2017年08月08日

【 CHALKSTRIPE FLANNEL 】




cs1.jpg


金色に光り輝く大天使ミカエルの像と共に、鮮やかで透き通る様な美しき青空

残暑お見舞い申し上げます。





昨日の7日には 早くも『立秋』を迎えました。
早くも残暑という事になりますが 長引かないと良いですね。


 学生さん達は長くて楽しい夏休み、皆様もそろそろお盆休みの方々が多い事と思います。

弊店におきまして、8月は 定休日以外は通常営業となりますので
お休みの中 お時間が御座いましたら 是非ともお気軽に遊びにいらして頂ければと思います。









 さて、先日まで行っておりました HOUSE STYLE ORDER限定:ささやかなキャンペーンの期間には とても多くの方々にお越し頂きまして 誠に有難う御座いました。

早くも秋冬用のスーツやコートなど、沢山の早期ご注文を頂戴致しました。

 まだまだ暑さは続きますが、涼しき秋を迎えるのが楽しみでなりませんね。




 そんな洋服が大好きな皆様方におかれまして、秋冬物のスーチングといえば何を一番に思い浮かべるでしょうか。

『 フランネル 』 これは絶対に外せないスーチングだと思いますが、その中でも
クラシックな チョークストライプのスーツは憧れと共に欠かせぬスーチングではないでしょうか。













cs2.jpg


・・・・・ウインザー公もチョークストライプのスーツをこよなく御愛用されていた方です。

魅力的なダブルのスーツを御着用されていますね。






 今週は、チョークストライプ スーチング に拘って御紹介させて頂きたいと思います。








では、御紹介させて頂く前に
先ずは予備知識を少々頭に入れて頂ければと思います!







 チョークストライプのチョークとは、私達 TAILOR が裁断する時に生地へ線を引く道具であり 日本ではチャコとも呼ばれています。

その縞の特徴である ややボケて掠れた感じが正にフラノの生地へチョークで線を引いたかのようですよね。




 話は変わりまして、フランネル(通称フラノ)には 2つの加工が施された上でフランネルと成り得ます。

それは、【 起毛 】 と 【 縮絨 】 です。



起毛は 漢字の通り 生地の表面を引っ掻き、毛を起こさせる事です。
昔はアザミの実を使って引っ掻いていました。(今でも極一部では行われているようです。)



縮絨とは、生地に圧力を掛け 敢えて縮めさせます。
そうすると確りと生地の目が詰まり、毛の先端は絡み合ってフエルトの様な感じになります。

 この二つの加工を施す事によりフランネルとなり、織り込まれたストライプ自体もボケた感じとなるのです。






もう一つ、生地を織り成す糸ですが 羊毛紡績は、紡績法、原料、使用目的により
大きく2種類に分かれています。
(原毛は、羊の種類や 体の部位でも毛の太さや長さも異なりますので選り分けられています。)

梳毛糸【 WORSTED=ウーステッド 】 と 紡毛糸【 WOOLLEN=ウーレン 】 です。

かなり簡単に御説明させて頂ければ、、、




 梳毛糸は、選ばれた長い繊維で作られている糸であり、その長い原毛を梳いて作られています。
細い糸作りに向いており その割に繊維長が長めなので強度なども稼げる事になります。
故に、多くのスーチングは梳毛糸で織られている訳です。



 紡毛糸は、梳毛糸の様に梳く事無く 短い繊維も混ざった状態で直ぐに糸にされていきます。
ツィードなどは紡毛糸で織られた代表格でもあります。
ザックリと素朴な雰囲気になるのです。







フランネルには、【 WORSTED FLANNEL 】 と 【 WOOLLEN FLANNEL 】 の2種が存在する事になります。
(厳密には、ウーステッドとウーレンの交織があり得ますので 実質3種となります。)


 ウーステッド・フランネルは梳毛糸で織られているので、とても小奇麗な顔立ちになるのが特徴です。 お上品さも持ち合わせたフラノですね。
綾織であれば、その綾の織り目(斜めの畝)が薄らと残って見えますし、縞のボケ感は弱めです。



反面、ウーレン・フランネルは紡毛糸で織られています。素朴で やはりフエルトの様な顔立ちと成り、綾織の畝は ほぼ見えない状態となります。
縞のボケ感などは 当然ウーレンの方が強くなります。



 上記から分かる通り、ストライプをフランネルで表現した場合
縞のボケ方に大きな違いがあるという事にもなります。






・・・・・この知識を踏まえ、これから御紹介する魅力的で様々な個性ある チョークストライプを是非ともご覧頂ければと思います!













cs3.jpg


・・・・・1938年、ベルギーはブリュッセルに設立された 高級マーチャントの代名詞でもある SCABAL の素晴らしいチョークストライプを2色 御紹介致します。











cs4.jpg


・・・・・ SUPER 100’s   400g


渋きダークグレーのチョークストライプです。
梳毛に使う様な長い原毛を使用し、紡毛糸として仕上げた とても質の高いウーレンフランネルであり、拘りのスキャバルらしいクオリティーです。












cs5.jpg


・・・・・縞のボケ方と良い、縞の間隔と良い、正に100点と言える程にベーシックのど真ん中たるデザインです。
ウエイトも厚過ぎず 薄過ぎない、本当に丁度良いウエイトバランスです。













cs6.jpg


・・・・・梳毛に使う原毛より引き揃えているので、強度も間違いありません。

綾織の畝など全く見えませんね。 これぞ『らしさ』溢れるフランネルであり、チョークストライプです。











cs7.jpg


・・・・・こちらも同じくスキャバル製であり、上記ダークグレーの色違いとなります。

シックなネイビー地に、ボケたチョークストライプがとても映えます。

グレーベースより、こちらのネイビー地の方が縞のコントラストが付きますね。











cs8.jpg


・・・・・この縞のボケ感こそ、チョークストライプの真骨頂です。











cs9.jpg


・・・・・紳士のスーツは基本的にネイビーかグレーとなります。

皆様はネイビー派でしょうか、それともグレー派でしょうか。


ど真ん中、直球勝負の素晴らしい チョークストライプ・フランネル です。














cs10.jpg


・・・・・お次は 英国の老舗ミル EDWIN WOODHOUSE からの御紹介です。
創業は1857年であり、1913年にはリーズ近郊のファースリーに拠点を移され、ゴント家が4代に渡り事業を継承、発展されて参りました。

 しかし、数年前にゴント家はE.WHを手放す事を決断されてしまいました。

この生地は、当時 まだゴント家が確りと作っていた頃の 今となっては貴重なフランネルです。


 多くのミル(織り元工場)は、スピナーより糸を買い付けます。
しかし、E.WHは糸から紡績出来た数少なきミルの一つでもあったのです。

糸から作る事が出来るのですから とても珍しかったり、工夫されたりと拘った糸や生地も多く織られておりました。











cs11.jpg


・・・・・ミディアムグレーの素晴らしいチョークストライプ・フランネルです。
こちらも SUPER 100 ですね。









cs12.jpg


・・・・・ご覧になれますでしょうか。
本来 フランネルは WORSTED FLANNEL か WOOLLEN FLANNEL の2種に分かれます。

冒頭で御紹介した通り、糸の作り方が 2通りに分かれるので どちらの糸で織られたフランネルなのかという事になります。


 しかし、WORSTED−WOOLLEN FLANNEL とあります。


これは ウーステッド糸とウーレン糸を交織して織り上げられた『第3種』のフランネルという事になります!



以前は パンチのある 6-PLYのホップサックですとか、こういう独特なフラノのもありますし ゴント家には手放して欲しくなかったのですが仕方がありません。












cs15.jpg


・・・・・先のスキャバル製と比べ、やや縞の間隔は狭めとなります。
( 左:スキャバル 右:ウッドハウス )

この生地のウエイトは 300〜310g 位であり、フランネルとしては軽めの部類でしょう。












cs14.jpg


・・・・・ご覧ください。 とても綺麗な顔立ちです。

ウーステッドの特徴も持ち合わせる為、綾織特有の畝が少し見えますね!

とても柔軟でしなやかです。

ウーステッドとウーレンを掛け合わせる事によって 双方の旨味が引き出されている生地ですね!


これも素晴らしいフランネルであり、E.WHらしい出来栄えです。
旧E.WHの生地は 今となっては貴重です。















・・・・・再度 ウインザー公夫妻にご登場頂きます。

チョークストライプ、大人の余裕をも感じさせるスーツです。


cs16.jpg



時代性もあり、ゆったりとした優雅なシルエットのトラウザース、足元にアーガイルを持ってくる辺りは 靴と共に フランネルたる公のポジションを表しているとも見受けられます。
















・・・・・では、最後に真打ちの登場です。

1772年創業の超老舗ミル、 FOX BROTHERS からの御紹介です。

cs17.jpg



『 FLANNEL 』 実は、同社が1950年代まで その商標を保有されていた事でも知られており、正に FOX = FLANNEL でもあった訳です。

ウインザー公、ウィンストン・チャーチル、ケーリー・グランド等にも愛されてきた肉厚のフランネルは今も健在します。












cs18.jpg


・・・・・あまりにも有名な写真ですね。
チョークストライプの三つ揃い、ポルカドットのボウタイ、口元にはシガー。
 氏が一番イメージされるスタイルでもありましょう。





・・・・・近年には社長も変わり、随分と良い意味で生まれ変わったと思います。
コレクションもかなり広がり、高品質はそのままに 様々なバリエーションも増えました。

そして往年のフランネルを思わせるコレクションも健在です。

 そんな中でも、私が一目惚れしてしまった 一つのチョークストライプの生地がこちらです!

cs19.jpg















cs20.jpg


・・・・・チョークストライプの多くは、グレーのバリエーションと共にネイビーがあり、ブラックといったところが一般的です。


 これ、写真だと難しいと思いますが 何色かお分りになりますでしょうか。

グレーとブラウンを微妙に掛け合わせた様な グレーシュブラウン なのです。


 こんな激渋で味わいのある色味のチョークストライプなんて見た事がありません!!













cs21.jpg


・・・・・ウエイトは 約 545g と、かなり確りとしたウエイトです。

肉厚で身の詰まった美味しそうなフラノ、これは正に一生物となるスーチングです。

ウインザー公やチャーチル元首相が着用していたフランネルは、やはりこういった肉味のあるフランネルであった事でしょう。




綾織地も全く見えず、縞のボケ感と良い これこそ WOOLLEN FLANNEL と言わんばかりです。

素晴らしいです、FOX社は是非ずっと織り続けてもらいたいシリーズでもあります。















cs22.jpg


・・・・・冒頭のスキャバル製と並べてみました。

色のトーンはスキャバルのチャコールグレーが深いですね。

縞の間隔は同じ位です。 こうして比べると、FOX(右側)の微妙な色目がお分りになると思います。















・・・・・フランネル、やはり生地の持つ独特の雰囲気は やや砕けた印象をも持ち合わせますし、それがフランネルでもあります。

もともとは英国でも寒さ厳しき所にて、カントリージェントルマンとしはマストアイテムとなる素材でした。

 そういった意味では、ツィード同じく都会で着用するにはいささか田舎くさいとも思われていたフランネル。
 そのポジションを押し上げた功労者こそ ウインザー公でもあった訳です。


ストライプが入る分、締まった印象になるというものですが
そのフランネルのポジションを考えると、ウインザー公では無いですが こういった微妙な中間色のチョークストライプというのも 、正に打って付けであり 乙なセレクトではないでしょうか!














cs23.jpg


・・・・・この良い意味でヤレた感じ、こんな雰囲気が出るまでには どの位着用すれば手に入れられるのでしょうか。

 勿論着用頻度にもよりましょう。

長い期間への着用に耐えうる生地でなくては成りませんし、それを支える上質な仕立てでなければ成りません

 『 誂えたスーツは子の代、孫の代まで 』 と言われた時代もありましたが、現在多くの生地はそこまでの耐久性は殆どありませんし、それよりも そういった概念自体が無いでしょう。

ただし、VINTAGE含め 中には こんな時代から頑なに織り続けられてきている生地も勿論存在致します。


 紳士たるもの、軽々と10年以上使いこなしてこそ こんな味わいとオーラを放つ渋みが出てくるのではないでしょうか。

メンテナンスを怠らずに愛情を注げるパートナーを、今から少しずつでも増やしていって頂ければと思います。




 男の持つべき物に対する価値観は、そのままスタイルの形成へと繋がります。

















・・・・・如何でしたでしょうか。
寒くなるのが待ち遠しくなりましたでしょうか!!

暑さが苦手な私は 一秒でも早く寒くなって欲しい位です(笑)。



 保温性に優れ、温かいフラノのスーツに身を包む日を心待ちに、、、、
是非 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。



 今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。














・・・・・弊店 HOUSE STYLE ORDER におきまして、いよいよジャケットの袖口に携えられる 【 TURNBACK CUFF 】がご注文頂ける様になります。

 今までは BESPOKE のみでの対応でしたが、協力して下さる工場さんの努力の賜物であり、新しい事を覚えていこうとして下さる前向きな姿勢があってこその具現化であります。
 心より感謝しております。

また改めて御紹介させて頂ければと思いますので、宜しくお願い申し上げます。







posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月25日

【 SHIRTS : 新型カフス 】



 こんにちは。
23日の 大暑 もいよいよ過ぎ、本格的な酷暑と闘わなければ成らぬ時期ではありますが、草木のグリーンがとても元気をくれる時期でもありますね。

 自宅の地域では、朝のラジオ体操も始まっているようです。


st0.jpg




 お店の方では、店頭にある生地を全て秋冬物へ入れ替えました。
( 3シーズン物も含まれます。 )


 錚々たるツィードや魅力的なカシミア、
クラシックで渋いスーチング、味わい深き数々のコーチング、、、

皆様より一足お先に心が踊っております! 高まります!



 この暑き中では御座いますが、是非とも足をお運び頂けましたら幸いです。
















さて、今週はシャツのお話をさせて頂きます。


I様、御注文頂きました素敵なシャツが仕立て上がっております。














・・・・・とても体格の大きなI様、畳まれている状態ながら カフスの堂々としたサイズがI様を窺わさせてくれます。

st1.jpg


イタリアは ALBINI社より、アイスブルーのヘリンボーン柄シャツです。
微かに色づいた とても淡いアイスブルー、涼しげで爽やかでもあり 大変素敵ですね。





st2.jpg


 かなり細かく丁寧に掛けられたステッチも美しい衿、ほんのりとヘリンボーンの柄が見えるでしょうか。
 とても控えめでお上品な顔立ちです。












st3.jpg


・・・・・こちらはイギリスより RINGHART社より、オレンジの効いた綺麗な格子柄です。
先のシャツは正にドレスシャツ仕様ですが、こちらはタウンスーツからジャケットスタイルまで幅広くお使い頂けますね。

 カフスは2連釦とし、こちらには胸ポケットもお付け頂いております。












st4.jpg


・・・・・同じく RINGHART社より、OXFORDの格子柄です。
これも使いやすくて重宝出来ますよね。

OXFORDは比較的に織り糸が太い分、生地は当然ボリューム感が出ます。
しかし、その分 丈夫ですし、汗をかいても確りと吸い込んでくれます。

後は洗濯出来るのですから 季節問わず、大いに御着用頂ければと思います。















・・・・・さて、弊店のお客様におかれましては 英国贔屓の方々がとても多く、
中でも 『 007 』 ジェームス・ボンドをこよなく愛される方々は少なくありません。

最近の 007 は 内容もボンドも随分と変化してきてはおりますが、やはり何といっても ショーン・コネリーの演じたボンド像をイメージされる方々は多い事でしょう。



 英国 秘密情報部の工作員であるボンドが、何を着て、何を身に着けているのか、、、


ボンドの着用していたシャツと言えば、1885年創業の老舗 ロイヤルワラントも持つ Turnbull & Asser 無くしては語れません。



 所謂 ボンド像たるスタイルは、どの様にして生れたのか、、、。

初期の頃に監督をされていた テレンス・ヤング氏の好みが強く反映されている事でも知られており、T&Aも 氏の御贔屓としている TAILOR だったそうです。



st5.jpg




【 BUTTON TURNBACK CUFF 】


ボンドの着用するシャツのカフスにご注目下さい。

ターンバックカフ、T&Aでは 『 COCKTAIL CUFF:カクテル カフ 』とも呼ばれています。

また、あまりにも有名なJ.ボンドの影響は強く、『 ボンドカフ 』とも呼ばれる位に強く印象に残っている そのカフスデザイン。
折り返しは付くものの、カフリンクスで止める事無く、あくまでもバレルカフの体を成しているのが最大の特徴です。

折り返しのある独特な重厚感と存在感、カフリンクスを使わず気軽に釦止めで着用出来るのです。

エレガントでも知られるテレンス・ヤング氏も、同カフスのシャツを着用した素敵な写真が残っています。 T&Aと共に、お気に入りのカフスだったのではないでしょうか。






 T&Aでは、今でもこのターンバックカフを展開されておりますが
当時のボンドが着用するカフス程 ラウンド度合いは大きくなく、ある程度控えめに抑えられています。

具現化するのであれば、やはりこの『 ボンドカフ 』をイメージしたいと思います!
 歴史と伝統のある Turnbull & Asser に敬意を込めてこの度 企画させて頂きました。















・・・・・弊店では 新型カフスの追加となります。

拘りを持ちつつ型紙を引き、私の着用分 兼1stサンプルとして 先ずは仕立てて頂きました。


st6.jpg












st7.jpg


・・・・・コレですよ、この感じです!











st8.jpg


・・・・・生地は 英国:ACORN社の100/2 ポプリンより、英国らしさ漂う くすんだやや強めブルーです!

 英国贔屓の方はマストカラーでもあるのではないでしょうか。

英国より来日される生地商の御仁も、正にこんなブルーのシャツを着こなされていた事を思い出します。











st9.jpg


・・・・・衿型は弊店の レギュラーカラー となります。

一般的には セミワイドカラーと成りますでしょうか。


別名 イングリッシュレギュラーと呼ばれる程に英国ではポピュラーでクラシックな衿型でもあります。
勿論タイスペースが確保されている事は言うまでも有りませんね。 ここも私にとってはかなり重要な部分でもあります。














・・・・・早速 家に持ち帰り、洗濯して参りましたので プレスをします!

折角ですから、靴磨き同じく 御自身様でアイロン掛けをされる方々に チョットしたテクニックをお伝えさせて頂きます。


 ダブルカフスも、ターンバックも、折り返る事が前提のデザインです。
仕立ては当然ながら それを考慮の上で仕立てられています。

所謂 『 外回り量 』と呼ばれる生地の遊び分を 敢えて含めさせた上で作られているのです。 これは上着のラペルや上衿なども同様です。
( この外回り量が確保されていなければ、折った時の内側に歪となる醜い皺がよる事になります。 )


st10.jpg



 その外回り量が入っておりますので、ベタっと平らな状態で全面的にアイロンを当てては成りません!

広げたカフス幅の約半分までで、内蔵されているユトリは上方(袖側)へ逃がしておきましょう。









次に掛けていない上方半分(袖側)を掛ける際、アイロンを先に当てた部分は わざとアイロン台の下へ落とし、内蔵されたユトリを下方へ逃がします。


st11.jpg










st12.jpg


 出来ましたか!? 中腹にユトリが生きていますが、これが設計(型紙)、そして仕立てによる意図的な技術です。 その内蔵された技術を生かす様にプレスを掛けてあげるという事です。

 高度な技術で仕立てられたシャツは みなこれが内蔵している筈であり、そうでなければ成りません。














・・・・・これは羽衿にも同じ事が言えます。
羽衿(上衿)と台衿の繋がっている縫い目の手前まででアイロン掛けを止めておきます。
エッジ周りは確りとプレスしてあげて下さい。


st13.jpg



次にアイロン台へ先の様に落とし込み、外回りを殺さないようにします。

 この様にセットしたら、避けた羽衿と台衿との縫い目と共に、台衿自体にも確りとアイロンを当ててあげます。


 因みに、折り返りのあるカフスは その折り目自体をカチッと潰しません。
ふんわりと折り返る雰囲気を出して下さい!





 これら外回り量を考慮した掛け方を ご丁寧にされているクリーニング屋さんは どの位あるのでしょうか!?


やはり どの様に成っているべきなのか、、、という事を理解・認識した上で、その意図を具現化する為に どの様な仕立てられているのかを知っていなければ成りません。
 そういう意味では、TAILORは当たり前ですが洋服の分野では最強です(笑)。







st14.jpg


・・・・・話が逸れましたが、綺麗にプレスが掛かりました。

いよいよ着用して見ましょう。













st15.jpg


・・・・・シングル 3釦 : ピークドラペルの三つ揃いです。

生地は この季節には欠かせないモヘア混です。

TAILOR & LODGE

キッドモヘア : 65% 
SUPER 120ウール : 約34%
カシミア : 約1%

チャコールグレーのソリッドですが、キッドモヘアの質の高さと共に 混率も高めな為
よりモヘアらしい光沢感が美しい生地です。

サラリとして肌触りも最高であり、この季節のスーチングには最強です。
(こちらの同生地は、あと1着分御座います!)




シャツはクラシックなダークスーツに とても映えるブルーですよね。












st16.jpg



・・・・・今回の主役は シャツのカフです!
見え方なども とくとご覧くださいませ。



st17.jpg











st18.jpg



・・・・・ターンバックの特徴的で大きなラウンド、雰囲気出ています!


 シャツに限らず、ターンバックカフの歴史は相当古い時代まで遡ります。
シャツや上着、そしてオーバーコートでも、、、歴史と伝統のあるブリティッシュスタイルには 今でも多く残り、愛用されています。














・・・・・私のサンプルを持って、専門的な裁断・縫製に関する発展的な微調整を加え、いざスタートです。

実は このターンバックカフスですが、所謂ダブルカフス(フレンチカフス)にかなり近いながらも、独自の欠点を持ち合わせているデザインでもあります。

 しかし、これも 確りとクリアした上でのスタートです!
なかなかここまで考察され、テクニックを内蔵したシャツ(カフス)は無いと思います!
 それだけ私がオタクでもあると言えます(笑)。




皆様、是非お試し頂けましたら幸いです。














・・・・・シャツとは、ある程度 消耗品的な側面が無きにしもあらずですね。

長きに渡る御着用により、どうしても先にダメージを受けてしまう 衿やカフスですが、当店にお持ち頂ければ その衿やカフスのみ 交換が出来ます。
ボディーは全く問題無いにも関わらず、既製服では寿命になってしまうかも知れませんが、誂えであるメリットはこんな所でも発揮されます。

前後5o程度であれば、サイズを変更した上でも付け替え交換が可能です。


 これが出来るのですから、、、、有料とは成ってしまいますが
ダメージを受けていなくとも 敢えて衿型やカフスデザインを変えたいと言ったご要望にもお応えする事も出来ます。





T様、弊店には準備が無かったターンバックカフですが、大変お待たせ致しました。

 初回のダブルカフスも今でしたら こちらへ交換も可能ですので宜しければリクエスト頂ければと思います。



 T様の他にも 結構多くのリクエストや問い合わせを頂戴しておりましたカフス型です。
皆様 大変お待たせ致しました。


やっと具現化出来ましたので、是非とも 宜しくお願い申し上げます。
















・・・・・HOUSE STYLE ORDER 限定 での、ささやかなキャンペーン実施中です。

8月8日までの期間に御注文頂きました様々なアイテムに付きまして、ささやかながら お値引きをさせて頂いております。

 その代り、通常 工期が4週間のところ、MAX 60日 と多めに頂く事になります。

多くのお問い合せやご来店を頂いておりまして、誠に有難う御座います。

あと 約2週間御座います。

 宜しければ、是非御利用頂ければと思います。















・・・・・誠に恐縮ながら、来週のBLOG更新はお休みとさせて頂きます。

秋冬シーズン突入です、BESPOKEは一段も二段もギアを上げていく必要があります。
申し訳御座いません。


 次回は、8月8日(火)の更新を予定しております。

どうか宜しくお願い致します。









 では、皆様 熱中症にもお気をつけ下さいませ。

今週もお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。





posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | おススメ情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月18日

【 ラクダの親子 】




 昨日は『 海の日 』、3連休の方々もおられた事と思います。
しかし厳しい暑さが続いております。


 話は変わりますが、 WEB版 メンズプレシャス がリニューアルされました。
素晴らしい品々がとてもセンス良く、見やすく構成されています。

弊店の 【 カバートコート 】も掲載して頂き、光栄な限りです。
https://precious.jp/articles/-/1647

 宜しければ是非ご覧になられてみて下さいませ。





また、最後に HOUSE STYLE ORDER 限定 において
ちょっとしたお得なキャンペーンのご連絡が御座います!

今週もどうか最後までお付き合い頂けます様 宜しくお願い致します。













 さて、この暑き中 更に熱い砂漠を彷彿させるラクダ君のお話をさせて頂きます。

そう、あの CAMEL です。






キャメル色、正にラクダそのままの色な訳ですが
堅苦しくなく、独特の優しい雰囲気と共に 暖かさをもイメージさせる色ですよね。
 そのイメージとは、キャメルヘアーの持つ性能こそが根底にあります。


2ca.jpg



 特に秋冬では定番色でありながらも その落ち着いた佇まいは 正に紳士に愛されてきたカラーでもあり、獣毛と言えます。







 少し キャメルヘアー についてお勉強致しましょう。


1ca.jpg



・・・・・中国北部やモンゴルに生息していますが、人間の営みにも大いに貢献する家畜化されたラクダ達は より広い地域に生息し、人間と密接な関わりを持っております。



極寒期には -40度を超える事もあるというモンゴルの冬。
ラクダは その寒さに耐え抜く為に毛髄(毛の中)が発達し、優れた溜熱・保温作用を持ち合わせているとの事です。



 また、吸湿性・発散性にも優れ、常に乾いた状態になる性質を持っており、
特に放湿力は羊毛も約2倍も有るそうです。

そんな特性から、ラクダの下着や 毛布などの寝具に至っても 正に打って付けの性能を持ち合わせているのがお分り頂けます。



更に、キャメルヘアーの繊維表面には 羊毛の様なスケール(所謂キューティクルです)が無い為に毛が絡み合わずフエルト化し辛い。肌触りも滑らかで優しく、 耐久性にも優れ、適度な弾力性が長く味わえます。



 そんなラクダですが、ヒトコブラクダ と フタコブラクダ がいますね。
ヒトコブの方は毛が少なく、太くて短い為 利用価値が低く、主に衣料用に使われるのはフタコブの方となります。


モンゴルなどでは、夏は41度位まで達し、冬は-40度のレベルです。
降雨量も少なく、大変乾燥している所です。
 そんな過酷な環境で生きているのですから 体と共に体毛も順応している訳です。






もう一つ面白い特徴として、キャメルヘアーは漂泊しても脱色出来ないそうです!

 それ故に、そのナチュラルなラクダ色をそのまま使われる事が多いとの事。

カラーバリエーションが欲しくても脱色出来ないのですから 出来得るのはダークカラーへと強引に染めるしかありません。

 ウールやカシミアなどと違い、キャメルヘアーのカラーが極限られた色目でしか見ないのは この様な特徴があるからという事になりますね。











3ca.jpg


・・・・・とても素敵な笑顔の PRINCE OF WALES
ダブルブレストの大変クラシックで魅力的なキャメル色のコートですね。

見るからに暖かそうです。













4ca.jpg


・・・・・こちらのキャメルコート、やはりダブルブレストで
ラペルにはブートニエール。

先のコートとは違うのでしょうか。上衿にはベルベットらしき別布が掛けられていますね。
大変エレガントであり、こんなディテールも見習いたい所です。







 さて、キャメルが盛り上がってきた所で
いよいよ素晴らしいキャメルの生地をご覧頂きましょう。













・・・・・先週の BABY CASHMERE に続き、
創業250周年となる Josha Ellis より PURE CAMEL の御紹介です。

5ca.jpg











6ca.jpg


・・・・・モフモフでフワッとしています。

ウエイトは 650g ありますが、そんな数字ほどには重たさを全く感じません。

この生地を毛布にしたら 相当暖かく快適な睡眠が得られそうです!

BESPOKE毛布、どなたかお作りになりませんか!!
 キャメル × シルク の二重仕立てなんて最高ですね(笑)。









7ca.jpg


・・・・・優しい肌触り、この位ボリュームがあると
やはりポロコート含め クラシックで重厚感のあるコートは迫力が出ますね。

チャールズ皇太子のコートも、この位のウエイトは優にあるでしょう。
しかし、キャメルは空気を多く保有する為 着心地はとても軽くなります。












8ca.jpg


・・・・・フタコブラクダの親子、ベビーはまだ色味も薄いですね。

今週は なんと親子での共演となります!!












9ca.jpg


・・・・・こちらが PURE BABYCAMEL で御座います。

原毛は当然ながら 更に細く光沢感に富み、肌触りの良さは正に至高そのものです。

ウエイトは 約430g

 こちらはコートでも、ジャケットでも
どちらでもお仕立て頂ける バランス良きウエイトとなっております。

コートであれば、軽めでサラリと気軽に羽織れるコートになるでしょう。
ジャケットであれば、厚過ぎず、薄過ぎない丁度良い頃合いです。











10ca.jpg


・・・・・先週のベビーカシミアと同様ですが、
ベビーゆえの特別な品質が御座います。

そして当然ながら あまり採れませんので希少価値も高く、高額になってしまうのは否めないところです。

11ca.jpg



本当に こんなにも素晴らしい生地達を 御縁もあってお値段も素晴らしく優しい価格にて仕入れる事が出来ました。

 先週と良い、今週と良い、ベビー達の品質は本当に圧倒的です。


12ca.jpg













13ca.jpg


・・・・・本当に可愛いな〜 赤ちゃんラクダ。

人間でも動物でも 赤ちゃんは愛おしくて本当に可愛い、これは圧倒的に弱く守られるべき立場にあるベビーに対して自然と抱く 生得的触発機構というそうです。
 ベビーは生まれながらにして 生き残る確率を上げる術を持ち合わせています。


左にベビー
右に親(成獣)













・・・・・生地達も 比べてみましょう。

14ca.jpg



左がベビー
右が成獣です。

きめ細かさに違いが出ますね、大人と子供ですから!













・・・・・風合いや雰囲気、そして色味
ナチュラルなカラーとは 親近感と共に落ち着きを与えてくれます。

15ca.jpg



ベビーとアダルト、それぞれにメリットとデメリットが多少ならずともあります。
そしてテイストの好みや 求めるアイテムへの適性もあるので、どちらが良いとか悪いとかではありません。

 皆様の価値観でお選び頂けましたら それが一番のキャメルとなります。





例えば、モヘア(アンゴラ山羊)で捉えてみましょう。
主に 春夏用のスーチングにブレンドされて使われる事が多いですね。

キッドモヘア : 繊細で原毛も細く、より強き光沢感がでます。
サラッと薄地でクリアな春夏用のスーチングに向く訳です。


アダルトモヘア : 太く確りとなり、その硬味ある毛は より特徴となるハリとコシを生み出します。そんな特徴も活かせた有名なトニックやレスロン等の様なスーチングには 勿論こちらでなければ成りません!











16ca.jpg


・・・・・こんなにも素敵なキャメルのジャケット、、、、、
持っていれば必ず重宝出来ますし、何にでも合いますよね。


こんなベーシックなジャケットをベビーキャメルで仕立てたら どんなに幸せでしょうか(笑)。

キャメル、温かいのは当たり前
厳しい環境下で持ちえた性能は特別です!











17ca.jpg


・・・・・ウインザー公のロング丈なポロコートタイプ、
ダブルブレスト 6釦3掛け を段返りに着こなしている様に見受けられます。

大人のコートです、、、こんな大人のコートはやはり アダルトキャメルでなければ その雰囲気は出ませんよね。







 貴重な獣毛は年々 値上がりしてしまいます。
獣毛だけでは無く、ウールやレザーに関しても同じ事が言えます。


5年後、10年後 どんなお値段になっているでしょうか。

長きに渡り相棒となる子達です。
是非 この機会に、この御縁に託されてみては如何でしょうか。





 是非 お店に来て頂き、現物の魅力的なラクダの親子をご覧頂けましたら幸いです。


皆様のお越しを 心よりお待ち申し上げております。














・・・・・冒頭でも触れましたが、HOUSE STYLE ORDER 限定にて ささやかなキャンペーンのお知らせです。

弊店のHS SUITS を仕立てて下さる工場さんより、そんな告知を頂戴致しました。


2017年 7月18日(火) 〜 8月8日(火)


上記期間内に、スーツやコートのご注文を頂いた場合は、アイテムにより ささやかでは御座いますが、お値引きの上で御注文を承らせて頂きます。

(すみません、BESPOKEは対象外となります。)

そのお値引きは、アイテムにより違いますが
生地のレベルに関係なく アイテムとしての一律割引となります。


 その代り、普段は約4週間(約30日)の工期が
50〜60日間と たっぷり頂く事が条件となります。


 この秋冬にお仕立てを御検討の御方、新規に弊店のスーツをお試しになってみようかと御検討の御方におかれましては ささやかなお得が御座いますので、どうか御検討頂けましたら幸いです。




【・・・弊店は完全予約制とさせて頂いておりますので、お電話でも、HPからでも、このBLOGコメントからでも、何でも結構ですので ご連絡頂けます様お願い申し上げます。】


 詳しくはお気軽にお問い合せ頂ければと思います。











では、今週もお付き合い頂きまして 誠に有難う御座いました。

梅雨明けも近い事でしょう。(もう明けている様ですよね。)
 どうか皆様、ご体調にはお気をつけ下さいませ。






posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 生地について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする