皆様 こんにちは。
3月もまだ前半にも関わらず、気温は20度を超える日もありました。
急激な気温上昇に身体も追いつきませんし、桜も驚いて焦っているのではないでしょうか。
先週には キッドモヘアでご注文下さったO様のスーツを紹介させて頂きましたが、本当にデビューは近そうでもあり 早々たる夏の到来が怖くて仕方がありません。

・・・・・T様にご注文頂きました キッドモヘアのクラシックな三つ揃いのスーツ。
この生地は Taylor & Lodge製 でした。

・・・・・背が高くてスリムなT様、とてもエレガントに仕上がりました。
キッドモヘアの生地が放つ独特な光沢感とハリ・コシは、美しい光の印影と共に立体的なフォルムをパリッと奏でてくれます。
ヒヤッとした涼感も感じられ、そのハリ・コシは肌離れ良く暑くても爽やかにご着用頂ける事でしょう。

・・・・・M様も長身でモデルの様なお方であり、このキッドモヘアは希少価値高き
VINTAGE DORMEUIL:Super Brio で御座います。
昨今では春夏用のスーチングにおいて欠かせぬ展開を見せるキッドモヘアのシリーズではありますが、そのジャンルの元祖でもあるのですね。

・・・・・Super Brio といえば、当店の貴重な在庫も残り3種であり
それぞれに残量も僅かとなって参りました。
その3種は ネイビーとグレーのバンカーストライプ、そしてライトネイビーのソリッドです。

・・・・・春夏らしくダークトーンから逃れるようなライトネイビー。
ライトグレーと比べれば日本では馴染み薄かも知れません。
雨多き英国の天候の様にくすんだライトネイビーは渋みと落ち着きをも感じさせてくれます。

・・・・・英国王もライトネイビーを御愛用されます。
爽やかで清涼感も感じられる春夏地ならではの魅力的なキッドモヘアは如何でしょうか。
・・・・・さて、そんなキッドモヘアを主体にしたスーチングですが
今季仕入れた ヴィンテージのお勧め地を2種 ご紹介させて頂きます。

・・・・・じんわりと光沢感を放つ美しきネイビー地。
ゴールドのハンギングシールにはタワーブリッジ、あそこですね!

VINTAGE WAIN SHIELL
60% KIDMOHAIR
40% WOOL
ABOUT 280g
モニターを通してみる写真の色よりも、実物の方がもう少し濃いです。
極一般的で皆様もイメージされるであろうネイビーの色味です。
1980年代製との事で、ビッグネームのSuper Brioに影を潜めますが
同時期に織られていた逸品となります。
こんなにもベーシックで定番のネイビー地が無地で現存している事こそ、驚くも嬉しき貴重なスーチングでもあります。

・・・・・旧型織機で織られた貴重な生地は、同時期であれ Super Brio とも違う個性を放ちます。
写真含め、一見では分かり辛いでしょう。
しかし調理してみると結構違いが分かります。
どちらの雰囲気が良いかはお好み次第ですが、ヴィンテージのカテゴリーにおいて もはや混無地自体を探すことは大変困難であり、目の前にあるご縁を大切にされるべき逸品だと思います。


・・・・・次のキッドモヘアへ参りましょう。
次の生地は かなりトーン深き ダークネイビーの無地です。

VINTAGE JOHN FOSTER
60% KIDMOHAIR
40% WOOL
ABOUT 280g
クオリティーの面において、先のW.SHIELL、冒頭のS.BRIO、そしてJ.FOSTER
混率もウエイト感もみな同じです。
同じですが比べると全然違います!
この J.FOSTER製は 1990年代頃に織られた生地との事で、他の2種と比べるとほんの若干だけ若いと言えますね。

・・・・・この生地の個性はまた独特で、、、、
モヘアらしい光沢感がほぼ無く、パッと見はベーシックなウールトロピカルの様です。
ですがモヘアらしいハリ・コシは持ち合わせているのです。
特徴でもある光沢感につき、この部分では好き・嫌いが分かれるところです。
モヘアの光沢感が苦手、、、でも興味はある というお方にとっては一押しですし、モヘア好きな方々には こんな天邪鬼な子も愛おしくなるのではないでしょうか。

・・・・・この織地感、、、見えますかね、、、、、。
平織なのですが、順逆織りの様に筋っぽい織柄表情があるのです!
(順逆織りではありません。)
これは分かり辛いですが、洋服となって様々な角度や光の当たり方で見え隠れする独特な表情を持つ天邪鬼なキッドモヘアスーチング、色目もシックにダークネイビーで春夏でもシャキッと目の覚めるようなエレガントな着こなしをぜひお楽しみに下さいませ!
JOHN FOSTER
1819年創業の老舗のミルです。
スーツ地といえばウールが一般的である中、同社は他社に先駆けモヘアなどの服地を作るべく 開発と投資を続けて参りました。
これが功を奏し、世界中でベストセラーとなった DORMEUIL:TONIK の開発・製作へと繋がったのです。
この成功を機に、DORMEUIL そして JOHN FOSTER は Super Brio を生み出します。
故に、モヘアスーチングの歴史は J.FOSTER なくしては語れぬ貴重な老舗のミルなのです。
そんな生みの親でもある同社製のスーチングなのですが、とてもリーズナブルな『出物』として入手出来ました。
ですが、そこにも理由があり、、、、なんと JOHN FOSTER の生地ネームが無いのです!
だからこそのお値段でもあり、ヴィンテージの生地には色々な生い立ち含め、当店に辿り着いた経緯や軌跡があるという事です。

・・・・・上に W.SHIELL、下にJ.FOSTER 並べてみました。
トーンの濃さが分かりますね。

・・・・・更に今週ご覧頂きました 全3種 での共演です。
左から DORMEUIL / W.SHIELL / J.FOSTER と並びます。
同じ 6:4比率なキッドモヘアスーチング、同じ無地のネイビー地、でも色味加減含め個性は多彩です。
もしかすると、、、、3種すべてにおいて JOHN FOSTER製である可能性も高いと言えます。
ですが、それぞれに原毛として質や番手、色、撚り、織り方の差(皆平織範疇での話です。)、フィニッシングなど含め企画やコスト面も違うでしょう。
現在織られている現行品のモヘア、それらの多くは南アフリカで採取されています。
ですがヴィンテージと呼ばれている時代のモヘアはトルコ産が多く、産地違えば動物としての特徴や個性も変わりますから そんな背景も感じながら着用を楽しむのも良いでしょう。
相当オタクのようですが(笑)、男子たるもの多かれ少なかれオタク気質を持ち合わせているものです!
何より、当店BLOGをご覧頂いているくらいですからね。
いつも心より感謝しております。
・・・・・如何でしたでしょうか。
今年の夏もきっと暑く成るのでしょう。
マスク着用は早々に緩和され、5月には新型コロナも5類となり、いよいよもって普段通りの生活を取り戻せます。
人間はやはり面と向かったコミュニケーションを欠かすことは出来ません。
であれば相手方へのリスペクトも含め 装いへも気を回す事になります。
衣・食・住の『衣』をもっと楽しまなければ人生勿体無いです。
皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。
・・・・・大変恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。
次回は 3月28日(火)を予定しておりますので
どうか引き続き宜しくお願い申し上げます。