2022年03月22日

【 LOVAT TWEED @ 】



 春に入り、3月は気温が急に上昇して一カ月前倒しの暖かさもありました。
東京は早くも桜の開花宣言が出ましたが、あまり暑くなり過ぎない事を願います。
街中でも装いは春へシフトしつつありますし、洋服屋さんも春夏に向けて本格始動です。

そんな時期では御座いますが、2月末から3月の頭には 2022年 秋冬のパリコレも開催されていましたね。
 先ずはコレクションにてコンセプトやイメージを発信し、今年の秋にプレタが立ち上がれるよう逆算すれば 諸々と準備期間が必要という事になります。




さて、当店HOUSE STYLE ORDER は旬の服をお楽しみ頂けますが、BESPOKE でのご注文は約半年も掛かります。
今年の秋冬用にと 顧客様であるM様より素敵なTWEEDのスポーツスーツをご注文頂きました。
春夏を迎える状況に反し、今週は TWEED と言えば欠かせぬ名門より新しいコレクションも届きましたので御紹介させて頂きます。
















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・・・・・お陰様により、とても人気の高いスタイルです。
(このTWEEDは W.Bill となります。)

運動(SPORTS)含め機能性を活かした仕様であり、装飾的なディテールは機能優先として施されています。
説得力と共に、本当に動きやすく魅力的なスポーツジャケットで御座います。

最大たる特徴はプリーツにありますが、お察しの通り 生地を畳んでおりますゆえ あまりヘビーな生地ですとモコモコになってしまうという側面は御座います。
 また、ツィードをタウンユースで使う際には あまり重た過ぎない方が好都合とも言えます。
ずっと外にいるのであれば良いですが、ひとたび駅含め建物内に入れば空調設備が整っていますので暑い位です。
また、そんなに地厚でないという事であれば秋口から着用もでき、真冬は寒ければコートも楽しめます。

W.Bill:SUPER FLEECE という廃盤になってしまった軽量TWEEDは正にお勧めで御座いました。
しかし、もう手に入りませんので他の軽量級TWEEDをお勧めさせて頂き、お選び下さりました。














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LOVAT MILL

SCOTLAND


【 TEVIOT 】




1868年 ツィード発祥の地とされるスコットランドのホーイックに設立され、1999年には新会社設立と共に エステート・ツィードを復刻すべく ラヴァット というブランドで立ち上がりました。



= ESTATE TWEED =


エステートは土地や不動産、財産などと訳されますね。
 貴族や領主が持つ広大な領地、そこで着用すべく 領地の証として作られたハウス・チェックのツィード地を織り、着用されていたという歴史があります。
 日本の家紋に近い印象であり、本来ではそれぞれの格子柄には名称も付けられていました。○○家の格子柄というニュアンスですね。
これに特化したのが有名なタータンです。

LOVATという名はスコットランドの貴族名に由来しているそうであり、その昔 ラヴァット軍の兵士達は戦死者が大変少なかったそうです。
理由はその独特な迷彩色による軍服にあると言われ、見つかり辛かったとの事。
正に自然由来のアースカラーという事なのですが、1840年代にラヴァット卿が釣鐘草、桜草、シダ、樺の木肌などの色味をイメージ・ブレンドして作らせたとされています。
この歴史から、色でも LOVATという名を現代にも残しております。

 同社は多くのマーチャントからも絶大な支持を受けており、P&HやW.Billに至っても欠かせぬミルである事でしょう。

スコットランドの歴史と共に、ラヴァット・ツィードは『ガチ』だという事です!
これから御紹介する三つの主要シリーズとなるツィード達は、100年以上も同一品質に拘りつつ 今でも織り続けられているそうです。










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・・・・・M様におかれまして、既にTWEEDはお仕立てさせて頂き 御愛用されております。
『 脱ぎたくない、ずっと着ていたい。 』と、これ以上無き光栄なお言葉と共に この度もう一着欲しいとの事で御座いました。

馴染んできたツィードは格別なものです!
 お手持ちは極ベーシックなスタイルであり、グリーン系が多いとの事で今回はブラウン系でお選び頂きました。
TEVIOTというシリーズなのですが、一番軽量級となるツィードです。
同社はスコッチ・ツィード、エステート・ツィードの雄ですから間違いありません。





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・・・・・全体感はブラウンです。
オレンジとレッドによる重ね格子の魅力的なデザインであり色味です。
 この独特で微妙なブラウンを出すべく、様々な色糸が複雑に絡められて構成されているのが見てとれます。
 TWEEDの大いなる魅力の一つですね。













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【 TEVIOT 】 13oz〜14oz : 430g




1900年代初頭に確立されたこの品質は、梳毛のメリノウールと紡毛のチェヴィオット(CHEVIOT)ウールをブレンドさせ、デイウェア向けに軽量でありつつ頑丈なツィードを提供するというコンセプトのもとに展開されているシリーズです。
 ウエイト表記での純粋グラム換算では 13oz〜14oz≒367g〜397g となります。

しかし、バンチ表記は430gと記載がありますね。
グラム表記は 1m 換算での重さで計算されているとの事ながら、実は英国において昔から毛織物の慣例から離れられず 現場では今でも『ヤード』が使われているそうです。
ヤード:オンス と メートル:グラム で記載されているのですね。

1yard = 0.914m ですからメートル尺へウエイト換算すると約398g〜431gとなる訳です。
ザクッと400g位ですね。
( ウエイト表記はあくまでも目安であり、意図された企画で織り上げられた生地達は色や柄などによっても誤差が多分にある事を御理解下さいませ。 )

正に日本でのデイウェアとしてもお勧めでありつつ、冒頭のスタイルにも相性が大変良いシリーズです。












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・・・・・ヘリンボーン柄にバーリーコーン柄を織り混ぜ、更に2色使いのウインドペーンによる重ね格子。
ツィード好きには堪りませんね。









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・・・・・これはヒース(HEATH)の植物・花の色(HEATHER)、イギリスにとっては馴染み深く欠かせぬカントリーカラーの一つとも言えるでしょう。

スコットランドで着ていたら とても映えるのではないでしょうか。
スコットランドに想いを馳せ是非如何でしょうか。


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・・・・・苔をも彷彿させる何とも、、、激渋です!
ややダークな色目ではありますが、ナチュラルなアースカラーによりカントリーを、ツィードを感じさせてくれるのは流石です。
御控え目が好きな方は是非お勧めで御座います。











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・・・・・もう良いのがあり過ぎて決めるのにも一苦労ですよね(笑)。

このシリーズはタウンユースを前提に、三つ揃いが好きな方、アクションプリーツなどのスポーツタイプを御所望の方々には心底お勧めのシリーズとなります。

ですが、更に男気ある本格派を御所望の方は以降のシリーズを!!















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【 KIRKTON 】 16oz : 500g



こちらはチェヴィオットウールのみで織り上げられた中堅ウエイトとなります。
本場では中堅と言えど、かなり本格的なハード感を御堪能頂ける事でしょう。

このレベルまで来ると、当然確りとした安定感と共に 迫力が俄然違って参ります。









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・・・・・なんてツィードらしく深みのある色出しなのでしょう。
クラシックなヘリンボーン柄ですが、ツィードとなると魅力が何割も増しますね。
こう紹介していると すぐ自分でも欲しくなってしまいます、、、。








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・・・・・大好きな TWO & TWOの織がベースであり、深い赤のウインドペーンが大変引き立ちます。
らしさ溢れる配色、惚れ惚れ致します!









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・・・・・DRAB 意訳は酷い形容ばかりですが、スコットランドの自然な荒地を思わせる独特な色味。
これも正にアースカラーです。

そ の厳しい環境に対し懸命に生きるグリーン、、、、風景が思い浮かびませんか。
ツィードは自然そのものより生み出されているのです。
















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【 ETTRICK 】 21oz : 640g




こちらは3兄弟の長男であり、リアルにフィールドスポーツを嗜むガチな愛好家から絶大な支持を受けて来たシリーズです。
ウエイトは640gであり、私が愛用している HARTWIST よりハードです!
(上を見れば、更にハードなウエイトも同社は御用意があります。)

TAILOREDなスーツやジャケットは勿論の事、もっとスポーティー(HUNTING)なフィールドコートなどにも流用されます。

ガチっと織り上げられたこのツィードには、シャワープルーフ(防水加工)の仕上げが成されているとの事。
大雨であれば催し事自体が中止かも知れませんが、一時的な雨などは日常です。
着用を想定されるフィールドでは、もはや傘などさす前提ではないという事も窺えますね。

正にカントリージェントルマンと同じ着心地を楽しむには この長男をお選び下さい。
皺にもほぼ無縁であり、ツィードの歴史とロマンを享受するにはコレです!











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・・・・・素晴らしい TWO & TOW です。
何の変哲もない こんなツィードのスーツと30年寄り添ってみたいですね。

無地なので、フェアアイルのニット等も映えそうです。










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・・・・・2&2からの、、、変化織りでOLDライクなバスケット織まで!
格好良すぎます。









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・・・・・ラッセルチェックだって確りとラインアップされていますよ。













・・・・・ここまでが 100年以上 頑なに織り続てられてきた ラヴァット三兄弟です!

皆様の価値観とお好みにより、是非お試しになられてみて下さい。
スコットランドを纏って下さい。



この主要三兄弟だけでもかなりのボリュームとなりましたので、御紹介は2回に分けさせて頂きます。

次回は新しいシリーズ、そしてマニアも唸らせるヘリテージコレクションも含めて御紹介させて頂きますので 引き続き宜しくお願い申し上げます。






勿論 春夏ネタも順次ご紹介してまいりますので、今後とも どうかお付き合い頂けましたら幸いです。

では、来週も宜しくお願い申し上げます。
どうも有難う御座いました。











posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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