなっております。

はたして どんな着心地になるのでしょうか!?
優しく暖かで動きやすいTWEED JACKETになるであろう事は安易に予想が付きます。
 こればかりはご注文下さった顧客様しか知り得ない事ですね!



もの凄くオーラを感じる生地です、、、。

これから裁断、縫製へと進めていく訳ですが、結構緊張します。
様々な意味でプレッシャーの大きな仕事ではありますが、遣り甲斐や楽しみも大きく御座います。



 X様、順次進めて参りますので 今暫しお時間を頂戴致します。

















・・・・・最後にこちらも!




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H様のご注文によるスワッチも届きました!!

こちらの生地はクラシックなヘリンボーン柄。
ブラウンベースでありながら、敢えてかなりの色糸を混ぜて複雑にミックスされた色合いが特徴と成るデザインをお選び頂きました。




こんな私の撮ったBLOG写真では、くすんで渋く見えてしまいますが
現物は全然違います! もっともっと表情が豊かに表現されております。
(写真は難しいです、、、。)



 ここからは、H様にご判断を委ねます。
微妙な色味や風合いなどの具合はスワッチより吟味して頂きます。

これらをベースに、更にブラッシュアップされて本織りと成りますので
期待感は膨らむばかりですね。












・・・・・・・・・・・・如何でしたでしょうか。

もう本当に膨大な時間と御苦労が掛かって織り上げられた REAL HOME SPUNです。

その分 お値段も凄いですが、この様な文化を残す為にも
是非少しでも多くの方々に知って頂き、少しでも多くのご注文・お仕事が集まればと願っております。


 また続報も御紹介したいと思っておりますので
何卒宜しくお願い致します。











・・・・・・・・・・・・今季買い付けの生地が届いてきております。

機械織りではあるものの、素朴で魅力的な素晴らしいTWEEDから
これぞ大人の着るべき最高のCASHMEREまで 沢山の良い生地と出会いがありました。

これから順次御紹介させて頂きますので、是非ご期待下さいませ。





 では、今週も誠に有難う御座いました。










posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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