新年 明けましておめでとう御座います。
既に年明け半月も経ってしまいましたが、どうか本年も宜しくお願い申し上げます。
しかし、雪が凄かったですね。
成人式に参加された方は、折角の晴れ着ですし大変だった事と思います。
弊店の目の前は 結構急な坂ですが、佐川急便さんのトラックが坂の途中でずっと立ち往生していました。
さて、弊店は5日より営業を再開させて頂きましたが
今週は初仕事・初裁断でも御紹介させて頂きます。
・・・・・・・私が御世話に成っていた老舗の TAILOR では、毎年仕事始めの日には『挟入れ式』を行っていました。
経営者やカッターの方々はフロックコートを着込み、私含め所有していない者はブラックスーツ含めダークスーツ着用です。
私もいつかはモーニングを着たいと毎年思っていた事を思い出します。
仮縫い職人さん、本縫い職人さんなど全ての関係者が揃い、年初めの裁断:鋏を社長から順番に少しずつ裁断してきます。
私も若者代表として何度か鋏を入れました。
他人の挟は使い辛く、、、思う様に切れなかったですが、これも大切なお客様の御注文の品でしたので 縁起は良いものの、自分の注文だったら避けたいなと・・・(汗)。
最終的にはカッターがちゃんと鋏を入れ直すので、大丈夫の筈です。
店頭にはイブニング・テールコートがディスプレーされ、大きな鏡モチが飾られます。
この鏡モチ、最終的には私も御世話に成っていた大森にある分室アトリエで賄いを作って下さっていた方が揚げ煎餅にして下さり、やはり私達若者が食べていました。
もう何年前の話になるでしょうか。
今でも挟入れ式を行っているかは定かではないですが、こういった伝統行事みたいなものは残していきたいですね。
年の初めに入れる鋏、毎年そんな思いに浸りながら慎重に裁断しています。
では、御紹介させて頂きます。
どなたの御注文を裁断するのか、、、これは単に順番がそうであったからに他ならないですが、
今年は T様の御注文 を裁断させて頂きました。
T様はスーツだけでカウントしますと これが5着目に成りますね。
型紙にはT様の御好みや私の拘り等も反映され、随分と育った精度高き型紙です。
安心して裁断出来ますが、とにかくT様と言ったら『大きい!!』のです。
http://dittos.seesaa.net/article/290110742.html
(T様の御注文 紹介ページです。)
型紙の1パーツ自体も相当大きいので、いつもの様な差し込み(裁断前に効率良く型紙をレイアウトする事)は通用しません!
大抵は上着前身頃の横にトラウザースの前身頃を差し込みますが、全く並びません(笑)。
これもT様ならではの個性であります。
故に、効率良く型紙を差し込むというより、順番に並べていく、、、という感じと成ります。
当然要尺も大きいですよ。
しかも、ダブル・ブレスト:サイドベンツと パーツが一番大きく成るデザインでもあります。
初回オーダーでは要尺が読めなく、差し込みも色々と工夫してみましたが、最終的に判断したレイアウトは写真に収めておきましたので、以後の御注文は迷わずレイアウトし裁断に望めます!
さてこの生地、
特Aレベルのレア物生地と成ります!!
http://dittos.seesaa.net/article/254531913.html
(この生地の御紹介ページです。)
H.Lesser & Sons のOLDです。
織られた当時は最上級であった SUPER 100、それもただのSUPER 100では御座いません。
贅沢にG.BALEの糸を使用したSUPER 100、かつカシミアとヴィキューナまでをもブレンドしており
「これ以上の生地は無いだろう!!」 と織り上げた当時の Mr.Lesser の声が聞こえてくるようです。
自ずと気合も入るというものですよ!
保存も良かったせいもあり、コンディションは頗る良く VINTAGE 感が殆どありません。
裏には Taylor & Lodge 社の印があります。
H.Lesser 贔屓の私には、こんなレア生地は恐れ多くて着られません(笑)。むしろ100年早いだろ!と自ら尻込みしてしまいます(笑)。
だからこそ、H.Lesserを理解し御好きな方にこそ御着用頂きたいのです。
御覧の様に この生地はストライプです。
裁断は大抵生地を二枚重ねにし、左右パーツを一度に裁断して参ります。
しかし、格子含めこういった柄物は『柄合わせ』しなければ成りませんので、『一枚裁ち』といって一枚ずつ裁断しなければ成りません! 案外綺麗に重ねていても、裏と表の縞は随分とズレるものです。
これはウエストコートの前身頃ですが、数ミリの余分を付けて先ず一枚裁断し、、、、、
重ねてある下の生地に縞がズレない様 綺麗に重ねながらそ〜っと重ねていきます。
上下の生地が柄合わせ出来た所で、数ミリ付けた余分分ごと 切るべき線で二枚裁ちしていきます。
これが一番正確に裁断出来ます。
故に 格子柄ですと、この行為を縦方向だけでなく、横方向も合わせる必要があるので より手間が掛かりますね。
また生地と言うものは多少成りとも歪んでいたり、生地の端と真ん中位の位置では 等間隔である筈の縞の感覚が合っていない事もしばしば御座います。
勿論それらを正す為に『地のし』といって正す行為はするものの、限界もある訳です。
そんな時は、裁断するそのパーツの重要な部分を優先的に柄合わせする訳です。
前身頃等は、やはり一番目につくフロント周りを重要視し、トラウザースの後身頃は 尻縫い線を柄合わせする為、お尻周りを重要視して合わせる事に成ります。
また、裁断とは ただ型紙を効率良く並べ、線を引き、鋏を入れれば良い訳では御座いません。
各パーツ同士の並べ方には大小の隙間が空きます。 いや、空けます。
その隙間も重要であり、ポケットのフラップ等 様々な小物パーツも取らねばなりません。
ですから、それをも見越して型紙をレイアウトし、「ここの隙間では、このパーツを取って、、、」という計算も出来無ければ成りません。
と言う事は、裁断は仕立てられる人間で無ければ その計算さえ正確に出来ない事に成ってしまいますね!
カッターも人の子です。
裁断も性格がかなり出ると思います! 几帳面な方、これは縫製者も楽です。
大雑把な方、これは縫製者に大雑把たるが故のズレ等が負担と成って回る事に成ります。
几帳面で正確だとしても、時間が掛かり過ぎてしまう様なら それはそれでプロ失格です。
何事もバランスですね!
一つ一つの技術には意味や意図があり、それらは全てに繋がっています。
裁断するだけでは洋服に成りません。これから立体へと仕立てていく訳です。
服地はある意味生き物でもあると言えます。
仕立てが進行すればするほど姿かたちが変り、寸法や距離等も動いていくものです。
だからこそ、一番最初である裁断が正確で無ければ、洋服と成った時 そのズレ込みが大きく成る事に成ります。
あっ、裁断の前に正確な型紙こそですね。
T様、H.Lesser が H.Lesser たる生地屋と言うのが伝わるスーツに御仕立致しますので、暫しお時間を頂戴致します。
御期待されてお待ち下さいませ!!
・・・・・・・綿パン(Cotton Trousers)もドリルやコーディュロイ含め 御蔭様でBESPOKE、H.S ORDER問わず御注文を頂戴しておりまして、心より嬉しく思っております。
ある御方は、TAILORで綿パンも作れるの?? と。
当り前で御座います!! ON・OFF問わず、皆様の御要望に合わせて出来る限りの御用意をさせて頂きます。
丸洗いできる綿パン、天候や汚れなども気にせず気軽に履ける綿パン。
是非御勧めで御座います。
御作りに成ると、きっと色違いやスタイル違いで もう一本欲しい! と思われる事と思います(笑)。
K様、お楽しみにされてて下さい!
一年中着用出来る TENNYSON シリーズは、いつ出来上がっても重宝出来ます。
・・・・・・・このコート地、覚えておられますでしょうか。
http://dittos.seesaa.net/article/279970303.html
(コート地の御紹介ページです。)
同じく長きに渡り 大変お世話になっております別のT様より、BESPOKEでの御注文です。
スーツ、コート、そしてオッドベストなど御納品が重なっております。
是非御紹介させて頂ければと思いますが、本来では昨年末には御納品しなければ成らなかった御注文の品々です。
大変遅くなりまして申し訳御座いませんでした。
その分仕立ての方はかなりバッチリの仕上がりであり、自信を持ってお渡し出来ます。
御来店の程、お待ち申しあげております。
・・・・・・・この度の雪、この寒さですから凍結も含め暫く残りそうですね。
どうか皆様充分にお気をつけ下さいませ。
では、本年も弊店 並びに弊店BLOGを宜しくお願い致します。
皆様におかれまして、幸多き年に成ります様に・・・・。

