こんにちは。
先週は随分と冷え込み、東京でも雪がちらつきました。
西日本は積雪の影響がだいぶ出ておりますが大丈夫でしょうか。
まだまだ油断出来ませんね。
当店では春夏用の生地へと総入れ替え致しました。
少しずつ生地等も御紹介させて頂きたいと思います。
早いもので、HOUSE STYLE ORDERでは 今頃のご注文でお仕立て上がりは3月の半ば以降となります。
その頃はもう少し春らしさも感じられるでしょうか。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
さて、先週は FOX BROTHERS より
春夏用の お勧め生地を御紹介させて頂きました。
今週は早速続きを書かせて頂きたいと思います。
(先週 未チェックの御方は 是非先週分よりお読み頂けましたら幸いです。)
http://dittos.seesaa.net/article/446720901.html

フランネル=秋冬 のイメージが強き同社ですが、今では秋冬物に留まらず幅広いコレクションが展開されております。
先週もお話致しましたが、暑い夏も含め 少しでも快適に過ごせ、尚且つ魅力的でもあり思わず着たくなってしまう様な春夏用のクロージングが欲しいものです。
勿論 生地だけでは無く、縫製仕様なども踏まえ 様々に有効な攻め方が考えられます。
しかし、主体となる生地自体の性能やスペックが高ければ、より一層高きパフォーマンスを生むでしょうし、着る側のモチベーションさえ変わる事もありましょう。
例えば今回御紹介の極薄生地、
個人的には英国製の生地で 200g以下のウーステッドを見た事はありませんでした。
どんなに軽くて軽快なのでしょう。涼しさにおいては 実際にはどの位体感できるのでしょう。
そして、この生地を扱う上での縫製的な難しさは どの位予想を超えてくるでしょうか。
仕立ててみたい!
そして 着てみたい!
興味は尽きませんし、純粋に高揚する気持ちを抑えきれません!
多くの魅力的な色柄より、悩みながら絞り込んで 個人用に購入させて頂きました。

・・・・・SUPER 120’S WOOL 6/7oz (約180g)
平織のウールトロピカル
強き日差しさえ かわしてくれそうで爽やかなライトグレー地に、ネイビーとブルーによる二重で構成された重ねウインドーペーン柄です。
コントラストも綺麗で清涼感溢れる配色バランスです。 やはりブルーが入ると涼しげですね。
クラシックなウインドーペーン柄では御座いますが、バランスの良さと共に どことなく安心感さえも感じられます。
それは正にこの配色にあります。
ネイビーとグレーの相性は鉄板でもあり、皆様 周知の通りですね!

・・・・・肌触りは本当にサラサラでスベスベ、本当に気持ちが良いです。
この極薄生地、綾織のドレスシャツ地くらいなものです。

・・・・・爽やかなホワイトやブルーのシャツがどれだけ映えるでしょうか!
リネンシャツも良いですし、ネイビーのポロシャツ等も素敵ですね。
昨年デビュー致しました ノータイ前提でのオープンカラーシャツも合わせたくなります。
http://dittos.seesaa.net/article/438429759.html
http://dittos.seesaa.net/article/438941155.html

・・・・・ご覧ください。
通気性の高い平織で 更にこの薄さです。
涼しそうですよね! 今見ると寒々しいですが、、、、。
私は悩みつつ、ジャケットとウエストコートの2Pに致しました。
トラウザースにおいては強度の心配もありますが、だからこそ実験と共に試してみたくは思っています。
上着などの具合をみながら そのうちに!

・・・・・これは腰ポケットのフラップです。
実は昨年の冬より準備を進めておりますが、なにぶん牛歩なので全然進みません(笑)。
休みの日、そして ほんの少しの隙間な時間に 少しずつ、、、

・・・・・フラップ、日本語では雨蓋と訳されます。
単にフラップと言っても幾つかの作り方があります。中にフラシ芯を入れる事もありますが、お安いスーツ等では大抵接着芯が貼られてしまいます。
角の丸い部分が内側にロールしているのが分かるでしょうか。
些細ではありますが、これも縫製的なテクニックの一つです。
人体を包み込む様に仕立てられる洋服は、様々な個所で内側に、内巻きにと考慮されて仕立てられています。
例えばピークドラペルの剣先やフラップにしても、ピロっとはねてしまうようでは成りません。
プレスしてしまえばロールも安定してフラット気味に落ち着きますが、このテクニックを内蔵しているか否かが重要なのですね。
何年経っても はねる事はありません!

・・・・・フラップ裏は基本的には胴裏地を使用します。
表から裏地が除かぬ様に エッジはほんの少し裏地を控えて作ります。
エッジのハンドステッチは、飾りでもあり、縫代(縫い目)の安定を担います。
このステッチは全針裏地に揃って綺麗に乗る事が望ましい訳ですね。

・・・・・出来ました。角丸のロールが見えますね。
控えられた裏地は余る事無くスッキリとしているのが理想です。
単にフラップをとっても 色々な考慮と共に仕立に対する時間の掛け方や価値観があるのです。
であれば、たかがフラップ如きでこの品質と価値観で仕立てられるのであれば、もっと重要な個所はどうでしょうか。
それが品質のステージでもあります。

・・・・・フラップを付けた腰ポケットが出来上がっています。
柄のコントラストがここまで強いと柄合わせも慎重になります。
ズレていたらかなり目立ってしまいます!
反面、綺麗に合い過ぎるとポケットが無いみたいですね。

・・・・・これはラペル(下衿)の部分です。
左右 前身頃のラペルを、返り線で突き合わせている状態となります。
格子の柄合わせは様々な箇所で行われています。
例えばラペルにおいても
エッジの地の目(柄)もそうですが、ノッチ(刻み)の角にくる柄、
そして返り線とゴージラインの交点にくる柄、ここにも左右対称になる様に気を使って合わせます。
お客様のなかには、体系的な事情により ラペルのサイズ(長さ)が違う方もおります。
その場合はやはり目立つゴージや刻み周り基準で左右柄合わせを行います。
故にラペルの長さ非対称による柄のズレは、ラペル自体の返り止りで発生する訳なのですが、言われなければ気付かぬ事でしょう。
今回はベースとなる芯や胸増し芯、衿芯も柔軟で軽めな新しい種類を仕入れました。
相性や具合も確かめたいですし、常に自身の服は実験台でもあります。
そうして得た経験値は全て皆様のご注文にフィードバックされて参ります。
牛歩ながらも そのうち仕立て上がるでしょうから、その時はまた御紹介させて頂ければと思います!
・・・・・では、シリーズより もう1種 御紹介させて頂きます。
これは同バンチにコレクションされているメッシュシリーズです。

PURE NEW WOOL 100% 7/8oz(約220g前後)
激渋な配色、かなり複合された独特な格子柄です。

・・・・・アイスブルー、ベージュ、オリーブ、カーキ、、、、
個人的には 和 のイメージも少し感じます!
これも涼しげな配色ですね。

・・・・・先のウールトロピカルはサラッとしています。
それに比べ この様なメッシュはもっと起伏があり、素材感を感じる表情と成ります。
生地厚はこちらの生地の方が上ですが、メッシュゆえに通気性の軍配はこちらですね。
(そうは言っても約220gの十分に軽量級です。)
オッドジャケットとして楽しむのであれば、この位主張のある色柄は本当に映えます。
その分インナーは大人しソリッドが落ち着くでしょう。
ですが合わせる色は発色の良い綺麗な色目でも素敵ですね。

・・・・・見るからに涼しさを感じられる程の通気性ではないでしょうか。
メッシュ地はここまでの通気性(生地感の隙間)がありますので、裏地や袋地など 内部の色味が反映してしまいます。
裏地の色選びは気配りが必要でもあります。
・・・・・如何でしたでしょうか。
これから段々と陽が伸びながら春夏へと向かって参ります。
暖かくなるのが待ち遠とおしくなるようなジャケットやスーツをお探しに
是非お越し下さいませ。
皆様のご来店を心よりお待ち申し上げております。
今週も誠に有難う御座いました。

