2025年04月22日

【 Dittos.SCARF 】






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 近所の緑豊かな青山霊園では、ソメイヨシノが満開を迎え 皆が桜を見上げる頃より
足元では 「下も見て!」と言わんばかりに青藤色の可愛い星型の花が広範囲にわたって咲いています。
この可憐な花は『ハナニラ』というユリ科の球根植物です。

とても逞しく、道端や空き地でもまだ見る事が出来ますので
皆様もお散歩のときは見つけてあげてください!




新緑の春も間近に、少しずつ気温も上がり始めていますね。
今週は仕込んでおいた新作のスカーフが英国よりやっと届きましたのでご紹介させて頂きたいと思います。
 ハナニラにも負けない素敵な花柄もありますので是非!




















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DAVID EVNS & CO.

( ADAMLEY )




英国シルク産業の聖地でもあるマックルズフィールドにおき、150年以上の歴史を誇る同社のシルクプリントは最早 世界の財産です。
イタリア含め 名立たる名門タイメーカーも同社のシルク地が欠かせません。

当店では同社の膨大で圧倒的なアーカイブより、イメージに見合う図柄たちにインスピレーションを受け 当店の別注品を仕立てて頂いており、ダービータイ(結び下げタイ)を始め 今回の様にスカーフなどもお世話になっております。












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・・・・・一般的なシルク地のスカーフは発色も美しく、滑らかでシットリとした肌触りと艶感は最高です。
 しかし、保温性高きシルクは 高温多湿な日本での春夏使用にはいまいち不向きな事も否めません。

同時にスカーフは地肌に巻くものであり、皮脂汚れや汗も気になる所ですね。
お任せ下さい、最高に涼しく、快適で、かつ自宅で簡単に水洗い出来ますので
いつでも気持ち良く清潔なネックウェアを楽しむ事が出来ます。



【 Dittos. SCARF 】




78% COTTON

20% MODAL

2% CASHEMERE


ABOUT 64p×64p




プリントは勿論、丁寧に縫われた四方エッジは手縫いによるまつり縫い、純英国製な逸品となります。





素材は肌触り優しきコットンが主体、
モダールとは木材パルプから作られるセルロース繊維であり、レーヨンの一種です。
スパイス程度にカシミアでシットリ感と優しさを加え、ドレープ性豊かで素晴らしい生地となっております。

これが極薄地のガーゼの様で通気性も最高であり、軽くて重たさなんて無いに等しいのです。
実際 春夏ではこちらを巻いて頂ければ シルクスカーフを春夏に巻く気は失せてしまうでしょう(笑)。




■ 余談ですが、今まで生地発注の際には無料であったDAVID EVANSのネームにつき 今回より有料となってしまいました。
 実はその背景には、ADAMLEY (D.EVANS)製の生地ではない商材(シルク地など)にD.EVANSのブランドネームを付けて販売されている状況が見つかっているとの事。
(ネクタイを筆頭に洋品小物ですね。)
同社は自衛策としてブランドネームの提供先トレースの厳格化と共に、敢えてネームの有償化にも踏み切ったとの事です。

皆様、どうか本当に信用のおけるお店よりご購入下さいませ。
私はかなり驚きました、洋品小物までメーカー詐称なんて、、、それだけ同社のブランドステージが高い事も意味しますね。















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・・・・・特に夏は装いもシンプルで楽になりますが、だからこそ差し色でアクセントくらいは効かせたいのです。
何なら 汗拭き にも、、、(笑) どうせ洗えば良いですから!


通気性の良い平織地はマットな表情であり、シルク地の様な煌びやかな光沢感は無く大変素朴な印象です。
 だからこそ主張が低く、男性にも取り入れやすいのが特徴です。
シルクですと どうしてもエレガント感が強めにでますからね!




では 早速ご覧頂きましょう。











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【 A 】



・・・・・印象派な油絵⁉ を勝手にイメージな花柄は素朴で可愛らしく、淡い彩が魅力です。
絵画を纏うかのように首元へ差し色を是非!
とても素敵なアクセントになりますので、これを首に巻いて美術館にでも出かけましょう。


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【 B 】



・・・・・前回コレクションでは一番人気でもあったチューリップ柄は直ぐに無くなってしまい、リクエストを頂戴したにも拘らず御用意出来なかった方々もおられ 申し訳御座いませんでした。
 私も一番お気に入りでしたが、今回は似寄りなイメージで 『 POPPY 』を御用意しました。
エッジトリミングの色ですが前回はオレンジ、今回は花色をイメージにもう少し赤くてピンクがかった色味です。
 ボタニカルアート柄、お勧めで御座います!


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【 C 】



・・・・・こちらも素敵な彩を放つ油絵調。
グランド色はダークパープルにしてもらいました。

春夏というものありますが、シャツなどはやはり白系がメインですよね、、、リネン然り。
だからこそ、インパクトのある強めなトーンは必須なのです!

同系色の花々に黄色の反対色が凄く映えています。
これも是非押えておきたい色柄です。



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【 D 】



・・・・・この絵柄タッチは欧州な香りがプンプンしますね、配色センスも勝手ながら英国的に!
色鮮やかな鳥さんが主役、色構成はブラウンにグリーンやピンク、そこにシアンブルーを利かせています!

花柄が苦手な殿方であれば動物柄で参りましょう。
特にカントリーやリゾートスタイルにおきブラウンも欠かせぬ色味ゆえ
お手持ちの服や靴にも程好くリンクしてくれる事でしょう。

サマーツィードにも是非お勧めであり、、、、いや、合わせてください(笑)!


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【 E 】



・・・・・こちらは鉄板級を御用意させて頂きました。
優しいクリームのベースにネイビーのクラシックな小花柄は色味も抑え、引き立たせ合う色同士でシンプルかつ青味で清涼感を感じさせます。

こういう澄み切って洗練された柄はモチーフ調とは違い、タイで言えばドットや小紋の様なポジションです。
シャツが柄物でもケンカしませんよ!
 とは言え、ネイビーのリネンやシャンブレーのシャツを着たくなりますよね。

優しさの中に凛とした心根を感じさせてくれます。
洗練されたエレガンスを首元に是非如何でしょうか。


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・・・・・今回の全5種となりますが、全て結び方(巻き方)を敢えて変えてみました。
スカーフの巻き方は今や検索すればいくらでも教えてくれますのでご参考にされてみて下さい。




 では実際にコーデに取り入れてみますよ!












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・・・・・これからの季節にはマストな BUSH JACKET にリネンのオープンカラーシャツ。
小奇麗にまとめ、ちょっち アーティスティック⁉ (笑)。










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・・・・・VINTEGE Hermèsのピンキーリングをスカーフリングに代用です。
一番楽で素直にまとまり、チラッとアクセントにも!










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・・・・・ではシャツと上着だけ着替えて少し雰囲気を変えてみましょう。















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・・・・・IRISH LINEN で仕立てた三つ揃いの上着を用い、軽快なジャケットスタイルで!








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・・・・・オックスフォードの釦ダウンシャツへ無造作に結ぶ。
多彩なチーフは敢えてコットンにて、シルクをチョイスしていないのがミソです!

ウエストコートも排除で軽快にお気楽なジャケットスタイルとして。


















・・・・・如何でしたでしょうか、仮にネイビーのリネンシャツなどを着れば BやE が映えます。
様々な色柄のネクタイをワードローブに抱えるのに同じく、スカーフだってネックウェアですから沢山欲しくなってしまうものです。

また、大切な方へのプレゼントにもお勧めです!
特に対象が女性であれば より上手な活用法を教えてくれるかもしれませんよ。
 BAGへアクセントに結んでも素敵ですからね。











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・・・・・色柄により作成枚数が違います。
そんなに多くの数を御用意しておりませんので、お気に召した色柄があればご予約も承らせて頂きます。
 お電話、BLOGコメント、HPよりメッセージなど 何でも構いませんのでお気軽にご連絡下さいませ。

ご遠方やご多用などにより来店が難しい方々におかれましては喜んで御発送も承らせて頂きます。
お支払は お振り込みか電子メールよりクレジットカード決済も可能で御座います。

 これからの季節には絶対にお勧めなスカーフ、仮にまだ未経験な御方でもお気軽にデビュー出来ますので どうかお気楽にチャレンジされてみて下さい。
洋品小物一つでガラッと印象も変わりますよ、御来店下されば一緒に結んでみましょう!




では 皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。
 何卒宜しくお願い申し上げます。





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2025年04月15日

【 SUMMER DONEGAL:O様のご注文 】






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・・・・・暑すぎず、寒くなく、春の装いを楽しむには丁度良いですね。
気温の上昇と共に、カラートーンも軽くなり始めているのではないでしょうか。

植物繊維のコンフォートなスーツやジャケットなどが幅を利かせてくる季節の到来です。







 さて、今週はこの時期にピッタリなスポーツスーツをご注文下さりました O様のご注文を紹介させて頂きます。











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= STANDEVEN =


SUMMER DOEGAL


48% - COTTON

25% - SILK

10% - LINEN

10% - WOOL

7% - NYLON


ABOUT 280g



秋冬でのスポーツスタイルと言えば 丈夫で温かくもある様々なツィードは筆頭と言えるでしょう。その中でアイルランド北西部にあるドニゴール地方で織られたツィードに端を発すドネガル(ドニゴール)ツィードという生地はアイリッシュツィードの代名詞でもあります。

ネップ(節糸)が特徴であり、昔は農家さんが手紡ぎ・手織りで作られていたホームスパンです。

そんなツィードを敢えて春夏用にと置き換えて企画された生地が今回の食材となります。
春夏らしく植物繊維を主体とし、軟らかで素朴な風合いと共に、ネップによるドネガルらしい独特な表情は健在です。
 使い馴染んだコットンタオルの様な肌触りは落ち着きと共に安心感や優しささえ感じさせてくれます。

また、秋冬地はアースカラーが主体ですが こちらはミックスなアイスブルー、見た目から既に涼しい色で表現されていますよ。


http://dittos.seesaa.net/article/503308349.html
【 2024年 / お勧めファブリック 】


http://dittos.seesaa.net/article/507277098.html
【 SUUMER DONEGAL:M様のご注文 】














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・・・・・さて、早速仮縫いも組み上がりました。
見るからに爽やか、、、プレーンでシンプルに襟無しの6釦5掛けスタイルです。













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・・・・・上着はシングルブレスト / ノッチドラペルの3釦であり、3-パッチポケットでよりスポーティーに!
ウエルトハンドステッチが効いていますね、アクセントたるブルーのカラーネップが一層冷たそうな印象を与えてくれています。


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・・・・・この日はお仕立て頂きましたファンシーグレナカートチェックのタウンスーツで御来店、コーデのポイントはGREENですね!
インナーはシャツの深きグリーンにボタニカルスカーフ!
なんて綺麗で清々しいのでしょう、、、モノトーンベースなグレナカートチェックにとても映えますね。
(O様、御愛用有難う御座います。 もう直ぐ新作もデビュー致します!)


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・・・・・渋いブラウンのグレインレザー、このフルブローグダービーは米国を代表するA.エドモンズとの事、ウイングの顔にらしさを感じますね。













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・・・・・スカーフはアンティークのスカーフリングを使用されています。
拝見させて頂きましたが、アンティークらしい手の込んだギミックが凄いですね!












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・・・・・とても素敵です、、、、。
O様が普段よりご愛用される使い勝手良きタウンスーツはお気楽でもあり、バラしてもコーデを楽しめますね。
 お仕事柄 ダークスーツの類は必要な分あれば良く、むしろご旅行含め普段着こそ TAILORED CLOTHING を楽しみ ご堪能下さっております。


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では釦も決まりましたし、微調整を加えつつ 仕上げに向かわせて頂きます。





















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・・・・・仕立て上がりました、とても雰囲気良く本当に素敵です!
ツィードのボリューム感にボーン釦は頗る合いますよね。


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・・・・・バックスタイルにつきまして、実は今回 目立たぬ所でよりスポーティーなディテールをリクエスト頂きました。
仮縫い着用写真では折り目が残っていたので分かり辛かったかも知れません。

ワンピースバック ⇒ 後身頃は本来ですと左右のパーツで分断され、背中心線の縫い目で接ぎ合わされています。
 そのシームを利用し、B・W・Hの差寸含めた起伏度合い、姿勢などを念頭に身体の立体に馴染むようカーブ線が使われています。

ワンピースですから背中心はシームレス、縫い目が無いので、、、、
本来あるべきシームの役割はクセ(ダーツ)を設ける事によって担わせ、W線から下は縫い留め、上は開放して動きのあるダーツにしてあります。

 ワンピースバックはワークウェアやクラブブレザーなどボクシーなシルエットに採用されますね。
特にクラブブレザーは主体たるストライプを縫い潰さずに活かすという意図と共に、羽織るスポーティーな上物となる位置付けですから シェイプの効いたストイックでエレガントなシルエットなんて求められてもいない訳です。

テーラードですから背中心に縫い目が無くてもクセ取りしますし、ダーツ自体にシェイプを担わせます。


ピンチバックにする程 目立たせたくはないとお考えであれば、一つのチャーミングな仕様と言えるかもしれませんね。
 パッと見は気付かずとも、「あれっ⁉」という感じでしょうか!














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・・・・・O様、懐かしい、、、ブレイシーズは2017年仕入れのLIMITED EDITION OF 500シリーズ『 JAPANESE GEISHA 』と名付けられた英国デザインな勿論 英国製。

シャーベットカラーのシャンブレーはACORN祭りでのご注文、タイはマニアックな小花プリント、このタイは案外人気が高くて直ぐに無くなってしまいました。

小花の花色とシャツの色が調和しつつ、同じく赤系で妖艶な芸者⁉さんが見事にマッチしています!
装いを存分に楽しまれていますね!

O様におかれましては、今回のSUUMER DONEGALにこのタイを是非合わせて見たかったとの事、、、、長きに渡り多大なる御贔屓を頂戴しておりまして 心よりの感謝を申し上げます。












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・・・・・ウエストコートを着用すれば芸者さんは見えません、パンチ力ありますからね(笑)。
インナーはこのSUUMER DONEGALをイメージされて御来店下さったとの事で有難う御座います。
 靴をもっと明るいものにすれば良かったとお悔やみでしたが、メインは御来店時に着用されていたスーツですからね。












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・・・・・O様、とてもお似合いで御座います。

「肌触りも気持ち良くて、これは使いやすそう!」
お気に召して頂き何よりであり、O様の素敵な笑顔をお見せ出来ないのが残念なくらいです。

もうデビューされておりますでしょうか、、、
本格的な暑さの到来まで存分にご堪能下さいませ。

 この度も素敵なご注文を頂戴致しまして、誠に有難う御座いました。
















・・・・・如何でしたでしょうか。
春ですから雨も降りますが、今のうちに装いの上で 旬の食材や料理を楽しみましょう。

 では、皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。







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2025年04月08日

【 BLACK LOUNGE SUITS B 】





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今年の桜も満開を迎えましたが 天候に恵まれず花冷え続きでしたね。
4日の金曜日にはやっと晴れ、水分をタップリと吸ったであろう桜も活き活きと喜んでいるかのようです。


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さて、4月に入り 新年度が始まりました。
昨日の月曜日には入学式を行う学校も多かったようですが、校長先生はいまでもモーニングドレス(コート)を着用されておりますでしょうか。
 街には初々しいフレッシャーズな方々が着慣れぬダークスーツに身を包み、とても新鮮な気持ちになり応援したくなります。


そんな新年度の始まりはやはり身を引き締め フォーマルなお話からスタートしたいと思います。























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・・・・・フォーマル含めクラシックな装いだとしても時代と共に移り変わるものであり、頂に君臨していたフロックコート(左側)の退任後は DAY と EVENING に分かれた装いになりました。

DAY FORMALではモーニングドレス(コート)が、EVENING FORMALではイブニングドレス(テールコート)が現代の正礼装としてその役割を担います。

≪ 因みに、モーニングコートは別名 カッタウェイ・フロックコート(CUT AWAY FROCK COAT)とも言われ、コートの前裾を乗馬の為に丸く切り落とした(CUTAWAY)のが発端となります。フロックコートたる大きな特徴として上下を分断するウエストシームが同じくありますね。≫


 それら正礼装に対し、DAYは『BLACK LOUNGE SUITS』、EVENINGは『DINNER SUITS』が準礼装となります。
少し前にDINNER JACKETの歴史にも触れましたが、尻尾を切ってより寛ぎやすきラウンジ型の上着へと テールコートの上着のみ着替えた事が発端でした。

これはDAY FORMALでも同じであり、BLACK LOUNGE はモーニングコートを脱ぎ、ラウンジジャケットに着替えた感じですから 合わせるアイテム含めルール的な事はほぼ同じとなります。


http://dittos.seesaa.net/article/500881048.html
【 BLACK LOUNGE SUITS 】













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・・・・・現代におけるスーツのバリエーションは多岐に渡り、ビジネスからタウン、リゾート、カントリーなど素材やスタイル含め様々に発展・展開が広がりました。
 これと同じように 昔はモーニングコート自体が普段着であった時代には 現代のスーツ同様 ビジネスモーニングやハンティングモーニングなど多くの展開がありました。
皆様がイメージされるモーニングドレスは基本ブラックであり、シングル型でピークドラペルの一つ釦が頭に浮かぶ事でしょうか。

ですが当時は生地もそのシチュエーションに見合ったものがセレクトされますし、ノチッチドラペルやフロント釦も2つや3つなどもあり、フラップを付けた腰ポケットを携え、そしてチケットポケットを加えられたスタイルもありました。

畏まったフォーマル的な要素であれば基本はブラック、そしてそれに準じたダークカラーが用いられます。
 上記イラストの紳士は明らかにチャコールグレーのモーニングドレス(カッタウェイフロックコート)であり、タイやトップハットのブラックと比べれば歴然ですね。
このモーニングコートも明らかに一つ釦ではありません。













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・・・・・ウインザー朝の初代君主でもある ジョージ5世は、エドワード8世(後のウインザー公)と後のジョージ6世の父君で御座います。

フレンチカフスのウイングカラーにクラヴァットはピンで押さえ、上着に共地であるウエストコートは襟付きで意図的に確りとのぞかせたスリップも見受けられます。

シングル型の上着はノッチドラペルでVゾーンは狭く、確定は出来ませんが三つ釦の様です。
トラウザースはストライプであり、これが主流でありつつ 無地や小格子柄なども合わされていました。


これがモーニングコートを脱ぎ捨て、ある意味では日常的で少しだけ砕けた装いとなるポジションになったと言えます。
ですがその当時の普段着たる BLACK LOUNGE が格上げされ、現代では準礼装までポジションが上がったという事になります。

基本的なコーデはモーニングドレスに同じですが、トップハットは合わせません。














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・・・・・分かりやすく解釈され、このベーシックなシングル型ノッチドラペルの三つ釦、ウエストコートは勿論上着に共地、ストライプド トラウザースを合わせます。
インナーはターンバックカラーのシャツに結び下げタイですね。

上のジョージ5世に同じく、ノッチドラペルで2釦や3釦などのデザインは
おそらくイラストでご覧頂いたチャコールグレーのカッタウェイフロックの様な日常的に着用されていたデザインの裾を切り落としてラウンジ型にしたという流れなのではないかと思われます。

この紳士の裾口を見て下さい、ターンナップボトム(TURN UP)で仕上げられていますが
ブラックラウンジがより日常的な装いであるという見方も出来ますね。
 因みに、裾の折り返しをTURN UP、上着袖口の折り返しはTURN BACK とされますが、同じく折り返えされた仕様を指します。














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・・・・・第61・63代首相
W.チャーチル氏はアイコン的にも語れるドット柄のボウタイは有名ですが、ブラックラウンジもこよなく愛用されていた御方でした。













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・・・・・第66代首相を務められたA.ダグラス-ヒューム氏。
ブラックラウンジは政治家から弁護士など信用を重んじるお堅い職業の方々には特に親しみ深いスタイルでありました。













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・・・・・ブラックラウンジはモーニングドレス(コート)の尻尾を切落ちした型となる訳ですが、そのモーニングのバリエーションにもエッジをパイピング仕様で誂えられたデザインもあり、エドワード8世や現英国王もこのモーニングを愛用されています。

ブラックラウンジはモーニングドレスの子孫ですから J.パトゥ氏が着用する継承されたパイピングエッジのブラックラウンジも存在しておりました。
正に親子の関係ですね。














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・・・・・やがて時代は進み、モーニングドレスのフロントは1釦に落ち着き始め、着こなす合わせにも変化が訪れてまいります。
シャツの襟は一枚衿から折り返す2枚衿(ターンダウンカラー)も合わされるようになり、ウエストコートは共地だけではなく色物も(シーンにより)合わせられるようになって参ります。

DOVE GREY(鳩灰色)やBUFF(黄褐色)はメジャーながら、ブルーやピンクなどもあしらわれる様になります。

因みに、左側紳士のトラウザースは縞柄ではなく小格子柄ですね!
右の紳士は正にBUFFのウエストコート、ラペルはノッチのモーニングドレスです。















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・・・・・他にもアイボリーやクリームなどのウエストコートも欠かせませんが、クレリックシャツも合わされるようになって参ります。

では この辺りで大体の流れをつかんで頂きましたので、その流れを汲みつつ 実際に着用してみましょう!


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・・・・・私の大好きなチャコールグレーで仕立てられた何の変哲もないベーシックでクラシックな三つ揃いダークスーツです。

シングル型の三つ釦、ノッチドラペルの上着には、ダブル型の衿付きウエストコート、フォーマルも意識し取り外し式のスリップが付いています。

限りなく黒に近いグレー、私にとっては『 BLACKではない 』という事がミソです!
 このスーツが応用次第でポジションをよりフォーマルへ上げるという事になります。


http://dittos.seesaa.net/article/501579971.html
【 BLACK LOUNGE SUITS A 】













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・・・・・ストライプド ドレストラウザース
シンプルな縞柄と比べデザインされた紐(コード)の様な縞柄が特徴であり、コードストライプと呼ばれます。

モーニングドレスやブラックラウンジに合わせるトラウザースは コレが一番生き延びたとも言えますが、無地からシンプルな縞柄、そして小格子まで合わされます。
 このコードストストライプだけでも相当なバリエーションがあるのですが、今では冠婚葬祭事でみると それら縞柄のなかでも色のトーン含め 向き・不向きがあるとされます。










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・・・・・敢えて古な雰囲気を匂わせドレッシーに!









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・・・・・ウイングカラーにはシャンパン色のクラヴァットを鹿さんのピンで!
このクラヴァットは大変お世話になっておりますN様よりロンドンのお土産として頂戴致しまて私の大切ななお宝の一つで御座います‼









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・・・・・Vゾーンのスリップが分かるでしょうか。
足元はスパッツもね!


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・・・・・名探偵もスパッツを!
こちらも色々と歴史がありますが、今回は割愛します。
フォーマル的に捉えられていますが、名探偵の様に普段よりスーツへも合わせて使用されていました。
















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・・・・・G.クーパー氏のブラックラウンジ、なにを着ても素敵でお似合いであり
モーニングドレスからの系譜を感じさせてくれますね。
ノッチドラペルで共地のウエストコート、このスタイルは初期であり 次第にピークドラペルの人気が広まりつつ、インナーもモーニングドレスの着こなしに準じ変わってきたわけです。











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・・・・・モーニングドレスに合わせるインナーがより色味豊かに変わってきましたので、ストイックなG.クーパー氏の初期スタイルから、ギャング映画には欠かせぬ E.G.ロビンソン氏によるカラーウエストコートでの着こなし。(上着はノッチドラペルですね。)

 これはこれでコントラストが付きますので華やかに見えて別の魅力が御座います。




















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・・・・・インナーはBUFFのウエストコート、ターンダウンカラーのクレリックシャツにしてダービータイ(結び下げタイ)はドット柄、スパッツは外してコッテリな匂いもやや薄め(笑)。


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http://dittos.seesaa.net/article/504172813.html
【 LINEN SUITS 】


・・・・・このBUFF:リネンスーツは、こんな使い方も考慮に入れ この色を選んでいます。
勿論 単品で誂えられても良いでしょう。











如何でしょうか、なかなか普段では使い辛いスタイルかも知れませんが
親しみやすいダークスーツやリネンのスーツ、誂え足すアイテムにより それら愛着のあるスーツ達が幅を広げてスタイルを(装いを)楽しませてくれるのです。
 これらも誂えならではでもあり、全てにおいてMY SIZE、そしてそれぞれアイテムの設計思想が伴いつつ アイテム同士の筋が通っているからこそ調和がとれ まとまるのです。


もう一つ、一般的には生涯で数回の着用の為になかなかモーニングドレスコートを誂えるのには躊躇してしまう方々もおられるでしょう。
それこそカジュアル化が進んでいるのであればブラックラウンジなら飛躍的に着用頻度は増えますので誂え甲斐もあるのではないでしょうか。
今回と同じ様に ベースはチャコールグレーのベーシックな三つ揃いであり、勿論ダブルブレストでも良いのです。
 スペアトラウザースを誂え足す気分でストライプド ドレストラーザースを加え、計4P-SUITSとなりますね。



では最後にエレガントなお二人の素敵なブラックラウンジスーツをご覧いただきましょう。
















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・・・・・オーストラリア生まれの映画俳優 R.コルテス氏。
クラシックな水玉のタイ、改めて汎用性の高さを感じられるタイですよね。
上着はピークドラペルの1釦へと見慣れた今風なドレス感が出てきているのが分かります。













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・・・・・第64代首相 A.イーデン氏。

お二人共に シングルブレストのピークドラペル、フロント釦は一つでVゾーンも深めですね。

( A.イーデン氏はもう少しお若い頃にはシングル型ノッチドラペル 3釦のブラックラウンジを着用している写真があります。 故にこのピークドラペルはその後の誂えではないかと推測されます。)

ピークドラペル型のデザインは30〜40年代辺りに人気が上がりました。
 服飾の教科書が仮にあれば、現代の認識における準礼装の典型的なデザインでしょう。
ではノッチドラペルは準礼装ではないのか、、、そんなことは全く無いですね!
古い時代に遡ればノッチドラペルの方が多く、釦数も多く、歴史が写真で立証していますね。

ブラックラウンジスーツというのはポジションを指しており、生地色も黒に限定ではありませんし、例外は有れど 相応するアイテムとのコーデにより確立されるスタイルであるという事です。
 この呼称は英国的であり、ディレクターズスーツなる和製英語から、タキシードに同じく米英語ではストローラーと呼ばれ、それぞれがDAY FORMALにおける準制服を指します。


クラシックとはある意味生き物であり、時代の経過によって少しずつ変化するものです。
また 例えばチェスターフィールドコートは、、、ポロコートは、、、
理解しやすく定義付けが好きな日本人ですが、こうやってみると一概に定義するのはなかなか厳しいのですね。

 されど日本のチェスターコート⁉たる使い方は雑過ぎるとは思いますが、、、(汗)。

むしろ学べば学ぶほど程に定義するのは難しいのですから情報溢れるこの時代なので 私含め注意が必要です。








ではこの辺でお開きとさせて頂きます。
そろそろ気温も上がって参りますので本格的に春の装いへとスイッチですね。
 思う存分 テーラードを、装いを楽しみましょう。


今週も最後までお付き合い頂きまして、誠に有難う御座いました。






posted by 水落 at 09:00| Comment(0) | TrackBack(0) | Style | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする