2016年11月01日

【 肩縫縮について 】


 こんにちは。
本日より 11月に入りました。

そろそろオーバーコートの着用も視野に入って参りましたね。


 今年中にやるべき事、、、
あと二カ月です! 毎年ながら焦りますよね。















is1.jpg



 個人的に思い入れ深き COVERT COAT
このBLOG内でも紹介させて頂きました。

http://dittos.seesaa.net/article/407464018.html
( COVERT COAT )
http://dittos.seesaa.net/article/407856620.html
( COVERT COATA )








 さて、今週はちょっとした訳も御座いまして
弊店BLOGでは人気の薄い 技術のお話を久しぶりにさせて頂ければと思います。

普段 皆様が御着用されている紳士服の仕立てについて、たまには少しお勉強もして参りましょう。
仕立てに伴う様々なテクニックや技術は、完成してしまえば 見えない・分からない事ばかりです。 中身などは裏地で蓋もされてしまいますので尚更でしょう。

 何故 仕立て良き服は時間も掛かり、お値段も高額となるのでしょうか。
ほんの少しでも垣間見る事が出来ればと思います。
















話題は【 肩イセ 】について、
カバートコートの肩地縫いを見ながら御説明致しましょう。







・・・上物を仕立てる上で、肩周りはかなり重要度の高いポジションであり
着心地などをも左右する箇所であります。







縮縫

( イセ と読みます。 )




イセ、イセ込み等の言葉を聞いた事があるでしょうか。
漢字は正にストレートです!



● AパーツとBパーツを縫い合わせて結合させる際、AとBそれぞれの距離が意図的に違う縫い目径に対し、長い方を短い方に合わせて強制的に縮め縫いを行うという技法の事を指します。






イセという行為には、主に『 立体にする 』という目的があります。
類似行為としてはギャザーが挙げられますが、ギャザーは縫い縮めた事による布の強制された寄り付きにより 細かな襞が生まれます。それをそのまま生かします。

 弊店のシャツにおける背中や袖口に施されている沢山の細かな皺がギャザーです。


同じくは、ギャザースカートを思い浮かべてみて下さい。
細かく縫い縮めればギャザー、そしてこれら縮める距離の処理をギャザーでは無く 襞をもって畳んだ場合、これはプリーツスカートに成ります。

 双方のスカート、ウエストから広がるヒップへ、そして裾にかけて優雅なシルエットをという意図的なユトリを生み出させる為に行われます。












● 対してイセは、縫い縮めにより発生した細かな皺や襞を消して綺麗に処理致します。
ここが大きな違いとなりますね。

これらの行為を業界では 『イセを殺し込む』 など やや物騒な言い方をされます。



殺し込むというのは、確りと潰す、折る等を含め アイロンで綺麗に処理して『抑え込む』という様な時にも使われます。




 では、AとBというパーツに対し、どちらかの距離を意図的に長くする事によって どんな事が発生するのでしょうか。

仮にAよりもBが長い場合、B側を立体的にしたいという意図がある訳です。
紳士服の仕立てにおいて、本当に沢山の箇所で行われている行為です。
(パーツ同士の結合でなくても、部分的な個所を狙ってイセ込む事もあります。)

 そこら中にイセ込みによる立体成型がありますし、意図的にユトリを加える裏地などキリが無い程にクセ取りと共にイセ込みは日常的に使われているテクニックと成ります。



そのイセ込みですが、分かり易くは やはり『肩』や『袖』と成りましょう。













● 上着において、アームホールを身体に合わせて小さく作り込む事は機能性を上げる為にも必要な要素です。

そのアームホール(AH)ですが、身頃(BODY)の AH寸法、そこに付く袖の AH寸法 が1対1で同寸法であると 袖筒は細くなり着辛く 動きにも影響を及ぼす事にもなります。



男性の確りした肩の三角筋をホールドしつつ、動きに対するユトリを与えるのが主体となる目的です。 また、袖が立体的となり、綺麗に丸くフワッと落ちる様な効果も与えます。
(このフワッとを支えるのが袖の内側に入る『裄綿』と呼ばれる芯の部類に入るパーツと成ります。)


 同じく肩縫い目でのイセは、身体に伴うよう定めた肩幅に対し
隆起した肩甲骨をホールドしつつ、背幅のユトリ、そして前肩成形へ繋げるという目的があります。




 因みに、、、、
皆様もご存知であろう フラットジャケットの『 MA-1 』
この秋冬でもリバイバルなのか 良く見かけますね。

 腕を前に出して操縦しますので より背幅はたっぷりとしていなければ成りません。
上記 肩イセの様な意図的考慮を 後の肩線に『ダーツ』 を摘まむ事によって処理と共に補われています。










文字ばかりで分かり辛いですね、、、、、。

では、実際に写真を見ながら肩のイセ込みをご覧頂きましょう。













is2.jpg


・・・・・左前身頃 肩部です。
ラペルが見えますね! 上部が肩線と成ります。

その肩線、白い糸印(切躾)が見えます。これが設計上での肩線であり 既に縫代が含まれています。
 しかし、更に余分な縫代も付いていますが これは様々な補正直しに対応出来る様に付けてあります。


因みに、上衿の裏側に『ヒゲ』と呼ばれる折り込まれた縫代があり、仕立て良き服の代名詞的に紹介されている事もありましょう。
 しかし、そのヒゲは この肩の余分縫代あってこそ生きる縫代(折代)であります。
肩に余分な縫代が付いていないのにヒゲだけ付けた服は、意味無きデザイン優先のディテールという事になってしまいます。
(かなりマニアックな話ですが、その服のレベルや完成度、説得力を垣間見る事が出来ますね。)



 話を戻します!
その肩線から下に 白いチャコ線を引いてみました。
(この白い線上が縫い上がり線と成ります。)
白い線に対し両側のエンド、それが左側が衿の付くネック部分、右側がAHとなる部分、そしてこの肩線の長さが肩幅を決めていると言えます。















is3.jpg


・・・・・その前身頃肩部に後身頃(手前側)の肩部を乗せてみました。

後側の肩縫い目は 予め縫上がり線(前の肩線で言う白チャコ線)で畳んでいます。

これら前後肩の縫い上がり線である 白チャコ線同士(縫い上がり線)を結合し肩縫い目となります。
ネック部分を互いに合わせると、AHの所では後肩線が長くなっているのが分かります。
全然距離が違いますね!


この長い分だけ、前肩に合わせて縫い縮める(イセる)のです。












is4.jpg


・・・・・肩線という距離に対し、エンドはネックの線との交点、AH線との交点となる事を先程述べました。

それぞれを前後肩線の各交点で合わせると 当然ながら 距離の長い後肩線は浮いてしまいますね。

その浮き分を更に等分で止めてあります。


肩のイセ分量、これはハンドメイドの服と、大量生産される既製服とではイセ込む量が全然違います。

 イセの量が多くなれば成る程 処理や『こなし』も難しくなるという事です。
そして、それらは立体度合にも大きく影響するという事になります。



ジャケットで大体2pのイセを入れていますが、人によって量は変わりますし、肩甲骨の隆起が大きい方は そのイセ量の配分を等分では無く、隆起TOP付近に多く入る様に分配も致します。


手縫いであれば3pのイセ量でも技術により入れ込む事は全然難し事ではありません。
しかし、沢山あれば良いという訳でもありません。 厳密に見れば、人それぞれに必要な量が違うという事になります。

 今回の様にコートであれば、インナーであるジャケットに伴っていれば良い訳です。
イセ量や配分なども既にインナーで判断されているからです。












is5.jpg


・・・・・では、この浮いたイセ量を強制的に縫い縮めて参りましょう!
細かく過剰量(イセ量)を分散させながら丁寧にチクチクと地縫いして参ります。

is6.jpg














is7.jpg


・・・・・縫い終わりました。
これで肩縫い目が出来た訳です。 写真奥側が前身頃、手前側が後身頃です。
縫い縮めた後側の肩は強制的に縮められたので波を打っているのが見てとれます。

 同時に、縫い込まれた側である 前身頃の肩線は、この時点で強制的に与えられたイセ量に耐え切れず 距離が多少伸びてしまっています。














is8.jpg


・・・・・次に肩線の縫代を割って処理致します。(イセを殺し込みます。)

鉄万という部分アイロン台に肩線を乗せました。
奥側が前身頃、白っぽく見えているのは毛芯です。

手前側が後身頃、更に手前には背裏地が見えますね。
 それぞれ肩周りの処理が出来る様 捲られるように据えられています。













is9.jpg


・・・・・縫い目含め、必要な個所に水を付けてジュ〜〜っと縫代を割ります。
この時、イセ量に耐え切れなく伸びてしまった肩縫い目、この伸びたであろう距離を元に戻す様にアイロンを当てます。

そして、発生したユトリ(波打ち)も馴染む様に、かつ波打ちが畳まれたりしない様にアイロンを手前方向へ動かして殺し込むのですが、殺し込むのは肩甲骨のTOP位置までです!




 ピカピカなアイロンに映り込む間抜けな私には気付かぬフリをしておいて下さい(笑)!













is10.jpg


・・・・・はい、サッパリと処理出来ました。
あれだけ波打っていた分量は殺し込まれて綺麗に内蔵された事になります。

こうなると、意図的に多く入れた分量なんて全く分かりませんね!


今回の様にイセ分量が 2pレベルでも、お安い既製品スーツの上着等はミリ単位(1p以下)だとしても 技術者でなければ完成した服を見て区別などつかないでしょう。







 今回のカバートクロスは楽に処理出来る生地の部類です。
ざっと同じ工程を違う生地で見てみましょう。

春夏用のウールトロピカルです。
春夏用の生地は往々にして入れ辛い生地が多いのも事実です。


同じ様なイセ分量でも、波打ち具合は大きく過剰に見えますよね。

is11.jpg



is12.jpg



is13.jpg















・・・・・袖のAHにも同じ事が言えます。
縫い縮める為 袖AHにギャザーを寄せ、それを殺し込んでフラットにさせてから袖付けをすれば 極一般的に見受けられる袖付けになります。

 皆様のご存知の雨振り袖は、かなり簡単に言えば イセ込みを殺さずに付けているから雨が降っていると言えますね。 分かり易く言えば ギャザー袖という部類に近いです。
 ただし、AHのイセ込みは必ず必要なので、そのイセを殺すか殺さないかだけであり 双方には必ず入れ込まれています。




今週の工程は肩の地縫い、及び縫代処理に伴う殺し込みという事になりますが
重要なのは『肩据え』であり、肩全体の作り込みに対し 今回入れたイセ込みを有効的な処理と共に成形出来なければ意味がありません。
(それがイセ込みを、イセ分量をこなすという事です。)












is14.jpg


・・・これら肩地縫いは、勿論ミシン地縫いでも構いません。
しかし、イセ量が2pレベルともなれば 手縫いで入れた方が早く、且つ綺麗に分散出来き、処理出来ると言えます。

ミシンで行う場合は、後肩の長い方を ある程度予め 短い前肩長まで縮めてからでなければ縫えません。


 イセ量を生かす前肩成形、表地のイセ量に伴う様に裏地の肩にもイセ分量が必要です。
裏地側は表側より更に多くなければ成りません。

 お安く大量生産される上着のイセ量が少ない事もお分りになるでしょう。






 肩周りは複雑であり、とても難しい個所です。
だからこそ、高度な技術により手間暇をかけて立体成型した肩作りの服は とても着ていて楽であり、綺麗であり、動きやすくもあるのです。

本当に大きな差が出る部分です。



is15.jpg



 肩作りからしてみれば、今回の工程は一部であり、
イセの量が多いから良い服という訳でもありません。しかし、少なくても困ります。

総合的な処理が有効的に、適切に処理・成形されてこそ 仕立て良き筋の通った服となるのです。

















・・・・・如何でしょうか。
完成してしまえば、後ろの肩線が前肩線より約2pも大きく それが縫い込まれているなんて分かりませんよね。 両肩で捉えれば、背中に約4pの『幅』が入れ込まれている事になります。

 紳士服とは そんな目に見えない技術の集結でもあり、あるべき姿であるハンドメイドとなります。
それをBESPOKEと括るなれば、HOUSE STYLE ORDER は工場さんの技術力を頼りに どこまであるべき姿まで進化・具現化出来るかどうか、、、これがH.S ORDERのテーマでもある訳です。




is16.jpg


 こんなに沢山の技術が詰まった誂え紳士服、各工程にはそれぞれのストーリーがあります。
全てを高次元でまとめあげ、筋の通った説得力高きスーツを仕立てるには
相応の時間と技術が必要です。


 高額な物には高額になる理由が必ずあるのではないでしょうか。



一人でも多くの皆様に筋の通った説得力高きクラシックなテーラードに袖を通して頂けましたら 何よりの幸いです。

















・・・・・いよいよ11月です。
皆様よりご注文頂きました BESPOKE GLOVES ですが、そろそろ届く頃です。
 現在 先方様へ確認中で御座います。

上がり次第、皆様へ個別に御連絡させて頂きますので 今暫しお待ち下さいませ。

 また、この秋冬デビューが遅れておりました 弊店オリジナルのネクタイに付きまして
現在 職人さん方が急ピッチで仕立ててくれております。

11月上旬には仕立て上がって参ります。
 早ければ来週のBLOGで御紹介出来るかも知れません!

どうかこちらの新作タイの方も 合わせて宜しくお願い申し上げます。














・・・・・手前事で恐縮では御座いますが、
先月の 10月28日をもちまして Bespoke Tailor Dittos は 本当に皆様のお陰様により 7歳となる事が出来ました。

既に8年目を迎え、つくづく時間の経過を早く感じると共に
弊店の様な小さな個人経営店がここまで存続出来た事は、全てにおいて皆様のお蔭に他なりません。

 本当に多くの御贔屓下さる顧客様方、そして御協力下さる工場さん、生地屋さんを始め全ての取引先様、
そして心底信頼する愛弟子達に加え、家族の支えも勿論御座います。

皆様 本当に心からの感謝をしております。
 言葉だけでは軽々しくはありますが、誠に、誠に有難う御座います。


どうかこれからも変わらぬ御指導、御鞭撻の程 頂戴出来ましたら幸いで御座います。

日々皆様のご期待にお応え出来ます様 益々の精進をもってお礼に変えさせて頂きたいと思います。


 どうも有難う御座いました。








 I様、プレゼントまで、、、、、大変恐縮ながら 有難う御座いました。
28日まで待って、当日に美味しく頂きました!! 







posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕立てについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月04日

【 CASHMERE A 】

 


 暑中お見舞い申し上げます。

日々厳しい暑さが続いておりますが、ご体調など崩されておりませんでしょうか。

もう少しで立秋です。 残暑見舞いに変わると共に少しずつ、いや 少しでも早く秋を感じられる様になってほしいですね。











 さて、誠に恐縮ながら 弊店夏季休暇のご連絡をさせて頂きます。

8月25日(火)〜28日(金) 定休日含め、計4連休を頂戴致します。

【 8月23日(日)は第4日曜日ゆえ定休日と成りますが、通常営業致します。】


8月29日(土)より通常営業と成ります。

皆様におかれましては大変ご迷惑をお掛け致しますが、何卒宜しくお願い申し上げます。

















 では早速本題に入りたいと思います。
今週も大変素晴らしいお勧めファブリックを御紹介させて頂きます。











1ca.jpg


CECIL BEATON

GRETA GARBO




御二方共に素敵なオーバーコートを着用されています。
特にクラシックなダブルブレストのチェスターFコートは正にエレガントの極みです。
















『 繊維の宝石 』 とも呼ばれているカシミア。

その素晴らしいカシミアのJACKETINGを 7月14日に紹介させて頂きました。
http://dittos.seesaa.net/article/422289775.html

今週は、その続編となります。



(・・・・もし宜しければ、今週の内容を確認する前にもう一度 カシミアについて、その特徴についてご確認されてみて下さい。
 きっと今回の生地が放つ魅力に伴う特性をより御納得頂ける事と思います!)











 今年はカシミアを手に入れるチャンスとも謳いました。 素晴らしいカシミア地のコレクションです。

その中より、今週は OVERCOATING を御紹介させて頂きます。








今まで弊店では、ややデリケートなカシミアよりも
GOLDEN BALE のウールが主体と成り、カシミアがブレンドされた これまた素晴らしいクオリティーの生地を多く仕入れて参りました。

カシミアには カシミアたるポジションと良さがある事は分かっています。
 しかし、なにぶん高価な事も否めません。



ただ、今期に限っては本当に素晴らしいカシミア地の出物に巡り合う事が出来、
その魅力たるや 流石はカシミア、、、 その圧倒的な気品と共にオーラさえ纏っているかの様な存在感に圧倒されました。


 見て頂ければ分かります。
 触って頂ければ分かります。



写真でお伝えするには勿論限界がありますが、その片鱗だけでも感じて頂けましたら幸いで御座います!!


これらは是非店頭で直に見て、感じて頂きたいです。
きっと皆様もその魅力にやられてしまう筈です!!














2ca.jpg


@ PURE CACHEMERE 100%  黒無地  by.W.Bill

この気品に満ちた光沢感、存在感、そして圧倒的な肌触りやヌメリ感、、、、
良いカシミア地というのは正にこういうものです。


この生地は W.Bill からの生地ですが、織り元は Joshua Ellis です。
カシミアと言えばここは正に信頼のおける所です。

ウエイトは、約480g コート地としては若干軽めの中肉地となります。
日本では一番使いやすい頃合いのウエイトでもあると思います。

3ca.jpg








・・・・・カシミア地の仕上げにはいくつかの主要な方法がありますが、
やはりコート地で王道なのは 『ビーバー仕上げ』 や 『ウェーブ仕上げ』 と成るでしょう。

 高級なカシミア生地こそ、昔ながらのアザミを使った起毛に拘りたい所です。

生地を織りあげ、縮絨させた後に起毛させます。
起毛させた毛の長さを整え、経糸の方向へ その毛をプレスで寝かせます。



アザミ起毛に付き、乾式起毛はビーバー仕上げ。
水に濡らせて起毛するウェーブ仕上げと区別されるようです。


 その仕上げにより、正に独特の光沢感が生まれる訳です。

しかし、カシミアの毛でも品質はありますので、産地や毛の部位でもその品質は変わります。 カシミアと言ってもピンキリです!
 恐ろしいのは、以前にもお伝えしましたように 流通量は生産量の4倍とも言われているくらいです。



 この様な光沢感やヌメリ感となれば 本当に毛自体が良い証拠でもあるという事です。



これで是非コートを誂えて下さい、、、、。
この生地を洋服として纏った方のみぞ知る満足感と高揚感。


 コートは本当に寒い時期しか着用しません。
 目的地に(室内に)付けば脱いでしまいます。


ですから、オーバーコートというアイテムはもともと寿命が長く
正に一生物とも言えます。 確りと妥協せず良い生地を、良い仕立てで御誂え下さいませ。


4ca.jpg


 豊かなドレープ、気品に満ち溢れたオーラを纏う喜びと充実感。
間違いなくエレガントなコートになる事でしょう。














5ca.jpg


A Joshua Ellis  紺無地


次も上記に織り元同じく Joshua Ellis製のカシミア地です。

ウエイトも同じく 約480g となり、今度はネイビーです。

6ca.jpg






織り元も同じ、品質も同じ、黒か紺か、、、、、、
皆様ならどちらをお選びになるでしょうか。

7ca.jpg



 本当に素晴らしい光沢感と共に、優しい肌触りです。











8ca.jpg


・・・・この写真では、@の黒が上に  Aの紺が下にと重ねてあります。
色味の差をこれで比較されてみて下さい。





この生地で正にチェスターフィールドコートを!!
もしくは、敢えてこの上等なカシミアで オッドジャケットを誂えても大変お勧めです。

コートにするよりは着用期間が増えますね。
気楽に、デイリーにこの気品を纏われてみて下さい。












9ca.jpg


B Joshua Ellis    黒無地  520g


こちらも信頼の Joshua Ellis製、 ウエイトは 520g と@Aよりも少し重く確りとしています。




10ca.jpg


また、@Aよりも若干起毛度合が強いですね。 より一層の光沢感が強く出ています。
瑞々しく しっとりとした感触は、、、、

もう言葉がありません。 一言、「凄いです、、、。」



誰がどう見ても、高そうなコートに見えるのは言うまでもありませんね(笑)。








11ca.jpg


 ただ、ある意味では凄く目立つコートと成るでしょう。
それだけ誰しもが感じられるオーラを強く放っているからです。


「・・・もう少し自身に貫禄が付かないと着こなせない、、、」

多くの方が思うかも知れません。
 しかし、貫禄が付いてきた頃に新品でこんなエレガントなコートを着ているのを想像してみて下さい。 如何でしょうか、、、、


今のうちから自分のものとし 自身と共に年を取らせるのです。
貫禄が付き、自身が良い御歳になった頃には その分このコートも年を取ります。
 御本人様の貫録と同じく、コートも素晴らしいエイジングが出ている事でしょう。

靴や鞄などの革製品と同じです。
仕立て良き誂え服は育てるのです。 自身のパートナーとして 共にエイジングという時間を与える事により、一層の深みや味わいと共に説得力、そして愛着さえ加わる筈です。

それに耐えうる生地と仕立てである事が重要なのは言うまでもありません。




誂えには、誂えならではの価値観があります。
長きに渡る時間の共有こそ、一番贅沢な充実だと思います。















12ca.jpg


C CROMBIE 420g

これは VINTAGE の生地と成ります。
昔はオーバーコートと言えば「クロンビー」とまで言われたほどのメーカーです。

 とても貴重であり、付加価値性高き生地であるとも言えます。

13ca.jpg


ややくすんだネイビー地、とても落ち着きがありヘリンボーン柄が控えめに主張致します。






14ca.jpg


コートとしてはやや軽め、ジャケット地としてもバランスの良いウエイトです。
どちらで御誂えになっても良いですね。





こちらも生地も勿論 カシミア:100% です。

大人を感じる渋い一着となる事でしょう。

15ca.jpg




















・・・・・・・・・・・・如何でしたでしょうか。


ご来店頂きました皆様には2度驚いて頂きます。


 店頭でご覧頂き、圧倒的な品質に、、、
 そして、これら嘘の様なお値段に、、、


驚き、そしてお喜びを頂ける自信が御座います!!

同じクラスの生地は高級マーチャントからでも手に入ります。
しかし、小さなスワッチでこれら迫力を感じる事は出来ません。
お値段も大きく違います。

 現物の強さ、この説得力は段違いで御座います





黒のカシミアは残量があと僅かです。
お仕立てはまだ先でも構いません。 気に成られた方は是非ご来店の上、直に確認されてみて下さい。

もし御予約を頂ければ、後はご都合の良い時に注文して頂く形となります。
(少々のルールは御座います。)








 普通に考えれば、今回の様な無地でダーク系、
いくらでも需要が見込めるこれら王道的なコート地が出物で出るなど稀な事だと御理解頂ける筈です。


是非御検討頂けましたら幸いで御座います。



素敵なコートを、素敵なパートナーを見つけて下さいませ。








 では、今週も誠に有難う御座いました。



posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕立てについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月26日

【 COAT < OVERCOAT A 】


 こんにちは。
もう8月も後半です。暑さは十分に堪能しました。
残暑もあるでしょうが、9月を迎えれば流石に過ごし易くなると良いですね。



 早速では御座いますが、先週からの続きを書かせて頂きます!!
かなり書いている本人の自己満的な要素が高いと思いますが、、、宜しくお願い致します。













p0.jpg


・・・こんなにもシルエットが綺麗でエレガント、クラシックなオーバーコートは
もう誂えでなければ手に入らないのではないでしょうか。
ブラウンのダイヤゴナル、激渋です!
 インナーのブラウン系格子のスーツも素敵ですね。











P1.jpg


・・・3者3用 それぞれクラシックで正に伝統的なオーバーコートを着用されております。
ポロ、カバート、チェスターとSTYLE BOOKの様です。
やはりコートスタイルにグローブは必須ですね。
こんなスタイルをサラッと着こなせる紳士に成りたい! 皆様でしたらどのスタイルを選ばれますか!?













 では、早速始めます。
先週はオーバーコート:前身頃の型紙が引き終えたところまででした。



今週は、コート(ジャケット)後身頃のトレースから参りましょう。

奥が背中心の縫い目、丁度背骨の位置にシームがありますよね。
左側が首元、右側が裾と成ります。

p2.jpg




 前身頃と同じ様に、肩傾斜は同傾斜で、ネック周り(首の付け根辺り)含め
適性なユトリを加味し、前身頃と同じ様なバランスで分量を足してまいります。

p3.jpg


首が前付きの方、肩甲骨が強く隆起されている方、
送り腰の方、
肩幅の広い方、狭い方、
後身頃の型紙にも沢山の情報が詰まっております。
背幅含め コート(ジャケット)のバランスを尊重しつつ、ユトリを与えます。







p4.jpg


はい、もう出来ました!
オーバーコートは基本的に丈が長いもの
機能的に足さばきを良くする為にもセンターベントを切ります。
当然位置関係も重要な所です!











これで、前後の両身頃が完成です。
横向きに置かれています。 下が前身頃、上が後身頃。
右側が裾位置と成ります。

p5.jpg


構成されるバランスやユトリ加減は、
お客様がどんなスタイルのコートを求められ、どの位エレガントに
もしくはカジュアルにされたいのか、
丈バランスは!? 選ばれた生地は!?

考慮すべき点は山ほど御座います。












p6.jpg


 こちらは別の方の型紙です。
セシル・ビートン卿の様なカバートコートを、もう若干シェイプを効かせ
ほんの少しだけエレガントさも加味して、、、、

お任せ下さい! 大好物です(笑)。


p7.jpg


胸ポケットもフラップ付です。
流石に胸ダーツまでは入れませんが、ほんのりシェイプが感じられる様なバランスで。





まだこれで終わりではありません。
袖があります!











p8.jpg


前後の身頃を脇で合体させた状態で、肩先・アームホール・バスト線をトレースします。
袖山の高さを計算・設定し、
アームホールを計測し、イセ分量を計算の上で算出、
身頃のアームホールに伴う傾斜(寝かし)のバランスからインナーの袖幅(イセ込み比率)なども考慮し引いて参ります。

また、下袖にどの位機能性を持たせるか、、、これも、このオーバーコートがどれ位エレガントなのか、カジュアルなのかにもよります。


袖は当たり前ですが、BODY のアームホールに準じていなければ成りません。



袖のアームホール部分が引けましたら、コート(ジャケット)の袖型紙をあてがいます。

インナーであるコート(ジャケット)の袖幅を尊重しつつ、BODYと同じく 肘幅や袖口幅に適正なユトリを入れ一回り太く大きくします。 勿論長さ(袖丈)もですね。


その時に、もし今回の様に誂えであれば
袖の振り位置、太さ、肘位置設定、『く』の字度合い など全てインナーに準じて設計出来る事に成ります!!



p9.jpg


インナーとアウター、それぞれの袖がどこにも無理なく落ち着いて落ちますし、
この行為(設計)が どれだけ安定性・合致性が高く成るのか想像がつくと思います。


 更には、袖口にも傾斜が付いております。
床から平行線で設計されている訳ではありません。

こういった所まで細かくインナーの袖と相性を取る事が出来ますし、袖丈にしても インナー袖丈+αで単純に設定に出来ます。

ただ この部分もお客様のお好みは確認させて頂きます!













 出来ました! 先に御紹介させて頂いたお客様分、腰ポケットをスラントにされた方です。

p10.jpg









こちらは、C.ビートン卿ばりのカバートコート、
袖の太さや長さも違うのが比較するとお分かりに成ると思います。
当然その方々で色々と違います。

p11.jpg













・・・・・・・コート(ジャケット)と比べると、アームホールのカーブに伴う R が大きくなっている事に気づかれましたでしょうか。
分かり辛いですよね、、、。


インナーはアウターに比べ より身体に近いので、それだけカーブ線のRは小さくなります。
アウターは身体から離れますので、R はその分大きくなります。

これらはアームホールに限りません。
身体に合わせれば合わせる程 強き曲線使いに成り、R の度合いも強くなりますし
カジュアルな物ほど身体から離れるので直線的となり、カーブ線のルーズさへと繋がります。

革靴もそうですよね、、、お安い既成靴と、オーダーにてハンドメイドで作られた靴では
立体度合(カーブ具合)が全然違うのと同じです。
作り込みも含め、FITTING 精度の次元が全く違うという事ですね。








p12.jpg


・・・・・・先週の最後にも載せましたが、古き英国の裁断書です。
昔から足を使い良く集めました。大変貴重で大切な宝物です。

 スーツのカットはそれらから学び、準じていると言えますが
所詮は教科書です。

それに人種違えば、時代違えば、そもそも人が違えば、、、という事であり、やはり参考程度ともいえます。

そんな古き裁断書、
コート(ジャケット)からオーバーコートへの展開が記載されていますね。

先週の裁断書は、1934年の TAILOR & CUTTER 誌より、
これも同じ頃の物です。

両方ともシングルの上着から、ダブルのオーバーコートへの展開が記されています。
ダブルの両釦(打ち合い:フロントの重なり)間隔がとても広いですね。
重厚感と共に とても時代性を感じさせます。


 そのまま教科書通りに展開してもダメと言いますか、、、
全て私自身の経験やある程度の狙いや好み含む私のフィールターを通して古の技術を尊重し大切に実践させて頂いております。









・・・・・・・オーバーコートは、コート(ジャケット)ほど構築的に作らなくても良いと言えます。
芯も強くなく、増芯も軽め、肩パッドは薄く肩先のみ尊重して、、、。

何故でしょう!?

それは、オーバーコートの主体と成る『芯』とは、
インナーである構築されたコート(ジャケット)であると考えるからです。

理に適っていると思いませんか!?

あくまでもオーバーコートは纏うといった類とも解釈できます。
脱いで手に持っている事もありましょう。
仕立て自体は柔らかく作る事もオーバーコートらしさであると言えます。








・・・・・・・今回のお話は、BESPOKEのご注文に対し 生の型紙を使って御説明させて頂きました。

弊店では、HOUSE STYLE ORDER に関しても同じ手法により型紙を展開し、お仕立てさせて頂いております。
やり方や理論は全く変わりません!






・・・・・・・その昔、オーバーコートは富や権力の象徴でもありました。
贅沢な素材に、煌びやかで高価な釦をあしらったりと、、、、。




 人生で欠かす事の出来ぬ 衣・食・住 の『衣』
そこを楽しまなければ勿体無いです!

紳士服は歴史と伝統により成り立っています。
デザインやディテール含め、それら誕生の多くは戦争であったり貴族の生活様式に関わるものから生まれました。


 チェスターフィールドコート、
そのチェスターフィールドとは人の名前であり、チェスターフィールド伯爵の事です。

名前の由来に限らず、大抵の事柄に対し答えがある それが紳士服です。

学べば学ぶほど奥深さが分かり、勉強してもしてもキリがありません。
それが大いなる魅力でもあります。

 防寒具であるオーバーコート、
寒いから着る訳ですが、一歩進み 理解を踏まえ、拘りを持ったのであれば
伝統的で本質的なオーバーコートに袖を通してみたいものです。



しかし、そのオーバーコートは日本だと着用出来る期間は結構短いかも知れません。
移動時の防寒の為に着用されますので、オフィスなどの目的地に着けば脱いでしまいます。

故に、本当に長持ちします!!

だからこそ、数年着て古臭く感じない様な本質的クラシックな物を
長く付き合うからこそベーシックなデザイン、質の良い生地や仕立てで御誂え下さいませ。




 2週に渡り、自分よがりな内容に御付き合い頂きまして
誠に有難う御座いました。

 私自身は心底良いと思っているからこそ本気でお伝えさせて頂きたかったのです。
どうか少しでもご参考に成りましたら幸いで御座います。




 では、どうかこれからも宜しくお願い申し上げます。





posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 仕立てについて | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする