8月も後半に入りました。
お盆休みも終わりましたが、皆様 リフレッシュされましたでしょうか。
家族サービスで大変だったお父様方も多かった事と思います。

緑がとても美しい もみじ、これから秋に向けて段々と色付いてゆく事でしょう。
今年も あと4か月と少ししかありません!
暑さもぶり返してくるようですが、 気持ちを盛り上げ頑張って参りましょう。
さて、今週は 貴重な VINTAGE SUITSING を御紹介させて頂きます。
【 MOXON 】 服好き、生地好きの方々であれば もう説明はいらないかも知れませんね。
そうです、あのモクソンです。
あまりご存じない方も、十分にお詳しい方も
今週は素晴らしいモクソンの生地をご堪能して頂けましたら幸いです。

・・・・・現存する世界最古と言われる 英国のミルです。
1556年、未だ英国の不安定な君主制時代に創業したとされています。
この頃は家内工業であり、原毛からの紡績、そして手織り機による生産まで全てを遂げていたそうです。
17世紀後半には、産業革命により この頃にシャトル織機が導入されました。
1887年、Benjamin H.Moxon氏は、過去代々に渡って受け継がれてきた業績を回顧し、ファンシー ウーステッドへの展開と拡大に向けて専念する事になりました。
モクソンにまつわるお話は沢山御座います。
それだけ拘り続けた素晴らしき品質は、様々な名声と共に発展し続け、 同社の黄金時代を迎える事になります。
弊店でも取り扱う GOLDENBALE の最高品質たる糸、現在では TAYLOR & LODGE しか扱えません。
しかし、昔は4社ほどが扱う事が出来ました。当然ながらモクソンもその中の一社で合った事は言うまでもありません。
G.BALEのみならず、シルクや特別なコットン、貴重なミンクやビーバー、ビキューナに至るまで取り扱い、高級で優れた混紡生地も生み出して参りました。
ショーンヘル織機を頑なに使い続け、多くの時間を費やした同社の生地。
時代は進み、多くの毛織物業者は高速で近代化された機械の導入が進む中、同社はあくまでも時代遅れの伝統的な生産工程に拘り続け、全く逆の方向を目指しました。
それが故に生産量は減少させたものの、1987年には創業100周年を迎え、ファンシーウィーバー(手の込んだ織物メーカー)として名声を上げ 冠たる黄金期を築き上げました。
・・・・・100周年、これはBenjamin H.Moxon氏が改めて展開と拡大に専念すべく リスタートした年からカウントされています。
ここで貴重な資料をご覧頂きましょう。
1987年 同社のリーフレットです。 今から30年も前です!!
この資料自体が既に大変貴重で御座います。

Benjamin H.Moxon氏も当然載っております。
右下の写真、MOXON工場の建設当時の写真ですね。

70年〜80年代、いつの時代でも その時代の流行や匂いというものがあります。
この写真を見れば良く分かりますね。
なかなか濃いデザインの生地も満載です。
紳士達がテーラードに袖を通す機会や頻度は今より何倍も高かったのです。
今とは違い、まだまだ作れば売れる時代でもあり 当然競争も激しかったと言えます。
左下には、MOXON × GOLDENBALE の織りネームが!
ドーメルやスキャバル、ウェインシールなど沢山の高級メーカー(マーチャント)は素晴らしき生地により多大な評価を受けて参りましたが、それらを支えていたのは MOXON であり、T & LODGE の様な高品質な生地を織り上げるミルだったのです。
今となっては 黄金期のモクソン生地は大変貴重であり、当然数も少なく 目にする機会はかなり減っています。
あったとしても、時代色を濃く反映したデザインや色柄が多く、なかなか手を出し辛い生地が多い事も否めません。
ビンテージ、聞こえは良いですが売れ残りでもあり、古在庫である事に変わりはありません。
しかし、当時だからこその品質や当時の雰囲気、そして匂いというものがある事も事実です。
残念ながら、もう後戻りできない所まで来てしまった事は生地だけでは無く 沢山存在するのです。
モクソンの生地で誂えたスーツ、、、
服好きなら 誰だって一着は欲しいですよね。

・・・・・ベーシックなネイビー地に、ブルーのピンストライプ。
赤字のミミが とても目を惹きます。

・・・・・本当に格好良く、素晴らしい生地です。
先ずグランドのネイビーですが、若干明るめのトーンで ロイヤルブルーに近い雰囲気です。
そして この織りですよ!

・・・・・この独特な変化織り、昔の生地は工夫やアイディアが満載です!
バリエーションが大変豊富でもありました。
こういった生地を見れば見る程に、現在の生地は随分と画一的になったと思わざるを得ません。
光沢感も有りますし、裏を見ると朱子の変化織かも知れませんね。
ツイルの様な傾斜畝と網目の様な織り柄が交互に織りなすその表情は、見る角度によりシャドーストライプの様に浮き沈みが見受けられます。
なんて綺麗なのでしょう。
WOOL : 100%
360g
ウエイトも厚過ぎず、薄過ぎない 一番仕立て映えのするウエイトです。
打ち込みも兎に角良い!! コテが効く素晴らしい生地です。
・・・・・では、こんな魅力的な生地がスーツになったらどんな感じでしょうか。
少しだけご覧頂きましょう。
ご注文下さった T様は とても長身でスリムな御方で御座います。
先日仮縫いフィッティングに来て頂きました。

今回は ダブルの上着による三つ揃いです。
その御注文にはT様なりのイメージが明確に御座いますが、ご要望としては至ってシンプルです。
そのリクエストを拘りぬいて具現化するのが私達TAILORの役目と成ります。
ラペルやゴージなどのバランスから剣先の小丸具合に至るまで、
ハイウエストなシェイプ、そして釦配列など全てにおいて狙いが御座います。
芯地についても 敢えてハードで構築的なフォルムを生む芯をご希望され、英国より取り寄せました。
T様も洋服が本当にお好きな方です! お仕立て上がりをご期待下さいませ。

それにしても 生地の雰囲気が本当に素敵ですね。

・・・・・ウエストコートは衿付きをリクエストされました。
上着同様にゴージラインも確りとハシゴまつり縫いで閉じられています。
それよりも、今は生地の色味と色気を是非とも感じて頂ければと思います(笑)。
・・・・・T様、お仕立て上がりまで 今暫しお時間を頂戴致します。
しかし、、、今回のスーツも羨ましい一着です、、、、。

・・・・・如何でしたでしょうか。
お好みの違いは勿論あると思いますが、こんなにもストーリのあるミルは そう多くはありません。
魅力的な生地とのご縁を大切にされて下さい。
ビンテージ、当たり前ですが限りある在庫です。
これからも皆様にはもっと ワクワク して頂かなければ成りません。
もっと、もっと 皆様の物欲を刺激してくれるような魅力的な生地達を
徐々に御紹介させて頂ければと思います。
【 最高の生地で 最高の仕立てを 】
皆様におかれましては、何をもって最高とするでしょうか。
人により、最高たる定義は違いますが 良いものはやはり良いです。
こんなにも高き自己満足を満たすスーツ、そして装う楽しみと充実を味あわせてくれる服を是非ともお仕立て下さい。
秋冬シーズンは もう始まっております!!
では、今週もお付き合い頂きまして誠に有難う御座いました。
皆様のお越しを 心よりお待ち申し上げております。

