2021年12月14日

【 BUSH JACKET A 】




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 クリスマスを目前に、新橋駅前のSL列車もイルミネーションで盛り上げてくれています。
様々に変わる光の色を纏うSLの運転席にはサンタさん!


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 今週は英国のサープラスガーメントである BUSH JACKET:第二弾をお話させて頂きたいと思います。
皆様、、、ついてきて下さっているでしょうか!!


= 初回をお見逃しの方は 是非下記リンクよりご覧下さいませ。=


【 BUSH JACKET @ 】











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軍服は様々な環境や試練により次々と進化をして参りました。
現代のスーツもルーツは軍服です。

 さて、WW2時含め KHAKI DRILL というカテゴリーの中にBUSH JACKETが存在し、これから御紹介するのは主に暑き地方に適するよう特化した進化を成し遂げたモデルとなります。
おさらいからご覧頂きます。






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1940年 KHAKI DRILL:BUSH JACKET


ある程度のバリエーションも存在しますし、自身用に仕立てられたオフィサー仕様とも成ればより広がるとも言えますが40年代では大体 上記写真の様な仕様となるでしょう。
 合わせるトラウザースやショーツの多くは、かの有名なグルカショーツ型も多く存在しました。

上着の特徴ですが、これはかなりのTAILOR MADEです。
当時は現地での仕立て屋さんで誂えられていた事実もあります。
ノッチドラペル(下衿)に第一釦は無く、留める仕様にはなっていないものの 留めた場合に学ランの様な詰め衿型(スタンドカラー)になるのが垣間見る事が出来るでしょう。
返り衿の原型を彷彿させてくれるバランスです。

フロントは4釦、肩章が付き袖は比較的に現代的なジャケットスタイルですね。
袖口には装飾カフが付けられた筒型の袖です。

顎ダーツ、そして胸・脇ダーツによりウエストを絞り込み、シェイプの効いた立体的なカットが施されています。
胸にはアイコン的なカモメ型フラップ、そのポケットにはボックスプリーツが畳まれています。
とても大きな腰ポケットには、横と底辺にマチが設けられたベロウズポケットに釦付きのフラップが付きます。

生地はとても丈夫なコットンドリルであり、過酷な環境にも適応し、洗濯にも適していますね。
同時に軍服には多いのですが、釦も全て安易に取り外す事が可能です。






では、これらをベースに 1950年代へ進みます。
どの様な変化・進化があったのでしょうか。






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KHAKI BUSH JACKET

1950 PATTERN



これは英国の官有物として開発・生産された既製服であり ブロードアロー物となります。

先ず大きく違っているのは素材です。
トロピカルユニフォームの素材として軽量かつ通気性に特化したセルラーコットンが採用されています。

『 セルラーコットン 』 セルとは細胞との意味があり、規則的に空いている穴の様を指したメッシュ系のコットン地の総称と御理解下さい。



 衿は所謂オープンカラーになり、同じく第一釦は無いですから締めることを想定されていません。
肩には肩章が付き、袖付けは折り伏せ縫い、ある意味 より簡易で丈夫になっています。
胸のポケットは40年代とほぼ同じですが、生地が薄くなった為 身頃のポケット口付け部の裏側に『力芯』となる共地の帯を宛がい二重にして補強されています。
腰ポケットに付いてはマチが排除され、釦も省略されました。
力芯となる裏帯は胸に同様です。

袖口の仕様はシャツの様な形態となり、ケンポロを付け、バレルカフスが付きます。
これで何倍も腕がまくり上げやすくなり 大変重宝されたそうです。

胸・脇の各ダーツはありますが、顎ダーツのみ省略されています。
また、腰をキュッと締めるベルト、、、大きな特徴として、このベルト自体が後身頃に縫い付けられています。
外れませんから無してしまう心配がないですね!

こうして見ると よりシャツジャケットに近付いたとも言えます。
正にその通りであり、着用される環境と着用者の声がそうさせているのです。








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・・・・・1971年
かの御方も着用されておりますね。 正に1950 PATTERN型です。
この様にインナーや地肌へシャツの様に着ても快適なのであり、それだけ環境が暑いとも言えるでしょう。
 同時に、この1950型がそれなりに長きに渡り着用されていた事も窺えますね。





では、リアルなVINTAGEを前に より具体的にディテールなどもおって参りましょう。









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・・・・・全貌です、、、、私には格好良さを通り越し、美しささえ感じられます。
この類では正に究極の完成度だと思っています。
こう見ると、世間的なサファリJKと同じに見えるでしょう。
用途や意味合いは同じですが、私にとってBUSH JACKETはBUSH JACKETなのですね。

パッカリングが雰囲気をより盛り上げます。
パッカリングとは縫い目部分の縮みによるシワシワです。
これは意図的にミシンで出す方法もありますが、そもそも粗く高速で縫うとなりがちでもあります。
 そしてもう一つ、洗いによる縮みが原因により更にパッカリングが大きくなります。
生地が薄ければより顕著であり、エイジングの歴史を感じさせてくれます。

これらのサイズ感は新品時から相当縮んでいる筈であり
見越した設定が成されていなければ サイズ設定の意味が無くなってしまいます。







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・・・・・この個体(VINTAGE)のタグです。
1950 PATTERN KHAKI BUSH JACKET SIZE 7

型は1950年型の型紙(モデル)ですが、1967年:F.FRYER製である事が記載されています。
ブロードアローのマークも確りと付いていますね。

かなり程度の良い古着であり、サイズ感も私自身にピッタリの適合サイズです。



余談となりますが、、、1957 PATTERN というものありまして、このBUSH JKは更にどの様な変化をしたのか!?
当時 このシャツジャケット型BUSH JKは裾をトラウザースに仕舞って 本当のシャツの様にも着用されていたそうです。
 1957年型では そういった部分も踏まえてでしょうが、腰ポケットが排除され、ウエストのベルトは取り外しができる様になりました。
 それはそれでも別に良いのですが、シャツも有りましたし、半袖のBUSH JKもあります。
しかし、古着での半袖は長袖をお直しでカット・処理した可能性もありますね。

( 全てを詳しく追いかけられるほど詳しくはないので その辺りはご了承頂けましたら幸いです。 )



1940年代から この様な流れを見た時に、1950年代モデルが私にとって一番琴線に触れ ツボにはまると言う訳で御座います!











・・・・・では生地から見て参りましょう。
分かり易く言えばメッシュ地ですね。 かなりの通気性を誇り、とても軽いです。


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この写真は、左胸部の裏面です。 右端にフロントの釦ホールが見えますね。
そのフロント部分は身返しがあるので、生地は2重になります。
横方向にも2重部分がありますが、ここが胸ポケット口部であり力芯として裏当てがされている所になります。

英国に AIRTEX社 というメーカーがあり、70年代位までかなり幅を利かせて活躍していたメーカーです。
同社の優れたAIRTEXという素材(生地)は、下着からスポーツウエア、そしてこの様に軍服まで多くに採用されていました。








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・・・・・少し寄り道を致します。

私物の古着は 英国製の半袖スポーツシャツです。
昔のシャツはプルオーバー型が主流であり、被りますから身幅もゆったりとしていなければ成りません。
 シャツは被り仕様(プルオーバー)をやめ、現代の様なフロント全開きに移行し 身体のサイズに合わされる様になりました。

着丈も長いです、長いのが普通であり 今のシャツは異様に短すぎですよね。
着用スタイルの想定が違う訳ですが、、、この変にしておきましょう。






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・・・・・生地をご覧下さい。ザックリとしたメッシュ地ですがカノコ編みとかでは無く織物です。
所謂セルラーコットンであり、これもAIRTEX社の生地ではないでしょうか。

タグをご覧下さい。
パックマン兄弟が見えますね! 
パックマンにしか見えませんが、 CC41 と記載されたマークなのです。


WW2の最中、物資不足を危惧した政府が物作りへの制限を掛けました。
1941年から始まった Controlled Commodity=管理された商品 という事で CC41 です。
1941年から1951年まで続き、審査を通った物がこのマークを付けて販売されていたという歴史があります。

もう20年くらい前に購入したとても大事なシャツですが、自ずと40年代製という事がはっきりと分かる訳です。











・・・・・では、本題へ戻ります。
じっくりと味わい深きリアルをご覧下さいませ。


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・・・・・2-PRONG BUCKLE
ウエストベルトに付く 2爪タイプの真鍮製バックル、とても英国らしさに溢れます!
ゴツくて確り、とても丈夫で壊れる事も無さそうです。

しかし、このバックルは BUSH JKの素材がDRILLならまだ良いのでしょうが、軽量化されたAIRTEXには重過ぎ、強過ぎるのですね。

腰のベルトは身頃に縫い付けられていると説明しましたが、この縫い付け止まりに重さと力が掛かりますので直ぐにミシンが解れたり、切れたり、生地にダメージを与えたりとしてしまう難点があります。

ただ、流石と言うべきは バックル自体もベルトから釦で取り外しが出来る様になっていますが、当然ながら洗濯への考慮ですね。
 ですが、多くの古着ではバックルが無くなっているものが多い事もよくある事実なので、自分で適したバックルを探して付け直す事も安易に楽しめるでしょう。







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・・・・・袖口は限りなくシャツ型に近付きましたが、袖自体はスーツの上着の様に2枚袖を採用しており、緩やかな『 く 』の字のシルエットを描きます。
またケンポロに釦が付きますが、一応カフスの形態なので袖丈直しも安易に行えますね。









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・・・・・美しい背中のデザインを見てみましょう。

緩やかなカーブに描かれた肩ヨーク、両サイドにはアウトプリーツが畳まれ これは裾まで続いています。
(途中 ウエストベルトの縫い付けで縫い止められます。)

とてもエレガントな後姿であり、サイドのプリーツはアクションプリーツの役目となって腕の可動範囲を広げ より動きやすくなっていますし、裾部でも動きに対し追従できる分量が多いという事になります。








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・・・・・写真センターの縦襞が上記プリーツにあたります。
その左には折り伏せ縫いされた 脇縫い目が見えます。
小ぶりなサイドベンツもついており、裾周りは両サイドの襞分、そしてベンツの開閉により機動力が更に増されています。













・・・・・如何でしたでしょうか。

この名品は 多くのブランドやメーカー、デザイナーにサンプリングされ
市場にはイメージを寄せた似寄りが溢れております。
 それだけ機能的で格好良く、完成されたデザインだという事です。


サープラスガーメントは既に民間でも普通に愛用される様になり
トレンチやダッフルコート、数々のフライトジャケットや軍パン、セーラ―カラーなどは女子の学校制服にまで、、、挙げればキリがありません。


 そして、日本の夏を考えて下さい。
最近ではリモートワーク含め更にカジュアル化は進み、地球は温暖化と言われ、年々夏が長く辛くなる昨今 これほどに適した洋服はありません。













・・・・・これはリアルなヴィンテージ衣料です。
リアルが持つ迫力と説得力に勝るものはありません。

まだ私が若かった頃、歴史と共に紳士服を学ぶ上で紳士服の黄金期とも言われる1930年代の美しきスーツ達へ辿りつきました。

様々な古着を見てきましたし、購入して喜んで着てもいました。
ですが、所詮自分のサイズでは無く、中古であり、、、、
これら美しきスーツを自分のサイズで、自分の手で、技術で忠実に生み出したいと当時は強く誓ったものです。




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そして1950 PATTERNのBUSH JACKETが欲しい、、、、、

リアルな古着は愛用しつつも、自分のフィルターを通し そのリアルに忠実で説得力の頗る高い服を仕立てたい。

サンプリングされる方々の多くは技術者ではありませんので、それこそ服を自分で生み出せるオタクなテーラーが復刻したら 如何でしょうか。



構想10年、やっと着手し 新たに生み出します!!



軍服ですからそれなりのタイドアップも似合う訳ですし、ジーンズなどにも気軽に合わせられます。
天候を気にせず、汚れを気にせず、汗も気にせず 手軽にご家庭で洗濯できてしまう事。
 これこそある意味では究極な春夏服でもあるでしょう。










・・・・・たくさん見て頂いて参りましたが、このBUSH JKは芯で成形もされていませんし、むしろシャツに近く、ある程度身体に合っていなくても一向に構いません。

だからこそサイズ展開はあれど 大量生産にも向く訳ですね。

便利な内ポケットなどもありません、少しでも薄く、軽く、そして安価に作る事、これが課され デザインされたこの服のポジションなのです。


自分で仕立てたなら ある意味オフィサー仕様ですね(笑)。


先ずはAIRTEXなる素材、、、、、
そしてサンプル兼 自分用に仕立てて検証、改めて設計(型紙)展開です。

準備は着々と進んでおります。






2022年 BESPOKE TAILORである当店が
初となる既製服を展開致します!!

御共感下さる方々がおられましたら心底お勧めさせて頂きたく、自信を持って御提案させて頂きます。





デビューは来年春頃です。

皆様、どうか何卒宜しくお願い申し上げます。







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2021年11月30日

【 BUSH JACKET @ 】





 皆様 こんにちは。
明日から12月、今年もあと一カ月となりました。
随分と寒くなりましたが、冬の装いを楽しんでおられる事と思います。
これから更に寒くなる訳ですが、洋服業界は既に春夏の準備が着々と進んでいるのです。







 さて、今週は私の勝手ながら御紹介させて頂きたいサープラスガーメントがあり
何回かに分けてご覧頂こうと思います。
その お見せしたい本質部分に入る為には前振り(予備知識)が必要です。
それこそ紳士服は歴史であって その奥深さや説得力までをもお伝えしたいからに他なりません。

どうかお付き合い頂けましたら幸いです。















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= MILITARY SERVICE JACKET =



1949年
シングルブレスト:ノッチドラペル
4釦でフロント裾部はスクエアカット
ウエストには共地のベルトが付き、キュッと絞ったそのシルエットは正にエレガントの極みです。
この様なアワーグラス型シルエットこそ、ベルトの有無に限らず軍服からの継承であり 現代でのBRITISH SUITSにもエレガントな独特のシルエットを残しています。

胸ポケットにはボックスプリーツが畳まれ、飛んでいるカモメを思わせるインカーブの効いたm字型の独特なフラップ形状に『らしさ』を感じつつ、コレもそそられるのです。

腰には大きなやはりフラップ付のパッチポケットですが、それら多くはベロウズポケットと言い マチが内蔵されています。
肩章などが付けられるのも多いなる特徴と言えますね。

氏の恰幅良き個性的な体形へ正にJUST FIT、見るからに誂えである事が窺えます。
凛々しく威厳があり、軍服の美しさや格好良さはご存知の通りです。












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・・・・・英国の古き裁断書にも勿論掲載されています。
これはリアルに釦やベルト(バックルまで)、肩章などもイラスト的に記述されて分かりやすいですね。

他の裁断書では R.A.F(空軍)、ARMY(陸軍)等で分けられ、
OFFICER’S SERVICE JACKETと掲載されています。
将校の方々の多くは誂えられていた訳であり、時代や仕立屋の違い、そして御注文主である将校の方々によりアレンジなどもあった事でしょう。


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更に古き時代の軍服はテールコート型になりますが、そのテールが取り去られ上記の様な形状に落ち着いて参ります。
これらミリタリーの上着は「チュニック」とも呼ばれております。













・・・・・ご覧頂きましたミリタリーのサービスジャケットは完成された美しさとバランスを兼ね備えていると思っています。
多くの国々において同じカテゴリーの軍服はかなり酷似していますが、それだけ完成されたデザインであるという事に他なりませんし、大英帝国の強さ、影響力とも言えるでしょう。

機能美でもある このサービスJKは以降において多くの展開、発展をして参ります。
それらの正にベースとも言えるものです。








では、私が最終的に何をお見せしたいのか、、、
それはタイトルでもある【 BUSH JACKET 】というサープラスガーメントです。

英国好き、サープラス好きの方であれば このBUSH JKの事をご存知だと思いますが、多くの方々はあまり聞き慣れぬ呼称だと思います。

BUSH = やぶ、茂みと直訳される訳ですが、
では『 SAFARI JACKET 』と言えば皆様も直ぐに頭にイメージが浮かぶ事と思います。
現在 一般的にはサファリJKとブッシュJKは同義語とされております。
 されてはおりますが、やはり私は服としてサファリJKとは勝手ながら区別したくもあるのです。














・・・・・戦地は多岐にわたります。
生死をかけた兵士にとり、その軍服の役割は大変重要である事は言うまでも無く、それぞれに適するよう発展を繰り返して参ります。

暑い地方では、当然ながら少しでも快適に過ごせるよう考えられていくのですね。
生地、そして色などは分かりやすい所で御座います。
















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・・・・・1942年 北アフリカ戦線
キング・ジョージ6世は最後のインド皇帝でもありました。

ジョージ国王が着用するのは 【 KHAKI DRILL 】 と呼ばれ、区分けされているサープラスガーメントの類です。

このカーキドリル、KHAKI は色でありインドに駐留していた英国軍が汚れを気にして当地の土で服を染めたのが始まりとされている正に軍服の色でもあります。
DRILL は綾織で密に織られたコットン地であり、チノクロスと同じく考えて下さい。
英国ではドリルです。

保護色でもあり、汚れを気にせず、丈夫で洗濯も出来るサープラスとなりますね。
ご覧の様にデザインのベースは冒頭で御紹介したサービスJKに似ている事が分かります。

テーラードJKの様に芯や肩パッドなどで成形する事も無く、基本的には一重仕立てかそれに近い手法で仕立てられています。
 シャツJKやアンコンJKにも近いとも言えますね。
これらカーキドリルというカテゴリーで区分けされた類では、上着だけでは無くてシャツやショーツ(短パン)などにも展開されております。

国王のお隣は バーナード・モンゴメリー中尉です。
モンティとの愛称でも呼ばれ、この方も有名ですね。
服絡みではダッフルコートと共に検索すると出てくるでしょう。














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・・・・・チャーチル氏のお隣にもモンゴメリー中尉、そしてアレグサンダー将軍が写っています。
カーキドリルの上着、ポケットの特徴は冒頭のサービスJKに同じですが、衿は『 STAND & FALL COLLAR 』になっています。 要はシャツ衿の様に台衿と羽衿に分けられた衿となります。


ご覧の様に これらカーキドリルがどれだけマストで着用されていたか分かり頂ける事でしょう。


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RAF OFFICER’S KHAKI DRILL



当時なリアルな現物ですね。
素敵です、、、、、メタル釦が付き、正にオフィサー仕様でしょう。
ウエストのベルトは英国らしく 2爪タイプのバックルですが、アジャスト出来る穴は3連しか空いていませんね。
 この辺りも、クライアントの為だけにサイズを合わせて仕立てるのであれば 既製品の様に何連も必要が無い訳です。 むしろ手穴で何個もかがるのは大変です(笑)。

また、袖口のデザインバリエーションも多いのですが、
この仕様を覚えておいて下さい。




では、将校など一部の方々は誂えていたサープラスガーメントですが
その他多くの軍人さん達はそうは参りません。










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【 Broad Arrow 】



国が準備した『官有物』として支給されるわけですが、英国ではこれら官有物にブロードアローという矢印の様なマークが付けられています。
サープラス古着がお好きな方々にとってはお馴染のマークですね。
(このマークデザインにも由来と歴史があるので お好きな方は調べてみて下さい!)


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様々なアイテムには アイテム自体の呼称や時代、製造元などが記載され ブロードアローのマークが付けられます。
既製品ですからサイズも細かく展開され、身長、バスト、ウエスト等で区分けされているのが分かりますね。
 PATTERN というのは型紙であり設計図の様なものですから、時代と共に発展・展開されていきますから どの時代のガーメントであるか一目瞭然であり、その時代の流れと共にディテールやバランスの変化や発展、逆に排除・簡素化という流れも追える事になります。


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SINGLE-BRESTED FOUR POCKET

BUSH JACKET OF KHAKI DRILL




上記リアルなヴィンテージですが、記載呼称にある様に ある程度大きな括りで『 KHAKI DRILL 』というカテゴリーがあり、その中で 『 BUSH JACKET 』というスタイルが存在していたという感じに御理解頂ければと思います。


サープラスを語りだすとキリが無くなりますが、KHAKI DRILL の他に JUNGLE GREEN というのも御座います。
(ここでは割愛させて頂きます。)















・・・・・如何でしたでしょうか。
取りあえず前置きである今回のお話はここまでとさせて頂きます。

サープラスは御説明を上手く簡潔にまとめるのがかなり難しく、なかなか分かり辛くて意味不明な点もある事と思います。
 ただ、実際に存在した本当に沢山のサープラスガーメントの中で、
暑い地方で任務をこなす方々が着用されていた BUSH JACKET(KHAKI DRILL)があまりにも魅力的で格好良く、大好きなので 是非皆様にも知って頂きたいと企画した次第です。

続きを書いて参りますが、以降は写真も多く より具体的にご覧頂けますので
どうかお付き合い頂けましたら幸いです。
 何卒宜しくお願い申し上げます。






今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。







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2021年02月23日

【 GREATCOAT : O様の御注文 】






 2月も後半に入り、日中の日差しは少しずつ春めかしく成って来たように思います。
週末から昨日まで随分と気温も上がりましたが、まだまだ油断は禁物です。





 さて、先週御紹介させて頂きました【 GREATCOAT 】はご覧頂けましたでしょうか。
連載ネタとなりますので、まだの御方は是非先週分よりお目通し頂けましたら幸いです。

グレートコートに関し それなりに御理解が頂けた事と思いますが如何でしょうか。
そんなミリタリーコートをタウンユースに落とし込むべく どんなコートが仕立て上がったでしょうか。

 今週はO様よりご注文のグレートコートを当店なりに調理致しましたので是非ご覧頂ければと思います。



















・・・・・今週は御説明もやや控えめに ディテール満載なグレートコートを存分に写真をメインにてご覧下さいませ。



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このごく自然なポーズ、袖の皺加減により生地の風合い・雰囲気も伝わる事と思います。
ヘビーウエイトなメルトン地ではこうはなりません。










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・・・・・勿論 フルキャンバス仕立て、型紙も精度高きスーツの上着型紙より導いておりますのでインナーとの高度な合致性は言うまでも有りません。

背中心のプリーツはまだ閉じたまま、背ベルト、エポレット、カフ等もまだ付いておりませんので 特に後姿はシンプルですね。


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・・・・・ではいよいよお仕立て上がりで御座います。




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この度お選び頂きました生地は、英国の老舗マーチャント:DUGDALE社よりネイビーのキャバルリーツイルお選び頂きました。
色味もネイビーですから そんな所も普段使いを意識されての御選択となります。

 そもそもこのツイル地は騎兵隊の軍服にも使われていた丈夫で確りとした生地(織り地)です。グレートコートにも抜群の相性ですね。

しかし、扱いやすさや着用出来る期間なども踏まえ ウエイトは500gとコート地としては中肉レベルのウエイトに抑えられました。
リアルな古着と比べれば約 1/2 です!

タフで皺にも強く、本当に仕立て映えのするこの生地は
クリアカットされた表面にて埃も付き辛く、皺になっても復元力が高いので悪天候含め 粗雑な扱いでも全然へこたれません。

 生地はそこまで地厚でなくとも コートのインナー(スーツ等)は秋冬用をお召しでしょうし、丈も長く かつダブル前ですから タウンユースであれば十分に雨風・寒さを凌げます。

なによりも、纏う喜びと格好良さですよね。
だからこそのご注文で御座います。




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・・・・・先週お話した STAND & FALL COLLAR ですが、ご覧の様にシャツ衿の如く 台衿(STAND COLLAR)と上衿(FALL COLLER)とで別れた構造になっているのが見てとれる事と思います。









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・・・・・土台(裏側)となる地衿は二連構造ですが、その上から被せる表側の上衿自体は一枚で覆います。
 先の写真の様にシーム(分断線)がありませんね!











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・・・・・フロントに小さなタブと 小さなボタンが見えます。
先週の裁断書にもご丁寧に記載されていましたね。

フロントはデザイン・構造上 腹部までしか釦で留まりません。

そもそも防寒着でもあり、その分丈も長いのです。
歩く時などは外していた方が足さばきも良く 動きやすい訳ですが、いざ雨風の時含め必要な時は前裾を閉じられる様になっております。











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・・・・・裏地はネイビーとグリーンによる交織のビスコース裏地を御選択です。
インバーテッドプリーツは生地が畳まれて重なり合い、ヘム(裾折代)含め 生地の厚さが問題となって参ります。
 出来る限りサッパリと厚さを軽減しつつ、見栄え、強度などを兼ね備えた縫製的処理が必要となります。

また、裏地に関しても様々な据え方がある訳です。
 このコートは相当考え、私なりに より良き一番理に適った方法をとっています。
(古着などでは 後身頃の裏地を腰までで留める背抜きに近い仕様も見受けられますし、表地プリーツと重ねて裏地も畳み込んでしまう仕様なども御座います。)

表地に持たせたプリーツの性能(幅)と同等のポテンシャルを持たせつつ、表地に直接的に影響を及ぼさせない。
それでいて動きやすさにも伴う滑りの効果として裏地は裾まであった方が良い訳です。

 一つの技法にはメリットが有り、デメリットも兼ね備えています。
表地の強弱や厚さ、使用用途なども踏まえ 何を尊重するかにより多岐に渡る技法の一つをチョイスする事になります。

今回のチョイスは私なりのベストであり、様々に大きなメリットが幾つも御座います。
が、デメリットは、、、、、手間と時間が掛かる事ですね!
 もっと手間をかけようとすれば幾らでも工夫が可能ながら、落とし処を決める事も需要な要素でもあります。

技術にはキリが無く、考えれば幾らでも発展出来るという事です。
職人技と言うのは正にアナログの典型でしょう。










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・・・・・釦について少し触れましょう。
先ず、今回のご注文に際しメタル釦はミリタリー感満載なので もともと却下です。



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O様は共地による包み釦と言うアイディアも御座いました。
それも乙ですが、言う程では無いものの 摩擦抵抗が強いので着脱があまりスムーズでは無い事、そして手配できる包み釦自体の土台が格好悪い事などにより 私から対抗馬としてお勧めさせて頂いた釦がコチラです。

英国より取り寄せた釦【 BLACK LIVERY 】です。
包み釦にもテイストが似ていますね。

『 リヴァリー/ライヴリー 』 ・・・お揃いの服や制服等との意があります。
本当に広い呼び方であり 様々なメタル釦なども含まれるとも言えます。
紋章などや組織、動物、スポーツなど様々なモチーフがあります。

 例えば ブレザーを仕立て、メタル釦を選ぶとします。
クラウンや紋章、アンカーなど本当に多岐に渡り様々です。
迷った挙句、、、特にモチーフに固執せず個人用でもある為、敢えて模様無しのプレーンなメタル釦を選ぶ、それがコレですね。

これはプレーンなベースとなるLIVERY BUTTONと捉えて下さい。
これにアンカー(ANCHOR/錨)モチーフを入れたらどうですか! いかにも海軍ですね。
PEA COAT(リファージャケット)にこういった類のブラック釦が付いているのがイメージ出来ましょう。









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・・・・・ケント王子のエレガントな 正に真の意味での NAVY BLAZER です。
釦は海軍の BLACK LIVERY BUTTON です。
このイメージを持ってきたのです!



O様のイメージは 包み釦、釦付け穴が無く 裏に足が付くタイプとなります。
そこも尊重しつつ、メタルの様に配色になりませんので目立ちもしません。
かつグレートコートですから!

今回のグレートコートは裾まで深き幅広なインバーテッドプリーツを採用していますし、言わねば伝わらぬ様々な 引っ掛けや兼ね合い があるのでした。

 この釦にモチーフが入ると重々しくなり、やはり軍服イメージです。
組織に関係なく着たくて仕立てるコートです、O様にも気に入って頂けました!











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・・・・・フロントの釦はOLD感漂わせ、迫力を出す意味でも 敢えてこのサイズを選んでいます。
因みに英国でもこのサイズの釦は種により廃盤が進んでいるのが現状です。

リエルで迫力ある古着のダブルブレスト:オーバーコートは打ち合いも深く、大抵このサイズが贅沢に使われていた物でしたが、、、様々な物が徐々に手に入らなくなってきています。



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・・・・・如何でしたでしょうか。

O様がご注文され、当店で調理したグレートコートを大いにご覧頂きました。
お歩きに成られている正に優雅でエレガントな後姿を撮っておけば良かったと後悔(汗)。

誂えの服は唯一無二であり、BESPOKEは特に『無』から生み出される掛替え無き服となります。
全ては御注文主様の御構想・御依頼を最大限に表現させて頂くのが私達の仕事です。
表層的なデザインばかりの服では無く、勿論着心地含め 耐久性や機能性など全てにおいて最大限に考えつくされ、具現化・表現された洋服となります。

O様は昔の将校さん達の様にグレートコートをTAILORで誂えられました。

『 格好良くて着やすく、日常使いには丁度良い落とし処です!』
と仰って頂き、大変喜んで下さりました。
 これに尽きるのです、御注文主様が喜び 御満足を頂く為だけに時間を掛けて仕立て上げるのです。



誂え服ほど 楽しき『衣』の充実はありません。

キャメルヘアーで POLO COAT を仕立てず、敢えて BRITISH WARM を仕立てる
こんな捻ったご注文なんかも贅沢で乙なものですね!
必要な服を、好きな服を、着たい服を是非御誂え下さいませ。





O様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。






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