2022年09月13日

【 HERITAGE SUITING 】





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エリザベス2世女王陛下
どうか安らかにお眠りくださいませ。
ご冥福をお祈り申し上げます。



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 当店BLOGの読者様におかれまして、耳にタコが出来ているかも知れませんが紳士服は歴史です。

今週は紳士にとって欠かせぬブラックスーツと共に、先人達がこよなく愛用されてきたヘリテージなスーチングを御紹介させて頂きたいと思います。




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1936年 THE TAILOR AND CUTTER




紳士のフォーマルな装いが掲載されていますが、左から右へとドレスダウンして参ります。
フロックコート、モーニングコート、そしてブラックラウンジスーツ となります。

フロックコートは引退とも言え、現代社会における正礼装はセンターのモーニングコートのスタイル(DAY FORMAL)となります。

ブラックラウンジスーツ、これは米国などではストローラーとも呼ばれていますが、日本ではディレクターズスーツと呼称される事が多いでしょう。
 スタイルとしてはラウンジスーツですから、簡単に言えばモーニングコートの尻尾が切り落とされ、他はコーディネイトなども含めて基本的に同じです。

このポジションが現代での準礼装となり、これが EVENING FORMALではディナースーツ(タキシード/ドレスラウンジ)と同じポジションになります。

更に下のポジションとして 特に日本国内では皆様が所有されているであろう欠かせないブラックスーツが参ります。

冠婚葬祭ではブラックスーツを、、、これは日本独自の文化です。
この度の英国における弔辞の際、チャールズ皇太子(新国王即位前)はダークネイビーのスーツを着用されロンドンに戻られました。









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・・・・・DAY FORMAL の範疇における装いですね。
フォーマルは DAY と EVENING で分かれますが、その境目は基本的に日没前後で区分けされています。

因みに、結婚式や披露宴などで新郎がディナースーツ(タキシード)を着用されたり、仕立てたいというご相談が日本では御座いますが、日中に行われる式の場合では 本来おかしいという事になりますね。
 新郎はEVENING FORMAL、されど 同席されている新郎・新婦のお父様はDAY FORMALであるモーニングコートを着用されている場合が多く、貸衣装でも必ずラインアップされているでしょう。
更に言えば、主役より列席されるお父様の方が各上のフォーマルウエアであるという事になります。
 であれば新郎は同列でモーニング、各上にするならフロックコートになります。
日本での呼称がアメリカ英語のタキシードでは無く、イギリス英語のディナースーツで定着していれば名称から理解も出来る訳なのですね。

昔の貴族階級などにおかれ、夕食の席ではイブニングテールコートを着用されていました。
これが時代と共に尻尾を落とした本来くつろぎ着でもあったドレスラウンジ=ディナースーツ(タキシード)に置き換わる様になりました。
 ダウントン・アビーでは、夕食の席でこの事柄を嘆くシーンも御座いました。
(今月末より映画が上映となりますね!)


日本は和装から洋装を選びましたが、文化や生活様式も違いますし 洋装知識までは確りと伝承されておりませんので何かと注意が必要でもあると言えます。








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・・・・・モーニングコート、これは一般的にブラックが筆頭色となりますが、グレーで仕立てられるアスコットモーニング等もありますね。

 しかし、このモーニングコート自体が普段着であった時代では
ビジネスモーニングやカントリーモーニングなど 現代におけるスーツのスタイル同様に展開・着用され、使われる生地もそれに合わせて様々でした。
ツィードのモーニングも御座いましたし、良く見るフロント釦は一つに限らず 複数釦などもありましたし、腰ポケットの有無など含め デザインのバリエーションも豊富でした。









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・・・・・モーニングコートやイブニングテールコートは尻尾が特徴となる訳ですが、その尻尾を無くしてリラックスしたスタイルを作り出したのがラウンジスーツであり、現代におけるスーツの祖先です。

モーニングコートのスタイルでは、色付きのウエストコートも合わされる様になりましたが、古くは基本として上着に共地であり当然同色なのですね。

この様に剣衿(ピークドラペル)をそのまま残したスタイルの他にも、、、、










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・・・・・ノッチドラペル、そしてダブルブレストもバリエーションとして御座います。
ここまでのイラスト類は 1930年代前後のスタイルブックです。
では 時間をもう少し遡ってみましょう!












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・・・・・ヴィクトリア女王の時代であるヴィクトリアン(1837年〜1901年)、そしてエドワード7世の時代へ引き継がれ(1901年〜1910年)エドワーディアンと呼ばれています。
具象的で味のある魅力高きスタイル画を数多く残してきた方々の一人である SPY、その多くはエドワーディアンまでの時代となります。

ブラックラウンジスーツのスタイルは今でもそのまま継承されているのが分かります。
このシャツは1枚衿のポークカラーですね!
この衿型は夏目漱石氏も着用された写真が昔の紙幣で使われていましたので覚えておられる方も!?












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・・・・・同じくSPYによるブラックラウンジを着用した紳士ですが、良い意味でリラックスした普段着感が出ています。
今の時代では準礼服になるのですが、この時代では その上クラスの装いが全然ありますから 当然とも言えます。
 衿の付いたウエストコート、そして当時はポケットウオッチと共にアルバートチェーンは欠かせません。

足元はスパッツ、裾はラフにロールアップしている様にも見えますね。










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・・・・・このブラックラウンジスーツというスタイルが継承され続け、時の首相も御着用されています。
エレガントで有名な A.イーデン氏も同様に素敵な写真が残っています。

イラストに同じく シングルの3釦・ノッチドラペルに共地のウエストコート、トラウザースは勿論 (コードストライプ)ドレストラウザースです。

 上着の生地に注目して下さい!!
BLOG掲載の写真は解像度を下げているので分かり辛いかも知れませんが、、、薄らと縞柄が見えるでしょうか!?
 幅がとても細い ヘリンボーン柄 です。









・・・・・ブラックラウンジスーツの父はモーニングコートです。
であれば、使われる生地自体も 父に準じているのが正統的となります。
モーニングコートを仕立てるのはどんな生地なのか。
ファンシーなブラックもありますし、黒であれば良いという訳でもありません!

その多くは ドスキン や バラシア 、そして幅の細かな ミニヘリンボーン がそれらにあたります。






 さて、前振りに時間がかかりました。
やっと生地の御紹介です!!










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PEDERSEN & BECKER UNIVERSAL

(L,Browne & Dunsford)




通称 P&B 、このコレクションですが 英国の良心とも言える昔ながらの古き良き英国生地を今でも織り続けております。
質実剛健、これをスーツ(スーチング)に当てはめれば このシリーズが筆頭です。

LBD社は 1989年に上記 PEDERSEN & BECKER を買収致しました。
伝統的 かつ洗礼されたクラシックなコレクションは、CITYの紳士達にも大変人気だったと言います。

現代的な目で見れば兎に角ヘビーなウエイトであり、その重厚感と迫力は正に圧倒的です。
そのウエイトは 430gから、なんと635gまで展開されております。
このシリーズで仕立てれば正に子の代、孫の代までと言われていたスーツは こういった生地で仕立てられていたのであろうと納得が出来る事でしょう。
 私は常々 『タウンユースなオーバーコーティングは500gあれば十分』とお話していますが、そんなコート地より重いスーチングも当然あるのです。

太い原毛で確りと密に織り込みます。
密度が高いので生地厚だけで見ればコート地より薄くなりますので、それだけ打ち込みが強い事が分かります。
 当然ながら耐久性に優れ、皺にもなり辛く、復元力も高く、、、
P&Bから見れば、多くの現行生地は子供の様にも見えるでしょう。


これらは 古き良き時代のあるべきスーツを仕立てるべく、頑なに織り続けられて参りましたが 流石に英国内でも需要が下がって来たのか残念な事に 一部廃盤が出ております。










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BLACK MINI HERRINGBONE

100% WOOL

465g




・・・・・普通に黒です。
ウールですから柔軟性を持ち合わせますが、粘り強さが全然違います。
ヘリンボーン柄はとても細く 正にデイフォーマル地のブラックです。
 モーニングやブラックラウンジは勿論の事、こういう生地でブラックスーツをお仕立てするのです!

正統的で正にエレガントなブラックスーツとなるでしょう。
仕立て映えは勿論、本当に迫力と存在感が別格ですが、以前は465gなんて普通だった訳です。


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ほんのりと 細目に走る縞柄が見えますね。
最高に格好良い、、、大好きな生地でもあります!












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BLACK BARATHEA

100% WOOL

400g



・・・・・流石に465gは重いと思われる方、こちらなら如何でしょうか。
オールマイティーなフォーマル地であり、DAY・EVENING 問わず 全てのスタイルへご使用頂けます。









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・・・・・独特な織目を魅せる顔立ちとなります。
バラシアは斜子織りとなり、これは平織ベースからアレンジされた変形組織です。

万能フォーマル地として 大抵のメーカーは織っていますし、ウエイトも様々に御座います。春夏でのフォーマルシーンの為にも、モヘアをブレンドしたバラシアも織られています。


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・・・・・エレガントなディナースーツも如何でしょうか。
ポアロ氏も本当に素敵です。







・・・・・上記 2種はブラックのフォーマル地でした。
最後はいわゆるダークスーツ、それもかなりエレガントで最高のスーチングを P&B製 にて入手しております。















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CHARCOAL GRAY HERRINGBONE

100% WOOL

560g





・・・・・かなり深く濃いグレー地、これも正にフォーマルライクでエレガントな色です。
ダークスーツの筆頭みたいなポジションであり、黒にほぼ同列で認められる魅力に満ち溢れた色です。
 ウエイトは560gと もう殆ど皺になりません(笑)。
着た時の着用満足感や安心感、そしてイタリア人が嫌がったであろうブリティッシュスーツの神髄を感じる事が出来ます。

ウエイト数字に臆する事はありません、着てしまえば普通です!
このステージでしか味わえない魅力、そして満足を是非ご堪能して頂きたいです。

三つ揃えで誂え、コードストライプのドレストラーザースをブラック同様に誂え足して下さい。



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・・・・・ブラックのバラシアと重ねてみました。
左がブラックのバラシア、右がチャコールグレーのヘリンボーンです。

バラシアの黒が少しネイビーっぽく見えますが、写真なのでお許しください。
トーンの濃さが伝わりましたら幸いです。













・・・・・3種3様 どれもこれも素晴らしく最高です!
個人的にはヨダレが出る程に好きなジャンルでもあります。

三つ揃えで誂え、コードストライプのドレストラーザースを誂え足して下さい。

http://dittos.seesaa.net/article/380582820.html
【 →BLACK SUITS→A 】



私が仕入れたP&Bは 今回3種となりますが、当たり前なスーチングの色や柄、そしてパンチ力のある上着なら見合うコードストライプでさえ見本帳より様々にご覧頂けます。

 言葉が少し変ですが、、、新しく生み出すVINTAGE SUITSの様な感じです。
正に一生物、子の代までも持ちますので 手に入るうちに古き良き時代の英国生地にて御誂え頂けましたら幸いです。


 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。













・・・・・来週のBLOG更新は 恐縮ながらお休みとさせて頂きます。
次回は9月27日(火) を予定しておりますので、どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。


今週も誠に有難う御座いました





posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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