2021年11月30日

【 BUSH JACKET @ 】





 皆様 こんにちは。
明日から12月、今年もあと一カ月となりました。
随分と寒くなりましたが、冬の装いを楽しんでおられる事と思います。
これから更に寒くなる訳ですが、洋服業界は既に春夏の準備が着々と進んでいるのです。







 さて、今週は私の勝手ながら御紹介させて頂きたいサープラスガーメントがあり
何回かに分けてご覧頂こうと思います。
その お見せしたい本質部分に入る為には前振り(予備知識)が必要です。
それこそ紳士服は歴史であって その奥深さや説得力までをもお伝えしたいからに他なりません。

どうかお付き合い頂けましたら幸いです。















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= MILITARY SERVICE JACKET =



1949年
シングルブレスト:ノッチドラペル
4釦でフロント裾部はスクエアカット
ウエストには共地のベルトが付き、キュッと絞ったそのシルエットは正にエレガントの極みです。
この様なアワーグラス型シルエットこそ、ベルトの有無に限らず軍服からの継承であり 現代でのBRITISH SUITSにもエレガントな独特のシルエットを残しています。

胸ポケットにはボックスプリーツが畳まれ、飛んでいるカモメを思わせるインカーブの効いたm字型の独特なフラップ形状に『らしさ』を感じつつ、コレもそそられるのです。

腰には大きなやはりフラップ付のパッチポケットですが、それら多くはベロウズポケットと言い マチが内蔵されています。
肩章などが付けられるのも多いなる特徴と言えますね。

氏の恰幅良き個性的な体形へ正にJUST FIT、見るからに誂えである事が窺えます。
凛々しく威厳があり、軍服の美しさや格好良さはご存知の通りです。












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・・・・・英国の古き裁断書にも勿論掲載されています。
これはリアルに釦やベルト(バックルまで)、肩章などもイラスト的に記述されて分かりやすいですね。

他の裁断書では R.A.F(空軍)、ARMY(陸軍)等で分けられ、
OFFICER’S SERVICE JACKETと掲載されています。
将校の方々の多くは誂えられていた訳であり、時代や仕立屋の違い、そして御注文主である将校の方々によりアレンジなどもあった事でしょう。


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更に古き時代の軍服はテールコート型になりますが、そのテールが取り去られ上記の様な形状に落ち着いて参ります。
これらミリタリーの上着は「チュニック」とも呼ばれております。













・・・・・ご覧頂きましたミリタリーのサービスジャケットは完成された美しさとバランスを兼ね備えていると思っています。
多くの国々において同じカテゴリーの軍服はかなり酷似していますが、それだけ完成されたデザインであるという事に他なりませんし、大英帝国の強さ、影響力とも言えるでしょう。

機能美でもある このサービスJKは以降において多くの展開、発展をして参ります。
それらの正にベースとも言えるものです。








では、私が最終的に何をお見せしたいのか、、、
それはタイトルでもある【 BUSH JACKET 】というサープラスガーメントです。

英国好き、サープラス好きの方であれば このBUSH JKの事をご存知だと思いますが、多くの方々はあまり聞き慣れぬ呼称だと思います。

BUSH = やぶ、茂みと直訳される訳ですが、
では『 SAFARI JACKET 』と言えば皆様も直ぐに頭にイメージが浮かぶ事と思います。
現在 一般的にはサファリJKとブッシュJKは同義語とされております。
 されてはおりますが、やはり私は服としてサファリJKとは勝手ながら区別したくもあるのです。














・・・・・戦地は多岐にわたります。
生死をかけた兵士にとり、その軍服の役割は大変重要である事は言うまでも無く、それぞれに適するよう発展を繰り返して参ります。

暑い地方では、当然ながら少しでも快適に過ごせるよう考えられていくのですね。
生地、そして色などは分かりやすい所で御座います。
















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・・・・・1942年 北アフリカ戦線
キング・ジョージ6世は最後のインド皇帝でもありました。

ジョージ国王が着用するのは 【 KHAKI DRILL 】 と呼ばれ、区分けされているサープラスガーメントの類です。

このカーキドリル、KHAKI は色でありインドに駐留していた英国軍が汚れを気にして当地の土で服を染めたのが始まりとされている正に軍服の色でもあります。
DRILL は綾織で密に織られたコットン地であり、チノクロスと同じく考えて下さい。
英国ではドリルです。

保護色でもあり、汚れを気にせず、丈夫で洗濯も出来るサープラスとなりますね。
ご覧の様にデザインのベースは冒頭で御紹介したサービスJKに似ている事が分かります。

テーラードJKの様に芯や肩パッドなどで成形する事も無く、基本的には一重仕立てかそれに近い手法で仕立てられています。
 シャツJKやアンコンJKにも近いとも言えますね。
これらカーキドリルというカテゴリーで区分けされた類では、上着だけでは無くてシャツやショーツ(短パン)などにも展開されております。

国王のお隣は バーナード・モンゴメリー中尉です。
モンティとの愛称でも呼ばれ、この方も有名ですね。
服絡みではダッフルコートと共に検索すると出てくるでしょう。














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・・・・・チャーチル氏のお隣にもモンゴメリー中尉、そしてアレグサンダー将軍が写っています。
カーキドリルの上着、ポケットの特徴は冒頭のサービスJKに同じですが、衿は『 STAND & FALL COLLAR 』になっています。 要はシャツ衿の様に台衿と羽衿に分けられた衿となります。


ご覧の様に これらカーキドリルがどれだけマストで着用されていたか分かり頂ける事でしょう。


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RAF OFFICER’S KHAKI DRILL



当時なリアルな現物ですね。
素敵です、、、、、メタル釦が付き、正にオフィサー仕様でしょう。
ウエストのベルトは英国らしく 2爪タイプのバックルですが、アジャスト出来る穴は3連しか空いていませんね。
 この辺りも、クライアントの為だけにサイズを合わせて仕立てるのであれば 既製品の様に何連も必要が無い訳です。 むしろ手穴で何個もかがるのは大変です(笑)。

また、袖口のデザインバリエーションも多いのですが、
この仕様を覚えておいて下さい。




では、将校など一部の方々は誂えていたサープラスガーメントですが
その他多くの軍人さん達はそうは参りません。










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【 Broad Arrow 】



国が準備した『官有物』として支給されるわけですが、英国ではこれら官有物にブロードアローという矢印の様なマークが付けられています。
サープラス古着がお好きな方々にとってはお馴染のマークですね。
(このマークデザインにも由来と歴史があるので お好きな方は調べてみて下さい!)


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様々なアイテムには アイテム自体の呼称や時代、製造元などが記載され ブロードアローのマークが付けられます。
既製品ですからサイズも細かく展開され、身長、バスト、ウエスト等で区分けされているのが分かりますね。
 PATTERN というのは型紙であり設計図の様なものですから、時代と共に発展・展開されていきますから どの時代のガーメントであるか一目瞭然であり、その時代の流れと共にディテールやバランスの変化や発展、逆に排除・簡素化という流れも追える事になります。


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SINGLE-BRESTED FOUR POCKET

BUSH JACKET OF KHAKI DRILL




上記リアルなヴィンテージですが、記載呼称にある様に ある程度大きな括りで『 KHAKI DRILL 』というカテゴリーがあり、その中で 『 BUSH JACKET 』というスタイルが存在していたという感じに御理解頂ければと思います。


サープラスを語りだすとキリが無くなりますが、KHAKI DRILL の他に JUNGLE GREEN というのも御座います。
(ここでは割愛させて頂きます。)















・・・・・如何でしたでしょうか。
取りあえず前置きである今回のお話はここまでとさせて頂きます。

サープラスは御説明を上手く簡潔にまとめるのがかなり難しく、なかなか分かり辛くて意味不明な点もある事と思います。
 ただ、実際に存在した本当に沢山のサープラスガーメントの中で、
暑い地方で任務をこなす方々が着用されていた BUSH JACKET(KHAKI DRILL)があまりにも魅力的で格好良く、大好きなので 是非皆様にも知って頂きたいと企画した次第です。

続きを書いて参りますが、以降は写真も多く より具体的にご覧頂けますので
どうかお付き合い頂けましたら幸いです。
 何卒宜しくお願い申し上げます。






今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。







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2021年02月23日

【 GREATCOAT : O様の御注文 】






 2月も後半に入り、日中の日差しは少しずつ春めかしく成って来たように思います。
週末から昨日まで随分と気温も上がりましたが、まだまだ油断は禁物です。





 さて、先週御紹介させて頂きました【 GREATCOAT 】はご覧頂けましたでしょうか。
連載ネタとなりますので、まだの御方は是非先週分よりお目通し頂けましたら幸いです。

グレートコートに関し それなりに御理解が頂けた事と思いますが如何でしょうか。
そんなミリタリーコートをタウンユースに落とし込むべく どんなコートが仕立て上がったでしょうか。

 今週はO様よりご注文のグレートコートを当店なりに調理致しましたので是非ご覧頂ければと思います。



















・・・・・今週は御説明もやや控えめに ディテール満載なグレートコートを存分に写真をメインにてご覧下さいませ。



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このごく自然なポーズ、袖の皺加減により生地の風合い・雰囲気も伝わる事と思います。
ヘビーウエイトなメルトン地ではこうはなりません。










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・・・・・勿論 フルキャンバス仕立て、型紙も精度高きスーツの上着型紙より導いておりますのでインナーとの高度な合致性は言うまでも有りません。

背中心のプリーツはまだ閉じたまま、背ベルト、エポレット、カフ等もまだ付いておりませんので 特に後姿はシンプルですね。


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・・・・・ではいよいよお仕立て上がりで御座います。




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この度お選び頂きました生地は、英国の老舗マーチャント:DUGDALE社よりネイビーのキャバルリーツイルお選び頂きました。
色味もネイビーですから そんな所も普段使いを意識されての御選択となります。

 そもそもこのツイル地は騎兵隊の軍服にも使われていた丈夫で確りとした生地(織り地)です。グレートコートにも抜群の相性ですね。

しかし、扱いやすさや着用出来る期間なども踏まえ ウエイトは500gとコート地としては中肉レベルのウエイトに抑えられました。
リアルな古着と比べれば約 1/2 です!

タフで皺にも強く、本当に仕立て映えのするこの生地は
クリアカットされた表面にて埃も付き辛く、皺になっても復元力が高いので悪天候含め 粗雑な扱いでも全然へこたれません。

 生地はそこまで地厚でなくとも コートのインナー(スーツ等)は秋冬用をお召しでしょうし、丈も長く かつダブル前ですから タウンユースであれば十分に雨風・寒さを凌げます。

なによりも、纏う喜びと格好良さですよね。
だからこそのご注文で御座います。




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・・・・・先週お話した STAND & FALL COLLAR ですが、ご覧の様にシャツ衿の如く 台衿(STAND COLLAR)と上衿(FALL COLLER)とで別れた構造になっているのが見てとれる事と思います。









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・・・・・土台(裏側)となる地衿は二連構造ですが、その上から被せる表側の上衿自体は一枚で覆います。
 先の写真の様にシーム(分断線)がありませんね!











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・・・・・フロントに小さなタブと 小さなボタンが見えます。
先週の裁断書にもご丁寧に記載されていましたね。

フロントはデザイン・構造上 腹部までしか釦で留まりません。

そもそも防寒着でもあり、その分丈も長いのです。
歩く時などは外していた方が足さばきも良く 動きやすい訳ですが、いざ雨風の時含め必要な時は前裾を閉じられる様になっております。











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・・・・・裏地はネイビーとグリーンによる交織のビスコース裏地を御選択です。
インバーテッドプリーツは生地が畳まれて重なり合い、ヘム(裾折代)含め 生地の厚さが問題となって参ります。
 出来る限りサッパリと厚さを軽減しつつ、見栄え、強度などを兼ね備えた縫製的処理が必要となります。

また、裏地に関しても様々な据え方がある訳です。
 このコートは相当考え、私なりに より良き一番理に適った方法をとっています。
(古着などでは 後身頃の裏地を腰までで留める背抜きに近い仕様も見受けられますし、表地プリーツと重ねて裏地も畳み込んでしまう仕様なども御座います。)

表地に持たせたプリーツの性能(幅)と同等のポテンシャルを持たせつつ、表地に直接的に影響を及ぼさせない。
それでいて動きやすさにも伴う滑りの効果として裏地は裾まであった方が良い訳です。

 一つの技法にはメリットが有り、デメリットも兼ね備えています。
表地の強弱や厚さ、使用用途なども踏まえ 何を尊重するかにより多岐に渡る技法の一つをチョイスする事になります。

今回のチョイスは私なりのベストであり、様々に大きなメリットが幾つも御座います。
が、デメリットは、、、、、手間と時間が掛かる事ですね!
 もっと手間をかけようとすれば幾らでも工夫が可能ながら、落とし処を決める事も需要な要素でもあります。

技術にはキリが無く、考えれば幾らでも発展出来るという事です。
職人技と言うのは正にアナログの典型でしょう。










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・・・・・釦について少し触れましょう。
先ず、今回のご注文に際しメタル釦はミリタリー感満載なので もともと却下です。



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O様は共地による包み釦と言うアイディアも御座いました。
それも乙ですが、言う程では無いものの 摩擦抵抗が強いので着脱があまりスムーズでは無い事、そして手配できる包み釦自体の土台が格好悪い事などにより 私から対抗馬としてお勧めさせて頂いた釦がコチラです。

英国より取り寄せた釦【 BLACK LIVERY 】です。
包み釦にもテイストが似ていますね。

『 リヴァリー/ライヴリー 』 ・・・お揃いの服や制服等との意があります。
本当に広い呼び方であり 様々なメタル釦なども含まれるとも言えます。
紋章などや組織、動物、スポーツなど様々なモチーフがあります。

 例えば ブレザーを仕立て、メタル釦を選ぶとします。
クラウンや紋章、アンカーなど本当に多岐に渡り様々です。
迷った挙句、、、特にモチーフに固執せず個人用でもある為、敢えて模様無しのプレーンなメタル釦を選ぶ、それがコレですね。

これはプレーンなベースとなるLIVERY BUTTONと捉えて下さい。
これにアンカー(ANCHOR/錨)モチーフを入れたらどうですか! いかにも海軍ですね。
PEA COAT(リファージャケット)にこういった類のブラック釦が付いているのがイメージ出来ましょう。









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・・・・・ケント王子のエレガントな 正に真の意味での NAVY BLAZER です。
釦は海軍の BLACK LIVERY BUTTON です。
このイメージを持ってきたのです!



O様のイメージは 包み釦、釦付け穴が無く 裏に足が付くタイプとなります。
そこも尊重しつつ、メタルの様に配色になりませんので目立ちもしません。
かつグレートコートですから!

今回のグレートコートは裾まで深き幅広なインバーテッドプリーツを採用していますし、言わねば伝わらぬ様々な 引っ掛けや兼ね合い があるのでした。

 この釦にモチーフが入ると重々しくなり、やはり軍服イメージです。
組織に関係なく着たくて仕立てるコートです、O様にも気に入って頂けました!











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・・・・・フロントの釦はOLD感漂わせ、迫力を出す意味でも 敢えてこのサイズを選んでいます。
因みに英国でもこのサイズの釦は種により廃盤が進んでいるのが現状です。

リエルで迫力ある古着のダブルブレスト:オーバーコートは打ち合いも深く、大抵このサイズが贅沢に使われていた物でしたが、、、様々な物が徐々に手に入らなくなってきています。



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・・・・・如何でしたでしょうか。

O様がご注文され、当店で調理したグレートコートを大いにご覧頂きました。
お歩きに成られている正に優雅でエレガントな後姿を撮っておけば良かったと後悔(汗)。

誂えの服は唯一無二であり、BESPOKEは特に『無』から生み出される掛替え無き服となります。
全ては御注文主様の御構想・御依頼を最大限に表現させて頂くのが私達の仕事です。
表層的なデザインばかりの服では無く、勿論着心地含め 耐久性や機能性など全てにおいて最大限に考えつくされ、具現化・表現された洋服となります。

O様は昔の将校さん達の様にグレートコートをTAILORで誂えられました。

『 格好良くて着やすく、日常使いには丁度良い落とし処です!』
と仰って頂き、大変喜んで下さりました。
 これに尽きるのです、御注文主様が喜び 御満足を頂く為だけに時間を掛けて仕立て上げるのです。



誂え服ほど 楽しき『衣』の充実はありません。

キャメルヘアーで POLO COAT を仕立てず、敢えて BRITISH WARM を仕立てる
こんな捻ったご注文なんかも贅沢で乙なものですね!
必要な服を、好きな服を、着たい服を是非御誂え下さいませ。





O様、この度も素敵な御注文を誠に有難う御座いました。






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2021年02月16日

【 GREATCOAT 】







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1917 : EDWARD [



正にWW1の時代、後のウインザー公です。
英国のオーバーコートには歴史的な背景ふまえた魅力的で素晴らしいオーバーコートがたくさん存在致します。
それらは ある程度形が変れど、現在でも脈々と生き続けております。

様々なオーバーコートの種がある中で、それらの各発祥は用途により分けられますが ミリタリーコートからの出身が多い事も事実です。
挙げれば相当ある訳ですが、極一般的に有名なのは トレンチコート はその典型でしょう。正にミリタリーコートそのままに形を残しつつ 今でも愛され続けております。

これら紳士服の歴史的にも欠かせぬミリタリーコートの中で、今回は冒頭の写真でも着用されている英国コートの勇【 GREATCOAT 】を御紹介させて頂きたいと思います。













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・・・・・英国の有名な歴史ドラマである 【ダウントンアビー】 からの一コマです。
1900年代初頭を舞台に、当時の史実や社会背景を織り込みつつ、貴族と使用人との人間模様が描かれた作品となります。

私が言うのも失礼ながら、このドラマは装いの歴史を学ぶ上でもかなり素晴らしい名作です。

装いにおける昨今のカジュアル化の流れは皆様も御承知の通りです。
この時代は普段の夕食時でさえ正装を着ていた訳ですが この辺りからホワイトタイ(正礼服:テールコート)に変わり ブラックタイ(準礼装:ディナースーツ)に切り替わり始めた頃となります。
ドラマの中でもグランサム伯爵はブラックタイの装いにて『こんなカジュアルな服を着る時代になってしまった、、、』と嘆くシーンがあるそうですね。
カジュアル化の流れは長きに渡り進行し続けている事が窺えまます。






実はこの度、大変御贔屓を頂戴しております顧客様より
このコート(ダウントンアビーより)を見て是非着てみたいと思われ、ご相談を頂戴致しました。

グレートコートは正にミリタリーコートです。
これを尊重しつつ、普段着として使いやすく落とし込みたいとの事。

軍服ほど凛としてエレガント、かつ 男くささを感じさせる服はありません。
お気持ちは本当に良く分かります。

『 お任せくださいませ! 』











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・・・・・グレートコートとは、、、、
服好きの方であれば幾つかの特徴も挙げられましょう。
しかし、グレートコートというのは分かり易く言ってしまえばグレートコートと言うそれなりに大きな枠で囲われたカテゴリーの固有名称と御理解下さいませ。
 バリエーションは多岐に渡り、時代の流れによる変化、部隊や所属、 仕立てTAILORでも違いましょう。

分かり易く最低限の区分けとしてみても陸軍(ARMY)と海軍(NAVAL)に分かれ、WW1の時より軍の将校達(OFFICER’S)が着用したコートとなります。

私の知識下では ほんの表層しか語る事は出来ませんが、少しでもイメージ出来る位にはご覧頂ければと思います。










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・・・・・英国の古き裁断書【 Tailor & Cutter 】にも当然掲載されています。
ダブル型4連釦、腰には蓋付きのスラントポケットを携え、背の腰にはハーフベルト(3連釦)と共に、背中にはインバーテッドプリーツと深いセンターベント(釦留め)、肩にはエポレット(肩章)が付き、袖口には深いターンバックカフが付きます。
 正に写真の通りであり、当時の陸軍用ベーシックなスタイルです。


因みに専門的にはなりますが、腰ポケットの上 脇ダーツには そのシームを利用したスリットが設けられているのが見てとれます。
 これは軍服であり、剣を携えるので必要なディテールでもありました。

軍服である以上、階級バッジを付ける肩章も欠かせません。
袖口にはかなり深いターンバックカフが付けられていますが、これは防寒の意味があり 生地をもう一段折り返す事により暖かさを求めたとされております。
また、重さにより袖落ちも良いと言えますね。

 深きダブル前も防寒・防具的な役割も担っている訳です。










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・・・・・上記裁断(製図)を仕立て上げると この様に成ります。

他に大いなる特徴として挙げられるのが『 衿 』です。
アルスターカラーは良く見受けられるかも知れませんが、こちらは
【 STAND AND FALL COLLAR 】 と言いまして、シャツの衿に近いのです。
シャツの衿は、『台衿』と『羽衿(上衿)』の結合2枚構造ですね。

故に、シャキッと立ち上がり 写真の様に首元まで確りと留める事が出来ます。
アルスターカラーでも一応留める事は出来たとしても、、、、こう立体的には参りません。


私の世代までは学生服と言えば詰襟の学ランでした。
立ち衿(スタンドカラー)ですね。
衿のフロント(前中心)は打ち合いが無く、重ならずにホックで留めます。
 これに羽衿が付いたのが今回の STAND & FALL COLLARと思われ下さい。


丈の長いロングコートです。
オフィシャルレングスは地面より何インチまでとの記載も見た事があります。

これも理に適っていますが、コートは大抵膝位置を基準にして膝上何p、膝下何pと設定目安が置かれます。
グレートコートは軍服ですね、身長は人それぞれ、膝位置も違います。
故に地べたからの算出であれば、見栄え的には皆一律に見える事になりますね。












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・・・・・上衿を外し、折り返して着用されています。
深いダブル前ですから折り返れば相当大きな下衿(ラペル!?)になりますね。
 因みに、下衿を釦で留めていますが 設計上では折り返って留める様にはされていません。
しかし、これはシャツの釦ダウンカラーに同じですね。
羽衿は風でバタバタなびくので釦で留めた訳ですが、これも大きな下衿を遊ばぬ様 便宜上留めているのでしょう。

 アルスターカラーはベタッと首元から胸部まで接地しますが、この衿型はご覧の様にかなり立体的に成ります。

台衿の前端にはホックが見えますね。
これも特徴なのですが、構造上は2枚衿であり、裏側となる地衿は分離され(STAND & FALL)仕立てられています。
 しかし、表側となる上衿は1枚で馴染ませ据えられているのです。
上衿を切り替えない事により、縫代を無駄に増やさず、硬くする事無く、更にスッキリと見栄え良く、、、これはTAILOREDな技術が伴います。

リアルなグレートコートは最低でも34ozレベルのメルトン地との事ですから丈夫で強く、暖かいでしょうが 相当の重さと厚さになります。













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・・・・・こちらは 海軍用のグレートコートですね。
同じくダブル前、この裁断書のデザインは6連釦、多くのディテールは陸軍と似ていますが、背中の中心は首元から裾まで広がる優雅なインバーテッドプリーツが畳まれています。

コートの着丈が長ければ 足さばきを良くする為にも裾周り量(ケマワシ分量)を多く取る必要があります。
 その為にベントを切るか、深く畳まれた大きな襞を取り 分量を稼ぐかとの判断になります。












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・・・・・エドワード8世を始め、皆 グレートコート を着用しております。
フロントは5連釦、衿は台衿付きの仕様(STAND & FALL COLLAR)ですね。

グレートコートの要尺ですが、丈も長く、パーツも多く、兎に角沢山の生地が必要となります。
34ozレベルのメルトンで仕立てられたグレートコートを持った時の重さが想像できますでしょうか?
 既にミリタリーコートを着用するだけでも体力が必要です!














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・・・・・左側、先頭に エドワード7世。
これまた英国のコートを語る上で欠かせぬ BRITISH WARM OVER COAT です。
ダブル型3連釦、アルスターカラー、肩章が付き、袖口には2個釦が所謂一応のマストです。
こちらは敢えてこの丈であり、合わせる着用スタイル(下物)に関係があります。
( BRITISH WARM はご注文が入ったら また分析を掲載するかも知れません!)

奥にグレートコートのエドワード8世、上衿まで確りと閉じての御着用です。
7世、8世の左腰をご覧下さい。 剣を携えていますね。
これ用のスリットが軍服である以上 備え付けられていたのです。
(グレートコートは脇ダーツを利用した縦型、ブルティッシュウォームは蓋無しチェンジポケットの様な横型が歴史上見受けられます。)














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・・・・・現代においてもグレートコートはミリタリーコートとして君臨し続けます。
チャールズ皇太子が着用するコートの衿は大きなアルスターカラーですね。
随分と印象が変わるのが見てとれます。

そして、剣の携え方の違いにも注目ですね。
前裾を開き、釦タブでその前裾を留められる様になっております。
 先の脇ダーツに作られたスリット、今は作られなくなってしまったのでしょうか。










・・・・・では、幾つか リアルな ARMY GREATCOAT を見て参りましょう。
少しずつ違いがあるものの、大きな系譜は同じです。
軍服である以上、基本的に釦は金属製(真鍮など)の連隊釦【 METAL REGIMENTAL BOTTON 】が付けられます。










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・・・・・1941 VINTAGE ARMY GREAT COAT
こちらはARMYですが、背中は裾までインバーテッドプリーツが見受けられます。
下衿(胸部)を開けていても衿が留められる、これがS&F COLLARの特徴でもあります。













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・・・・・1945 VINTAGE:AUSTIN REED製

左脇ダーツにスリットが見受けられますね。

以前 古着屋さんで BURBERRY製のオーダーメイドのグレートコートを見た事があります。
やはり40年代位でしょう。 筋トレが出来る程の重さでした(笑)。


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・・・・・如何でしたでしょうか。
始めに戻り、ダウントンアビーで登場した ARMY GREATCOAT です。


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先にも触れましたが、WW1の時に登場したBRITISH WARM や GREATCOAT は将校の軍用コートでした。

戦後になり、将校達は私服の時でもそれらコートを着始め 段々とコピーされ、次第に大衆へと広がって参りました。

TRENCH COAT(トレンチコート)も正にミリタリーコートです。
軍服は生死にも関わりますので用途や目的、そして必要な性能の全てがデザインされていますので こんなにも高性能なコートは無い訳ですね。
 かつ素材からして丈夫ですから大変長持ちする訳です。

グレートコートの素材をウールから防水性を持たせたコットン地に置き替え、雨を考慮し各所ヨークを携え、雨用に特化した性能を加えられたものがトレンチコートであり、ベースデザインがとても似ている事が御理解頂けた事と思います。





 では、こんなにも奥深き魅力が豊富なミリタリーコートであるグレートコートを 当店では顧客様と共に どの様に料理したのか、、、、

表層的なデザインを掬い取っただけでは そのコートに説得力と言う重みが無き 軽々しいファッションコートになってしまいます。
 歴史を踏まえ、出来る限り本質を学び、先人達に敬意を踏まえ理解する事が必要です。
あとは そのリアルを解釈した上で、どう料理するのか、、、、ここからは顧客様と私の表現となります。


来週 じっくりと御紹介させて頂きたいと思います。








かなりマニアックなお話でしたが、今週も最後までお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。

引き続き宜しくお願い申し上げます。







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