皆様 こんにちは。
明日から12月、今年もあと一カ月となりました。
随分と寒くなりましたが、冬の装いを楽しんでおられる事と思います。
これから更に寒くなる訳ですが、洋服業界は既に春夏の準備が着々と進んでいるのです。
さて、今週は私の勝手ながら御紹介させて頂きたいサープラスガーメントがあり
何回かに分けてご覧頂こうと思います。
その お見せしたい本質部分に入る為には前振り(予備知識)が必要です。
それこそ紳士服は歴史であって その奥深さや説得力までをもお伝えしたいからに他なりません。
どうかお付き合い頂けましたら幸いです。

= MILITARY SERVICE JACKET =
1949年
シングルブレスト:ノッチドラペル
4釦でフロント裾部はスクエアカット
ウエストには共地のベルトが付き、キュッと絞ったそのシルエットは正にエレガントの極みです。
この様なアワーグラス型シルエットこそ、ベルトの有無に限らず軍服からの継承であり 現代でのBRITISH SUITSにもエレガントな独特のシルエットを残しています。
胸ポケットにはボックスプリーツが畳まれ、飛んでいるカモメを思わせるインカーブの効いたm字型の独特なフラップ形状に『らしさ』を感じつつ、コレもそそられるのです。
腰には大きなやはりフラップ付のパッチポケットですが、それら多くはベロウズポケットと言い マチが内蔵されています。
肩章などが付けられるのも多いなる特徴と言えますね。
氏の恰幅良き個性的な体形へ正にJUST FIT、見るからに誂えである事が窺えます。
凛々しく威厳があり、軍服の美しさや格好良さはご存知の通りです。

・・・・・英国の古き裁断書にも勿論掲載されています。
これはリアルに釦やベルト(バックルまで)、肩章などもイラスト的に記述されて分かりやすいですね。
他の裁断書では R.A.F(空軍)、ARMY(陸軍)等で分けられ、
OFFICER’S SERVICE JACKETと掲載されています。
将校の方々の多くは誂えられていた訳であり、時代や仕立屋の違い、そして御注文主である将校の方々によりアレンジなどもあった事でしょう。

更に古き時代の軍服はテールコート型になりますが、そのテールが取り去られ上記の様な形状に落ち着いて参ります。
これらミリタリーの上着は「チュニック」とも呼ばれております。
・・・・・ご覧頂きましたミリタリーのサービスジャケットは完成された美しさとバランスを兼ね備えていると思っています。
多くの国々において同じカテゴリーの軍服はかなり酷似していますが、それだけ完成されたデザインであるという事に他なりませんし、大英帝国の強さ、影響力とも言えるでしょう。
機能美でもある このサービスJKは以降において多くの展開、発展をして参ります。
それらの正にベースとも言えるものです。
では、私が最終的に何をお見せしたいのか、、、
それはタイトルでもある【 BUSH JACKET 】というサープラスガーメントです。
英国好き、サープラス好きの方であれば このBUSH JKの事をご存知だと思いますが、多くの方々はあまり聞き慣れぬ呼称だと思います。
BUSH = やぶ、茂みと直訳される訳ですが、
では『 SAFARI JACKET 』と言えば皆様も直ぐに頭にイメージが浮かぶ事と思います。
現在 一般的にはサファリJKとブッシュJKは同義語とされております。
されてはおりますが、やはり私は服としてサファリJKとは勝手ながら区別したくもあるのです。
・・・・・戦地は多岐にわたります。
生死をかけた兵士にとり、その軍服の役割は大変重要である事は言うまでも無く、それぞれに適するよう発展を繰り返して参ります。
暑い地方では、当然ながら少しでも快適に過ごせるよう考えられていくのですね。
生地、そして色などは分かりやすい所で御座います。

・・・・・1942年 北アフリカ戦線
キング・ジョージ6世は最後のインド皇帝でもありました。
ジョージ国王が着用するのは 【 KHAKI DRILL 】 と呼ばれ、区分けされているサープラスガーメントの類です。
このカーキドリル、KHAKI は色でありインドに駐留していた英国軍が汚れを気にして当地の土で服を染めたのが始まりとされている正に軍服の色でもあります。
DRILL は綾織で密に織られたコットン地であり、チノクロスと同じく考えて下さい。
英国ではドリルです。
保護色でもあり、汚れを気にせず、丈夫で洗濯も出来るサープラスとなりますね。
ご覧の様にデザインのベースは冒頭で御紹介したサービスJKに似ている事が分かります。
テーラードJKの様に芯や肩パッドなどで成形する事も無く、基本的には一重仕立てかそれに近い手法で仕立てられています。
シャツJKやアンコンJKにも近いとも言えますね。
これらカーキドリルというカテゴリーで区分けされた類では、上着だけでは無くてシャツやショーツ(短パン)などにも展開されております。
国王のお隣は バーナード・モンゴメリー中尉です。
モンティとの愛称でも呼ばれ、この方も有名ですね。
服絡みではダッフルコートと共に検索すると出てくるでしょう。

・・・・・チャーチル氏のお隣にもモンゴメリー中尉、そしてアレグサンダー将軍が写っています。
カーキドリルの上着、ポケットの特徴は冒頭のサービスJKに同じですが、衿は『 STAND & FALL COLLAR 』になっています。 要はシャツ衿の様に台衿と羽衿に分けられた衿となります。
ご覧の様に これらカーキドリルがどれだけマストで着用されていたか分かり頂ける事でしょう。


RAF OFFICER’S KHAKI DRILL
当時なリアルな現物ですね。
素敵です、、、、、メタル釦が付き、正にオフィサー仕様でしょう。
ウエストのベルトは英国らしく 2爪タイプのバックルですが、アジャスト出来る穴は3連しか空いていませんね。
この辺りも、クライアントの為だけにサイズを合わせて仕立てるのであれば 既製品の様に何連も必要が無い訳です。 むしろ手穴で何個もかがるのは大変です(笑)。
また、袖口のデザインバリエーションも多いのですが、
この仕様を覚えておいて下さい。
では、将校など一部の方々は誂えていたサープラスガーメントですが
その他多くの軍人さん達はそうは参りません。

【 Broad Arrow 】
国が準備した『官有物』として支給されるわけですが、英国ではこれら官有物にブロードアローという矢印の様なマークが付けられています。
サープラス古着がお好きな方々にとってはお馴染のマークですね。
(このマークデザインにも由来と歴史があるので お好きな方は調べてみて下さい!)

様々なアイテムには アイテム自体の呼称や時代、製造元などが記載され ブロードアローのマークが付けられます。
既製品ですからサイズも細かく展開され、身長、バスト、ウエスト等で区分けされているのが分かりますね。
PATTERN というのは型紙であり設計図の様なものですから、時代と共に発展・展開されていきますから どの時代のガーメントであるか一目瞭然であり、その時代の流れと共にディテールやバランスの変化や発展、逆に排除・簡素化という流れも追える事になります。


SINGLE-BRESTED FOUR POCKET
BUSH JACKET OF KHAKI DRILL
上記リアルなヴィンテージですが、記載呼称にある様に ある程度大きな括りで『 KHAKI DRILL 』というカテゴリーがあり、その中で 『 BUSH JACKET 』というスタイルが存在していたという感じに御理解頂ければと思います。
サープラスを語りだすとキリが無くなりますが、KHAKI DRILL の他に JUNGLE GREEN というのも御座います。
(ここでは割愛させて頂きます。)
・・・・・如何でしたでしょうか。
取りあえず前置きである今回のお話はここまでとさせて頂きます。
サープラスは御説明を上手く簡潔にまとめるのがかなり難しく、なかなか分かり辛くて意味不明な点もある事と思います。
ただ、実際に存在した本当に沢山のサープラスガーメントの中で、
暑い地方で任務をこなす方々が着用されていた BUSH JACKET(KHAKI DRILL)があまりにも魅力的で格好良く、大好きなので 是非皆様にも知って頂きたいと企画した次第です。
続きを書いて参りますが、以降は写真も多く より具体的にご覧頂けますので
どうかお付き合い頂けましたら幸いです。
何卒宜しくお願い申し上げます。
今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。





































