2017年03月07日

【 Neill of Langholm 】



 こんにちは。

 早くも3月に入り、学生さん達は就活が解禁になったそうです。
うちの愚息も行動を始めているようですが、ふと気付けば もうそんな歳に、、、、。

まだまだ似合わぬスーツを着込み、初々しくはありますが スーツに着られてしまっている感じは否めません。

これから頑張って経験を積みながら スーツも似合う魅力的な大人になってもらいたいものです。








 さて、前回は カチョッポリ社の春夏用シャツ地を御紹介させて頂きました。
皆様にご注文頂きました生地が続々と到着してきております。

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上からジーンズに Vespa のプリント柄(逆向きですが)、イタリアらしいですね。
ネイビーリネンにジャカード、そして薄地のコットンに花の織り柄。
 やはりブルーベースは大人気です!



Caccioppoli はナポリのマーチャントです。
膨大なコレクションを抱えたマーチャントゆえ、そして1点1点 受注の度に空輸で取り寄せますので 少しお高めなのは否めませんが、今回はこんなオマケ!? が付いていました!!



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ガラス細工の可愛いチャーム、唐辛子ですかね!
(総じてコルノというお守りのようです。)

上手いですね、こういうのはちょっぴり嬉しくもあり 得した気分にさせてくれます。
皆様のシャツが仕立て上がった折には このチャームも一緒にお渡しさせて頂きます。














 では 今週の本題に入りたいと思います。



買い付けていた素晴らしい春夏用のジャケット地が届きました!!
是非そちらを御紹介させて頂きます。













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・・・・・アイボリーがベース色となり、グレーの杢糸などで構成された格子柄のジャケット地。


明るく爽やかな色目、さっぱりとした配色と 強過ぎない格子柄は大変コーディネイトもしやすく重宝して頂ける事でしょう。


こちらの生地ですが、特筆すべきは かなり珍しい クレープ織り となります。
VINTAGE なのですが、昔はこういった手の込んだ生地も豊富に御座いました。

本当に独特であり、勿論 紳士服地になりますが、若干婦人物っぽくも感じられる方もおりましょう。

 この生地を織ったミルの歴史を見れば 成る程と頷ける事と思います。












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Neill of Langholm ( R.G.Neill )



綺麗なエスク川と共に、自然豊なスコットランドのLangholm(ランガム)という場所にて、1918年 ロバート・G・ニール氏と御子息によって設立されました。

スコットランドです。地場産業では やはりツィードやカシミアの織物ですね。
同社も素晴らしいツィードを織って参りました。



 昔の話にはなりますが、高級で有名なマーチャントである FINTXE へ
当時では当たり前であったチェビオットのコードストライプ(日本で言うフォーマル用縞ズボン地)を織っていたのも このNeill of Langholmでした。

 ですが、こういった王道的なチェビオット等の服地とは別に
他のミルが作らない様な特殊な糸や織りを巧みに使い、独自性の高い生地もデザインし 織り上げていた事も同社の特徴と言えましょう。




この独自性高き部門、見る人は見ているのです。

フランスのオートクチュール界でも多大な評価を受ける事になります。
シャネルを始め、ディオールなどにも多くの生地を供給して参りました。

 かの有名なシャネルスーツ、独特のシャネルツィードは勿論 同社の作品でもあります。



時代の流れから、多くのミルが廃業、もしくは買収などされていく中
同社のこういった独自性は確りと生き残り、逆に王道たる紳士服地のツィードなどは縮小されていったとの事です。



競争に伴う切磋琢磨こそ、生き残る術を生み出し
それらは時代が生み出した財産とも成り得るのですね。 正に歴史を感じずにはいられません。





 同社の独自性ある紳士服地は 勿論VINTAGEでしか味わう事が出来無くなってしまいました。


最近ではイタリア製で織り糸をループ状にしたブークレ(タオル地の親玉の様な感じ)素材なども良く見受ける様になりましたが、随分と昔から そういった特殊生地こそ同社のお得意分野であったという事ですね。





 そんなテクニックと共に 独特なセンスと素晴らしい性能を持ち合わせたクレープ地をじっくりとご堪能ください。










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・・・・・グレンストライプ調の大き目の縦縞をメインに、横柄を合わせた格子柄となります。


全体感はかなり明るくはありますが、大変落ち着きのある色調でまとめ上げられています。

このクレープ織りというのは、織りの性質上 横方向にナチュラルなストレッチ性が効いており、これは動きに対する追従性が上がりますので とても動きやすい織りなのです。












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・・・・・WOOL:100%  200g


 霜降り感のある色調は、このグレーの杢糸の効果ですね。
アイボリーの優しい色調にとても合います。


かなり強く撚った『 強撚糸 』を使い、立体的に織り上げる事で起伏感を強く持たせています。

ふっくらした触り心地とは別物に感じられる位 軽い質感の生地なのです。







この生地をギュッと 力いっぱい握り込んでも、
パッと瞬間に戻り、皺になる事も有りません。

撚糸効果もさることながら、やはりこのスカスカな織りの特性もあるのでしょう。
ご旅行などにも最適と言えます。









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立体的でザラッとした織りながら、触るとフワッとして大変柔らかく とても軽くて気持ちが良いのです。

肌やインナーが汗ばんでも この上着はペタッと張り付くような事も無く、常にフワフワと孤立してくれている事でしょう。


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・・・・・これ、、、、ご覧の通り スカスカの隙間だらけ!
そう狙ってデザインされた生地ながら、これより軽くて ここまで通気性の高い生地は最早無いのではないでしょうか。



コレは、この生地ばかりは 総裏地の仕様では無く、少しでも裏地の面積を練らした方が良いでしょう。

ここまで通気性に特化した生地です。 裏地がその邪魔をしてしまう事が勿体なく感じてしまいす。
















・・・・・では、もう1種 参りましょう。

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こちらは縦縞の強いウインドーペーン柄です。

その縦線が強い分、とてもシャープな印象で服に仕上がります。











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・・・・・こちらも同じく強撚糸を使い、立体的に織られたクレープ地ながら
ベースの織りにも着目です!













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・・・・・綾織の様な斜行線を表現しつつ、それらは一つ一つの立体的な鱗のようです!

こちらも杢糸使いが効いています。 この霜降り感のある表情はたまりませんね。











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・・・・・ヘビやトカゲ等の鱗を彷彿させる様なベースは、細かくも立体的です。
この独特で規則的な織り柄が凄く綺麗で個性溢れる生地の表情をしています。

本当にVINTAGEの生地には学ばせてもらう事が多く、感動すら与えてくれます。




( 今回の R.G.Neill  クレープ生地に付きまして、御紹介2種と、それ以外にもう2種柄が御座います。 )















・・・・・こんな素敵で快適な生地を使って ODD JACKET を仕立てたら、どんなにワクワクするでしょうか!

多少暑い日でも上着を持参したくなりますよね。

ご旅行などでも、避暑地で涼しき風を受けながら散歩を楽しみたくもなりませんか。






 このスポーティーな上着に合わせるトラウザースは、
コットンでも、リネンでも、勿論ウールでも 何でも合わせる事が出来ます。

そして雨にも強く、頼りがいのあるポリエステル混紡生地でも良いですね。


 実は今期 私が是非トラウザース地にお勧めしたい魅力的な春夏用の生地がデビュー致しました!
それはそれで、近々にでも御紹介させて頂きます。






 皆様、どうかこれら魅力的な生地を是非ご覧に来て下さいませ。

この生地を目の前にし、独特の表情を実際に感じると共に、
触って下さい、そしてギュッと握ってみて下さい。 きっと笑みもこぼれるのではないでしょうか!



これも欲しいですし、作ってみたい、着てみたい、、、
魅力的な生地は多く、本当にキリがありません(笑)。

















・・・・・さて、話はガラッと変わりますが
最後に ここでニュースを一つ!




 弊店では 無から生み出し、全てハンドメイドにてお仕立てする BESPOKE と、
高度な技術を持ち、私が心底 信頼をおく工場さんへ加工委託をお願いさせて頂いている HOUSE STYLE ORDER が御座います。


BESPOKEの方は、私の知識と技術が伴うものであれば何でも有りの世界となります。
デザインやスタイル、仕様面を始め、芯地のセレクトから組み方まで自在に操る事が可能です。( 細かい事は勿論お任せでも構いません。)

反面、HOUSE STYLE ORDERには どうしてもある程度のルールと制限があります。
BESPOKEと比べ、それが故の工期とお値段という事も否めぬ事実であり、メリットでもあります。


 さて、そのHOUSE STYLE ORDERにつきまして
今年は更なる進化と発展をすべく、先日工場さんにお邪魔し 様々な事を打ち合わせして参りました。
 それら多くの案件は、これから具現化に向け 少しずつ準備を進めて参ります。



しかし、この春夏受注分より 直ぐにでも御利用可能になるのが芯地についてです。

今までの弊店がお願いしております芯は、以降もレギュラー芯として使用致します。


 今回はレギュラーと比べ、かなり軽く、柔らかく仕立て上がる芯地をお選び頂ける様にさせて頂きました。

例えば、春夏用のスーツやジャケットは やはり軽く、柔らかく、少しでも楽チンで快適に!と思われる方は多いのではないでしょうか。

 また、カシミア等のソフトで風合いも素晴らしい生地でジャケットを仕立てる場合、
その生地の特性を更に生かすべく、やはり支えとなる芯地自体もソフトに成れば 一層生地の魅力も感じて頂ける事と思います。



 お客様方におかれましては、芯の種類や組み方などを御説明させて頂いたとしても
それらは専門的過ぎて いまいち分かり辛い事と思います。

故に、御自身の誂える上着に対し どんな価値観で着用したいのか、、、
単純に 今まで通りのレギュラー芯か、ソフト芯にするか、どちらかを御選択を頂けます。



 拘らなければ敢えて変える必要もありませんが、BESPOKEでは当たり前に行える選択肢を ほんの少しだけ具現化でき、より皆様の価値観に伴う上着が仕立てる事が出来るという事になります。



 詳しくはご注文時にでもお気軽にお問い合せ頂けましたら幸いです。
どうか今後とも 弊店 HOUSE STYLE ORDER を宜しくお願い申し上げます。










 では、今週も最後までお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。


皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。







posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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