
・・・・・天晴れなり! (青山霊園にて)
暖かな秋が長引いて紅葉も遅れましたが、正にピークを迎えた銀杏。
そそり立つ大樹な銀杏、爽快な青い空に見事な金色、本当に圧巻です。

・・・・・銀杏をはじめとする落葉樹は、綺麗な紅葉を魅せてくれたのち
今は静かに散り始めています。
葉の落ちた樹木はどことなく寂しさと、そして寒々しささえ感じられますね。
これからは乾いた落ち葉を踏みしめ、自然の奏でる音色を楽しみましょうか。
本格的な寒さの到来です。
さて、ここで当店の【 年末年始のご連絡 】で御座います。
年末は、12月28日(土)が最終営業日となります。
年始は、1月4日(土)より通常営業開始となります。
毎週火曜日、第4日曜日が定休日となります。
(完全予約制で御座いますので、お気軽にご連絡を頂ければと思います。)
皆様におかれましてはご不便、ご迷惑をお掛け致しますが、何卒宜しくお願い申し上げます。

・・・・・ロナルド・コールマン氏はイギリスの俳優であり、数々の映画に出演されてきたトーキー黎明期を代表するスターのお一人です。
氏の口ひげはトレードマーク、とてもエレガントで品のある俳優さんです。
チョークストライプのフランネルで誂えられたダブルのスーツは三つ揃い、打合いも深めで美しきバランスは本当に素敵で私には模範解答の様です。
氏の他にも銀幕(Silver Screen)を飾ったスターたちの多くは、やはりフランネルのスーツは欠かせぬゆえ 残された沢山の写真からも垣間見る事が出来ます。

・・・・・フランネルスーツと言えば この御方にも触れぬわけには参りません。
エドワード8世(後のウインザー公)は米国のファッションにも大きな影響を与えておりました。
スランネルはもともとカントリー(スポーティー)なポジションではありましたが、その位置づけを上げたのも数ある功績の一つと言えます。
フラノのスーツにスェードの靴も当時は斬新だったことでしょう。
無造作にポケットへ突っ込む様も絵になりますね。


・・・・・銀幕のスターから王室、そしてチャーチル元首相を始めとした政治家含め
フランネルの、更にチョークストライプのフラノは愛されてきたクラシックなスーチングの一つであり それを支えていたのが FOX BROTHRS なのです。
当時を顧みれば、フェローズのイラストなどでも 直ぐにそれと分かる魅力的なチョークストライプのフランネルスーツを見る事が出来ます。
ネイビー⁉ グレー⁉ 微妙に渋い色味のチョークストライプはダブルブレストで仕立てられ、アクセントな赤いブートニエールがとても映えています。
このストライプ、良く見ればダブルストライプな縞柄なのですね!
今週は多大なる御贔屓を頂戴しており、確固たるご自身のスタイルを持たれた H様のご注文を紹介させて頂きます。


FOX BROTHERS
= FOX SILVER SCREEN =
100% WOOL
ABOUT 545g
【 FOX SILVER SCREEN:2023AW / DIRECTOR’S CUT 】
( 生地の詳しきご紹介は、上記リンクよりご覧下さいませ。)
・・・・・これぞ正しく往年のフランネル、FOXの真骨頂です。
縮絨され、密々で肉厚、起毛でボケた縞はチョークの線。
(奥に本当のチョーク線が見えますね!)
冒頭に登場してこられた方々の着用していたようなフランネルを、Silver Screenの名のもと再現した企画シリーズです。
昨今のフランネルはこのシリーズから見ればみな子供の様です!
ソフトでかつウエイトも軽くなり、それはそれで市場の声に耳を傾けたからこそ。
ですが、ダグラス氏が表現したかった生地、是非皆様に着て欲しい、見て欲しいと具現化された拘りのシリーズがこの生地となります。
これまたダブルストライプがニクイですし、こちらの色はグレイシュネイビーとなります!

・・・・・日頃より御愛用されているボウタイが素敵です。
キュっと絞り過ぎない結び目だって意図的です。
ダブルブレストの堂々としたラペルは往年の時代を彷彿させてくれ、短くコンパクトな丈こそがキモ、本当にエレガントです。
御機会があれば、マニアックに当時に見受けられた前身頃に柄合わせのラペルも乙ですね、リクエストがあればいつでもお仕立て致します!


・・・・・上質なスェード⁉、バックスキンでしょうか。
これまた、、、、いつも素敵な靴ばかり、それでフランネルの仮縫いの日に履いてきて下さる。
本当に誂えを楽しんでおられるお姿でもあり、ご注文時、仮縫い時、そしてご納品時と各機会の楽しみを重ね御堪能頂いております。

・・・・・拘りぬかれたバランス、些細なディテールが全て結合してまとまり 美しきバランスを生み出しています。
腰ポケットの絶妙なスラント角度も御指定通り、H様の求められている美しきバランス(スタイル)は私の頭にも勿論確りと蓄積されております。


・・・・・いよいよお仕立てあがりです。
手前ミソながらとても良い出来栄えで御座います!





・・・・・日が暮れると既に寒いですから、先日より着始めたとのトップコートと共にダークスーツにて御来店下さりました。
トラウザースの帯、上前持ち出しは通常前カンを使用しますが H様は釦仕様がご自身のスタイルです。
仮縫いでは既にご体験済ですが、このフラノがもたらす安心感、守られている感は凄いですよね、とんでもない迫力です。
ツィード同等のウエイトですから馴染ませるまで少し時間もかかりそうです!

・・・・・お仕立て頂きました ACORN のP.O.Wチェックシャツ、お決まりのフレンチカフスにボウタイ、このフランネルのスーツにも凄く合います。
ウエストコートは生地もハードゆえ 微塵の皴も無く甲冑の様ででもありますね。
勿論 お身体に合っており、そのお身体の立体にそぐう仕立てがあってこそ。


・・・・・何も言う事はありません、、、凄く魅力的であり、本当にH様らしさが滲み出ていて素敵です。
ダグラス氏もこの生地は『是非ダブルブレストで』との事でした様ですね。
仕立て上がったらお写真をお見せする約束です。


・・・・・ブラックの靴はレイジーマンときましたね。
確かにお着換えがあるので好都合でもあります!

・・・・・美しいスーツです。
打合い深く、コンパクトなVゾーンからウエストコートは見えません。
見えないからいらない、着ないという事ではありませんがご着用はご選択出来ます。
本当にエレガントで銀幕より出てきてくれたようです。
ただリアルに当時の服を再現しようとするなれば、もう少し違う価値観を加える必要があります。
その価値観が必要か否か、そこがとても重要なのですね。
忠実に再現、復刻された様なOLD SUITSを求められている訳ではないからです。
時代は進むもの、生活や価値マンも変わりますし、技術だって進化します。
ご注文されるスーツに何を求められているのか、何を重要視するのか、
設計(型紙)から芯、パットなどの付属類、更にはそれらをまとめる調理法です。
BESPOKEでは設計や中身も一律ではないという事ですね。

・・・・・とてもお気に召して頂き、光栄にもご着用されたまま帰路につかれました。
この素朴なフラノの質感、どことなく懐かしさと安心感があり、良き意味で「新品さを感じない!」とのお言葉を頂戴致しました。
本当はスーツも緊張状態ではあるものの、F.アステア氏の様に仕立てあがったばかりのスーツを壁に投げつけ、、、、なんて実際にはされませんよね。
新品の真っ白なスニーカーが気恥ずかしいのに同じく、新品なのに今日着て来た服かのような馴染みというかシックリくるフィーリングのようなもの、それを感じさせてくれるスーツこそ良い仕立てとも言われています。
もう何着もお仕立て頂いているからこそ 型紙の精度も高く、着用実績は自ずと身体が覚えます。
基本的にいつもと同じバランス、サイズだからこそ その時に選ばれた生地の個性を十二分に感じる事が出来るのです。
H様、この冬よりガンガン着て下さい、ローテーションなんて考えなくても このフラノなら一晩寝れば全然大丈夫でしょう!
この度も素敵なご注文を誠に有難う御座いました。
・・・・・年末差し掛かる折では御座いますが、来週のBLOG更新はお休みさせて頂きます。
次回は 12月24日(火)を予定すると共に、本年最後の更新となります。
どうか引き続きよろしくお願い申し上げます。