2015年07月21日

【 THISTLE VINTAGE SUITING 】



 こんにちは。

いよいよ関東地方も梅雨が明け、本格的な酷暑が既に来ていますね。

同時に台風12号がまたこちらに進路を向けております。

次々と襲ってきますが、暑さと共に どうか皆様ご注意下さいませ。








さて今週は、今季お勧めスーチングの中より
英国は高級マーチャントである HARRISONS からの企画生地を紹介させて頂きます。



 もう2年前になりますが、同社が150周年記念に合わせ ANNIVERSARY TWEED を展開致しました。
http://dittos.seesaa.net/article/366665989.html



そして翌年には ARCAHVE FLANNEL を送り出して参りました。
http://dittos.seesaa.net/article/403187884.html




 今年で三度目の企画生地と成りますね。
毎回魅力的な生地を送り出し 大変好評だそうですが、これらは限定商品という事もありますので 人気の色柄は直ぐに売り切れてしまいます。

少なからず弊店でも御注文を頂戴致しまして光栄な限りであります。





では、2015年秋冬として 今回の企画生地はどんな感じでしょうか!!














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 HARRISONSのトレードマークでもある赤がとても目を惹きます!




1863年 後にエジンバラ市長と成る サー・ジョージ・ハリソンによって創業されました。
現在は LEAR,BROWNE & DUNSFORDのグループに属しておりますが、それ以前には中央に見えるマークも使われていたそうです。

 これはキク科の植物である【アザミ】であり、スコットランドの国花でもあるそうです。

昔からカシミアなど起毛系の生地にはアザミの実を使って起毛させてきました。














【 THISTLE VINTAGE SUITING 】







THISTLE とは、そのアザミの事です。

同社の1970年代のアーカイブより抜粋したデザインを、約400g というウエイトで確りと打ち込んだ英国生地らしいコシのある生地を織りあげて参りました。


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3種のデザインを 2〜3色で展開し、計8種御座います。
今までと同様に、一種につき2反しか織られない限定生地と成ります。



 今回のスーチングにおいては、もう一つの拘りがあります。


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右下の部分を良く見てみて下さい!

『 LONDON SHRUNK 』 と表記があります。 これがその拘りです。



これは、今と成っては手間のかかる付加価値的な最終仕上げ工程を指すのですが、
こうサラッと表記されていても、先ず一般的には知られていませんので説明が必要と成るでしょう。


SU|HRUNK=縮む と訳しますが、この場合は生地を織りあげた後に行われる
『 地詰め 』を指します。

 生地はご存知の通り、縦糸と横糸により織り上げられるものです。
織り上げられた生地を確りと安定させる為にも良い意味で 予め縮絨させる工程です。
 生地は織物である以上 歪みなども発生しますので、それら全てを地詰めにより矯正・安定させます。

地詰め・地直し・地伸し 等とも同義となります。

織り上げられた生地はこの最終工程(仕上げ)を得て完成であり、始めて流通致します。
ただ、私たち作り手の手元に届き 大抵のTAILORや工場さんは更にもう一度地詰めを行い裁断致します。


 一番簡易な地詰めでは、単純に説明すると 高圧のスチームと圧力を掛ける専用の機械に通されるだけです。

しかし、昔はもっと手間暇をかけ 極当たり前に行われていた手法がこの度の ロンドンシュランク という手法なのですが、近年では機械化などの効率化により行われなくなってしまった古き技法です。





 では、どの様に行われていたのでしょうか。




私自身でもコットンやリネン等の植物繊維は湯通しをして縮絨(地詰め)させますが、本来ではウールでもその方が効果は高いとも言えます。(例外生地もあります。)






・・・・・毛織物の仕上げ工程とは、良し悪しを決める大変重要な工程です。

昔から高級仕上げの一種として行われていた ロンドンシュランク。
織り上げられた長い、長い生地を大きな台の上に広げ その上に濡れた布を被せます。
そしてその上に また生地を重ね、更に濡れた布を被せます。

何層ものサンドイッチの様に、、、、
 水に浸された布から織り上げられた生地は半ば水に浸かっている状態になりつつ、何層にも重ねますので、重さによる圧力が掛かる事にも成ります。

そのまま一日間寝かて、生地に確りと水分を吸い込ませます。

その後、屋根下に生地を広げながら吊し干しし、数日間掛けて自然乾燥させるのです。

 大変広い面積と共に干す高さ!?もそれなりに必要です。
生地はどんどん織り上がって参ります。 どれだけのスペースと時間と共に 人の手が加わる事でしょうか。


こうして仕上げられた生地は、
『目の確りと詰まったボディーと、豊かな風合い』 が生み出されるとされています。



 これだけ様々なコストが掛かる為、近年では殆ど行われなくなってしまいました。


しかし、ヨークシャーを代表するフィニュシュ工程専門工場である W T JHONSON社が最新の機械を使い、このフィニッシュを再現する事に成功したそうです。

この度の THISTLE VINTAGE SUITING は勿論の事、高級で拘った生地は
LONDON SHRUNK 表記の生地も見かける様になりました。





・・・・・因みに、英国には上記とは違う伝統的なフィニッシュとして、ペーパープレス と呼ばれる技法があります。
 これは、上記で説明した『 濡れた布 』の代わりに、特殊な『 厚手の紙 』を挟み込み、やはり同じくサンドイッチの様に何層も挟みながら重ね、最終的に電熱と油圧を与え やはり時間を掛けながら仕上げるというものです。





どちらにせよ、良い物を作るには相応の努力と時間が必要だという事ですね。




 では、この拘りFINISHINGを経て仕上げられた THISTLE VINTAGE SUITING をご覧頂きましょう。















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・・・今ではあまり見られないデザインです。
バーズアイやピンヘッドの様なドット柄デザインに、目立つダイヤゴナル(斜め線)が組み合わされています。
 個性的な印象を感じられる方も多い事と思います。

今と比べれば、昔は生地のデザインバリエーションがかなり豊富だったのです。














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・・・左側 こちらはクラシックなバーズアイ柄をベースとし、大きめ(太目)なウインドーペーン柄を重ねてあります。

バーズアイは欠かせぬクラシック柄です。 品質や色バリエーションは今でも豊富ですが
こういった柄物になると先ず見る事がありません。

 とても味わいのある 時代的らしさ も感じるバーズアイです。



・・・右側 これもクラシックには欠かせぬヘリンボーン柄です。
良く見て下さい。 色に独特な表情が出ています。 色を複数色使い、深みと奥行きを感じさせるデザインとなっております。














 私が気に入った デザインを2種買い付けました!!









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 こちらは、サンプル帳では一番下の生地です。
上からモノトーン、ネイビー、そしてこのベージュ系となる3色です。




レンガ色の重ね格子が、ベージュ系のグランドであるベースにとても映えます。

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こんなも粋なタウンスーツ地はそうそう無いですよね!
重ね格子がそんなに強くは出ないので、その控えめさ加減も丁度良い感じです。


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 英国の俳優であり、映画監督であったローレンス・オリヴィエ氏。
とてもエレガントでお洒落な方です。

このジャケット地もウインドーペーンの重ね格子が!
シスルに同じく、線が太くて堂々としていますね。

 今でもウインドーペーンは多くのデザインに重ね格子として採用されていますが、
それらの多くは単純な線のみ。 好みにもよりますが、私はこういう方も好きですね!
















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 こちらは、サンプル帳ですと 一番上となります。
基本的なグレー地なの中に、茶味(赤味)を混ぜているのでしょうか。
見方によっては緑っぽさも若干感じる様な、感じない様な!? 形容し辛い独特なグレー地のヘリンボーンです。

真ん中はブルーグレー、一番下はダークグレーと成ります。



 杉綾の織り感がとても立体的で綺麗に出ています。
黒の靴でも、茶靴でも両方合いますし、とても使いやすいでしょう。

 クラシックな柄に、ほんのり味付けを加えるだけで これだけグラマーな表情を醸し出すのです。

ちょっとだけ捻りのある、、、、でも伝統的な古典柄。
そんなくすぐられるポジションのデザインとなっております。



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打ち込みは確りしており、艶やかでコシのある風合いはフィニッシュ工程のお蔭でしょうか!?
仕立て映えする生地です!!










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美しい表情です、、、、。



こんなクラシックなダブルのスーツにも良さそうです!

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良いネタ(食材)であれば、調理の加減さえ間違わなければ 大抵は美味しい料理になってくれる筈です。期待が大きく持てますね。

















・・・・・・・今回のシリーズですが、正式には8月よりの展開となります。
弊店買い付け生地は早々に入れてもらいましたので、店頭でいつでもご覧頂けます。

サンプル帳はお借りしている物ですが、もう直ぐ届きます!


 もし心疼かれた方がおりましたら、是非お気軽にご覧に成りに来て下さい。
勿論御予約も受け付けております。

煽るようでこれが一番恐縮なのですが、、、
どれが人気種なのか分かりませんが、限定品ゆえ品切れが発生する可能性が御座います。

 御予約頂ければ生地は先に入手しておきますので、あとはお客様のご都合良きタイミングで御注文頂ければ結構で御座います。








「 ハリソンズ、限定に味を占めたね!」 と思われる方は私も含めて少なくないかも知れません(笑)。

ただ、限定だからこそ拘り等の付加価値性や、小ロットだからこそチャレンジ出来る魅力的な生地を作ってくれるのであれば それは大歓迎な企画でもあると歓迎しております!


 今年の限定企画 THISTLE VINTAGE SUITING  を是非とも宜しくお願い致します。















では、今週も誠に有難う御座いました。


この厳しい夏を乗り切れば、装い楽しい秋冬が来ます!
それまでは涼しき秋の風を思い浮かべながら 秋冬の御構想をともに楽しみましょう。


 また来週も宜しくお願い致します。




posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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