2016年05月24日
【 H.S ORDER I様の仮縫い 】
爽やかな五月晴れが続いておりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
日中は爽やかさを通り越して、もはや暑いですが それでもまだ朝夕は過ごし易いですね。
既に沖縄は梅雨入りしていますので、関東圏もジワジワと近付いている事でしょう。
・・・・・・・仮縫いの風景です。
随分仕上がっているので、中縫いされた仮縫いでしょうか。
こういった風景は今も昔も変わりません。
紳士にとって誂える事が当たり前だった時代、仮縫いを通じて精度の高いONLY ONEのスーツをお仕立てする事は極一般的な行為です。
昨今ではイージーオーダーというシステムの普及と発展により、より簡易に洋服を誂える事が可能に成りました。
呼び名は様々にありますが、基本的には縫製工場さんなどを主体として加工委託されて仕立てられる フルオーダーと比べれば簡易なオーダーシステムと言えます。
本来では既製服の大量生産を前提とする縫製工場さんが、個々の注文に対して一着単位でオーダーに対応する様になってきた事は ある意味時代の流れでもあるのでしょう。
イージーオーダー、
名は各店で違えど、根本的には同じ括りでありながらも その中には様々なステージがあり、 オリジナルの設計(型紙)から縫製仕様までお願いさせて頂いている弊店の様な形態もあれば、工場さんの型紙含め システムそのままを流用しているお店も御座います。
また、お客個人様の型紙作成に伴う補正精度や仕立てによる技術・品質面などにおいても総合的な品質では相当な幅があります。
そして、これらの状況によりお値段にも幅が出る事は当然の事と言えます。
誂えると言う前提には生地の選定もそうですが、先ずお客様方の採寸からスタートする事になります。
それは、採寸・補正する人間の技術は勿論の事、その内容をどこまで・どうやって型紙に落とし込むのかが大変重要と成り、お仕立て上がりのFITTING精度に直結致します。
また、型紙的な問題だけでは無く、そこまで個別であり 個性的な型紙に成りますので それらを高次元で定められた品質まで同じ様にまとめ上げる仕立て技術も重要と成ります。
【 BESPOKE というステージでは当たり前な事を、どこまで同じ様に具現化出来るか 】
これが私の抱く HOUSE STYLE ORDERでのテーマとなる訳ですが、どんなに発展してもステージの違うBESPOKEには絶対に到達出来ません。
しかし、それでもあるべき姿へ少しでも近付けたいと思うのは私の希望であり、顧客様方の希望でもあります。
例えば、同じイージーオーダーのステージだとしても、様々なお店につき 商品のグレードが違います。それだけ裁断・縫製技術と共に手間が多く掛かっていれば、自ずとお値段にも幅が出てしまうのは その裏付けでもある訳ですが、、、
反面、完成度の高い物作りになれば値段も上がる。
この様に、コスト面においてのメリットが小さくなってしまうのは出来る限り避けたい所であり、そこに矛盾が生じるのです。
・・・・・・・開店当時にお世話に成っていた工場さんから、現在お世話になっている工場さんに切り替わり随分と経ちました。
もともとレベル高き日本を代表する素晴らしい工場さんの一つです。
お陰様で私が求めながらも具体的に実現出来なかった事が 今では日常的にお世話頂ける様になりましたし、今でも常に発展しており 工場の皆様の努力と共に前向きな向上心のお蔭により現在の弊店 HOUSE STYLE ORDER は成り立っております。
本当に頭が下がるばかりです。
さて、今週は そんなHOUSE STYLE ORDERより
I様の御注文を紹介させて頂きたいと思います。
・・・・・・・I様におかれましては、弊店初の御注文と成ります。
ご夫婦揃って小学校の先生だそうです!!
光栄なるご注文を、心より嬉しく思っております。
最近では教壇に立たれる機会も減ったそうですが、黒板に板書したりする事を含め 機能性と共に身体に合ったスーツが欲しいとのご要望です。
今回は精度の高い型紙を作る為にも、HOUSE STYLE ORDERにて仮縫いのオプションもお付け頂きました。
仮縫いを行うと言う事は
I様におかれましては完成前に私の採寸を御確認頂けますので、よりお好みを反映する事も出来ます。
私自身もある意味では安心して補正する事が出来るというものです。
お選び頂きました生地は
英国 EDWIN WOODOUSE より、3シーズン着用頂けるネイビーソリッドのウーステッドを御選択されました。
・・・・・・・ご来店時には既に採寸してI様の型紙より仮縫いを作成して頂いておりますので、既にバランスやサイジングは整っております。
しかし、仮縫いであるという事は この時点がスタート地点であり、ここから I様のお好み等も踏まえ、更に精度を高く再補正を施します。
・・・・・人間は直線に立っている訳ではありませんし、姿勢も様々です。
背骨もS字に曲がっている訳ですが、度合いも人それぞれとなります。
体型的には 反身体や屈伸体などは聞いた事があるのではないでしょうか。
前後差のバランスや袖の振り位置、トラウザースへの流れや落ち着きなども確認致します。
トラウザースの裾上げについて、現時点では傾斜が付けられていませんので 見越した確認が必要です。
(BESPOKEの仮縫いでは裾上げも既に傾斜を付けて仮上げしてあります。)
・・・・・・・まだ仮縫いなので、修正が効く様に様々な個所で余分な縫代が付いております。
また、同じく仮組みなので これから一度さらの状態へ解きますゆえ、クセ取りなどは簡易に行われているのみです。
シルエットの出方や前肩度合含め、お仕立て上がりはもっと立体的に成ります!
仮縫いの確認とは、『仮縫い、仮組みだから』という前提を見越した確認がとても重要になります。
しかし、裏地が付いていないので滑りも悪いですし、縫代が当たる所もありますので
なかなかお客様には具体的な着心地値自体を体感して頂く事は難しいかも知れません。
左右差の度合いや分量、確りとチェック致します。
・・・・・・・袖を外してアームホール周りの確認です。
今回は特に腕が上がる様にとのリクエストを頂いておりますので、アームホールを小さく作る事(カマ底を上げる)は大変重要な要素と成ります。
この様なリクエストの場合でも、仮縫いがあればご本人様と共に 『攻め具合』の確認が取れる事は大変大きな意味を成します。
小さくすればする程に身体に近くなります。当たったり、きつく感じたり、バランスが悪ければ皺にも成ります。
度合いを適切に、正確に定めるには やはり仮縫いの行為は大きいです。
撫で肩傾向もありましたので、敢えて行き過ぎない程度での仮縫い確認でしたが、立体で確認出来ましたので、更にカマ底を上げて参りましょう。
アームホールを縦横含め 様々に展開すると言う事は、そのホールに付く袖自体も連動していなければ成りません。
イセ分量の再調整や袖山の高さは勿論、身頃アームホールに伴った袖のネカシ等の調節が不可欠です。
裁断出来る(型紙が引ける)人間でなければ帳尻合わせは不可能ですから どれだけ重要な事かお分り頂けると思います。
単純に丈や身幅の増減など、他愛もない事です。
(しかし、ここでも本来では適正なバランス配分が必要と成ります。)
・・・・・・・釦を外した状態です。
前中心線(工場さん仮縫いの場合、ピンク色の糸が前中心線ですね。)の落ち方やバランス、
そして左右での釦とホール位置のズレなども確認です。
既にこの時点で補正を施した固有型紙ですので、問題無いですね。
釦を止めた時のユトリ感などは好みもありますので、現物で着用確認出来る事は御本人様にとっても大きな事だと思います。
・・・・・・・ゆったりした股上によるトラウザース、そのバランスに合されたウエストコート。
これら各アイテムの連動こそが三つ揃いたる最も重要な部分です。
既製服ではこれが出来ないので 手を出す事はかなりリスキーでもあると言えます。
I様、凄く綺麗です!
フロント6釦、6釦目は外しますので本来表側に釦は見えませんが、その辺は御愛嬌としておきましょう。
釦を止めればピッタリと身体を包み込むサイジングである事、これはウエストコートのあるべき姿です。
・・・・・・・トラウザースも基本的にバッチリです。
レングスも傾斜が付けばベストなバランスです。
若干腰回りとお尻回りの線を微調整です。
・・・・・・・I様、お疲れ様で御座いました。
これで再補正を行い、更に御満足度の高いスーツになる事をお約束致します。
是非お仕立て上がりを楽しみにされていて下さいませ。
私も完成した時の最終FITTINGが楽しみでなりません!!
と、いきたかったのですが、、、、、
気軽にご来店頂ける距離では無い I様、お仕立て上がりは御発送という事になりました。
残念ながら拝見させて頂く事が出来ません。
ただし、FITTINGに関しては御本人様のご確認のもと
自信もあり、心配はしておりませんが、残念です!
次回、ご来店の機会がありましたら是非 御着用されていらして頂けましたら幸いです。
現在、着々とお仕立て上がりに向けて進行してくれております。
仕立て上がりましたら私自身がもう一度ガッツリと クセ取り含むTAILORの2次プレスを行い、御発送させて頂きます。
今暫し楽しみにお待ち下さいませ。
素敵な御注文を誠にありがと御座いました。
・・・・・・・如何でしたでしょうか。
イージーオーダーというカテゴリーの中でも様々なステージがあります。
BESPOKEと比べれば仮縫いでさえも違います。
しかし、弊店のH.S ORDERの位置するレベルがあれば、そのレベルの底上げ、そして上限のUPを常に目指して進化し、より最高を求めて精進して参ります。
私自身が納得し、自信持ってお渡し出来る様なスーツを御提供させて頂く為に。
どうかこれからも宜しくお願い致します。
では、今週もお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。
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