2025年07月01日

【 TAILORING-1 】





 皆様 こんにちは。
今日から7月、関東も異例の速さで梅雨明けが発表されそうですね。

これからピークを迎えつつある夏の暑き中、時間のかかる BESPOKE は秋冬のご注文も頂いております。
また、H.S ORDERの方は今月末より『早期受注キャンペーン』も開催されます。
最後に改めてご紹介させて頂きますので御確認頂けましたら幸いです。





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 さて、随分と長くBLOGも続けて参りました。
これも一重にご覧下さる多くの皆様方のお陰により、応援により継続してこられました。
以前は技術的な事柄もボチボチ書いておりましたが 気付けば10年前とか、、、。
重複するところは多分にあるでしょうが、改めて大きな写真と共に そろそろアップデートさせて頂ければと思います。

 仕事の手を止め、ご丁寧にわざわざ写真を撮る行為は滅茶苦茶にロスタイムでもあり、真剣に集中していれば撮影し忘れて随分と工程が進んでいたりも!

意識して納めた限られた写真より、部分的な工程にはなりますが改めてご紹介させて頂きたいと思います。



掛け替えなき手作りの洋服、どれだけ長い時間を掛け、手の込んだ工程と共に技術を駆使して仕立て上げるのか、、、
 BESPOKE TAILOREDがどうしても高額になってしまう理由も垣間見る事が出来ましたら何よりの幸いで御座います。













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・・・・・ONLY ONEとなる顧客様の型紙を丹精込めて引いております。
その型紙には本当に沢山の情報が含まれており、サイズからデザイン、ユトリの加減など 誂えるその洋服の設計図となる訳です。


そんな設計図である型紙の重要性ですが、どんなに卓越した職人が手間暇をかけ 高度なテーラーリングで仕立てたとしても 型紙が悪ければ無用の長物となってしまいます。
ご注文を重ねられ、熟成した型紙は TAILORと ご注文主様の財産でもあります。
靴で言えば木型ですね。





 打合せ(Be Spoken=BESPOKE)を入念に行ったにしても 1stオーダーではどうしても私のご提案的な要素が多分に含まれますし、ご注文主様も着てみなければ分からぬ事は多々御座います。
 そういう意味でも仮縫いの恩恵はお互いにとって大変重要でありつつも、裏地もつかぬ仮組みは滑らず動き辛いのでご注文主様にとっては慣れぬと分かり辛い事と思います。

お仕立て上がって納品された洋服は一回や二回の御着用で判断しようとはせず、もっともっと着て その服と沢山対話をして下さい。
服が馴染む頃、持たせたポテンシャルは解放され、与えられたユトリ感などは好みや生活(動き)によりリクエストも出る事でしょう。
そしてご注文主様の『着慣れ』も大切な要素です。

次の御機会を頂戴できるのであれば、1stオーダーからの意見や感想、お好み踏まえ
よりご満足度の高い設計図となるよう活かし、引き直します。

TAILORとの付き合いは ご自身様の型紙を『育てる』という側面もあるのですね。

最初は特に拘りなど無ければ 私へお任せの丸投げでも全然良いのです!
むしろ光栄です!
素敵なレストランがあれば、旬を活かしたシェフお勧めの料理、、、食べてみたいですよね。

ですが、着てみれば絶対に意見や感想は出てくるでしょうし、全くなければ勿論それも良しです。


では そんな時間を掛けて練り上げられた型紙を使って裁断し、以降の工程(TAILORING)よりご覧下さい。














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・・・・・前後の身頃は左右2パーツに分けられ、袖は両腕ありますね。
生地の幅は織機の企画次第、大抵は150p幅であり 端と端(ミミ)を合わせて二重に(内に表側がくるように)畳んで左右パーツを効率よくいっぺんに裁断します。

生地に型紙をおき(マーキング)、チョークで線を引いた後に裁断する訳ですが
その重要な『チョーク線』は片面にしか引かれません。
 当然ながら重ねられた下側となる生地には線が無いので その線(情報)を写す必要があります。

その役目を担うのが 『 切躾 』 です。
躾糸(綿で素朴な太く荒く安価な糸)は白毛(毛ではないのですが)と呼ばれます。
その白毛でチョーク線を地味に縫って参ります。

掬って、掬って、掬って、、、渡った糸は鋏で切りながら!

 そして、多くの方々は左右非対称もあり そんな箇所は間違えぬよう左右で糸色を変えています。












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・・・・・必要な線に全て印となる躾を打ち終えましたら 今度は二重になっている左右のパーツを分離です!
生地をペラっと捲ると縫われている躾糸が顔を出します。
更に引っ張る事で躾糸の「脚」を作り、その脚を鋏で分断します。

慎重に、、、、ここで糸脚を切ったつもりが チョキンと生地を切ってしまう事がありますので要注意!


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・・・・・重ねてある生地を躾糸で縫い、捲って糸脚をカットして少しずつ慎重に。
全てカット出来ましたら分断は完了です。

上側に残った糸は草が生えているように見えますね⁉
その草(躾糸)を刈り落とします!


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・・・・・線に躾を打ち、切って糸の印を作り出す(写す)。
この行為を 切り躾 と言います。

これで重ねてあった下側の生地にも必要線が写った事になり、更に生地の表側にも糸印(切り躾)が出る事になります。
 これで表裏どちらから見ても正確で左右対称な線の情報が共有できました。

イギリスでもイタリアでも この様に切り躾を利用しますが、イタリアのサルトはもっとビロビロに糸脚を敢えて残していますね。
 刈り取ろうが残していようが目的・意図は同じであり、双方にメリット・デメリットがあるだけです。


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・・・・・お次はダーツ処理です。
型紙を見ると この裁断では『腹癖』がありますので、先ずはそこから!
下方に腰ポケットのフラップ型(横長四角形)が見えますね。
左上に胸ダーツ、右は脇ダーツ、腹癖(ダーツ)はフラップの頭上 青矢印の三角形となります。

このダーツは丁度 腰ポケット作りで切り込みを入れる箇所を利用して取られます。

腹癖は本来であれば腹部の出ている方や反り腰体型に有効であり、必要なダーツでもあります。
腹部が出ていれば前裾は跳ねがちになりますのでケマワシ(底辺距離)を摘まんで跳ねを抑え腹部を包み込むという目的と効果がありますが、同時にそれは結果的に前裾を後脇へと吊り上げる効果もありますので、むしろ後者の恩恵が欲しいがゆえに普通体型でも分量を少しにして採用されたりしています。
 主に2面裁断より 3面の細腹を入れた裁断に多いですね、3面は処理も楽です。

こんな所にダーツがあるので、赤矢印のカマ底、そしてウエスト位置でも「ズレ」が生じていますね!
腹癖が処理されると これら赤矢印のズレは解消される事になります。










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・・・・・腹癖となるその三角面を切り取ってしまいます。
切り取られた辺と辺をくっ付けると意図するダーツ効果が生まれる訳です。

この辺同士をくっ付ける際に 簡易な接着芯などで貼り合わせてしまったら腰ポケットが硬くなってしまいます。
 そもそも良いテーラーリングであればある程に接着芯は使用しません。

故に糸でからげますよ!
ヘリンボーン柄ですから勿論柄も合わせて、、、。



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・・・・・これで辺と辺が綺麗に突合せで繋がりましたね。
クセ取りも行うので この口が空いていると まともにクセ取りすら出来ません。
(この糸は後に切られます。玉縁幅よりはみ出なければ残しておいても支障はありませんが毛抜きで抜いています。)

これで胸ダーツ、脇ダーツ、そして顎ダーツの処理へと進行しますが
勿論全てを同時進行でも構いません。
 今回は解説もしやすく順繰りと!










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・・・・・先の型紙写真での 赤い矢印のズレが解消されていますね!
これで腹癖は無かった事になりましたが、その持たせたポテンシャルは確りと生きていますので 服になった時に違いが出るのですね。






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・・・・・チャコールグレーの生地が なんだかネイビー調に⁉

これで全てのダーツ処理が終わりました。
平面であった生地はダーツ、そしてクセ取りによりかなり立体的になります。
 むしろ平らにはなりませんし、平らにしてしまったらダメですよ。

次はいよいよポケット作りです。














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・・・・・2面2ダーツ裁断の上着、ダーツにより腰ポケット線が歪みます。
歪んでもクセ取りにより強制的に戻してポケットを作ります。

早くも両玉縁が出来ましたよ!











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・・・・・予めテクニックを駆使して作られたフラップ、ポケット口径よりほんのり大きめに作るのがミソです!
フラップの出来上り幅に合わせて糸で印、この糸でグシ縫い(縫った糸を絞り込む)効果も担わせ、確りと口径に合わせつつ絞り フラップ自体も立体に!

腰ポケットはポジション的に腰骨をホールドする位置にありますので とても強いRを描く必要があります。
故にポケット自体も立体に作られているのは必然でもあるのです。


例えば安価なスーツを仕立てる縫製工場で作られる腰ポケットはマシーンで作られます。
ダーツで立体になり過ぎると平面で直線に作られるマシーンでは作れなく(利用できなく)なりますのでダーツの効力は必然的に弱めに設定されています。
(それ以外にも理由があります。)

 ポケット部や口布には接着芯が張られ、マシーンで自動に作られるポケットは正にフラット、接着芯によって硬いしとても立体的とは言えませんが、瞬で出来るのです。
だからこそ大量生産ができ 安価で提供出来るのです。
玉縁でさえ縫割りされず片倒し、、、知ってしまえば全くの別物くらいに違います。
(当店H.S ORDERの両玉縁は勿論 縫割り始末でお願いしていますよ。)


この両玉縁を形成するパーツを口布と呼びますが、この口布地の目の取り方でも縦地や横地、バイアスでとるお店もあり様々です。
これらは見え方も随分と印象が変わりますが、私は通常縦地、柄が強ければ横地でとっており バイアスだけは基本的に採用しません。
 これらにもメリット・デメリットがあり、何を優先し尊重するのかより それら手法をチョイスするという事です。

技術には意図や意味が必ずあり、それらを理解せず「昔から、、、周りが、あそこが、、、」というのが一番説得力ありませんね。



マニアック過ぎる内容でしたが、もっと詳しく書き続ければ あと3〜4ページくらい必要です(笑)。
そこにあって当然なポケットの作り方でも相当な違いがあるという事で御座います!



さぁ、差し込んで躾留め!



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・・・・・・今回はここでお終いです‼

かなり中途半端ですが、、、、段々と撮影が減り、急激に工程が進行してしまっているので急な区切りにもご勘弁くださいませ。

次回は芯地、そして芯据え、ハ刺しあたりになるでしょうか。
そのうち続きを書きますので、ご期待せずにお待ち下さいませ。


ハンドメイドが前提となるBESPOKEのステージでも、お店が違えば拘りや工程数、仕立てに関する価値観からお値段まで様々です。

また、これ(BESPOKE TAILORING)があるべき姿なので 大量生産を前提に安価で提供しようとすれば、どこを どれだけ省き、簡略化しつつ、機械化できるのかが要となります。
 良いモノ作りをしようとすればする程に原点回帰していかなければならないという事になりますね、当店のH.S ORDERにも言える事です。

全てのジャンルに言えますが、良いお店ばかりではありませんし、そのお値段に対し品質が伴っているのかどうかなど 消費者の私達もある程度は学びがあると理想的なのかも知れません。



 一つ とても強くお伝えしたい事があります。
多くの既製品や大量生産されるモノ作りは基本的には新品時が最高到達点です。

職人の手で作り出されたモノ作り、長持ちもしますし新品時が最高ではないのです。
そこから育ち 更に最高到達点を上げ続けます。
長持ちを前提にしているので修理にも考慮された作り方含めポテンシャルを持たせてあります。

価値観の違いはありますが、費用対効果的に見るとBESPOKEは決して高額ではないと思います。
そう思っていなければ こんなお値付けは出来ません。
物の価値、説得力や納得度、そして自己満足度の高さは往々にして金額に無関係ではないと思います。

ご注文主様より頂戴するお代金より、ほんの少しだとしても ご満足度が上回る事が出来るよう日々精進すると共に、
丹精を込めてお仕立てさせて頂きますので どうか引き続き 宜しくお願い申し上げます。















・・・・・HOUSE STYLE ORDER限定による
『早期受注キャンペーン』 に付きまして。

7月23日(水)〜8月22日(金) 約一か月間に渡り開催させて頂きます。


 工場さんが工期を通常より少し長めに頂く分、ささやかながらお値引きをさせて頂くという企画となります。

内容は秋冬物でも春夏物でも構いません。
スーツやジャケット、コートが対象となります。

期間前でも「キャンペーン希望」と仰って頂ければご対応させて頂きます。
日程に合わせて工場さんに投入致します!


どうかこの御機会を有効利用して頂けましたら幸いで御座います。
 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。

















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2025年06月24日

【 2025 SS / SHIRTING 】




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・・・・・満開に広がるマゼンタ、圧巻なマゼンタカラー!
視界に強烈なインパクトを感じずにはいられません。
当店のすぐ近くでは『ブーゲンビリア』の花がとても綺麗に満開を迎えております。



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花言葉は「情熱」や「魅力」、その美しき色よりつけられました。
その花色であるマゼンタですが、紅紫色とも言われ、愛情や幸せ、充実感、そして次のステージに進む意欲などを象徴すると言われているそうです。

 眺めているだけで元気と勇気が貰えそうですね!

反面、梅雨入りしたにも関わらず 何と梅雨前線が一時的に消滅!
先週は好天続きで強烈な暑さが続いておりました。
同じく満開な紫陽花は肩透かしですよね。


 猛暑日の続出に伴い、早くもリネンのスポールシャツが活躍する事に、、、。


















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・・・・・いよいよ7月より、シャツの受注がリスタート致します。
まだ日程は正確に言えませんが、もうご注文自体は受け付けさせて頂きます。

シャツ生地は取引先様も増やしサンプルバリエーションもパワーアップ、全てお値付けも致しました。
リスタート前にご注文頂きましたら、生地を湯通しして準備をしておき 工場さんの受け付け開始日に伴い投入とさせて頂きます。










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・・・・・涼し気で爽やかなスカイブルーのオープンカラー・スポーツシャツはリネン製であり、イタリアは ALBINIの生地となります。

ハリコシのあるリネンは汗をかいても地肌にあまりペタッとしませんし、放熱効果が高いのでやはり夏には欠かせぬシャツでもあるのです。



 シャツの受注開始に伴い、先ずはドレスシャツと共にクラシックな2枚衿のスタイル(長袖)より開始いたします。

オープンカラーシャツは同時進行で開発を進めておりますので、受注開始が少し遅れます。
先日には工場さんにもサンプル作製を依頼させて頂きました。














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INDIAN MADRAS COTTON





前回のBLOGでご紹介させて頂きましたね。
あえて このマドラスチェックでオープンカラーシャツのサンプルを仕立てて頂きます!

レモンイエローにレッド、ネイビーのコントラストが美しいマドラスチェック。
湯通ししましたが、思ったより全然色落ちしませんでした。
その代わり 縮みについては他のシャツ生地に同様であり、当たり前に縮みます。
(色や品番により違いもあるでしょう。)


 湯通しせずに仕立ててしまったら いくらオーダーとは言え、意味がありませんね。
例えばPOPLIN、OXFORD、そしてこのマドラスなど縮率はそれぞれであり一律でもありません。
正確で意図のあるサイズを尊重しての型紙であるなれば、生地の段階で縮絨して 既に縮んだ状態で裁断する必要があるのです!











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・・・・・とても素朴な質感は親近感もあり、単糸で織られ薄くて通気性も高く
これはとても涼しそうですね!
今期よりのデビューとなりますので 是非お試しになってみて下さい。







では、新たにシャツの受注開始という事で
2025年SSより シャツ生地をご紹介させて頂きたいと思います。

随分と久し振りなシャツ生地紹介となりまして、、、大変長らくお待たせ致しました。

 例の如く、クラシックな無地やストライプの類は 迷って決められぬ程に充実しておりますので、ご紹介は敢えてスポーティーな物を抽出してご覧頂きたいと思います。

















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伊:Carlo Bassetti


・・・・・爽やかなシャーベットカラーが如何にも涼しそうです。
100% リネンであり、有色は掠れた様なまだら感がありますね。










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伊:LEGGIUNO


・・・・・同じく100% リネンで、上記には無い色を補完しつつ、掠れた感じはやや弱めです。
 結構マニアックな色もありまして、このカラーバリエーションの豊富さは有難い限りです。


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伊:PROFILO



・・・・・同じく100% リネン、定番なストライプやギンガムも勿論揃います。












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伊:LEGGIUNO

伊:CANCLINI



・・・・・同じく100% リネン、大き目なギンガムに 個性的で主張の強いストライプも!












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伊:Grandi&Rubinelli


・・・・・65% COTTON / 35% LINEN
コットンを主体にリネンを3割ブレンド、リネンの清涼感や涼しさを感じさせてくれます。
この辺りはタイを締めるドレスシャツとしてもお勧めで御座います。

ソリッドからクラシックなストライプまで網羅しておりますので 夏には欠かせぬシャツとなるでしょう。


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伊:CANCLINI


・・・・・57% COTTON / 43% LINEN

ピンポイントでお勧め!
先よりもう少しリネンの混率を増やした ピンポイントOXですかね!
 これは絶対に良いですよ。











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伊:TEXTA


・・・・・100% リネン地のプリントシリーズです。
動物や植物のモチーフなど 結構なバリエーションが御座います。

下のトロピカルなシャツ地でオープンカラーシャツなんて如何でしょうか!
アロハ風にサラリと着こなして下さい。


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墺:GETZNER


・・・・・カラフルで鮮やかな縞や格子柄が素敵ですね。
100% COTTON となります。












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伊:TEXTA


・・・・・100% COTTONのプリントシリーズです。
また凄いの、、、ご期待通り ありやした!










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・・・・・あっち向いて ホイッ! ホイ、ホイ、ホ、、、
パット見 何柄か分かりませんでしたが、カラフルで大きなくちばしが特徴な「オオハシ」さん達が あっち向いて大会 を開催中のようです!













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・・・・・インパウンド需要も高まり 日本の食は賛辞の的ではありますが、、、
お寿司柄ですか⁉ しかもデザイナーはきっと日本人ではないですよね⁉

それにしても、、、凄い、としか言いようがありません(汗)。











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・・・・・左は陸の生き物、、、と思いきや シャチやクジラさんもいた!
あれっ、オオハシさん こっちにも遠征されていますね。

右は海の生き物、これ 小さいのに良く描けておりまして、シュモクザメさんの顔が凄いインパクトなのですっ!












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・・・・・うへ〜〜っ、ワニさん達が凄く怒っています! 乱闘騒ぎです!
大変な事になっているようですが、その状況柄シャツって、、、どんな顔して着こなしましょうか(笑)!












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・・・・・うわっ、カラフルで綺麗だけど、、、
こちらはモノトーンなシマウマさん達をベースにカラーパレットに!
このシマウマさん達がいるグランドにもストライプが描かれ、縞々、シマシマ馬です。



以上、プリント類は全て 100% COTTON
伊:TEXTA製でした。


 これらのバイイングセンスが凄いですが、強い需要もあるからこそ
ここまでラインナップも充実しているという事ですね。

では少し落ち着きましょう(笑)。












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伊:Carlo Bassetti


・・・・・薄地なデニム系もありますね、
通年通して愛用できる強い味方です!










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EUROPEAN FABRIC



・・・・・ソフトでしなやかなシャンブレーを発見!
写真色よりほんのりクリーム味を感じられる優しい色味。

こういうシャツが結局ヘビロテになりますよね、お勧めで御座います!











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EUROPEAN FABRIC



・・・・・正に小豆色、あの人気で有名なあずきバー(アイス)を彷彿させます。
ソリッドなカラーバリエーションは随分と見てきていますが、こんなにも見事な小豆色って、、、凄いインパクトでしたので掲載!










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EUROPEAN FABRIC


・・・・・いよいよ最後のご紹介です。
最後はクラシックなドレスシャツ地ですが、好みだったので!

へラインをベースにオルタネートストライプ、色のトーンも淡くて爽やか、SSであればキッドモヘアのスーツにお勧めで御座いますよ。





















・・・・・以上で御座います。
結構 沢山ご紹介したように感じますが、全体量から見れば極一部に過ぎません。

もう本当に沢山揃えておりますので、きっと皆様のお眼鏡に叶う生地と巡り会う事が出来るでしょう。

 シャツのご注文はフライングに受け始めさせて頂きますので、是非お気軽にご覧に来て頂けましたら幸いです。
工場さんへの投入は7月、工期は投入から約一か月となりますので夏の真っ盛りに仕立て上がってくる見込みで御座います。




 まだ一応梅雨ですから雨も降りますし、好天になれば既に厳しい暑さでもありますが
お店を涼しくして皆様をお迎えさせて頂きますので 是非お気軽にお越し下さいませ。



では ご体調管理には十分にお気を付け下さいませ。
今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。






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2018年02月27日

【 HOUSE STYLE ORDER@ 】




 皆様、こんにちは。
いよいよ寒かった2月も明日で終わりです。

3月になればもう少し春らしさが感じられてくるでしょうか。










 では、早速 今週の本題に参りましょう。




 作れば売れた時代、スーツも既製品のシェアがますます広がりました。
そんな頃と比べれば、こと紳士服におきましては随分と『 オーダーでスーツを作る 』という事が増えて参りました。
今ではセレクトショップやデザイナーズブランドに至るまで参入しておりますね。

在庫リスクを抱えるのであれば、オーダーは受注生産ですから そういったリスクを回避できるという事は大いなる理由の一端でもありましょう。

また、昔ながらの所謂フルオーダーばかりではなく、イージーオーダーの進化も見逃せない事実です。


消費者の方々におかれましては 選択肢が増えた事は良い事ではあるものの、
どこで、どの様な、どの位のレベルなスーツを作りましょうか、、、。

その普及した『 イージーオーダー 』という形態に着目してみます。







 デザインや仕様、品質や値段も本当に様々であり、それらお店の(作られるスーツの)スタンスやグレードもある程度理解しなければなりませんね。お値段にも直結して参ります。

採寸から補正のレベル(型紙作成)、仕立てる上での品質(縫製)、その前に御注文を頂く際に伴う打ち合わせの時点でもお店によって差がありましょう。

(良い・悪いという括りでは無く、お店により 出来る事・出来ない事の差がとても大きいという事になります。)




 さて、弊店で扱わせて頂いております HOUSE STYLE ORDER につきまして
国内屈指の腕を持つ工場さんにお世話になりつつ、皆様へ少しでも満足度の高いスーツを御提供出来るよう精進しております。

 顧客の皆様におかれましては 多大なるご高配を賜りまして、心よりのお礼を申し上げます。

工場さんからしてみれば、私からの要望は高く、そしてうるさく、付き合いの楽なクライアントで無い事は確かでしょう。
 これは技術者たるTAILOR目線であるという事と共に、高いポテンシャルを持ち 大いなる伸び代がある工場さんだからこそです。

もう本当にお世話になっておりまして、つくづく感謝するばかりです。



しかし、仮にですが 日本国内に限らず、世界一の縫製工場さんでHOUSE STYLE ORDERを仕立てて頂いたとしても 私にはきっと満足出来ないでしょう。


 それは当たり前な事でもありますが、BESPOKE TAILORが満足出来るレベルを
そもそも大量生産を前提とした縫製工場さんで期待する事自体に無理があります。

普通車を生産するライン工場でF1マシンは作れませんね!
それぞれの意図に伴ったステージが存在します。

それは イージーオーダーのカテゴリーでも、ビスポークのカテゴリーだとしても、それぞれの各カテゴリー内で更にステージがあるのです。




 では、そのイージーオーダーというカテゴリー内で具現化出来得るハイレベルなスーツを仕立てて頂いても、まだ満足出来ぬのであれば それは自分自身である程度補うしかありません。


その一端となるのが弊店HOUSE STYLE ORDERの仕立て上がりに行う『 2次加工 』となります。


 市販車を改造し、競い合うレースがありますね。
チューンナップ(アップ)をして、少しでも多くのパワーと共に、スピードを出したい訳です!
そのチューンナップを行えるのは技術者であり、テクニックなのです。
(これも そもそも基たる車なりスーツのポテンシャル自体も高い方が良い訳です。)


 今週は、そんな風景を 2回にわたってご覧頂ければと思います。














 とある日、工場さんより 仕立て上がりホヤホヤのスーツが3着届きました。

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とても綺麗な仕上がりです!

手前のスーツは、弊店オリジナルの GOLDEN BALE による三つ揃いです。
大変御贔屓を頂戴しております H様よりご注文頂きました。

真ん中、そして奥の2点は、同じく多大なる御贔屓を頂戴しております S様より
H.LesserのVINTAGE、同じくVINTAGE MOXON:GOLDEN BALE による三つ揃い2点口で御座います。

 最高の生地にて、HOUSE STYLE ORDERの最高スペックでお仕立て頂きました。




これからプレスをしながら、検品や検寸を行って参ります!


 今週は TROUSERS から御紹介させて頂きます。











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・・・・・先ずは表裏引っくり返します。
糸くずや糸始末不良、袋地や膝裏の具合を確認しつつプレスして参ります。

この部分は、ウエストの内側です。
手前がW-BAND裏となる腰裏、接がれて繋がっている奥のスカートが腰幕と言います。

大抵は『マーベルト』と呼ばれるインスタントで簡易な腰裏専用の裏帯が使用される部分ではありますが、BESPOKEの様に腰裏と腰幕に分離し、深くまで確りとホールドさせるようにしてあります。

 プリーツ(折り襞)が見えますね。
これは必ず必要であり、この襞によってウエストとヒップの差寸を補っています。
そのプリーツ分量が適切でなければ 綺麗に折り直しです!










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・・・・・お尻の部分です。写真上部が尻縫い目であり、ウエストサイズが出せる様に沢山の縫代が付いていますね。
脇や尻縫い目なども確りと縫代を割り直し、後側のクリースライン(センターの折山線)を一度 途中まで消します。 自分で改めて付け直すからです。










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・・・・・ここは股の部分です。
左側にグレー裏地が見えますが、前身頃裏であり膝裏地です。
内脇縫い目を挟んで尻側の後身頃です。

股の部分は、尻と内脇の縫代が十字に重なります。
黒い半月型の股シックはボロ隠し(縫代隠し)と共に、余計な摩擦を軽減しつつ、補強も兼ねた大切なパーツです。

 尻グリの縫代処理をクセ取りで確りと行いつつ、股シック周りもバッチリと潰し直します。

この辺りは股周りのスッキリ感や収まり具合が全然違って参りますので穿き心地にも大きく影響致します。












・・・・・表に返しました。
左側の外脇縫い目部分です。 フロントは1-PLEATのデザイン、脇はスラントポケット、尻ポケットは無しでのご注文です。
脇ポケット口 と 向う布 は確りと柄合わせされて綺麗に仕上がっています!

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 ですが、ここからが重要な所です。

NO-PLEATや1-PLEATの場合、どうしても脇線自体はカーブの度合いが強くなります。
『 綺麗に、正確に仕立て上げた 』 ここまでが工場さんの役割です!

ここからクセ取りを行います。









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・・・・・スッキリと直線だった縞が、カーブを描いているのが分かります。
強制的に曲げているのですね。

脇縫い目を見て下さい。 先の写真では縫い目自体がカーブしていましたが、縫い目を直線的にしつつ、そのボリュームを前後に振るのですね。

この操作により、脇ポケット口は少しイセ込まれます。

 これで、穿いた時の脇への馴染みや吸い付き、そしてラインまでもが雲泥の違いが出ます!!











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・・・・・脚に参りましょう。
極一般的ですが、、、ストローの様に真っ直ぐでストレートな脚筒です。

H様におかれましては、後身頃の股部に共地補強布を付けられました。

 ここから脚のフォルムに合わせて曲線にします。
ふくらはぎのボリューム考慮ともよく言われます。勿論それも有りますが 多くの方々は棒の様に直立では無く、ある程度反った状態でバランスを取られている方が少なくありません。

勿論 度合いの個人差は大いにありますが、その御方の姿勢であり、自然体がそうでもあるという事です。
言葉で言えば反身体となりますが、結構な比率の高さですね。

 誂えスーツは その方の為だけに仕立てられるのです。
クライアント様の体形に素直に寄り添います。












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・・・・・マジックの様ですが(笑)ある程度のライン成形が終わると、蓋をします!
当て布ですね。 スチームの透過が良い平織ウール地を使用しています。
(これも起毛系やテカる生地などは当て布の種類を変える必要があります。)

ウールは、水と熱と圧力によって成形できます。
この融通性・柔軟性を生かし、様々な技術によって立体成型するのがクセ取りであり、テーラードです。









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・・・・・バッチリとクセ取りができ、立ち姿勢と共に、脚のフォルムやふくらはぎのボリュームなどを加味された形状になりました。

真上からでは無く、斜に写真を撮っているのでより顕著には見えますが、
「取り過ぎでは、、、そんなに曲がってないよ!」と思われる方も少なくないでしょう。
その通りです! これは故意的にわざわざ過剰なラインを作り出しています。

 何故でしょう!?

皆様もご存知の様にウールには復元力があります。
クセ取りされたこの現状態からある程度は戻ってしまうので、それを見越している訳ですね。

また、HOUSE STYLE ORDERはどうしても後付けでクセ取りを行う為に、戻りやすいとも言えます。
BESPOKEの場合は もう裁断直後から、組み立てる工程の間ずっとクセ取りし続けます。
仕上げまでずっと意識され、そのフォルムを維持しようと仕立てられます。

 故に 後付けより何倍も戻り辛く定着率が高いのです。













・・・・・ストローの逆足を下ろして重ねてみましょう。
どれだけ意図的に下げて曲げているのかがお分り頂けると思います。

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これにはもう一つ大事な考慮がありますが、、、、、もうキリが無いので ここまでにしておきましょうね。










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・・・・・逆足も同じ様に、同じ位にクセ取りです。
直線である筈のストライプをご覧ください。縞柄なので分かりやすいですね。

前後クリーズライン(前後中心の折山線)ですが、単に紙同様 畳めばその折れ線は直線ですし、縞も当然ながら直線ですが、ここまで川の流れの様にカーブ線を生み出します。 

ウールの生地はこの様に息を吹き込まれ、立体的に成り、身体に合わされていくのですね。











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・・・・・今回 H様よりお預かりしておりました お直しのトラウザースも新しいご注文のスーツと共に上がって参りました。

これから同じく2次プレスをかけますが、、、脇縫い目に対し 直角に横皺が見えますね。
工場さんかからはハンガーに掛かって納品されます。
 運搬中にトラウザースが落ちぬ様、ぐるりと一回り引っ掛けられて納品されます。

ハンガー皺、、、これは回避出来ませんし、仕方のない事です。

弊店では2次プレスするので別に良いですが、店内にアイロン設備の無いお店ではどうしているのでしょうか!?









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・・・・・沢山ご愛用くださったからこそ、、、尻縫い部分が摩擦により 擦り切れてしまいました。 その修繕でのお預かりです。

カケハギも一つの手法ですが、工賃と工期が結構かかります。
それ以外で一番単純で簡易に修繕を行えるのは、この様に裏に充て生地をし、同色ミシン糸で確りと補強しつつ縫いつぶすのです。

 カケハギと比べれば見た目の綺麗さは歴然です。
ですが、股部分ですから穿いてしまえば見えません。

お直しにも様々なテクニックがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
考えられる選択肢を全て御説明させて頂き、ご相談の上でその手法を御選択頂きます。


H様、新しいご注文は補強布を付けておりますので安心ですね!













・・・・・S様のトラウザースに参りましょう。

同じく裏側に引っくり返し、、、
!!!!
これは脇ポケットの袋地です。 たまに有り得ます。

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確りと綺麗にプレスしますので大丈夫です!
検品、そしてプレス、欠かせないと言いう事が良くお分り頂ける事と思います。










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・・・・・同じく股の部分です!

S様も内股補強布をお付け頂いておりますね。

S様は身長含めお身体が大きいので、トラウザースも当然大きいです!









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・・・・・シルエットが太ければ太い程、足のフォルムを追いかける度合いは減ります。
それだけ筒が太いので、脚のフォルムはキャンセルされる事になります。

しかし、立ち姿勢考慮は別ですので度合い自体もお客様、そして構成されているシルエットによります。











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・・・・・トラウザースが全て終わりました。

良くあるプラスチックハンガーは、バーの所が2本で出来ているので運送の際に落ちない掛け方が必要でもあり、ハンガー皺を生み出します。

 このハンガーは滑り止めがバーに付き、落下防止は押さえるゴムを使用するのでハンガー皺入らずです!













・・・・・如何でしたでしょうか。


近々には、ウエストコート、そしてジャケットの2次プレスを御紹介させて頂きたいと思っております。


 スーツを仕立てる上で、あるべき姿でもあるフル・ハンドメイドのBESPOKEというレベルがあり、それを理想と掲げれば HOUSE STYLE ORDERにもどれだけの技術と手間を落とし込めるのかが品質向上のカギでもある訳です。


物作りは 追求すればする程にキリがありません。


 今回はこの辺りまでとさせて頂きます。
皆様の大切な御注文の品は、こうやって1点1点大切に、そしてパーソナルな対応のもと お手元に渡ってゆきます。

 平素より、素敵な御注文を頂戴致しまして誠に有難う御座います。











・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。
申し訳御座いません。

次回は、3月13日(火)の予定となります。

 どうか引き続き 宜しくお願い申し上げます。



今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。









posted by 水落 at 09:00| Comment(4) | 仕立てについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする