こんにちは。
なかなか好天にも恵まれたゴールデンウィークの最中では御座いますが、皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか。
G.Wもあと僅かですが、 弊店は通常営業と成りますので お時間のある方は是非お気軽に遊びにいらして下さいませ。
さて、洋服好きな皆様におかれましては 沢山のワードローブをお持ちの事と思いますが、
同時に これから誂え足していきたい服や 手に入れたい順番なども楽しくお悩みされているのではないでしょうか。
日本には四季があり、それぞれの季節を楽しむ事が出来るシーズンファブリックがあります。
これから夏に向かって参りますが、リネンやリネン混紡の生地など 色々とお勧めをさせて頂きました。
今週は、この生地も絶対に欠かせぬであろうコットン地の中より
夏の定番 シアサッカーについて御紹介させて頂きたいと思います。
SEERSUKER
気温も上がり 日差し強き中、少しでも光を反射すべく ダーク系の色を控え
清々しく、涼しく快適に過ごせられる生地の代表作でもあります。
洋服好きな方で無くとも その名くらいは耳にした事があるであろうこの生地は、紳士の持つべきワードローブには必ず入れて頂きたいトラディショナルなアイテムだと思っています。
私よりも先輩の方々におかれましては、特にアビースタイルとしての洗礼を受けた方々も多く 大変馴染み深い生地でもある事でしょう。
では、この SEERSUCKER について 歴史にも少し触れて参りましょう。
・・・・・・・日本語で言い表すと 縮れ縦柄綿布
通常は白と黒、白と青、白と赤などの単純な配色で構成されるストライプにシボが表現されているのが特徴となっております。
登場は18世紀初頭にまで遡り、原産国はインドで御座いました。
当初は不規則な縮れを特徴とした無地の綿織物であったそうです。
その後 ビクトリア時代も後半に差し掛かる頃、ストライプ状にシボ(織物表面の縮れ)を走らせた一種の縦柄地が考案され、これが今日的な意味におけるシアサッカー地の始まりとなっています。
そのオリジナルは19世紀の終わり頃、当時イギリスの植民地であったインドのカルカッタにて 英国人用の夏服として織られたものに端を発するとされています。
・・・・・・・因みに、このシアサッカーという名の語源は
ペルシャ語のミルクと砂糖を意味する【 シーロシャカ―(Shiro-o-Shakar)】から始まりました。
サッカー独特のストライプはミルクのように滑らかで、砂糖のようにラフ(ザラザラした)であるという比喩からきているそうです。
これが転じて『しぼ』や『縮れ』を意味する 【 シールシャカ―(Shirushakar)】となり
やがてはインドに入って 【 シーアサカ―(Shirsaker)】なるヒンディ語となる。
1722年、この語がそれら織物と英語圏に入った時にシアサッカーになったそうですが
正しくは シーアサッカーと発音するそうです。
(もと恩師でもある 堀洋一先生の著書より)
少々分かり辛いかも知れませんが、歴史の古さや生まれは 何となく御理解頂けたでしょうか。
・・・・・・・やがて 流行り出したこの服地に目を付けたアメリカのメーカーがコットンを主軸として実用的に改良し、大量生産に乗り出しました。
オールコットンを始め、レーヨン混紡、ポリエステル混紡などのシアサッカーが幅広く親しまれる様になります。
ご存知の様に、シアサッカーと言えば この独特なシボにあります。
コットンは植物繊維であり、麻ほどでは無いにしても皺に成り易い素材です。
サッカーはもともとシワシワなので、実際に皺となっても全然目立ちません。
また、これら凸凹な表面は 身体との接地面積が小さくなります。
故に夏場でも大変快適であり、気持ち良く着用出来るという訳ですね。
以前、このBLOGにて 【 ORIGINAL SOLARO 】の御紹介をさせて頂きました。
http://dittos.seesaa.net/article/434408674.html
多くの方々がソラーロはイタリアの生地というイメージを持たれていたのではないでしょうか。
ソラーロはイタリア、シアサッカーはアメリカ
確かに大きく発展させた功績は大きいのですが、ソラーロ同様に
このシアサッカーも歴史を辿れば源流はやはりイギリスにあり、
英国服飾史にも足跡を残す とても重要な生地種の一つであると言う事です。
・・・・・・・私の大好きな セシル・ビートン卿
1936年に撮影された写真です。
A&Sで仕立てられたこのシアサッカーのスーツ
シングルの2釦 3-パッチポケット、かなり柔らかく仕立てられているのが分かります。
良い意味でミシンを多用されたスポーティーな仕立てであり、
ラペルにはエンジェルのブローチがあしらわれています。
英国のアンティークではこの様な小物が本当に多くありますね。
私個人にとって サッカーのスーツとは、このスーツでもあります。
語りだしたらキリがありませんが、とにかく 氏のように優雅でエレガントなサッカーのスーツが着たい、、、 何年も脳裏に合った事です。
勿論 遠く及ばないのは理解しておりますが(汗)。
・・・・・・・そんな歴史あるシアサッカー地ですが、今では英国製のサッカー地を探す事は困難に成ってきていますので、イタリア製の品質良きサッカーに頼る事が多くなります。
私自身のサッカー地に対する拘りは強く、様々なメーカーのサッカー地を目にして参りました。
分かり易く言えば、自分が作りたくなる様なシアサッカーを探し求めていたとも言えます。
好き・嫌いはあるでしょうが、サッカー地は この立体的なシボが良さでもあるに関わらず 忘れ去られたかの様に殆ど立体感を見受けられない微妙なサッカー地もあります。
繰り返しに成りますが、シアサッカーの最大の魅力と特徴は 何と言っても この立体的なシボです!!
そして、これらサッカー地は シャツやパジャマなども作られていますが、それだけバリエーションと共に ウエイトも豊富であり、ある程度はアイテムに応じて区分け出来るまでになっています。
皆様、やっと私が自信持ってお勧め出来るサッカー地に辿りつきましたので
晴れて御紹介させて頂くまでに至った次第なのです。
・・・・・・・イタリア SOLBIATI
1874年創業の生地商として設立されたメーカーです。
第一次世界大戦後にコットンやシルクの織物会社に業態を変え、戦時中には軍隊にも その生地を供給していました。
その後順調に発展を遂げた同社を、2013年ロロ・ピア―ナ社が傘下に収めたとの事です。
この立体感豊かなシボ、均一的でとても綺麗で風合いも良く、
ストライプのバランスも 正に鉄板的なバランスです。
陰影がとても美しくさえあります。
こんなシーツの掛かった布団で寝たら、さぞ気持ち良く快眠出来る事でしょう!
大変高価なシーツになってしまいますね(笑)。
・・・・・現在 取り揃えられる SOLBIATI社のサッカー地は
全て COTTON : 100% 240g となります。
他メーカなどではポリエステル混紡もありますが、個人的にはやはりコットン 100%の天然繊維に拘りたいです。
色は、ネイビーソリッド、ブルー×ホワイト、サックス×ホワイトの3種が御座います。
上記の生地写真は、一番左下の サックス×ホワイト です。
控えめな方におかれましては、ネイビーのソリッドがあるのは嬉しい所です。
シアサッカーを、単にネイビースーツやジャケットとしてもご堪能頂ける事に成りますね。
・・・・・・・パドックカットの3パッチポケット、
バス芯(馬尾の毛を使ったハリのある胸増し芯)を排除し、かなり意図的に柔らかく仕立ててあります。
裏地や袋地などの付属も当然薄地を使い、少しでも軽く、通気性よくセレクトしてあります。
・・・・・・・着こなしのアクセントにも、C.ビートン卿の様な小物使いなどは如何でしょうか。
冒頭から2枚目の写真は 【 枝に木の葉 】
こちらは【 チューリップ 】
フラワーホールに花を! ですね(笑)。
これらは英国から買い付けられてきたアンティークのブローチです。
ビクトリア時代中期に代表されるシルバーとマーカサイトによる とても立体的に造形されたブローチです。
マーカサイトとは、不透明で金属光沢を持った鉱物です。
空気に触れているだけで酸化して黒くなって行きます。
黒くなっても美しさを損なわぬマーカサイトは『黒いダイヤ』とも呼ばれ、宝飾品として長きに渡り愛されて参りました。
繊細で精密な職人技が素晴らしいアクセサリーです。
モチーフも様々であり、当時ではブローチという小物がどれだけ愛用されていたのか良く分かります。
C.ビートン卿のように こういった茶目っ気のある小物使いを参考にされるのも楽しいものです。
是非 シアサッカーという素材を、装いと共に楽しんで頂けましたら幸いで御座います!
・・・・・・・来週は、シアサッカースーツの具体的な仕立てや拘りなど踏まえて
御紹介させて頂きたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。
では、残りのゴールデンウィークを是非楽しまれて下さいませ。
今週も誠に有難う御座いました。

