2023年09月19日

【 ESCORIAL:SUITING 】




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= エル・エスコリアル修道院 =



この美しい宮殿は 16世紀にスペイン王によりマドリードに建設されました。
今では広大な宮殿、修道院、博物館、図書館などからなる複合施設となっているそうです。
 ユネスコの世界遺産でもあり、極めて人気の高い観光スポットでもあります。

その昔、寄贈された個体の小さな羊をスペイン王は王室専用にと敷地内で育成する事にし、
その羊たちは『エスコリアル』と名付けられました。
 この羊から採取されたウールは正に別格で特別なものでありました。
軽く、柔らかく、そして伸縮性の高さに秀で、しなやかで正にカシミアの様なタッチは王族や貴族たちを虜にします。


エスコリアルの毛(繊維)はとても縮れ毛であり、コイル状に巻かれたバネのようです。
これが独特な高い伸縮性に繋がっており、同じ型紙でエスコリアルウールと他のウールを着比べた場合 生地(羊毛)の性能差で動きやすさが全然違うとされます。
 また、カシミアの様に繊維は細く シットリとした最高の肌触りでありつつも
実はウールですから弾力性と共に耐久性的な側面もウールに同等となります。

美しきドレープを生み、軽くて動きやすく、しなやか極まりなき夢の繊維、、、
それがエスコリアルなのであり、王家の羊とも言われる由縁です。









・・・・・当店でも多くのエスコリアルを扱って参りました。
このエスコリアルに対する詳しき蘊蓄は 下記リンクよりご参照頂けましたら幸いです。


http://dittos.seesaa.net/article/481995724.html
【 ESCORIAL:JACKETING 】

http://dittos.seesaa.net/article/482531122.html
【 ESCORIAL:COATING 】







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現代のスペイン国章にも描かれている幻獣の様な、、、これはライオンさんであり、エスコリアルの紋章にも使われています。

この度も光栄なご縁により、夢のスーチングをお得に入手する事が出来ましたので是非ご紹介させて頂きたいと思います。












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・・・・・ネイビー系 3種、グレー系 2種、計5種をとくとご覧下さいませ。


PURE ESCORIAL WOOL


250/270g




経緯共に双糸使いで確りと織られた英国製の生地、このウエイトは 4シーズン用 とも言われています。
 300g前後で3シーズン用ですから頷ける事ながら、昨今の日本では春秋が短くなり、残暑含め夏場が長くなってきている印象を受けます。

 そういった側面から見れば、このスーチングは正にこれからの気候変化に伴い必ずや重宝頂けるウエイトでもあるという見方も出来ますね。


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・・・・・深きダークネイビー地は細い縦畝を表現したコード織りの生地。
有名なのは乗馬服でも使われている BEDFORD CORD が頭に浮かぶでしょうか。

厳密には平織と綾織を融合させた織地であり、デザインの如く縦に安定感が頗る高くてコシもあると言えます。

原毛の細さ故、とても上品な光沢感に富み、光の陰影を美しく奏でます。
無地ながらも大変表情のあるスーチングであり、これを最高なエスコリアルで味わう贅沢を是非ともご堪能下さいませ。














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・・・・・こちらも無地範疇で更に深きダークネイビー地です。
目を凝らすと見えてくる独特な織り地、一見は細かく正確に整った蜂の巣⁉ のようでもあります。

これは ピケ(PIQUE)ですね。
刺し子繍された意味のフランス語に由来し、浮出織りとも呼ばれるそうです。
 縦・横・斜など 畝で表現し、表面に凹凸を持たせた織地となります。
ピケについて、これはかなり広範囲に使われる語であり、厳密に言えば先に紹介したコード織り(BEDFORD CORD)も入ります。
 一般的にはワッフル、ハニカム、スモールダイヤモンド(マルセラ:MARCELLA)などが挙げられ、織柄が細かいほどにエレガントになります。

この凹凸により光沢感は落ち着いてなりを潜め、いぶし銀かの如く 落ち着いてじんわりとした表情を奏でます。

正礼装のイブニングフォーマルで着用されるテールコートには、コットンで織られたホワイトピケの生地を使い、シャツやウエストコート、ボウタイを仕立てて合わせられる正統的なフォーマル地があります。
 通称ホワイトピケと日本では呼ばれていますが、これが英国ではMARCELLA(PIQUE)となります。

そんなエレガントなポジションたるピケのスーチング、様々なシーンでの活躍が見込まれますね。














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・・・・・アクセントとなるロイヤルブルーの色が効いたモダンなグレナカートチェック、そして目立つ事なく 隠れ過ぎぬ重ね格子も入った美しき格子柄です。
ネイビー地ですが、グレー味も入って絶妙にくすんだ感じが何とも言えず、ニヒルかつ妖艶な雰囲気を漂わせます。


先にご紹介した2種は大変エレガントなポジションですが、格子柄ですから肩ひじ張らず気楽に着用でき、されど品良くまとめられた様はビジネスシーンでも大いに活躍してくれる事でしょう。

このロイヤルブルーが上手いですね、、、渋くさせ過ぎず、派手な若々しさもなく、正に大人の着るべき格子柄スーチングです。















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・・・・・では次にグレーの2種をご覧下さいませ。
グレーにはグレーの魅力が溢れています!
















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・・・・・エレガントなチャコールグレーにきられたクラシックなピンストライプ。
このストライプの色がまた大変映えて堅苦しくもあるダークさに彩を与えてくれています。

このロイヤルブルーは先の格子柄で使われていた色味に近く、担う役割も重なります。

ストライプはクラシックな種類だけでも ピン・ペンシル・チョークなど様々にありますが、個人的にはこのピンストライプが一番好きであり、一番縞が細く繊細です。
この縞がアイボリーやライトグレーであれば この色気は出ません。
出す必要が無ければそれまでですが、このエスコリアルでは出したいのでしょう。

コントラストが強過ぎないピンストライプは弱く細い縞なので遠目には溶け込んでしまいます。
だからこそ、近くで見た時のささやかなインパクトが効くわけです。

 お手持ちのブルー系シャツは驚くほどの抜群な相性を見せ、鮮やかな色味(縞色)にも関わらず それを微塵も感じさせません。
 高貴なエスコリアルだからこそ、この色気がより美しく調和するというものです。















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・・・・・最後のご紹介となります。
これも美しく素晴らしい生地であり、グレーだからこその落ち着きと渋みがたまりません。

トーンはミディアムか、ダークというべきか 暗すぎないグレー地にシャドーチェックが施されています。

近くでよく見ないと分からぬレベル、こういったテイストはTAILOR泣かせでもあり裁断も縫製もキツイ戦いになるでしょう(笑)。
 されど、『あれっ、よく見ると・・・』 これがキモなのですね。
その魅力を尊重し、頑張るしかありません!

ベースの織はPICK&PICKに同じであり、程好きミックスされた細かき霜降り感が よりグレー味を際立たせます。

離れればPICK&PICKのスーツにも見えるかも知れませんね。
 こういった目立たぬ名優こそが優れた映画に魅力的なスパイスを与えているのです。
(主演は常に御着用者様であります。)

色味も濃すぎず、正に普段使いのスーツとして 頼りになる存在になる事は言うまでもありません。
 こんなにも有能な名優を相棒に持つ事が出来たなら幸せな事でしょう。














・・・・・如何でしたでしょうか、王家の羊を是非味わってみて下さい。
王が囲った特別なエスコリアル、一時的には絶滅したとされていました。

幸運にも生き残っていた純血種がおり、管理し守りながら大切に育てられています。
されど現存する全ての羊という括りの数からみれば 1%未満に過ぎません。

確かに贅沢品ではあります、あるからこそ この御機会を幸運な縁と捉えて頂けましたら嬉しい限りで御座います。




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VINTAGE SAVILE ROW




古き良き伝統的でエレガント、タイムレスなスーツスタイルに対し
個性とモダンを加えたONLY ONEを求める皆様へ、、、
 ご来店を心よりお待ち申し上げております。


今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。










posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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