皆様 こんにちは。
早くも3月に入りました、天候も安定しませんが、少しずつ春に向かっているという事でしょう。
本格的な春の到来を前に、当店では HOUSE STYLE ORDER限定 による
早期受注フェア を開催中で御座います。
ご注文内容は季節を問いませんので、リネンからツィードまで幅広くご注文を頂いております。
3月20日(水)までとなりますので、どうかこの御機会を有効利用して頂けましたら幸いです。
また、シャツの今期シーズンファブリックが3月中旬以降を目途に配布される予定で御座います。
そのタイミングに合わせ、新型オープンカラーシャツも受注開始とさせて頂きます。
また改めてご紹介させて頂きますが、こちらも合わせて宜しくお願い申し上げます。
さて、今週も当店BLOGにお立ち寄り頂きまして誠に有難う御座います。
楽しみにして下さる方々が居られるからこそ続けられております。
TAILORのブログですから生地や作例のご紹介がメインとはなりますが、たまには少し目先を変えてみましょう。
今週は ほんの少しタイムトラベルな気分を如何でしょうか。
エレガントなクラシックスタイルをお気楽にご覧頂けましたら幸いで御座います。
・・・・・長きに渡る紳士服の歴史の中で、スーツという括りで見ると
紳士達が一番エレガントであった時代であり、現代的なスーツというスタイルが確立された時代、それが1930年代のあたりになります。
紳士服の歴史は大英帝国に行きつき、英国のテーラーリングが率いてきたとも言い換えられます。
1930年代のスタイルというのはクローズアップを受ける事が少なくありません。
それだけ無視できぬ時代でありスタイルであるに他ならず、他の国々でも英国スタイルへの憧れと共に同じようなスタイルを形成していました。

・・・・・ハットを被り、三つ揃いにステッキまでと 英国紳士を彷彿させるエレガントな紳士達。
このイラストの出どころ、実はフランスなのです。
シングルブレストは三つ釦でピークドラペルも見受けられますが、ラペルは本返りが主体ですね。
独特で美しきシルエットの上着、ドレープ豊かな股上深きトラウザース。
イラストとはいえ、襟ぐり線であるゴージラインの位置にも注目されてみて下さい。
本来あるべき美しきクラシックスタイルたるバランスは存在します。

・・・・・まだ写真が今のように手軽でなかった時代、人々へ伝えるのは文字と共にイラストでした。
当時のスタイルを学ぶ上で欠かせぬ メンズマガジンは世界中で豊富にありました。
アメリカにはEsquireが有名なように、フランスでは【 ADAM 】が筆頭となりましょう。
1925年〜1973年 2か月に一度発刊されていたそうです。
服飾関係者にとっては大変貴重な雑誌でもあり、特に20〜30年代の古いものはかなり高値が付けられています。
ここに4冊、1929/1934/1934/1938の4冊がありますが、もう表紙からカッコ良すぎますね!
当時の生でホットな情報であり、その時代の方々が目にしていた紙面を一部だけご紹介させて頂きます。
では早速 私と一緒に覗いてみましょう!

・・・・・雑誌ですから広告は付き物です!
今でも現存するブランドも多く、こんな広告を見るだけでも楽しくなります。
エルメスのグローブも手首を確りとホールドするレングスに釦留め。
コレですよね、クラシックなグローブとは!





・・・・・OLD ENGLANDは昔 青山:外苑西通りに大きくて重厚で、高級感あふれる素晴らしいお店がありました。
フランスブランドであるこの素晴らしいSHOPの存在こそ、当時の英国スタイルがどれだけ影響が強かったのかが分かりますね。アメリカのPaul Stuart に然りです。
WESTONや、SPORTEXも! 当然フランスブランドが多いのですが、
KYNOOCHはご存知でしょうか、スコットランドのメーカーでありツィード好きな方はご存じの事でしょう。
キャラクターであるワンちゃんが有名ですね!
そして バーバリー(ズ)、昔は最後にSが付いていました。
最近はそのSが無くなっているのを御存じでしたでしょうか!

・・・・・イラストなので定かではありませんが、パドックカットのピークドラペルでしょうか、、、まるでA.イーデン氏の様です。
足元にはスパッツ、エレガントで優雅な “ビジネスマン” ですね。




・・・・・左の紳士は3釦の段返り、しかし昨今の見慣れた段返りとは一線を画します。
確りとした肩回り、キュっと絞られたウエストに向かい 優雅な胸部のドレープが見て取れますが、正にイングリッシュドレープなスーツです。
ラペルの返りは計算・設計され、狙った芯使いにより返されています。
イタリアの様に返り線付近の増芯を省き、センター(第2釦)まで返る(事が出来る)手法とは違います。
使われている芯地自体も昨今の価値観から見れば かなり確りとしていると言えます。
イラストだし、、、とも言えますが、リアルをもとに描かれているのですからプロらしく特徴を上手く捉えているのであろうと思います。


・・・・・そそられますね〜!
単なるイラスト、されどイラスト、本当に味わいがあり、雰囲気あって気分も盛り上がります。
様々なディテールデザイン、今では見かけないファブリックデザインも、、、
どれも格好良く素敵!
当時の読者も同じような気持ちでご覧になっていた事でしょう。

・・・・・写真だって勿論御座います。
国王ジョージ六世も紙面を飾ります。



・・・・・2面2ダーツで裁断されたイングリッシュドレープスーツ。
ラペルの返りから見れば3釦の様ですが、第1ホールが見当たりません!
昔の上着はかなり甘めに返らされた設計や仕立てのラペルも多く見受けられますが、これは3釦にした方が素直に見えそうですね。
釦数はさておき、胸部のボリューム感は凄いですね。
この服の持ち主が着ている所を見ないと分かりませんが、厚みある豊かな鳩胸に見せるべく、意図した裁断である可能性も!
袖口に4つ並んだ釦が見えますが、慣れ親しんだスタイルでもあります。
ですが、一番下の袖口に近いホール位置をご覧下さい。
昨今の見慣れたバランスより低い位置で設定されているのが分かるでしょうか。
古着をお好きな方々から見れば通常運転ですよね。
袖口は捲くれるように開閉式にされ、開きがあるからこそボタンで留めます。
にも拘わらず目にする昨今の袖口ホールは随分と高い位置より第1ホールが設定されていますね。
これでは釦の意味が⁉ と矛盾に感じますが、袖丈直しを前提に考えると多少詰めた位で丁度良い という見方が出来ますね。
素直ではない不自然なバランスですが、誂えであれば その方に合わせて袖丈を設定するので 無用に高い設定の釦位置では矛盾とアンバランスだけが残る事となってしまいますが意図する狙いは、、、?






・・・・・不自然に見えるくらい 皴も皆無に綺麗で固まっているかのようです(笑)。
丸みと共に立体感に溢れ、高度なテーラーリングが施されているのが分かります。
カットも仕立ても素晴らしい事は前提ながら、当時の生地ですから今では驚くほどに密でヘビーウエイトな生地ばかりでもあるという事です。
この時代にはまだスーパー表記すらありませんし、今の様な細い高番手の糸・生地を生み出す技術もない時代です。
高価な誂え服がそんなペラペラでは直ぐにダメになりますし、今の様に空調設備も整いませんので普通に寒い、、、洋服の前提たるは防寒具でもある訳です。
だからこそ、、、誂えスーツは子の代、孫の代までと言われ、それに耐え得る確りとした生地であったという事です。

・・・・・ガウンのバリエーション、凄いですね。
私が修業時代にはカシミア地でガウンの注文がボチボチありましたが、今ではどうでしょうか。
ご要望下さるお方がおりましたら是非お声かけ下さい。
シルクでも、カシミアでも 最高のガウンをお仕立て致しますので!
ですがお若い世代の方々はガウンを見た事が無い方もおられるのではないでしょうか。
日本では老舗の百貨店に探しに行くくらいしか最早目星がつきません。

・・・・・この時代のニットやカットソーは私にとって大変魅力的で素敵なのです。
今の価値観で比べれば見るからにショート丈に見えますね。
勿論短い訳ですが、それだけトラウザースの股上が深い事に起因します。
そして裾リブの幅、これが広い!
短めの丈と共に、スーツに同じく高いポジション(ハイウエスト)でクビレを形成するのです。
当たり前な事ですが、軽衣料含め周辺アイテムも全てトラウザースの設計価値観に連動していると言えます。
タイも短く、ブレイシーズも支点は低く、ニット類は見た通り。
これが当たり前であった時代から見ると
ウエストコートが省かれ、ローライズへとトラウザースが移り変わると共に 全てのアイテム達も連動してビヨ〜ンと長くなって参ります。
こういった昔の服を見ると随分と移り替わってきた様が見て取れる事でしょう。
昔の方々から見れば今の丈設定(ベスト、ウエストコート、ニットやカットソーの類)は、なんて胴長・短足に見える・見せる丈バランスなんだ!
となる訳ですね。
当時と今の当たり前は当然違いますが、随分と色気は無くなり ルーズに無難 へと落ち着いたという結果論であり、それがリアルな時代の流れであると言えます。
カジュアル化も含め、寂しい事ながら男性の装いに対するエレガントさは求められなくなりつつあるのかも知れません。
だからこそ、余計に紳士服の黄金期が輝いて見えるという事もあるでしょう。
衣食住の『衣』に関しても、もっと拘り、追求し、楽しむ事が出来たなら
より充実した人生になるのではないと思います!
・・・・・以上となります。
如何でしたでしょうか、当時の雰囲気を少しでも感じられましたら良かったです。
フランスのテーラードと言えば 『フィッシュマウス・ラペル』 をイメージされる方も少なくないでしょう。
こう見ると そのディテール自体はそれほど古くない事も分かりますね。
日本では洋装社が 1932年に【 洋装 】という月刊誌を創刊しました。
主にテーラー業界向けであり、英国のTAILOR & CUTTER に近いと言えます。
そんな洋装の内部にもT&Cの記事や技術的事柄が沢山記載されています。
この洋装もまたもの凄く渋くて格好良いので、別の機会にご紹介できればと思います。
皆様もきっと『これが日本製か?』と疑う程に素敵なTAILOREDが満載でした。
これもある意味では当然の流れでした、、、。

漢字含め日本語自体も古いですよ(笑)!
やはり英国スタイルを推していますね。
今回のフランスだけではなく、日本でも、いや世界的に見て英国のスタイルは憧れと共に見本でもあったのです。
これは揺るぎない事実であり、歴史でもある というお話でした。
では、今週もお付き合い頂きまして誠に有難う御座いました。
是非また来週もお立ち寄りくださいませ。
何卒宜しくお願い申し上げます。

