2016年03月01日
【 ORIGINAL SOLARO 】
こんにちは。
本日より3月に入りました。
寒暖差激しく まだまだ寒いですが、そろそろ洋服屋としての立場上 ツィードは終わりにして 3シーズン用なり 春物へと装いをシフトしなければ成らないところです。
でも まだ寒い、、、、。
皆様は寒ければツィードでもカシミアでも是非着てください。
今年は暖冬もあり、着用期間が少し短かったかも知れません。
洋服の根本は防寒具でもありますので、状況や体感を優先です。
折角誂えたのですから、是非ご堪能くださいませ!
しかし、この時期は難しいですね。
さて、今週は少し個性的なスーチングを御紹介させて頂きますが
こんな時期からは俄然最適!? とも言えるでしょう。
・・・・・この紅鮭の切り身の様な鮮やかな色、、、、、、、、、
洋服好きな方にはもうお馴染でしょう。
実は生地の裏側が赤系
表側はガラッと変わり、こちらのベージュ系となります。
経糸にベージュ系( グリーン味のある色です )、
横糸に鮮やかな赤系の先染め糸で交織にされた生地です。
日差しが強く成ってくると、やはりダーク系の色味から こういった明るめの色を選択するようになって参ります。
イタリアでは一般的に ソラーロ( SOLARO )と呼ばれ、春夏用の生地としては定番的な生地と言えるでしょう。
イギリス等では サンクロス( SUN CLOTH )と呼ばれたりもしています。
燦然と輝く太陽のマークが印象的なソラーロの織りネーム
交織に織られたこの生地は、光の加減により横糸の赤が浮き出て
玉虫色に見える訳です。 綾織ですから光沢感も出ますね。
この生地の特徴や季節感などに伴い
裏地の仕様も背抜きであったり、裏を敢えて見せる仕様なんかも良く見受けられます。
イタリアの伊達男達にとって これらソラーロのスーツは最早定番とも言えるでしょう。
イタリアの生地メーカーも挙って織り上げており、今では色味のバリエーションと共に
ウールだけでは無く コットンソラーロ も作られています。
6月のPITTIでは、着用比率の高いスーチングですよね。
・・・・・実はこのソラーロという生地、イタリアのイメージがとても強く
イタリアで生まれた生地だと すっかり思い込んでおりました。
しかし、オリジナルは何と英国であり
【 SOLARO 】 はTONIKやFRESCOなどの様に登録商標でもあります。
故に、正確には SOLARO と呼称出来るのは
1921年 英国で創業されたマーチャント SMITH WOOLLENS だけなのです!
驚きの事実でした。
バッチリとアピールされていますね、 正真正銘のオリジナルのソラーロです。
・・・・・この生地はスミス ウーレンズによって20世紀初頭に開発されました。
当時は亜熱帯の植民地で働く英国人の為に、英国人が開発された生地との事です。
この交織された色味は太陽熱を和らげる効果があるとされていますが、裏側に赤を使うと光や熱を反射させるとも言われているそうです。
また、生地の日焼け防止にも配慮されているとの事。
目的が確りとあり、ファッションという観点では無く、実用性を念頭に作り出された歴史ある生地なのです。
英国の服飾史にも足跡を残す とても重要な生地種の一つでもあります。
生地写真だけで見ていると、案外派手では!? とお感じになる方も居られるかも知れません。
しかし、洋服と成り 全体像でご覧頂ければ全くそんな事は払拭されるのではないでしょうか!!
既製服とは違い、生地を見て 全体像を思い浮かべながら誂えるのは確かに少々誂え慣れも必要だとは思いますので、ソラーロスーツの素晴らしい御着用例をお洒落な方々よりご参考にさせて頂きましょう。
・・・・・ジャンニ・アニエッリ氏のお孫さんである ラポ・エルカン氏。
この方は本当に多才であり、お洒落な方でもある大変有名な方ですね。
今では世界のトップファショニスタの一人として称されているそうです。
御自身のスタイルを確立されておられる様は、どなたも本当にエレガントです。
やや赤味を感じられるベージュ系のスーツとして見られるのではないでしょうか。
ヘリンボーン柄が程好く交織の表情を浮き出しています。
先の写真はダブルのスーツでしたが、こちらはシングル。
しかも一つ釦のピークドラペルですね。
正にイタリアの伊達男です。素敵ですね、、、。
・・・・・・こちらの紳士も激渋です!
インナーや小物はブルー系でまとめています。 ソックスはボーダーで!!
グリーン、ベージュ、レッドが織り交ぜられたような複雑な色味が
光の加減で玉主色の様に浮き出るのが 正に特徴と成ります。
・・・・・こうしてみると、やはりイタリア的な伊達男
イタリア的な生地のイメージが御座いますが、
最後は クラシックでいぶし銀の様な紳士を御紹介させて下さい。
フランスを代表する俳優でもある フィリップ・ノワレ氏
『 ニュー・シネマ・パラダイス 』と言えば もうお判りですね。
本当に渋いです。氏から滲み出る個性的な味わいや魅力が とてもスーツと調和していると思います。
クラシックなスーツとは、こうやって着るんだと言わんばかりです。
先のラポ氏とは別のエレガントさを醸し出されておられます。
今からソラーロを仕立てて、良い歳になった頃 こんな渋みを醸し出して味の出たソラーロスーツを着たいと純粋に思わせる写真です。
交織玉虫の感じが程好く出ており、ソラーロスーツらしさ満点です。
・・・・・今回紹介させて頂いておりますオリジナル ソラーロから派生した イタリア製の生地では
もっと軽く、本当の意味で春夏用から3シーズン用に料理し直された生地が沢山御座います。
しかし、ここは本家 英国製:スミス ウーレンズ社の生地に拘り
フィリップ・ノワレ氏の様に渋く色気のある着こなしをしたい所です!
スミス ウーレンズでは計4種の ソラーロデザインを用意しております。
織りによるデザインの違いで、表情や玉虫色の出かたなどが違います。
オリジナル ソラーロを今でも守り続け、当時と同じ様に織り続けられている生地です。
流石は英国製と言いますか、、、、ウエイトは355g です。
トニック系なども400gレベルですから ある意味平常運転という所です!
また、良く捉えれば 300g以上あった方が強度や耐久性等も断然見込めますから 直ぐにヘタってしまうスーツには成らないという事でもありますね。
性能やデザイン面では春夏用での企画ですが
日本の盛夏は厳しいと言えますので、春秋メインの服地として御利用頂けます。
正に、今の時期の様に 春の装いでは少し物足りないかな!? という季節には打ってつけでもありますね。
・・・・・一番下の写真、幅の狭いヘリンボーン柄が冒頭で紹介した生地と成ります。
・・・・・如何でしたでしょうか。
知った以上 私の立場的には サンクロスとソラーロを使い分けなければ成りませんね。
しかし、英国の服飾史はパンパでは無いです。
英国贔屓としては、あえてこの生地を着こなさなければ成らぬ気持ちにさせます(笑)。
作りたい生地が また増えてしまいました!
個人的なワードローブへ誂え足すべきリストは
消化率を無視して増え続けるばかりです、、、、。
写真では この生地の雰囲気や魅力は伝わり辛いでしょう。
是非 店頭にて現物の生地をご覧頂き、身に纏ってみて下さい。
そして、オリジナルたる説得力と存在感をお感じ頂けましたら幸いです。
では、今週もお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
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